高校生活6日(楽しい肝試し?)③
誤字脱字報告感謝!
そして、シリアス続く……。
“誰も死なせず、山神の怒りを鎮め、山を出る”
これが、やらなければならない事。
しかし……
「ダメです……石段を上がろうとすると、何故か後ろにいる浅井くんと田島くんが死ぬのが視えます……」
「山の出口のモニターも変化無しか?」
「はい……相変わらず、六人全員……死んでます」
あれから一時間、私はみんなに協力してもらって、梅先生と解決するためのパターンを探り始めた。
最初は男同士で上の祠へ行こうとすると死ぬ。
……この事から、組み合わせや人数を変えて、祠へ行こうと試みているのだけれど……結果はほぼ変わらず。
一番酷いパターンは付き合っている二人が行くと、その場で全員が死んでしまうというものだった。あれは私でも思わず目を背けそうになったわ。
その時に、倒れている『悲惨な未来の梅先生』に話を聞いたところ「山の神は厳格であり、穢れを嫌う」と口にしていた。
「フム……この私が非科学的なものに屈して死ぬとは……なかなか屈辱的な最期だな」
「……先生、どうしましょう?」
「いや。今までの検証から、ある可能性を見出だすことに成功した。実験と観察は無駄ではないのだよ」
そう言って携帯を取り出し苦笑いを浮かべた。
「ここで遭難のSOSを警察に出したところで、イタズラの通報だと思われてしまうだろうな……」
「えぇ。例え山から出られても、悲惨なことの先延ばしになると思います……」
こんな小さな山。怪我人もいないならばきっと助けは来ない。
いっそ、私が石段から落ちてみて怪我でもしようかと思ったが、それも後々に問題になるから止めろと先生に言われた。
きちんと山を出る許しを、山神様から貰わなければならない。
「ならば、救助ではなく助っ人を呼ぼう。それならば良いだろう。私に考えがある」
「助っ人……?」
梅先生が誰かに電話を掛け始めた。
「あー、もしもし? そうだ。あぁ、今すぐ持ってきてもらいたいものがある。私の研究室のAの棚だ、そこの二番目に……そうそう、それをケースごと持ってきてくれ。中身は……ああ、解っている…………至急だぞ?」
電話を切ると、すぐにまた別のところへ掛ける。
「……おい、今どこにいた? ん、なぜ満喫に? まぁ、いい。ある地点まで行って、私が頼んだ『ブツ』を受け取って持ってこい。受け取りの場所と、私たちの場所はメールで送信する。三十分で遂行しろ! いいな!」
梅先生の考えている作戦を決行するまで少し時間がある。
私はみんなのところに戻って、何もかも説明しなければならないと考えていた。
梅先生のようにはいかないだろうと、私の胸は重苦しさでいっぱいになる。
「みんな……」
「明乃ちゃん……一体何が起きてるの?」
「私たち、何で山から下りれないの?」
「「………………」」
「それは…………」
不安な表情の茉央ちゃんと美穂ちゃん。
彼女たちに黙って寄り添ってくれている浅井くんと田島くん。
せっかくみんなと仲良くなれたのに、こんなことで違えるなんて……残念で仕方ない。でも、私のことを気味が悪いと思うのは当然のこと。
座っているみんなと同じ目線でしっかり話そうと思う。
「……あのね、みんなに聞いてもらいたいことがあるの」
「なぁに?」
「明乃ちゃん?」
私はできるだけ解りやすく静かに、今起きていることと私の『暗闇の眼』について話をした。
最初はきょとんとしていた四人だけど、話が進むにつれ“不安”や“疑念”、“怯え”などの感情が目の奥に色濃く表れた。
話が終わる頃、私自身が怖くなって顔を上げられなくなった。
きっと、私はもう彼女たちとは一緒にいられなくなる。
たった二週間の約束、私はその短い二週間でさえ他人といることが難しいなんて…………
ふと、子供の頃に“暗闇の眼”のことを話した友達の顔を思い出した。
まるで幽霊か化け物を見るような目。
その日から二度と話し掛けられなくなり、周辺には私の陰口を言う冷たい呟きが飛び交う。
仕方ない……仕方ないのよ……。
常識と違うものなのだから。
他の人には視えないのだから。
「あ……明乃ちゃん」
俯いていた私の頭上から、困惑した声が降ってくる。
終わった。そう思った――――しかし、
「明乃ちゃん、怖かったよね……」
「私たちは大丈夫だからね。頑張ろう」
気遣う声と、温かい腕が私を抱き締める。
二人がそれぞれに私を両腕に抱いて、頭を撫でてくれている。
「ふ、二人とも……怖く、ないの……?」
「怖くないよ。明乃ちゃんがちゃんと話してくれたもの」
「世の中には宇宙人や変人に会うこともあるし、そんなので怖がっていられないよ。ともくんたちだって平気なはずなんだから!」
優しく笑う彼女たちの向こう、二人も頷いて笑う。
『暗闇の眼』のこと、みんなは全く怖がらなかった。
何て度胸なのだろう。まるで本当に宇宙人や変人と渡り合ったようなかのような力強さだ。
「ありがとう……う、うぅ……ご、ごめん、なさい……変なことに……巻き込んでっ……うぇ……うう……」
二人の顔を見ていたら急に涙が出てきた。鼻の奥がジンジンして、止めようと思うのに止められない。
「うぇええ~~~ん!」
「あ~、大丈夫大丈夫だよ。ほらほら、そんなに泣かないで……明乃ちゃんのせいじゃないでしょ?」
「明乃ちゃん、怖いの我慢してたんだねぇ……大丈夫だよ、帰ったらみんなでもう一回、お風呂入りにいこうね!」
私ったら大人なのに……まるで、気持ちまで五十年以上戻ってしまったよう。戻ってしまった私とは逆に、二人は何て大人なのかしら……。
私はすっかり二人に甘えて、抱きついたまま大泣きしてしまったわ。
私は本当はずっと怖かったのかもしれない。
死が視えること以上に人の反応が怖かった。
……孫の誠一も同じ能力があるけど、あの子は友達がいる。現代の子供たちは優しく強いのね……羨ましい。
五十年。時代が変われば人も変わる。
長生きはするものね……。
こんな時なのに、私は現代の素晴らしさを噛み締めていた。
後日。坂城温泉旅館、客室。
医院長「ぐぉおおおおお~~~!!(熟睡)」
咲間「明日で終わりですね……」
椎丈「明日帰ったら、明後日からまた病院ですねぇ。今度のお休みに、またメイド喫茶でも行きますか」
咲間「今度はどこのメイド喫茶行きますかねぇ……ふわぁ……」
椎丈「……さて、寝ますか。おやすみなさ~い」(ゴロリ)
咲間「そうですね……おやすみなさい……」(ころり)
………………(しーん……)
椎丈「…………また、温泉も行きたいですねぇ(ぽそり)」
咲間「椎丈先生も温泉好きですねぇ」
椎丈「えぇ。好きですよ、咲間先生……」
咲間「え!?(ドキーーーン!!)」
椎丈「……温泉って良いですよねぇ~」
咲間「お、温泉ですよねっ!?(焦り) ははは……」
椎丈「今度は二人で行きましょうか?(耳元でイケボ)」
咲間「にゃ……ニヤッポリぃぃぃ――――トぉ!!(気絶)」
翌日。
椎丈「咲間先生!朝ですよ!!」
咲間「はっ!!朝っ!?」
椎丈「気絶したように寝てましたが……?」
咲間「ゆ…………夢?(ドキドキドキドキ……)」
椎丈「咲間先生……」
咲間「いえ、何でも…………」
椎丈「…………今度は二人で。絶対ですよ?(耳元でイケボ)」
咲間「はぃいいいいっ!!(夢じゃない!?)」
仲良く帰る二人。
(完)
…………お幸せに。




