表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/28

高校生活6日(楽しい肝試し?)①

お読みいただき、ありがとうございます!


『肝試し編』開幕!

ガチのホラーにはならんと思う。

 夕方、旅館の御夕飯はかなり豪華で、宴会場でみんなとワイワイと話しながら楽しく過ごした。


「茉央ちゃん、温泉まんじゅう食べた後で大丈夫?」

「うん、全然平気! 観光しているうちに消化しちゃたよ!」

「あの温泉まんじゅう美味しかったよね。帰りにおみやげで買っていこう」


 確かにあれは美味しかったわ。孫たちに送っておこうかしら?



「諸君! 夕餉(ゆうげ)は楽しんだか!?」


 食後にゆっくりしている中、梅先生が急に立ち上がる。


「この後はお楽しみの『肝試し大会』だ!」

「先生、肝試しってどこでやるんですか?」


「フッ! よくぞ聞いた。実はな……この旅館の裏にはさほど大きくない山があってな……」


 聞くところのよると、この旅館の裏は支配人さんが所有の小さな山があるとのこと。


「その山の上に、小さな神社があるそうだ。そこまでは一本道で迷うことはほぼないので安全だ。問題は山頂の神社……」


 ゴォ――――ン…………


「「「っ!?」」」


 急にどこからか鐘の音が響く。


 バチンッ!!


「「「きゃあああっ!!」」」


 急に電気が消えて…………ボォ~と、梅先生の顔が光って浮かび上がる。


「その神社で……時々、人魂や幽霊が出るそうだ……」


 ゴォ――――ン…………


「「「ぎゃああああああっ!!」」」


 ぱちんっ! と、電気が点いた。


「おい、変公! 変な演出するな!」


 浅井くんが電気のスイッチを点ける。

 よく見たら、梅先生の近くから電気のスイッチの所まで『ピタ○ラスイッチ』のような、懐かしい()()()()が伸びていた。


 いつの間に作ったのかしら? ドミノとか置いてあるわ……よく、誰にもバレずに設置できたわねぇ。ちょっと作動しているとこが見たかったわ。



『ゴォ――――ン…………ゴォ――――ン…………』


 先生の携帯から鐘の音が。あんな着信音もあるのね。


「……と、まぁ、つかみはオッケーだな!」


 梅先生、オッケーです。


「それでは全員、玄関へ行くぞ!」









 やけに張り切った梅先生についていき、私たちは旅館の裏手側の山道入り口へ着いた。


「よし、男女に別れて『二グループ』にするぞ。智哉と田島、女子は三人!私は主催者だから参加はない!」


「いや、先生……そこは男女二人のグループで、先生も入れて『三グループ』じゃないか?」

「ともくんと一緒に行きたい! みんなで行こうよ!」

「肝試しは二、三人が基本だろう。本当なら一人ずつも楽しいが、それはさすがに危ないからな」


 なるほど、安全第一ね。

 でも……それなら女子だけも怖いのでは?


「二人以上なら、そこは男女混合の方が安全では?」

「甘いな、明乃くん。こいつらは組むのが決まっているから、二人なんかにさせたら朝まで帰ってこんぞ?」


「…………? 一本道ですよね? 迷ったりはないのでは……?」


「わざとコースアウトするのが出てくるからなぁ? なぁ、四人とも?」


「「「「……………………」」」」


 ……どうしたの? みんな、そっぽを向いたり、赤面したり、苦笑いしたり……そんなに肝試し苦手なのかしら?


 色々と疑問もあるけど、とりあえず始めることにした。





 ルールは簡単。

 山頂にある祠に、梅先生が売店で買った『何か』があるそうなので、それを取ってこられるかというもの。


「私からのプレゼントだ。祠に判りやすくかごに入れて置いたから、各々持って来るがいい。それを商品とする!」

「珍しい……」

「峯岸先生、それって何ですか?」

「怪しい薬じゃないだろうな?」


「薬ではない。だが、秘密だ。ここでしか手に入らない『良いもの』だぞ!」

「お宝!?」

「もちろん、金一封相当の代物だ」

「よーし! 良いものなら、がんばろーね!」

「「「「おーっ!」」」」


 みんな、俄然やる気が出てきたわ。

 もしかしたら『お年玉』みたいなのとか? ふふ、それなら嬉しいわね。もう何十年ももらってないし。


 子供の時は中身が重要だけど、歳を取ると中身が無くても可愛いポチ袋が嬉しいのよね。


 誠さんが存命の時、孫たちにあげるために色々なポチ袋を集めていたのを思い出す。彼が亡くなった後も、それは捨てられずにコレクションのように仕舞っておいた。


 帰ったら探してみようかな……。







「では最初は、智哉と田島! 行けっ!!」


「おう! 行こうぜ、智哉!」

「……何か、不安しかないんだけど」


 懐中電灯を手に意気揚々と歩く田島くん。その側を不安げな表情で付いていく浅井くん。


「ともくん、頑張ってー!」

「ゆうくん、早く戻ってきてねー!」


 二人はあっという間に、暗い山道の奥へ消えていく。


「さて……行ったか。よいしょっ……と」


 先生が薬箱……に似せた箱を開くと、蓋の部分にモニターがあらわれる。


「……? 先生、これは?」

「あぁ、これは事前に山道のあちこちに置いておいた『見守りカメラ』だ。やはり生徒が心配だからな」


 モニターには何個も区切られた、あちこちの場面が映し出される。


「えーと、なんでしょうか?」

「フフフ……もし、おかしな現象があった時に使えると思ってな。ある『映っちゃた系のホラービデオ』に、投稿して採用されると、賞金がもらえる……」

「賞金目当てかーい!!」

「まぁ、そう言うな足立。それにな、別に怪現象だけではないぞ。見てみろ、篠崎……」

「え…………?」


 画面の一つ、浅井くんたちが映っている画像を大きくする。



 ~~画像~~



『うぉわっ!? 何でバナナの皮――――っ!?』

(勇斗に手を伸ばしながら転ぶ智哉)

『智哉!!』

(がしぃっ!!と力強く間一髪受け止める。完全に腕は肩から背中を抱き抱えている)


『大丈夫か?』

『わ、悪い……勇斗……』

(見つめ合う二人。顔の距離は僅か2cmほど)




 ※( )は脳内補正です。

 ~~~~~~



 ………………


 何かしら……これはお風呂でも見たような…………


「エクストリームヘヴンフラーーーッシュ!!!!」


「美穂ちゃん!?」

「……あぁ、これは……そうなるね」


 天に向かって叫ぶ美穂ちゃんは、とても恍惚とした表情で鼻血を滝のように流している。

 足立さんが慣れた手つきでタオルを差し出した。


「ハイハイ、美穂。これで鼻押さえて」

「み、美穂ちゃん! 鼻血……鼻血が!!」

「ご……ごめん……毛細血管が瞬殺されたわ……フフフ……」


 こんなに鼻血を流しているのに、美穂ちゃんはとても穏やかに笑っている。


 若いのになんて満足しきった表情。長い人生でこんなに満ち足りることなんて何度もない。


 凄い……悟りの域だわ。


「後日、風呂の映像とあわせて、編集したデータを送ってやろう……」

「あざま――――すっ!!!! コーチ!! 一生ついていきます!!!!」

「……やっぱり、録画してたのね」


「犯罪ではない、旅の記録だ。足立や明乃くんにも、旅の思い出として送ってやるからな」

「本当ですか!? ありがとうございます!」

「美穂とは別の編集にしてくださいね……」


 ふふ、楽しみ………………ん?


 ふと見た画面の端、私の“眼”は何かを映す。


「これ…………」


 ザァ……と、血の気が引いていくのを感じた。



後日。坂城旅館 大広間。


椎丈「いやー、ここの料理旨いですねー」

咲間「そ、そうですね(もじもじ……)」

椎丈「どうしました?もしかして気分でも?(顔近付け)」

咲間「いや!何でも……何でもないです!!(赤面)」

椎丈「ふふ……もう、酔いましたか?」

咲間「…………そうですね、酔いました。あの……椎丈先生……」

椎丈「なんでしょう?」

咲間「あのっ……!!」

医院長「うぇぇぇ~~~いっ!!呑んでますか、皆さん!!!!」

一同「「「うぇぇぇ~~~い!!」」」


※本日、学会の旅行につき、全国から先生が集まっております。


椎丈「みんな、呑んでますね~。で?咲間先生、何ですか?」

咲間「な……何でもないです……お風呂行ってきます……」

椎丈「あ、私も行きます。ゆっくりしたいですし」

咲間「はい……(照れ)」


※続く。



続くんかい…………

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 『二人なんかにさせたら朝まで帰ってこんぞ?』 よくご存知で!
[一言] >「わざとコースアウトするのが出てくるからなぁ? なぁ、四人とも?」 それな!!wwww >帰ったら探してみようかな……。 誠さん……!(ブワッ) >若いのになんて満足しきった表情。長い…
[一言] いやぁ、梅ちゃん意味深すぎるよあの発言は( ̄▽ ̄;) 確かにねぇ。 下手すりゃ朝まで帰ってこないよねぇ( ̄▽ ̄;) そしてあとがき!! 凄まじく続きが気になる!!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ