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(81) 安全地帯にて2

読者の皆様、お待たせ致しました。

今回は、和馬と花菜の会話がメインです。

それでは、第81話のスタートです。

『ん?アンテナがあるな。あれは無線用か?』



玄関へと向かう途中、建物の後方に立てられた幾つかのアンテナの存在に気付いた和馬は、前を歩く花菜へと早速訪ねてみる。



「花菜さん。あれって無線用アンテナですよね?」



「あ~、あれね。そうそう。実はね。英二さん、前に趣味でアマチュア無線をやっていたのよ」



「やっぱり、そうなんだ。ん?前にやっていた?じゃあ今は?」



「やって無いわよ。ほら、この有り様で中継局が全てダウンしてしまって、以前みたいに遠くまで無線電波が届かなくなってしまったのよ。それで仕方無く止めてしまったという訳」




「なるほど。確かに中継してくれる局がやられてしまったんじゃなあ………。もしかすると近隣に無線をやっている人がいないのも、止めた理由の一つかも知れないな。ねえ、花菜さん。英二さんが以前、交信していた相手はどの辺りに住んでいた人だったんですか?」



「ん~、確か水戸市だとか、千葉市だとか、そんな事言ってたわね」



「千葉市!なら、もしかしたら英二さんから何か貴重な情報を得られるかも知れないな」



「そうねえ。英二さん、無線仲間から聞いた情報を色々とメモしていたみたいだから、後で聞いてみると良いかもね」



「ええ。そうします。ところで話は変わりますけど、花菜さん。あれって何ですか?」



何気に住居の壁面を見ていた和馬は、壁側から屋根へと向かって突き出す形で伸びている一本の太い金属製パイプの存在に気付き、首を傾げながら指を指した。



「ああ~、あれは排気用パイプよ」



「排気用パイプ?ええっと、エンジンか何かの?」



「ええ。そうね。ほら、そこ。パイプが壁の中へと入っているのが見えるでしょう?あのパイプが潜っている先、つまり地下には発電機があるのよ。あれは、その発電機の排気用パイプという訳」



「ふ~ん。なるほど、地下にねえ。あ~、そうか。それって、もしかしてエンジン音が外へと漏れ出さない為の対策ですか?」



「ええ。その通り。今は下手に音を出し続ければ、どうしても招かれざる者達が集まって来てしまうからね」



「なるほどね。この周辺に感染者が見当たら無いのは元々、人口が少なかっただけじゃなく、音に関しても十分に注意を払っていたからなんですね」



「まあ、そういう事ね。さあ、それじゃ和馬君。中に入りましょう」



「あっ、はい。では失礼します」



花菜から玄関ドアを開けてもらった和馬は、片手に掴んでいたコルトM4カービンを肩へと担ぐと軽く頭を下げながら玄関内へと入る。



「さあ、さあ、和馬君。遠慮せずに上がって、上がって」



「あっ、ありがとうございます。それじゃあ、失礼します」



勧められるまま、三和土から廊下側へと上がった和馬は、案内をしてくれる花菜の後について、奥の部屋の方へと向かって歩いて行く。



「さあ、和馬君。中へどうぞ」



「どうも、失礼します」



居間の前にて立ち止まり、襖を開けて中へと入る花菜に続き、和馬も頭を下げながら部屋内へと入る。

部屋の中央には、年代物の古ぼけたちゃぶ台が置かれ、既にお茶の支度がされており、先に座蒲団へと座った花菜は急須を手に取りつつ、和馬にくつろぐ様勧めてくる。


最後迄、読んで頂きましてありがとうございます。

それでは、次回をお楽しみに!

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