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陰陽百鬼  作者: Moi
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第五十二話 姉弟喧嘩

 結局、あの後1時間目が俺と桜への質問時間になってしまった。

 俺の一言で一気に興味が爆発したらしく、根掘り葉掘り聞かれた。職業のことや、固有陰陽術式のこと、色々質問された。

 もちろん、『共鳴者』のことは隠した上で答えた。

 ずっと質問されたから2時間目が始まったばかりなのにすごい疲労感。

 桜もぐったりしている。

 休み時間も休まることはなく、クラスの人たちが話しかけてくる。

 嬉しいことなんだけど、やっぱり疲れるなぁ…。

 「さて、1時間目はお前たちのせいで潰れたわけだが、2時間目からは真面目にやっていくぞ。今日は前回同様、術式概念についてやっていくぞ。かなた、桜は隣の席のやつに教科書見せてもらえ。」

 「「はい。」」

 「じゃあ、前回の続きから。教科書24ページを開いてくれ。」

 こんな感じに授業受けてると普通の高校みたいだなぁ。俺と桜の時は黒板の板書だけだったから感慨深いな。

 そんなことを考えていると、肩を指でツンツンとされる。

 「出雲くん、はい、これ教科書。休み時間は人が多くて話せなかったけど、お隣としてこれからよろしく。僕は青龍寺せいりゅうじ あおい。」

 その子が目に入った瞬間、髪の毛に目がいく。髪の毛の一部が青くなっているからだ。

 「俺のことはかなたでいいよ。これからよろしく。なんて呼んだらいいかな?」

 「呼び捨てでいいよ。君とは個人的に仲良くしたいから。」

 個人的にってどういう意味だろう?それに、雰囲気が一瞬変わったような…。

 気のせいかな?

 それよりも……。さっきから蒼の後から鋭い視線が……。

 な、なに?俺なにもしてないよ?ものすごく睨んでくるんですけど!?

 この授業、早く終わってくれーー!!


 結局、授業中睨まれ続けて疲れた。

 そして、睨んできた女の子は休み時間になるや否や、俺と蒼の間に仁王立ち。

 そんなに嫌われてます?

 「あかねえさん、かなたと話したいんだけど。」

 蒼も不満に思ったのか女の子に話かけた。

 あかねえさん?姉さんなのかな?それに髪の毛の一部が赤くなっているし。

 「蒼様、貴方は自覚が足りません。ご友人はもう少し慎重にお決めください。どこの馬の骨ともわからない男と友人関係を築くのはいかがなものかと。それと私のことをあかねえさんと呼ばないでください。私のことは呼び捨てでお願いします。」

 「嫌だよ。僕はかなたと仲良くしたいんだ。それにあかねえさん、かなたに失礼だよ。」

 え、えっと、これどういう状況?聞いている限り、この女の子は蒼の従者で蒼自身は『あかねえさん』と呼びたいってことかな?

 それに、学校にまで従者がついている高校生ってすごい家柄なんじゃ?

 そんなことを考えていると蒼と女の子の言い争いは酷くなっていっている。

 「貴方は次期当主なのですから」だとか、「あかねえさんこそ僕の姉なんだから」だとか徐々に言葉が強くなっていく。

 これ止めた方がいいんじゃ?でも、他人の家のことっぽいし…。

 「かなた、どうしたの?」

 「出雲殿、桜殿、これはいつものことでござるよ。」

 後ろから桜と確か…新聞部の初瀬さんが話しかけてくる。

 「その、、初瀬さんでいいかな?いつものことってどういうこと?」

 「拙者のことは桃とお呼びください。あの女性は青龍寺 あかね殿であります。蒼殿の実の姉でありますが、御家の方針上、蒼殿の護衛をなさっております。」

 でも、それだけで姉としての振る舞いを無くすほどなのかな?

 蒼は姉として振る舞ってほしいみたいだけど…。

 「あかねえさんはしつこい!姉さんなのは変わらない事実なんだから!」

 「蒼様もしつこいですよ!私は姉である前に貴方様の従者なのですよ!」

 やばい、札のホルダーにまで手を伸ばし始めた!流石に止めないと!

 だが俺が入る前に紅蓮先生が仲裁に入る。

 「お前たち、喧嘩をするのはいいが陰陽術まで使ったらこの教室がもたない。」

 その言葉で二人ともハッとする。

 「すいません。」

 「紅蓮先生、すいませんでした。私としたことが。」

 よ、よかったぁー。紅蓮先生が仲裁するだけで、すんなり喧嘩はおさまった。

 流石は紅蓮先生。最短距離を瞬時に判断して仲裁するなんて…。 

 「さて、お前たち席につけ。3時間目を始めるぞ。今からお前たちには4人もしくは5人の班を作ってもらう。数日後の鬼界の実践訓練用の班だから、しっかりと前衛、中衛、後衛など考えるように。そこまで決まった班から俺に報告するように。」

 え、鬼界での実践訓練をするの?つい先日、俺や桜、紅蓮先生だって死にかけたのに…。

 またあの鬼人の様な化け物が来たら?もし、桜が死にかけたら?

 そんなことを考えずにはいられない。

 桜も顔から恐怖が滲み出ている。

 「かなたと桜はまだなりたてだ。鬼界の任務はまだ早い。今回は現世の任務を任せたい。つまり、この二人をセットで班を組んでくれ。また、その班は今回は現世の任務であることをあらかじめ理解しておいてくれ。」

 紅蓮先生も鬼人のことがあったからか、俺たちの班に現世の任務を任せてくれるらしい。

 それとも、俺たちの顔を見て言ってくれたのかな?

 なんにせよ、ありがとうございます紅蓮先生!

 でも、みんなやっぱり鬼界の任務の方が経験を積めるし、組んでくれるかな?

 「それでは、始めてくれ。」

 一気に周りがガヤガヤし始める。

 どうしようかな?俺と桜は一緒ってことは少なくともあと二人は必要ってことだよな?

 とりあえず、蒼に声を………

 あ、ダメだ。茜さんが睨みつけてきている。俺だけというよりかは、クラス全体にだ。

 「かなた、どうする?桃は私たちと組みたいって言ってくれてるけど…、蒼くんは茜さんのガードを超えないと組めそうにないね…。」

 「もしくは、蒼殿が自ら動くことでも可能であります。」

 桜と桃さんがくる。俺としては蒼と組みたいんだけどなぁ…。

 

 

 

 

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