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(68) 燃料調達9

読者の皆様、お待たせ致しました。今回は、再び感染者との死闘が始まります。それでは第68話のスタートです。

『当たれっ!』




フラッシュハイダーから発せられたマズルフラッシュの瞬きと共に辺り一帯に耳をつんざく様な激しい射撃音が連続して響く。

迫り来る脅威対象を仕留めるべく銃口から連続して放たれた5・56mm ライフル弾は、急接近中であった感染者の体を正確に捉え、着弾したライフル弾は相手の肩の肉をえぐり、骨を砕く。

着弾時の強い衝撃により、感染者の肩は大きくはね上がり、体のバランスを崩しながらよろけ始めた感染者の腹部には、続けて発射されたライフル弾が更に食い込んでゆく。

幾度に渡る直撃弾を食らい、着衣を鮮血によって赤く染めた感染者は、体を左右へとふらつかせた後、顔面から勢い良く道路上へと崩れ落ちる。

アスファルト路面へと顔面を激しく強打し、口から多量の血液を吐き出しながらもがき続ける感染者の直ぐ後ろからは、更なる感染者が叫び声を上げながら次々と走って来る。

しかし、走って来る感染者とトラックとの距離感を見てみると、今ならば車へと乗り込む余裕が僅かながらでもありそうだ。



「よしっ!今がチャンスだ!さあ、英二さん。今の内に早く乗って!」



「お、おう!わかった」



英二は手に持っていたクロスボウをトラックの荷台へと放り込むと、直ぐ様、ドアを開け運転席へと素早く乗り込む。




『よし、俺も……』




英二が無事に車内へと乗り込んだ事を確認した和馬は、自身もトラックへと乗り込む為、助手席ドアへと近づくが残念ながら、この時もう既に全身血塗れ姿の感染者が目の前へと姿を現していた。




『くそっ!いつの間に!これじゃ車に乗れない!』




歯を剥き出し叫びながら迫って来る感染者に対し、手に持ったコルトM4の位置を咄嗟に下げ、腰だめの構えをとった和馬は再び銃のトリガーを引く。

三度に渡る射撃音の後、腕を突き出して走って来た感染者は、股関節と膝を撃ち抜かれ、よろめきながら道路上へと倒れ込む。

人間が直立する為に重要な膝と股関節という2ヶ所の関節を破壊された事により、感染者は全く立ち上がる事が出来ずに這いずり回りながら大きな叫び声を上げ続ける。




『よしっ!これで……』




脅威対象を排除した和馬は、片手にコルトM4を構えたまま助手席ドアのドアノブへと手を掛け様とするが、倒れている感染者のすぐ後ろからは、見つけた獲物を捕り逃がさんとばかりに更に別の感染者が走って来る。




『くそっ!乗れねえ!』




車へと乗り込むタイミングを失った和馬は、ドアノブへと手を掛ける事を止め、そのままコルトM4のハンドガードを左手で掴むと再び腰だめの射撃姿勢で銃を構える。




『こうなっては、車に乗り込む余裕なんて残されてはいないな。』




もう車へと乗り込む事を諦め、再び感染者へ向けて銃撃を行い始めた和馬が今、考えている様にこの状況下では車に乗り込んでいる余裕などは全く残されてはいないばかりか、例え無理に乗り込んだとしてもドアを閉める前に感染者によってドアを掴まれてしまうに違いない。

もしそうなれば、自ずとそのまま車内へと潜り込まれる結果となり、和馬だけでなく車内で待つ英二にも危険が及ぶ事になってしまうであろう。



『やはり、車には乗り込めない』



次々と前方から走って来る感染者達を一瞥した後にもうピックアップトラックへと乗り込む余裕は無いと判断した和馬が次に取った行動は、とにかく一刻も早く、この最悪な場所から離れる為に全力で走って逃げる事であった。




『とにかく、この場から早く逃げないと!』




再度、感染者へと向けてコルトM4の銃弾を発射した和馬は、次の瞬間、後ろを振り向くと銃のハンドグリップを強く握り締めたまま、全力で走り始めた。




『くそっ!まずい!まずいぞ!』




後方から次第に近づいて来る感染者達の叫び声を耳にしつつ、死物狂いで足を繰り出し続ける、今の和馬には追跡をして来る感染者を振り切って逃げ切る自信も、何処か安全な場所に退避する為の策がある訳でもなかった。

ただ、今ここで唯一解る事は、逃げ切れなかった場合に訪れる事になる最悪の結末だけだ。




『もし、奴らに捕まれば、待ち受けるのは凄惨な死…』




今、頭の中によぎって来る死への恐怖だけが、和馬の両足を突き動かし続けていた……。


最後まで読んで頂きましてありがとうございます。次回も感染者との死闘は続きます。果たして窮地に追い込まれた和馬の運命はいかに……。

では、次回をお楽しみに!

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