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借金から始まる英雄譚  作者: マシュマロ悪魔族
第1章 借金少年と毒舌兵器
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第4話 未知なるダンジョンへ

 ゴールディブタが襲来したその日の夜、ヒロは固いベットに横になりながら一人物思いにふけっていた。

 思い起こすのは夕飯のときのアリシアの顔。


『私ががんばるから大丈夫、治療だってがんばるし、夜には酒場で働こうと思うの。

心配しないで、たった1年の辛抱ですもの』


 そう言って皆を励ます彼女。

 昼も夜も働いて体を壊さないはずがない。

 そして彼女が自分を頼らない理由、それこそが一番ヒロを苦しませていた。


(オレが弱いから……)


 強ければ、借金なんて返せていたかもしれない、強ければゴールディもきっとあんな強気の態度は取らなかった。

 強ければ……あの1年前の彼女みたいに。


(『何かを守るにはそれ相応の力が必要になる』養父オヤジの口癖だったな)


『いいか、ヒロ。何かを守るにはそれ相応の力が必要になるんだ。

それは武力だったり、知力だったり財力だったりそのときによって様々だが、守るものの大きさによって求められる力は高くなる。

 ――強くなれ、お前がそのすべてを守りたいならな』


(ああ、今になって思い知らされたよ、ほんとオレってダメだよな……ああ、クソッ)


 うだうだ考えていても仕方がない、ヒロは後ろ向きになる気持ちをとりあえず棚に戻し、今後について考える。


(まず、ここで求められる力は財力だ、

……となると、ゴールディあいつが言っていたように、ダンジョンで宝を見つけるのが手っ取り早いんだろうけど……)


 そう簡単に宝など見つかるはずもない。

 宝というものには大雑把にすると2つに分かれる。

 すなわち、元からそのダンジョンにあった物と、冒険者が落とした物だ。

 後者は冒険者が死んだり、または怪我などで捨てていった武器や回復薬ポーションなど。

 こちらは比較的現実的な収入ではあるが、100万Gとなるといくら手にいれても届かないだろう。

 そうすると必然的に前者ということになるが、これはかなり難しいいや、不可能といっても過言ではないだろう。

 なぜならそれらは、すでに存在していないからだ。

 新しいダンジョンが見つかれば当然冒険者によって攻略が開始される。攻略されれば必然的に宝は回収され、後陣の冒険者が手に入る宝は無いのが現状だ。

 つまり、必要となるのは誰も手につけていない新しいダンジョンということになる。

 今のヒロにそんな当てはない。


(無理か……)


 あきらめかけたそのとき、ふと夕方リッドとした会話を思い出した。


『ほらあれだよ、この前『遺跡』で隠しルートが見つかったろ。』


 ヒロは起き上がると、窓の外を眺めた。


(そうだ……『遺跡』、未攻略のあの場所なら)


―――――――


 アリシアはベットの上で子供たちを寝かしつけていた。

 子供たちは不安そうな表情を浮かべ、その都度彼女は「大丈夫」「お姉ちゃんに任せて」と言って聞かせていた。

 ようやく子供たちが寝静まったのを確認すると、アリシアは部屋を後にする。

 廊下を歩いていた彼女は、ふとヒロの部屋の前で立ち止まる。

 

「ヒロ……」


 彼女が思い起こすのは夕食時のヒロのあの思いつめた顔だ。

 自分がどれほど安心させようとしてもますます思いつめたその表情は暗くなるばかり。

 彼に危険なことをしてほしくはない。

 アリシアは1年前のことをを思い出す、あのボロボロになって帰ってきたヒロの姿。

 折れた足、全身のひどい打撲がその悲惨さを物語っていた。

 聞いた話によると生還者は彼一人だと言う。

「冒険者を辞めて欲しい」そう懇願したことも一度や二度ではない。

 しかし、少年はやめなかった。

 それでも彼も反省したのだろう、危険な依頼は受けず比較的安全な依頼だけをこなす日々を過ごしていた。――アリシアはそれでよかった、彼が無事であれば。

 だが、今回のことで危険な依頼をまた受ける気になるかもしれない、そうすればいつか彼は……。


(だから、そうならないように私ががんばらないと)


 入ろうとして、ふと今の自分の姿を思い出した。

 薄いピンクのネグリジェ一枚の女性アリシアがこれから向かう先は男性ヒロの部屋……それはつまり……


(ないから! 私とヒロに限ってそんなことないから‼)


「私たちは兄弟、私たちは兄弟」と念仏を唱えはじめる少女アリシア

 いま脳内で思い浮かべたR18ノクターンな展開を振り払い、あらためてドアノブに手を握り締めた。


「ひ、ヒロ、お話があるの……入るね」


 なぜかどもってしまったことには目をつぶって部屋を開ける。


 ――そこにヒロの姿はもう、無かった。

(`・ω・´)個人的にはネグリジェよりベビードールの方が好き。

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