第十四話 かなたたちの教師
かなたたちが理事長室を出た後、一人の男が呼び出された。
陰陽連総司令部総司令官を任されている鬼灯 紅蓮。
単独で100体近くの鬼を倒したこともあるという実力者だ。
紅蓮は扉をノックし、理事長室に入る。
そこにはいつもの気がゆるい理事長が座っていた。
「今日は何の御用でしょうか?司令官の仕事よりも優先させるほどのことだと聞き、急ぎましたよ。」
「ごめんね、今日中に話しておきたくてね。」
次の瞬間、理事長の雰囲気から陰陽連のトップとしての雰囲気に変わる。
「陰陽連総代表として鬼灯紅蓮に使命を与える。本日より総司令官の任を一時退任、明日より出雲かなた・中野桜の二名の教師に就任するものとする。」
そこには拒否が許されない威圧感が漂っていた。
「了解です。でもなぜ私を?」
質問をした瞬間、威圧感が薄れいつもの理事長に戻っていた。
「理由は二つある。一つは君が人に教えるのがうまいということ。」
紅蓮が総司令官に就任する前は、この学校の先生をしていた。
生徒からの支持も高く、彼が担任したいたクラスからは何人もの優秀な陰陽師が生まれていた。
その中には、陰陽連第3位仲谷クウガもいる。
「そして、二つ目は総司令官候補生の教育の場を設けることだ。」
今は紅蓮が総司令官をしているが、紅蓮の代理となる総司令官がいないのだ。
総司令官候補生の教育の場としては、総司令部で経験を積むことが最も有効的であるのだ。
「明日からはこの学校の教師として頑張ってね。」
「了解です。貴方様の期待に応えられるように頑張ります。」
そこで会話は終わり紅蓮が部屋から出て行った。
白銀さんに送られた俺たち—かなたと桜は父親たちと合流した。
そして、門まで送られ別れ際にスマートフォンの様なものを渡された。
「かなた様、桜様、最後にこの学校の電子生徒手帳をお渡ししておきます。説明書はお父様方に渡した資料の中に入ってありますのでお読みください。」
そう言われ、俺たちは家へと帰った。
桜たちと別れ、家に帰るとすぐに電子生徒手帳の設定を行った。
学校からもらった資料の中から説明書を取り、自分の部屋に行き椅子に座る。
電子生徒手帳を開くとすぐに所有者の設定が表示された。
そこには生年月日、住所などが表示されていた。
説明書には個人情報は学校側から電子生徒手帳に送られ確認するだけで設定できると書かれていた。
俺が確認を終わると、一瞬身体が光り電子生徒手帳に謎の紋様が浮かび直ぐに消えた。
「今の光はなんだ?」
そんな疑問をかなたが言った瞬間、
『今のは電子生徒手帳の所有者最終認識術式です。所有者の明力の暗記を行い、電子生徒手帳にロックをかけます。』
という音声が電子生徒手帳から聞こえた
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