第二十七話 府立晴明高校・地下
廊下を進み十字路に出る。
それにしても広い。今は地下3階。今まで通っただけで100以上の教室があったぞ。
正直、結界を張るのに必要な明力はわからないけど、全ての教室に結界が張ってあるとかおかしいよね…。
「右が食堂で左が開発室、このまま進めば特別教室だ。理科室や視聴覚室はもちろん術の練習場なんてものもある。今からは開発室に行くぞ。」
俺たちはそのまま十字路を左へ曲がる。
するとすぐに鉄製の大扉が現れる。
すごくでかい…。180cmは余裕である紅蓮先生を優に超えているし、3人横に並んでも端までいかない。
「すごい大きいですね!こんな扉開けられる人っているんですか?」
「いや開発室に入るのに開ける必要はないぞ。」
そういうと先生は扉の右端に行き電子生徒手帳を扉にかざす。
すると鉄製の扉の一部分がスライドし、人が一人通れるくらいの長方形の穴が出来る。
え…、ここから通れるなら大扉にする必要性ある?
「お前たち、ツッコミたいのはわかるが抑えてくれ。とりあえず、入るぞ。」
そのまま俺たちは開発室に入って行った。
それにしても、この高校色々とすごいな。
入ってすぐに道具や札など祓うの使う物(多分)が通路の端にたくさん置いてある。
銃、日本刀や槍、細剣なんてものもある。
やっぱり人によって使う武器は違うみたいだ。
先生は糸を出す機械みたいなものをつけていたし、俺はなんになるんだろう?
俺たちはそんな道を進む。少し歩いてから先生がここに連れて来てくれた理由を教えてくれた。
「今日ここに連れてきたのは合わせたい人がいるからでな。ここの長をしている者だ。あいつは人を見るだけでその人物の一番あった戦闘スタイルを見抜くことが出来る。」
つまり先生は、俺たちに戦闘スタイルを知ってもらいたかった。
なぜ今なのかと聞くと、俺たちが『どんな風に戦いたい』かがわかりやすくなるかもと思たからだそうだ。
先生も昔は後衛で祓っていたが、その人に『前衛で戦った方がいい』と言われ前衛に変えたそうだ。
すると、成果は右肩上がり。自分にも自信が着いたそうだ。
そんなすごい人がいるのか。しかも先生の話を聞いているとその人に合った道具まで作れるらしい…。
「あの扉がそいつの部屋の扉だ。」
通路の進行方向右側に扉がみえる。ここも鉄製なのか。
もう扉の正面が間近に迫った時、鉄製の扉が勢いよく左側の通路の壁へ吹っ飛んだ!
部屋からは白い煙がたち登っている。扉の方をみると頭をさすりながら座り込んでいる人がいた。
「だ、大丈夫ですか⁉︎」
桜が急いでその人に近寄る。俺も慌ててついていく。
「あはは…、大丈夫だよ。いつものことだから。」
そう言いながらその人は立ち上がる。
先生は呆れた様子で、その人を見ていた。
「はあ…、いつものことだが気をつけろといっているだろ、彗。」
「わかってるよ、紅蓮。」
やっぱり、この二人知り合いらしい。
「ここじゃなんだし、僕の研究所に上がってよ。」
この人が先生が言っていた人なのかな?
俺は疑問を持ちつつ研究所に入っていった。
研究所は本や紙がいたるところに積まれ足の踏み場もない状態だった。
「ごめんね。散らかってるけど、すぐにスペースを作るから。」
その人は積まれた本や紙を移動させ、人が数人座れる空間が出来る。
「さあさあ、座って。キーレすぐにお茶を準備して。」
『かしこまりました。』
機械的な音声で返事が返ってくる。
そして、数分後には四つの紅茶が運ばれてくる。
綺麗な紅茶色、そしていい匂い。
「ミルクと砂糖はそこに置いとくから好きに使ってね。」
皆が紅茶を飲みひと段落ついた。先生はそれを見計らって話し始める。
「さて、大体察しはついていると思うがこいつがお前たちに合わせたかった人物、由羅彗嗎だ。」
「こんにちは。紅蓮から話は聞いてるよ。出雲かなた君と中野桜さんだったかな?これからよろしく。」
その人…彗嗎さんは片手を前に出し、握手を求めてくる。
俺と桜は交互に握手をする。
「さて、とりあえず紅蓮から頼まれたことを終わらせたいから二人もそこに立って。」
握手を終えると、早速俺たちを見てくれるらしい。
俺たちは指示通りその場で立ち上がる。
彗嗎さんの見る目が一気に変わる。
さっきまでの優しい目ではなく、何もかもを見透かした様な鋭い目に。
この目は苦手だな。さっきから悪寒が止まらない。
「はい、二人ともお疲れ様。ごめんね、どうしてもこれを行うときは目が鋭なってしまってね。」
そう言った時の彗嗎さんの目は優しい目に戻っていた。
やっぱり、『見る』ことには目に力が入るのかな?
でも、これで俺たちがどんな戦い方が合っているのかがわかるのか。
これで少しでも『どんな風に戦いたいのか』っていう問いの答えに近づけたらいいな。
誤字脱字などがありましたらご連絡していただけると助かります!