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出発準備中……


 美桜と一緒にルナ達のいる世界へ行ってからの3日間は部活があったり、近場の従兄弟が泊まりに来たり、花火大会に出かけたりしたので疲れて爆睡した。


 ダンスの振り付けは中心になってくれた子達が、「取り合えず1曲分、大まかに振り付けを考えてみるよ」と言ってくれて練習は8月に入ってからになった。こういうのって、本当にありがたいっ! だけど私達文化部は宿題を出された。「ストレッチくらいはやっといて」だそう。まぁ、それくらいならと、お風呂上がりにせっせとやっている。


 


 で、今は月が3っつの世界にいる。


 結局、時間はどういうことか分からなかった。3夜ぶりに来たんだけど前回の続きだったんだよね。これが噂の異世界補正ってやつ!? 当然ルナとセレナに「何処に行ってたの?」なんて聞かれることも無かったから、そうなんだと思う。


 ところで、この世界の何か良い呼び方は無いかな? と思ってたら、アナザー パート ~、って言葉が浮かんできた。母が好きだったアメリカの歌手の人が歌ってた曲のタイトルがそんな感じだったんだよね。直訳で別の役割って意味みたい。美桜の説で考えたら私にはこの世界でやることがあるんだろうから、アナザー パート オブ ザ ワールドって感じかな? 英語は自信無いけど。……長いからアナザー ワールドって言いたいところだけど、それじゃつまんないんだよねぇ。この気持ち、分かって頂けますぅ?


 ま、そんなことは置いといて、今、目の前に何着かの服が広がっている。ルナに「好きなの選んで良いよ」って言われたんだけどさ、ルナやセレナが着ているのと同じ被るタイプの胸元が広めに開いてる服なわけですよ。平均的ジャパニーズ中学生ボディの私には、……どれも着られないってーの! 


「決まった?」


 ルナが両手で何かをガシャガシャと持って現れる。……ルナに借りたベッドのある部屋、シンプルだったけど何処にこんなに荷物がしまってあったんだろ? コレも異世界だからか。ウラヤマシーデスネーー。


「いや、ちょっと、これは恥ずいって……」


「上に鎧を着込むから大丈夫でしょ?」


「あっ、そういうことかーーっ」


 なぁんだ! 心配しちゃった! そういうことならと吟味する。鎖骨が丸見えになりそうだけど……。


 生地の色は白かベージュで胸元に刺繍が入っている。長さはお尻が隠れるくらいかな。幅がタップリとしてあるので、ルナとセレナみたいにウエストを別の布で縛るんだろうな。


 白い生地にお花と葉っぱをロゴみたいに簡略化したデザインの刺繍は、それぞれガーベラやユリやバラやタンポポに似た模様で可愛らしい。残りはベージュの生地で、太陽と3つの月をイメージしたであろう物と、グレーの2羽の鳥が何かの花をくわえている物があった。


「決めた! この服借りるねー」


 私は鳥の模様の服をチョイスした。花の刺繍が入ってるやつは色味が少し派手だったんだよね。


「鎧は2種類しか無いんだよね」


 そう言ってルナが出してくれたのは、草木の(つる)を編み込んで作ったベストの様な材質の鎧と、針金?の鎖を繋いだ様な鎧だった。えーっと、鎖の方が丈夫そうだけど、重いっ……。


「こっちの植物っぽいやつの方がスカスカしてそうだけど、こっちにする!」 


「これね? これは魔法薬を染み込ませて編んであるから丈夫なのよ。ケガの治りも早いし」 


 そんな便利品な物がこっちにはあるんだ。


「じゃ、こっちは?」


「相手に向かって呪いを発動してくれる鎧なんだけど、重いし裏表が分かりにくいのよね」


「えっ! もしも裏表逆に着ちゃったら……」


「ヤバイかもね?」


 かもね? って何ですか! ひーーっ、選ばなくて良かったぁ! コワッ!!


『ルナ、荷物出来たよー』


「ありがとう。セレナ、こっちを手伝ってくれる?」


 セレナはキッチンで旅の準備をしてくれていた。


『何をすれば良いの?』


「ユリーナが着るのを手伝って上げて。スカートと靴を用意して来るから……」


 ってな訳でお着替えします。サービスカットはしませんよ、ヌホホ。だって、脱いで着るだけだもんね!


 

 ルナが用意してくれた膝丈の、落ち着いた水色のキュロットスカートを身に付ける。靴は足首の少し上までの編み上げって感じ。足底はしっかりしてるんだけどベストと同じ様に空気が通り、でもってやっぱり魔法がかけられてて疲れにくくケガをしにくいらしい。足首も動かしやすいし、ムレなさそう!! (これって大事だよね?)


『似合ってるよ、ユリーナ』


 セレナが笑顔で褒めてくれた。


「うん、良い感じ」


 ルナは鏡を見せてくれる。


 ……二人は褒めてくれたけど、うわーっ、コスプレだーーーーっ!! こっぱずかしいぞ、コレは。いやー、アナザーの方で良かったぁ! 兄達や親には見せられん! 


 ……ルナとセレナはロシア人っぽい美人さんな訳ですよ。なもんで二人とお揃いの服を着るって、……無理があるわっ。並ばなきゃ良いんだろうけど一緒に出かけるんだよね、これから。ただ自分で言うのもなんだけど、落ち着いた色合い服を選んだから、ルナ達のことを抜きにすれば、……まあ見られなくも無いってことで!


 


 ルナがドアや階段に来たときと同じ様な魔法を発動させて、巨大な鳥の巣に上って来ました。うーん、相変わらず風が強い。初めて来たときは鳥さんは1羽だけだったけど、今は……6羽もいまして、この巨大な巣が……ギュウギュウですな。


「ギョエエエッ」


 忘れてたけど、見た目デカイ鳩なのに鳴き声これだった! 1羽鳴くとあっちでも「ギョエエッ」、こっちでも「ギョエエッ」、向こうから「ギョエエッ」と大合唱……。み、耳が。


 オマケに忘れてたんだけど、ここは高ーーい崖の上。だんだん嫌な予感がしてきた。鳥に乗って降りるってことじゃないよね……? 高いところは嫌いじゃ無いけど、高さにも限度ってものがあると思う。ここ、絶体に学校の屋上より高い!!


「さ、準備が終わったわよ」


 ルナとセレナが鳥3羽に対して大きな篭みたいな物を1つずつ縄で括りつけ、その結び目ひとつひとつを魔法でコーティングしたみたいだった。……でもさ、絶体に安定感が無いよね!? ヤバいって! どうなっちゃうんだろう!!




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