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陰陽百鬼  作者: Moi
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第二十二話 組み手

 俺—出雲かなたは桜と共に共通陰陽術式を体に使用する明装というものの練習を始めた。

 紅蓮先生の教え方は上手く、大体の事はわかった。

 しかし明装は人によって感覚が違うらしく、自分に合う感覚を探さなければならないとのこと。

 「やっぱり難しいな。」

 「だよね。でも私はもう少しで感覚がわかりそうなんだ!」

 はぁ…、桜はすごいな。俺は全然分からないな。

 こんな感じで桜を守れるのか心配になるな。

 すると隣で風圧が生じる。

 風圧の発生源を見ると桜の脚に光の線がまとわり付いていた。

 「やった!出来た!」

 「桜はすごいな、普通なら数時間で出来るようになる事は無いはずなんだがな。」

 紅蓮先生も驚いていた。

 つまり、桜の成長は異常と。俺は正常だとして、どのくらいかかるのかな…。

 マイナス思考になるのはダメだな。とりあえず、自分にできることをこなす!

 俺は明装の練習を続けた。


 「今日はお疲れ様。桜は脚と腕は出来るようになってたな。」

 結局桜は同時に脚と腕の明装が出来るようになっていた。

 「かなたは…うん。諦めなければ出来るようになる。」

 「そうだよ、かなた!諦めないで!」

 結局、俺は一回も成功出来なかった。

 感覚的には間違えてない気がするんだけどな…。これで桜を守れるのか俺…。

 いや、マイナス思考になるのはやめよう。 

 「そうだな。明日からも練習する時間はあるからな、絶対に明装をものにしてみせる。」

 「そのいきだ。明日からも今日と同じように午前は座学、午後は訓練を行っていく。それでは今日はここまで。」

 そして俺たちは帰路に着いた。

 

 「さて、今日も訓練を始めるか。」

 俺はいつものように夢の中でぬらと訓練を始めようとしていた。

 それにしても、この空間は日に日に広くなってる気がするんだよな。

 まあ、訓練出来るからいいか。

 「昨日、明力集中を教えると言ったがやはりやめた。お前の先生が教えてくれるだろうからな。」

 「じゃあ、これから何を訓練するんだよ。」

 明力集中以外で教えてもらうものがあるか?

 でも、あのぬらの顔何か企んでいるな。

 「今日は実戦に向けての俺との組み手をする。鬼の話をした時、少しだけ人型の鬼『鬼人』のことも話したよな?」

 「うん。でも、それがどうかした?」

 鬼人については普通の鬼よりも強いとぐらいとしか聞いてないけどな。

 「あいつらは殺した陰陽師を喰らい、その陰陽師の経験をそのままものにする。つまり、喰らった分だけ強くなる。」

 嘘だろ、つまり喰われた陰陽師の中に色んな流派をマスターした奴がいたらその鬼人も使えるようになるのか。

 しかし、俺の中に一つの疑問が生まれる。

 「なら、鬼人が強くなりすぎると陰陽師が勝てなくなるんじゃないか?」

 陰陽師は人だ。鬼人のように無限に強くなれるわけじゃない。

 これでは陰陽師が負けるのも時間の問題になってしまう。

 「そこは安心しろ。強くなりすぎると身体がもたなくなり、自壊する。まぁ、自壊しない場合もあるが俺の時代だと一個体しか確認されてない。」

 なるほど、もしかしたら約1200年間で増えているかもしれないが一気に増えることはないな。


 「とりあえず、今日は出来るだけ組み手をするぞ。お前は明力操作や学んだ全てを使ってこい。」

 「でもそれじゃあ、ぬらが不利じゃないか?」

 それを聞いてぬらは笑う。

 「大丈夫だ。素人相手に負けるわけないだろ。お前の当面の目的は俺に一発入れることだよ。じゃあ、とりあえずかかってこい。ダメなところは指摘していくから。」

 そう言われ、俺は構えてみる。武術なんて知らないから、不恰好な構えだ。

 そして一気に明力操作で突っ込む。突っ込んだ勢いをそのまま拳に乗せ、ぬらに殴りかかる。

 しかしぬらは一瞬にして俺の視界から消え、気づいた頃には俺は地面に投げ飛ばされていた。

 今、何された触られた感覚もなかったはずなのに…。

 「勢いに任せて攻撃するのはいいが、それを利用されるということを覚えておけよ。それと視野を広くもて。相手の動き、視線、力の流れをよく見るんだ。」

 よくわからないけど、今のは殴る時の勢いを利用して地面に投げ飛ばしたのか。

 合気道のようなものか。

 「ほら地面で寝てないで、早く立て。まだまだこれからぞ。」

 「よろしく頼む!」

 そして俺は時間がくるまでぬらに挑んだ。

 

 「よし、今日はこれまでだな。今日は初めてだからいいが地面で寝る回数を減らしていかないとな。」

 「…うん。」

 俺は今地面で寝ていた。それも100回は寝てる。

 これぬらに一発入れることできる?

 色々な方法で挑んだけど、全て流すかさばかれた。

 そこに殴る蹴るは無く、足払いや合気道などの最低限の攻撃しかなかった。

 「そうやる気をなくすな。まだまだこれからだ。それに明日は陰陽術式を考えるからな。まあ簡単に言えば体術、術式を交互に行うってことだ。」

 なら明後日は体術か。身体が持つか心配になってきた。

 だが、陰陽師になったんだ。努力をして誰でも救える陰陽師になってみせる。

 「これからもご指導、ご鞭撻べんたつのほどよろしくお願いします!」

 俺は頭を強く下げた。

 「ああ、任せろ。半年後には結果を見せてやる。」 

 この時のぬらはとても頼もしかった。これがいつもだったらいいのにな…。

誤字脱字等ありましたら連絡よろしくお願いします。

感想などを書いていただけるととても嬉しいです。

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