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(73) 燃料調達14

読者の皆様、お待たせいたしました。

今回も英二視点の話の続きとなります。

それでは、どうぞ!

ここで英二は、やや右側へハンドルを切る事でトラックを道路右側へと向けての走行を開始し、それに対して感染者達はトラックの進行方向に合わせ、まるで自らの体を張って前進を阻むかの様な密集隊形をとり始める。



『よしっ!かかった!』



前方にて感染者集団が迫りつつある中、道路右側へと感染者達を集め誘導する事に成功した英二は、今度は反対に素早く左側へとハンドルを切る。

ここで大きく左側へと向きを変えたトラックは、上手くフェイントをかける形で感染者集団を一気にかわし、中央分離帯に設置された黄色いラバーポールを押し倒しながら放置車両をギリギリかすめつつ、反対車線側へと進入する。



「おっと、危ない!」



危うく、放置車両へと接触しそうになりながらも、狙い通りにまんまと上手く感染者集団をかわした英二は、次にハンドルを右側へと切ると再び元の車線へと戻り、道路を逆走する形で走行を続ける。



「ふ~う。放置車両へとぶつかりそうにはなったが、まあ何とか上手くいったな」



何とか難関を突破し、次第に遠ざかってゆく感染者達をルームミラー越しに見つめていた英二が、ホッと胸を撫で下ろしたのも束の間、今度は突然何かに衝突したかの様な激しい衝撃が車両前方から伝わって来る。



「うわっ!何だ!」



首を前後へと激しく揺さ振られる程の激しい衝撃を受け、動揺の余り大きな叫び声を上げた英二は、慌てて視線を変え前方を確認するが、油断し一瞬だけ前方確認を怠ってしまっていた事により、自身が一体どの様な事態に見舞われたのか、直ぐには把握する事が出来なかった。



「くそっ!今のは、何なんだよ!」



予期せぬ事態の発生により、軽いパニック状態へと陥りそうになりながらも、何とかハンドルを切り返し、蛇行し暴れ様とする車体の立て直しに成功した英二は、状況を把握する為に直ぐ様、左側ドアミラーを確認する。

この時、四角い大きなドアミラーには路上へと倒れ転がってゆく男の姿が小さく映っており、直ぐに英二は衝撃を加えて来た相手とは、車へと向かって体当たりを食らわせて来た感染者である事を理解した。

恐らくこれは、自分の方へと向かって走って来るピックアップトラックの存在に気付いた感染者が、決して獲物を逃すまいと左斜め前方から急接近し、そのままトラックのフロント部分左側へ目掛け一気に体当たりをして来たのであろう。

この激突の際、まだトラックはスピードを出し切れてはいなかったとはいえ、それでも与えられたダメージは思いの外大きく、フロントセンターグリル前に張り出したグリルガードは歪み、左フェンダー側も大きく凹んでしまっていた。

それでも、ハンドルが大きくぶれてしまう程の激しい衝撃を受けながらもエンジンや駆動系に対し、特に影響が出なかったのは不幸中の幸いといった所だろうか。



『ふ~う。ちょっと油断しちまうと、直ぐにこの有り様だよな。でもまあ、こんな所で立ち往生なんて事にはならなくて本当に良かった』



不注意によって自慢のトラックを破損させてしまった事に対し、ショックを受けた英二ではあったが、何とか今の所、走行については支障が無い事に一先ず安心し、ホッと胸を撫で下ろす。




『よし、気を取り直して行こう。待ってろよ。和馬君。今、助けに向かうからな……』


最後まで、読んで頂きましてありがとうございます。

次回は、再び和馬視点の話となります。

では、次回をお楽しみに!

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