表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
85/86

(85) 安全地帯にて6

読者の皆様、お待たせ致しました。

今回は、危機的状況下において、感染者と同じ位に厄介なアイツ等に関する話が出てきます。

そう……。崩壊した世界において、付き物のアイツ等です。


「実はな。備蓄されている物資を狙った略奪行為があちらこちらで頻発しているらしいんだ」



「略奪行為ですか。何か今の状況から考えてみれば、それはまあ、有りがちな話ではありますね」



確かに和馬の言う通り、現在の様に全ての物流が途絶え物資が不足している状況ならば、生き延びる為の手段として略奪行為が発生する事は、間違い無く起こりうる話であり、少し前に和馬達自身も移動中にそれらしき痕跡を幾つか目撃はしていた。

ただ、英二の話を聞きながら、どうしても気掛かりに思えるのは、物資を奪い盗られたという事実そのものよりも、物資を狙った輩が集積所や避難施設を襲撃した際に物を奪うだけにとどまらず、所有者に対し何かしらの危害を加えたりしているのではないかという点についてだ。

特に貴重な物資を盗られまいとして所有者側による必死の抵抗があった場合には、単なる略奪行為だけでは済まず、互いに殺し合いにまで発展する事も充分に考えられる。

この点については、和馬にとっても決して他人事の話では無く、下手をすれば自分の家族が襲撃を受け、危害を加えられている可能性だってあるのだ。



「感染者もヤバいが、略奪者の存在もまずいな」



「実はな、和馬君。その略奪者の件で、かなりヤバい情報も入って来ているんだ」



「ヤバい情報?」



「ああ。これは相手との無線交信が途絶する直前の頃の話なんだが、千葉県内に完全武装した略奪者集団が入って来ているらしいという情報が流れてな。どうやら、その連中があちらこちらで襲撃を繰り返していたらしいんだ」



「英二さん。完全武装って、銃火器フル装備という事ですよね?という事は、元軍人か或いは元警察関連の集団なのかな?」



「う~ん。そうだな。後は銃砲店を襲撃して銃を強奪した連中という線も有り得るぞ。しかし、まあ、奴等の詳細については良く解らんが、連中はとにかく手にした武器を振り回して強奪を繰り返しているという話だ」



「そんな連中とばったり出会したら即、銃撃戦になるのは間違いないな」



「う~ん、確かにまずいな」



もしも、残された物資を狙って襲撃を繰り返している輩にキャンピングカー付きのトラックを発見されでもすれば、その後どんな事態が待ち受けるのかについては、もう言わずと知れた話であり、この厄介な事実を知ってしまった和馬と雄太は、それぞれ両腕を組んだまま頭を下げ暫く考え込む。



「まあ、そうは言っても今もその連中が千葉県内にいるとは限らないし、この情報を伝えて来た相手も別の情報提供者から聞いたと言っていたから、はっきり言って話の信憑性は定かじゃないんだよな」



「でも、その情報が本当で、そいつらが今も居る可能性だってある訳ですよね?」



「まあ、それはそうなんだが……」



「英二さん。そいつらの規模、いや人数はどの位なのかわかりますか?」



「それがなあ。人数迄は解らないんだよ。数が多いらしいという事だけは解っているんだが……」



「そうですか……。後は出没地点が気になる所なんだけど……。情報の古さから考えると、もう別の区域へと移動してしまっている可能性も高いですよね」



「ああ、そうだな。あと、これは少々楽観的なのかも知れないが、もしかしたら感染者達に殺されて全滅している可能性だってあるかも知れない」



「なら、そいつに期待したい所ですね」



「ああ、出来る事ならな」



「英二さん。そういえば、後もう一つ気になっている事があるんですが、殺噛症の感染エリアって一体どの位まで広がっているんですか?」



「あ~、感染範囲か。それについてはねえ。前にニュースで観たんだが、もう日本国内全域に拡がってしまっているのは間違いなさそうだよ。更にまずい事にこの災厄は、日本だけには留まらなかったらしいんだよ」



「えっ?つまり、世界中にも拡がっていると?」



「ああ、ラジオ放送が途切れてしまう直前に確かに聞いたよ」



「そうか……。世界中か……。やっぱりそうなのか……」



既に和馬は、空路や海路を使った人の移動によって、世界中にウイルスが拡散してしまう事を予想しており、同じく世界規模での感染拡大を懸念していた雄太も更なる悲惨な状況へと追い込まれた現実を受け止め、溜め息をつきながら小さく頷いた……。

最後迄、読んで頂きまして、ありがとうございます。

2021年度の投稿は、これで終了です。

また、来年1月にお会い致しましょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ