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陰陽百鬼  作者: Moi
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第六十五話 大蛇

 俺たちが渡り始めて約10分。祠のある島?に着いた。

 そこは祠を建てるだけには十分過ぎる広さだ。

 

 「さて、結界の修復だね。確か、祠の後ろに結界の基盤になるお札が……お、あったあった。」


 祠の裏にはお札が貼られていた。

 今まで見たことのないたぐいの紋様だ。共有陰陽術式の札とも、固有陰陽術式の札とも違う。

 まるで、魔法陣の様な…。

 

 「蒼殿、それは何形態前のものでござるか?」

 「そうだね…正確にはわからないけど、多分、3形態前のものだね。」


 …形態?なんの話だろう?桜も首を傾げている。ピンと来ていないんだろう。

 「あ、そうか。かなたたちが来てからこの話はまだ授業でしていなかったね。」

 「軽く説明いたしますね。まず—」

 そこから茜さんがわかりやすく説明してくれた。


 陰陽術式というのは、時代が進むにつれて先鋭化されてきた。俺たちが今使っている術式が第五形態にあたる想像具現化術式だそうだ。読んで字の通り、イメージを物体化する術式のことを言うらしい。

 第五形態はこれまでの形態のいいところを集め、さらに進化させたものだそうだ。

 そして祠に貼られていたのが第二形態の紋様術式。式や紋様に意味を持たせて、明力を別の力に変える術式形態。

 

 今回は明力を封印する力に変えていたと言うことらしい。

 「わかっていただけましたでしょうか?」

 「はい、わかりやすかったです。ということは、この祠って…」

 「少なくても、400年以上も前のものかと。」

 「400年前っていうと、室町から江戸時代あたりだね。」

 そんなに古い祠なんだ、これ。つまり、その間ずっと信仰され続けてたってこと?もしかしたら、結界の札が貼られる前からあるから、それより長くなるのか…。

 

 「あれ?結界の術式がいじられてる?」

 蒼がふと呟く。

 あれ?おかしくない?

 祠の管理を陰陽師に任せてから、誰もお札を変えていなかったはず。現にお札も第三形態前のものだったし。

 わざわざ見た目を第三形態に保ちつついじったって、どう考えてもおかしい。

 俺は瞬間的にお札を手に取って『氷晶陰陽拳ヘイル』の準備を始める。

 今まで、違和感があったら何かあったしなぁ。今回は何事もないといいんだけど。

 

 次の瞬間、背筋を冷たいものが通る。忘れもしない、『死』の圧。

 「蒼!3時の方向に水の壁作って!」

 「ッ‼︎」

 蒼は瞬間的に反応し、水の壁を作る。流石だ、蒼!

 俺は瞬間的に水の壁を氷の壁に変える。次の瞬間、氷の壁に強い衝撃がやってくる。

  だが、壁が保たない。氷壁にヒビが入り始めている。

 

 どうしよう、どうしよう!場所が狭すぎる!

 「かなた様!森の方まで氷で橋を作ってください!そちらの方が早い!」

 「了解!」

 俺はすぐさま橋を作る。前より加減が上手くなっている気がする!

 「みんな、森まで全力で退避。現時点を持って術式の使用を許可。全力を持ってやつを倒すよ!」

 「「「「了解!」」」」

 俺たちは森に入り、各々術式を使用する。壁は破られ、もといた小島は跡形もなくなる。

 砂煙が上がり、その中から現れる巨体を捉える。

 

 そこには、俺たちの数十倍はあるであろう巨大。牙は鋭く、口は俺たちを余裕で飲み込めるほどの大きさ。

 大蛇の文字を体現した妖怪が目の前にいる。

 状況から推測すると、祠に封印されていた妖怪だ。

 これは、どう考えても学生が受ける任務の域を超えている。紅蓮先生に助けを求めるべきだ。

 俺と桜は一度、死にかけている。

 だからこそ、わかる。引き際を間違えてはいけないのだ。

 任務前に決めたフォーメーションをしたところで、この大蛇の一撃はその全てが無意味になってしまう。

 でも、どうやって連絡を取る?

 結界はうつつから乖離されている。結界内同士ならまだしも、結界外との連絡はできない。

 悩んでいるうちに、蒼が切り出す。

 「桃さん!君なら結界に穴をあけて外に出られるはずだ!すぐに紅蓮先生に伝えて!」

 「しかし、蒼殿!皆で逃げれば良いのではないのですか?そうすれば、皆、安全になり、かつ紅蓮先生に助けを求めることができます!」


  桃さんの意見はごもっともだ。でも…

「それはできない。そんなことをすれば結界が破られ、うつつに被害が及ぶ。下手をすれば一般人を巻き込むことになってしまう。」

 それなのだ。誰かが大蛇あいつの相手をしないといけない。

 でも、さっきの攻撃の余波だけでわかる。直撃すれば命に関わる。

 ここは、結界を張った桃さんが行くべきだろう。

 桃さんはまだ固有陰陽術式を完成できていない。まだ、戦闘系の術式かどうかすらわからない。

 それは戦闘においてデメリットになり得る。

 相手のことがわからない以上、守れる保証はない。申し訳ないが足手纏いになる。

 それなら、紅蓮先生に連絡を取る方がありがたいのだ。

 

 「…わかったでござる。ここが山奥である以上、出ても連絡が取れないでござる。紅蓮先生のところまで約30分、なんとか耐えて欲しいでござる。」

 「ああ、任せて。僕やあかねえさん、かなたに桜さんも弱くはないと思う。桃さん、君がここの中じゃ1番足が速い。だから任せたよ。」

 「了解」

 桃さんは瞬間的にその場から消える。流石、『女忍師』。

 

 前衛は俺と蒼。水の上だと『氷結領域アイスワールド』は使ってもあまり意味がない。なら前衛にあがる方がいい。

 桜と茜さんには森からの援護してもらいつつがありがたいけど…

 「あかねえさんと桜さんは森から援護、僕とかなたで大蛇を相手する。あかねえさん、桜さん、大蛇に攻撃が当たるならいつでも攻撃して。時間稼ぎが目標だから、注意を分散させたい。」

 「了解です。」

 「わかった!」

 茜さんと桜は森へ姿を隠した。


  蒼って俺の心読んでるようにしか感じないんだけど。

 でも、これで桜のことを気にしながら戦わなくても大丈夫そう。

 「かなた、僕ら対角線に位置しつつ、死角から交互に攻撃していこう。今回は時間を稼ぐことだけを考えていこう。」

 「うん、わかった。とりあえず、紅蓮先生が来るまでだね。」

 先に殴りかかったのは蒼。その拳は大蛇の顔にめり込み、巨体を揺らす。

 俺はすぐさま死角に入り、殴り込む。威力は弱いが、殴った部分が氷漬けになる。

 蒼の拳は水、俺の拳は氷。交互に殴れば大蛇の動きを遅くできる。時間稼ぎには十分だ。


  …と思ったのも束の間、大蛇の方から水の玉が飛んでくる。

 空中だから避けられないんですけど!?

 俺は両手をクロスさせ防御体制を取る。だが、水の玉が俺の元に届く前に、紅いクナイがそれを破壊する。

 どう考えても茜さんだ。

 森から数メートルは軽くある。あの距離からよく当てられるよ…。

 

 でもお陰で、体制を崩すことなく着地できた。

 それにしても、桜の攻撃は全然飛んでこない?弓矢だから、茜さんよりは狙いやすいと思うんだけど?

 まさかとは思うけど…

 俺は森の方に目をやると赤いに輝く光が煌々と輝いていた。ものすっごい大きさで。

 あれ、どう考えても鬼人と戦ったときと大きさが変わらないように見えるんですが…

 もしかしなくて、ここにいたら俺も蒼も巻き込まれるんじゃないんですか!?

 

 「おい、あお—」

 声をかけようとした瞬間、矢がものすごい勢いで飛んできたんですが⁉︎

 まずい、巻き込まれる!桜の矢は着弾と同時に爆発する。

 つまり、着弾とまでにここから離れればって、もうそこまで来る!?

 あ、これまた巻き込まれるやつだ。

 そして、真っ赤な炎の矢は大蛇に突き刺さる。

 

 ……ん?爆発しない?いつもなら爆音と共に衝撃が来るはずなんだけど。

 よく見ると、突き刺さっていたはずの矢は消え、大蛇が固まっている。

 そう、固まっているのだ。直立不動をここまで体現したものを見たことないぐらいの綺麗な直立。

 え、なに怖いんだけど。さっきまで元気に攻撃してきていたじゃん。

 蒼も不気味に思ったのか攻撃をやめた。

 「かなた、これってどういうこと?」

 「俺に聞かれても…。多分、桜の矢のせいだと思う。」

 「だよね。桜さんの矢も消えてしまったし、一体どうなっているんだろう?」

 「さぁ…?」

 本当に不気味だ…。なにこれ?

 だが次の瞬間、理解した。

 大蛇の穴という穴から炎を吹き出し、吹き出しが落ち着いたと思ったら大蛇が火柱に包まれた。

 …え、エグい。これ、ぬらが使った技と同じなんだけど。

 違いは炎の色と追い打ちに火柱に包まれることかな?…うん、2回目になるけど、エグい。

 火柱が消えた頃には大蛇の真っ黒コゲが出来上がっていた。

 封印が解かれて数分の命とは、なんか可哀想だなぁ…。

 「とりあえず、動かなくなったし二人と合流しようか。」

 「うん、桜にこのことちゃんと聞かないとね。」

 俺と蒼はすぐさま森へと移動する。


 「ねえねえ、見てくれた私の攻撃!」

 「あれは私も予想外でした。何かするんだろうなとは思っていたのですが。」

 俺と蒼が森に着くと、茜さんと桜が合流する。

 茜さん、俺らもびっくりだったよ。急に止まったと思ったら、炎は吹き出すは火柱に包まれるし…。

 「いつも爆発ばかりしていたら、かなたたち危ないなぁーって思ってさ。爆発に使ってた明力をそのまま燃える力にできないかなって。」

 「普通なら、その場でできるようなことではないのですが。」

 「僕もびっくりしたよ。桜さん、ああいうことはやる前にいってね。」

 「はーい。」

 ホウレンソウだね。俺もその時に思いついてやることが多いから、気をつけないと。

 「それじゃあ、紅蓮先生が来るまで待とうか。」

 「大蛇はいいんですか?私が見てきますよ?」

 「そうだね。大丈夫だと思うけど、あかねえさん、頼めるかな?」

 「はい!はい!私も行きます!大蛇がどれぐらい大きいのか見てみたい!」

 「わかりました。それでは私たちは少し見てきますね。」

 二人は大蛇の方に振り向き、歩き出そうとした。

 「ッッ!二人とも危ない!」

 蒼が二人の背中を押す。

 —刹那、暗赤色の線が蒼のお腹を貫いた。

 

 

 

誤字や脱字などありましたら、ご連絡してくださると嬉しいです。

また、お久しぶりの投稿でしたので、いつもより少し長めですが楽しんでただけたのなら嬉しいです。

これからもよろしくお願いします!

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