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妄想と現実と


 あっつーい! 校舎を出ると思わず心の中で叫んだ。夏休み中の部活はこれだから困る。今日は午前中だけだったのでこれから帰るのだが、アスファルトから昇る湯気を想像するだけで帰るのも辛くなる。


「美桜、いいなぁ」


 幼馴染みで親友の美桜は今日は美術部の活動で、隣の市の美術館で行われている展覧会を見に行っている。今ごろは部活の仲間と、冷房の効いたファーストフード店でも入っている頃か。


 汗で制服の半袖ブラウスが背中に貼り付く。……気持ち悪い。また背中にニキビが出来ちゃう!


 こんなとき大好きな異世界だったら魔術師が汗を乾かしてくれたり、薬術師が体温を下げる魔法薬を出してくれるんだろうな。そんなことを妄想して、クスリと笑ってしまった。


 美桜とのいつもの別れ道に来ると自宅方面へ曲がる。暫くすると神社が見えてくる。ここを通り抜けるのが近道だ。


 眩しい日向から木陰に入ると光の加減でクラッとし、一瞬何かが見えた。


 ……気のせい? それとも、遂に異世界へ行くチャンス到来!?


 いや待て、落ち着け私。実際に向こうへ行って、私に何が出来る? 面倒なこと、難しいことはいつも愚痴って誤魔化して、こんな私が実際に異世界に行ったとして、魔獣や敵と戦える? ……無理だろーーっ!


 ……止まらない妄想を止めてくれたのは、私の腹の虫だった。はぁ、お腹すいた。帰ろ。


 手水場(ちょうずば)で手と口を清めてお参りする。お賽銭箱の前で気づく。小遣いをアイスやジュースに使い過ぎたためにおサイフがピンチだった! 申し訳なく思いながら、手だけ合わせる事にする。


「今日も通り抜けさせて頂きます。えっと、出来るなら、ちょっぴりだけ異世界を覗きに行けますように! 覗くだけで良いんです、覗くだけで」


 私は神社の神様からすれば聞き飽きたであろうことを呟いて、ぽんぽんと2回手を打ってお辞儀した。その後は大人しく家に帰ったのだった。


挿絵(By みてみん)



 夜、親が家にいる時間は自分の部屋で宿題をする。(だって「ここ、間違ってる」とか、「もっと綺麗に書きなさい」とか、やる気が()がれることばかり言われるから……)


 小さめにカットして貰ったスイカをフォークで()して口に入れ、プリントに汁が飛ばないようにティッシュで口元を押さえる。その瞬間心は妄想し始めた。


 ……ま、あれよねぇ。異世界に行った話が今ブームだけどさ、スイカとかモモみたいな普通の果物があれば良いけど、見た目が思いっきりグロテスクだったり、食べようとしたら暴れられて、格闘しないと食べられないのは困る。……食べられなくて、いつもお腹空いてるかも。となると、やっぱ仲間は大事だな。でも、気の合う人と出会えると良いけど、苦手なタイプとしか出会えなかったら、地獄だな……。


 それにこの文明の象徴とも言える、ティッシュ! ……ティッシュの無い生活なんて絶対無理!! 鼻をかんだり、ちょっとした汚れを拭いたり、少量のお菓子を包んだり、ハンカチを忘れてしまったときに「あっ! ティッシュ持ってて助かったーっ!」ってなった事があるの、私だけじゃ無いはず。


 妄想して手が止まってたタイミングで母がたたみ終えた洗濯物を届けに来た。おっと危ねぇ。以前テスト勉強中に息抜きで落書きしてたら、そのタイミングで母が来て「勉強してたんじゃ無かったの!」と怒られた事があるのだ。


「ベットの上に置いとくから、自分でしまいなさいね」


 そう言って階下に戻って行った。


 さて、宿題の続きをやっつけちまいますか。……が、がんばろ。



 私はその夜、私の(ほぼ毎日している)お願いを聞き飽きて根負けした神社の神様が、願いを叶えてくれる事を知らず、珍しく宿題をがんばろうスイッチが入ってしまったのだった……。




イラストはpeco様から頂きました~♪♪(≧∇≦)

わ〰〰っ! イメージぴったり~♪♪

友里奈が生き生きとしてる〰〰っ。

可愛いっ、嬉しいっ。やったーーーーっ!!



でも、貼り付けかたが分からなくて、長岡更紗様の書かれた『リンクタグの作成・作者のリンク・みてみんの画像関係』という作品で、必死に試すこと数回!!

余計なことごちゃごちゃ試してたんですよね〰〰。

やっと出来ました!!


お二人とも、ありがとうございます!!m(_ _)m

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