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(83) 安全地帯にて4

読者の皆様、お待たせ致しました。

今回は千葉市内のルート状況について、英二の口から語られます。

それでは、第83話のスタートです。

「これにね、聞いた情報を書き留めてあったんだ」



「なるほど。それで?どんな情報何ですか?」



「う~ん。それなんだけどなあ。あまり良い内容とは……。いや、絶対に良い内容とは言え無いんだよな。それでも聞くかね?」



「ええ。お願いします」



「そうか。それなら解った。まずは、2週間前の千葉市内の状況なんだが……」



県内でも上位の人口密集地帯である以上、ある程度の予想はしていたものの、やはり千葉市内は2週間前の時点でも非常にまずい状況に陥っていたらしく、手帳を広げページを見つめている英二の顔はいぶかし気な表情であり、どこか言いずらそうであった。



「何が目的で千葉市内に向かうのか、儂には解らんが、これだけはまず先に言っておく。あそこは、かなりまずい状態だ。行くのは絶対に止めた方がいい」



和馬と雄太は、英二による説得めいた話を聞きながら、少し前にも同じ事を源田漁労長から言われていた事を思い出す。



『確かに千葉市に限らず、日本国内の現状を知っていれば、やっぱり行くのを止める事を勧めるんだろうな』



英二に言われるべくもなく、人口密集地域には今も感染者達が群れをなして徘徊をしている事は、和馬自身も重々承知しており、極めて危険な状況であるのは、勿論覚悟した上での話であった。



「とは言っても和馬君達も危険だと解った上での行動だろうから、ここから先は何があっても全て自己責任だという事で話を聞いてくれ」



「わかりました」



「先ず、千葉市街地における感染者の数についてなんだが、元々の高い人口密集率に比例して、その数も膨大に膨れ上がっているという話だ。この都市部についての情報に関しては、テレビ放送でもしきりに報じられていたから儂も確認済みだ」



「成る程。やっぱり千葉市街地は奴等の数が多いのか……。でも、まあここは予想通りといった所だな」



ここで話を一旦中断し、手に持った湯飲みを口元へと当てた英二は、熱いお茶を一口すすると、再び情報に関する話を続ける。



「都市部に限らず、人口密集率の高かった区域は、何処もかなりまずい状況に追い込まれているらしくてな。鎮圧の為に投入された警察や自衛隊も非常に苦戦を強いられているらしい」



「やはり、源田漁労長に見せて貰った映像通りの事が全国で発生しているんだな。ところで英二さん。千葉市周辺の道路状況についてはどうですか?」



「あ~、道路状況か……。残念ながら、これも良くないらしいな。感染者対策とやらで、バリケードやら何やら、とにかく主要道路は矢鱈と封鎖箇所が多いらしいぞ」



「そうか……。高速道や自動車専用道路についてはどうですか?」



「ああ、あそこは緊急車両専用通行になっているらしくてな。出入口にはゲートが設置されているという話だ」



「ゲートか……。ただし、もしバリケード封鎖されているんじゃなかったら、通り抜けられる可能性は高いな」



「まあ、それも自衛隊による警備が無かったらの話だよな。もし今も自衛隊や警察が機能していたら突破はまず無理だぞ。それから、橋への通行は絶対に避けろよ。聞いた話じゃ、橋の侵入口には強固なバリケードが組まれているらしいから……」



「バリケード?くそっ!橋も駄目なのか。英二さん、それって、やっぱり感染者の進行阻止が目的なんですよね?」



「まあ、そうだろうな。ただ、そうは言っても、橋の封鎖程度で奴等の侵攻阻止が図れるのかどうかは疑問だがね」



「確かにそうですね。あと、英二さん。一般道について何ですけど、バリケード封鎖されている箇所はどの辺りなんですか?」



「そうだなあ。国道だと14号線や16号線だな。あそこは高速道との接続部を封鎖した上で、中央分離帯を利用して自衛隊の簡易ヘリポートや駐留拠点を設置した箇所が幾つかあるらしい。後、これはあくまでも儂の予想なんだが、恐らく人口密集区域へと接続している道路も警察による非常線が張られているだろうから要注意だと思うぞ」



「成る程。非常線か……。そいつも厄介だな。そうなると、そう簡単には千葉市内には入らせてはもらえないという事か……」



「まあ、そういう事だな。それから後な。こんな状態も入って来ていたぞ。在日アメリカ軍と本国アメリカ増援部隊が都市部における感染者掃討作戦を開始したとな」



「そういえば前に観た録画映像でも日本国政府がアメリカ政府に軍による支援要請をしたと言っていたな。とすると、あの墜落していた海兵隊ヘリコプターもやっぱり掃討作戦の真っ最中だったんだな。英二さん。掃討作戦は千葉市街地でも実行されたんですか?」



「それがなあ。儂が知る限りでは、千葉市内で実行されたとは聞いていないんだよな」



「えっ?行われてはいない?そうか……。ふ~う。助かった……」



自宅が千葉市内の住宅街に位置している関係もあり、アメリカ軍による大規模な掃討作戦が感染者のみならず、非発症者も巻き添えにして行われる事を危惧した和馬であったが、どうやら掃討作戦が千葉市内にまでは及んでいなかった事を知り、一先ずはホッと胸を撫で下ろした。



「後は、感染者に対して家族が無事でいるのかどうかだな。ねえ、英二さん。アメリカ軍による軍事作戦は、どの辺りで行われたんですか?」



「確か無線相手の話では、横浜方面で火球の様な物を見たと言っていたから、恐らく米軍による掃討作戦はそこで行われていたんだと思う」



「えっ?火球だって!」



英二が今、口にした「火球」という言葉を耳にして驚いた雄太は、かなり動揺した様子で軍事通の和馬へと問い掛けた。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。

米軍が掃討作戦で放った強力な一撃である「火球」とは一体何なのでしょうか?

ミリタリーに詳しい方なら、すぐにわかってしまったかも?

では、詳細は次回にて!

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