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(66) 燃料調達7

読者の皆様、お待たせ致しました。

とうとう、和馬達の存在に気付いてしまった感染者集団が彼等を狙い、急接近して来ます。

それでは、燃料調達7のスタートです。

「まずい!奴らが来た!」



ゆっくりと接近して来る集団が感染者であると直感した和馬は、慌ててタンクローリーの運転席へと向かって振り向きながら叫ぶ。



「雄太さんっ!今、エンジンを掛けないで!」



「えっ?何だって?」



この場は、このままエンジンを掛けずに車内へと隠れて息を潜め、感染者達を上手くやり過ごそうと考えた和馬であったが、残念ながら呼び掛けるにはタイミング的に少し遅かった。

和馬が慌てて声を掛けた時には、もう既にエンジンキーが回されており、クランキングと共に始動したディーゼルエンジンが放つ力強いエンジン音を周辺へと響き渡らせる結果となってしまった。



『ああ〜、間に合わなかったか。しかし、よりにもよって、こんな時に限ってエンジン一発始動とはな……。いや、いや、今はもうタイミングが悪かったとか、そんな事を言ってる場合じゃないな』




今まで静かだった周辺一帯へと大きく鳴り響いたエンジン音は、今まで獲物を探して辺りを徘徊していた感染者達の注意を引くには充分過ぎる程であり、その結果、このタンクローリーが音の発生源だと気付き奴らが一斉に押し寄せて来るまでにそう時間は掛からなかった。



「雄太さん!後ろから奴らが来ています!」



「何だって!」



和馬から緊急事態が迫っている事を知らされ、慌てて運転席の窓から顔を出し、後方確認をする雄太の目にこちら側を目指して一斉に押し寄せて来る感染者集団の姿が映る。



「くそっ!マジでヤバい事になった!」



「和馬君。すぐにここから撤退するぞ!儂の車まで全力で走れ!」



狂った様な叫び声を上げながら、自分達の方へと向かって走って来る感染者集団の存在に気付いた英二は、肩に掛けていたクロスボウを降ろしその手へと持つと、前方にて停車中のピックアップトラックへと一刻も早く避難する為、全力で走り出す。



「あっ!英二さん!このタンクローリーに乗った方が良いですって!あっ、行っちまった。仕方無い。雄太さん、俺も英二さんを援護しながら退避します」



「解った。俺もすぐに車を出す。英二さんを頼むな」



「了解」



急ぎ、運転席側のドアを閉めた雄太は、和馬が英二を追ってピックアップトラックへと向かって走り出した事を確認すると、直ぐ様サイドブレーキを解除し、素早くシフトレバーをローギアへとシフトチェンジした後、アクセルを吹かし始める。



「さあ、行くぞ!どけ、どけ!」



発進時から雄太が強くアクセルを踏み込んだ事で、力強いエンジン音をたてながら勢い良く前進したタンクローリーは、前を塞いでいた車両に対しフロントバンパーを激しく衝突させ、これによって後部を追突された車両はリアバンパーとトランクフードを酷く歪ませた状態で更に前方の車両へと追突してゆく。



「よっしゃ!次!」



前方に車1台分程のスペースが空いた事を確認した雄太は、今度はシフトレバーをバックギアへとシフトチェンジすると再びアクセルを強く踏み込み始める。

リバース側へとギアが入れられた事で後方へと勢い良くバックし始めたタンクローリーは、後部バンパーを後方車両のフロント部分へと激しく衝突させながら、車両を更に後ろ側へと押し退ける。

事前に撤去作業がスムーズに進む様、和馬と英二が各車両のサイドブレーキを解除しておいた事で、前後を塞いでいた車両は案外あっさりと押し退けられ、タンクローリーが追い越し車線側へと出る為の充分なスペースはこれで確保された。



「よしっ!これなら行ける!」



この場から一刻も早く離脱する為、アクセルを吹かしながらハンドルを切り始める雄太の後方からは、血に飢えた感染者達が咆哮を上げながら直ぐ側まで迫って来ていた……。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。

それでは、次回、燃料調達8をお楽しみに!


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