(5) 施設
御愛読下さっている皆様、お待たせいたしました。
今回、いよいよ、和馬達5人の探索が始まります。
果たして、脱出の鍵となる物は見つかるのでしょうか?
それでは、第5話「施設」はじまり、はじまり。
新しい場所での1日目が終わり、2日目の朝がやって来た。
昨晩、就寝が早かった為か、早朝に目を覚ました5人は、早速、リビングへと集合した。
皆が目覚めの良い爽やかな表情でいるのかと思いきや、唯一1人だけ口に手を当て、大きな欠伸をしながら、だるそうに椅子へと座る大島を見た和馬は、早速、声を掛けてみる。
「おはようございます、大島さん。昨晩は、良く眠れましたか?」
「おはよう、和馬君。いやあ、昨日は、さあ、風の音がうるさくて、なかなか眠れなかったよ」
「ああ〜。昨晩の風の音ですか」
和馬は、昨晩、海風によって、ガラス窓が揺さぶられて、ガタガタと音をたてていた事を思い出す。
確かに、最初は、うるさいと感じていた音ではあったが、一定のリズムの音を耳にする内に、和馬にとっては、子守唄的なプラス効果を生んだのか、案外、眠りに入る事が早かったのだった。
逆に大島の場合は、神経質気味な性格が災いしたらしく、どうも風の音が気になって眠れなかった様だ。
「おはよう」
「おはようございます」
朝の挨拶をしながら、椅子へと座る雄太と礼菜については、風の音など、お構い無いなしに良く眠れたのか、目覚めの良いすっきりとした顔つきをしている。
『2人共、良く眠れたみたいだな。あれ?そういえば、麻美ちゃんは?』
「和馬お兄ちゃん!」
「うわっ!」
麻美の姿を探していた和馬は、後ろから、そっと近づき、いきなり腕に抱きついてきた麻美に驚き、思わず声を上げる。
「おっ、驚いたあ。麻美ちゃん、おはよう」
「おはようございます。和馬お兄ちゃん」
腕に抱きついた麻美は、笑顔を見せながら、和馬の顔を見上げ、和馬も、そんな麻美の頭に手を乗せ、そっと頭を撫でる。
「麻美ちゃん、昨日は良く眠れたかい?」
「うん。良く眠れたよ。ねえ、和馬お兄ちゃん」
「ん?何だい?」
「今日は、麻美は、おうちへ帰れるんだよね」
「う〜ん。まあ、そうだなあ。みんなが帰れる様に努力はしてみるよ」
家へと帰りたい気持ちは強くても、流石に絶対に帰れるとは、断言出来なかった和馬は、思わず言葉を濁した。
「さあ、麻美ちゃん。今日は、ここら辺一帯を調べるから、その前に朝ごはんにしようね」
「うん。和馬お兄ちゃん」
「今日の朝ごはんは、何が良いかな?麻美ちゃん、一緒に冷蔵庫の中を見てみるかい?」
「うん。見る!見る!」
何故か、テンションが高く、はしゃいでいる麻美と一緒に冷蔵庫の中に収納されている加工食品を選んでいる和馬の後ろでは、雄太、礼菜、大島の3人が、収納棚の中から昨日同様に缶詰を選び出し始めていた。
この後、5人それぞれが選んだ食品をダイニングテーブルの上へと並べると席へと着き、少し早目の朝食をとる事となった。
「さあて、メシだ。メシだ」
「それでは、頂きます」
「いただきま〜す」
皆、一斉にパッケージを開封し、にこやかに談笑しながら食事を始める。
ヒートパックされた加工食品を食べている和馬の真向かいで、サバ缶をつついていた礼菜が和馬に話し掛ける。
「ねえ、和馬君。そのハンバーグセットって美味しい?」
「ええ。まあ、ご飯のおかずとしては、なかなか、いけますよ」
「そうかあ。じゃあ、私も次は、それにしようかなあ。ねえ、そういえば、和馬君。朝食が済んだ後は、この施設を調べるんだよね」
「ええ。その予定です」
「誰か、他の人って見つかると思う?」
「う〜ん。見つかる事に期待は、しているんですけどね。まあ、何とも、わかりませんね」
ここで、礼菜は、ぐっと前へと身をのり出すと、口元に手を当てながら和馬にささやいた。
「ねえ、私、思うんだけど、もしかすると、この施設には、隠しカメラの類いが仕掛けられていて、実は他の人達は、どこか別の場所でモニターを見ながら、私達の様子を観察しているんじゃないかしら?」
「観察?一体、何の為に?」
「さあ、そこまでは、わからないわ。ただ、何と無くね、そんな気がしたの。これは、何らかの実験の一環じゃないかって」
「う〜ん。確かに、有り得ない話でも、ありませんね。もし、相手が、どこかに隠れて、密かに俺達の心理状態を調べるテストをしているのだとしたら、何も教えず、関係者も現れないという理由も説明がつきますしね」
「そうでしょう。私もそう思うのよ」
意外と礼菜は、こういった類いを推理する事が好きなのか、話にのって来た和馬の方へと、目を輝かせつつ、更に身を乗り出してくる。
「和馬君、絶対、何処かに隠し部屋やら隠しカメラがある筈よ」
「ええっ?隠しカメラなんて、そんな物あるのかい?」
今度は、食事をしながら、2人の話を隣で聞いていた雄太と大島が話に乗ってくる。
「あ、いえ、別に、これといった確証がある訳じゃ無いんだけどね。ただ、そう考えると、他の人が誰もいない事に関しては、説明がつくのかなあと思って。ねえ、和馬君」
「え?あ、ああ、まあ、そうですねえ。礼菜さんの説も一理あると思いますよ」
いきなり、礼菜から、同意する様、話を振られた和馬は少しどぎまぎしながら答える。
「うん。その話は、確かに有り得そうだなあ。ただ、わからないのは、我々5人をこんな所に連れて来た上に、更には、隠れて、モニタリングをする事にどんな意味があるかって事なんだよね。その辺りについてはどう思う?和馬君」
今度は、大島から質問を受けた事に対し、和馬は一瞬「えっ?」という様な驚いた表情を見せる。
『また、俺への質問かい。まいったなあ』
思わず、手で頭を掻き始めた和馬は、やれやれと思いながらも、問いに対し答える。
「一体、相手が何をしたいのかについては、俺にも良くわかりません。ただ、俺から言える事は、他の人間がいるのかどうかについては、これから調べてみれば、すぐにわかる筈。きっと、全ては今日中には、はっきりしますよ」
今の和馬の説明に大島と雄太も納得する。
「まあ、そうだな。全ては、これからの探索後には、はっきりするんだよな」
「探索か。とっとと早く、連中を見つけ出して、元の生活へと戻りたいねえ」
一刻も速く、ここから抜け出して、元の生活へと帰りたいと願う雄太と大島は、どうやら、この後、行う探索への意気込みも大きい様である。
5人の間には、探索を行えば、全ての状況が把握でき、今日中には、事態が好転するのでは無いかという気運が高まり、朝食を済ませた後は、早速、施設の探索を開始する事になった。
朝食の後片付けを済ませ、ログハウスの外へと出た5人は、まず、他に2棟建っているログハウスの内の1棟について調べてみる事にした。
このログハウスは、最初に和馬と雄太がいたログハウスとは、別棟であり、まだ5人は、1度も足を踏み入れてはいなかった。
ここで、ログハウスへと歩いて行った5人の内、まずは、和馬が玄関前に立つと、木製ドアのドアノブへと手を掛け、恐る恐るドアノブを回し始めた。
「ん?すんなり回るな」
どうやら、ドアには鍵が掛けられてはおらず、意外にすんなりとドアノブは回り、手前側へとドアは開かれてゆく。
「意外にあっさりと開いたな」
和馬はドアノブを掴んだまま振り返り、自分の後ろに立つ4人に対し、声を掛ける。
「じゃあ、入りますよ」
「うん。よし、行こう」
ログハウス内に一体、何が待ち受けているのか、やや緊張気味になっている5人は、和馬を先頭にして、ゆっくりとログハウスの中へと入ってゆく。
玄関内へと入った5人は、廊下の奥を目視するが、人の気配は全く感じられず、少し気味が悪く感じられる程、中は静まり返っている。
5人は、玄関から、更に先へと進み、閉じられた各部屋のドアの前へと立つと、耳をそばだて、部屋の中に人の気配が無いか探ってみる事にした。
「何も物音一つしないな」
「人の気配が全く感じられない。ここに本当に人がいるのか?」
ドア越しには、物音一つ聞こえてはこず、後は、このドアを開けて、実際に自分の目で確認するより他はなさそうだ。
そこで、和馬は、一番玄関側に近い部屋を選び、ドアノブへ手を掛けると、そのまま、ゆっくりと回し始める。
ドアノブを回し切った和馬の後ろでは、不安によるものなのか、麻美が礼菜にしがみつき、両隣では、雄太と大島が、ドアが開けられる様子を固唾を呑んで見守っている。
ドアを開ける前、和馬は、隣に立つ雄太を見ると、小さく頷いて合図を送り、対する雄太も緊張の表情で、それに答えて頷く。
『よし、開けるぞ』
和馬は、ドアノブを引き、部屋のドアを一気に開けた。
「あっ!」
一番最初に部屋内を見る事になった和馬が、中の様子を見て驚きの声を上げる。
一体、和馬は何を見たのか?
実は、和馬が驚くのも無理は無く、目の前には、部屋中隙間が無い位に、びっしりとベージュ色の段ボール箱が大量に積み上げられていたのだ。
「なんだ、こいつは!」
「どうして、こんなに箱が大量に置いてあるの?」
部屋内を完全に占拠し、天井近く迄、積み上げられた段ボール箱を見て、5人は驚くと同時に、今度は、箱の中に一体何が収められているのか気になり始める。
「この箱の中身って気になるわね。開けてみたいんだけど、これをどうやって降ろそうかしら?」
段ボール箱の中身に興味を示している礼菜は、顎へと指を当てる仕草をしながら、積み上げられた箱の降ろし方について考え始める。
「一番良いのは、脚立か何かに登って、てっぺんに積まれた箱を降ろす事なんだろうけど、そんなに都合良く脚立なんて見つからないわよね」
礼菜は、一番上に積まれた箱を降ろす際に利用する脚立か、もしくはハシゴの様な物は無いのか、隣に立つ大島を見て、目で訴えてはみるが、そういった物が都合良く見つかる訳は無く、ただ大島から肩をすくめながら苦笑いをされるだけであった。
「道具が無いんじゃ、上へ登って箱を取るのは無理だろう。どれ、私が箱を持ち上げてみるから、その間から、箱を抜き取ってみればいい」
そう言って、部屋の中へと入った大島は、和馬の横に立つと、目の前に積み重ねられた段ボール箱へと手の平を当てた。
「えっ?もしかして、大島さん、それ持ち上げるつもりですか?大丈夫ですか?それ、結構、重さがあるんじゃ…」
和馬が心配して指摘する通り、大島が持ち上げるつもりで手の平を当てている段ボール箱の上には、同じ箱が、更に後2つ重ねられている。
「もしかしたら、無理かも知れんけど、他に良い方法も無さそうだしなあ。まあ、だから、やるだけやってみようよ」
「あっ、それじゃ、待って下さい、大島さん。俺も手を貸しますよ」
同じく、部屋内へと入ってきた雄太も、大島と一緒に段ボール箱へと手の平を当てる。
「俺達、2人で箱を持ち上げるから、和馬君は、その間に箱を引き抜いてくれ」
「あっ。はい。わかりました。けれど、2人共、腰には気をつけて。くれぐれも無理だけはしないで下さいね」
「わかった」
「それじゃ、和馬君、頼んだよ」
「はい」
返事をしながら、頷いた和馬は、これから、引き抜く予定の段ボール箱へと手を当てる。
「じゃあ、大島さん。持ち上げますよ」
「よっしゃ、いいぞ!」
「うっ!これは、なかなか重いぞ!」
どうやら、段ボール箱の中身は、思っていたよりも重量があるらしく、持ち上げ始めた2人は、思わず顔をしかめるが、それでも、徐々に下の箱との隙間は開いてゆく。
「よし、今だ!」
和馬は、手に持った段ボール箱を引っ張り出して抜き取り、雄太と大島も、持ち上げた段ボール箱を落とさぬ様、ゆっくりと元の位置へと降ろしてゆく。
「ふ〜う。重かったあ」
「何とか、上手く、いきましたね」
持ち上げていた段ボール箱を元の位置へと降ろした雄太と大島は、溜め息をつきながら、今、和馬が部屋の外へと引っ張り出した段ボール箱をじっと見つめる。
「さあ、さあ、開けましょうよ。和馬君。ねえ、麻美ちゃん」
「うん。箱の中身、気になるね」
早く、箱の中身が知りたい礼菜と麻美は、興味津々の様子で、和馬が箱を開けてくれるのを待っている。
「それじゃ、開けてみますよ」
和馬は、段ボール箱に封をしているガムテープを剥がして開封し、すぐに箱を開けてみる事にした。
「ん?何か箱が入っているぞ」
開けられた段ボール箱の中には、それ程は大きくは無い、紙箱が整列した状態で詰められており、和馬は、その中から、1つを抜き取り、手に持った。
「これ、思ったよりも、ずっしりとした重さがあるな」
今、和馬が手に持っているベージュ色をした紙箱は、大きさの割には、重量感があり、表面には、何やら、英語の表記が印刷されている。
「和馬君。それは、一体何だい?」
隣で箱を見ている大島は、不思議そうな表情で和馬に質問してくるが、和馬には、実は、この箱に見覚えがあった。
「大島さん。これは、多分、コンバットレーションですよ」
「コンバットレーション?それって何だい?」
余り、聞き慣れない名前を耳にし、すぐに大島が聞き返して来るが、当の和馬は、以前、読んでいたミリタリー誌に写真付きで詳しく紹介されていたのを見ており、良く知っていたのだ。
「コンバットレーションとは、軍隊用の行動食の事です」
和馬は、そういうと、手に持った紙箱を開封し、中から、アルミパッキングされた幾つかの袋を取り出した。
「軍隊では、戦闘地域でも、食事が短時間でとれる様に、こういった行動食を支給するんです。これなら、食器の必要は無いし、既に調理された上でヒートパックしてあるから、少し温めれば食べられます。まあ、温めなくても、食べられるらしいですけどね」
「へえ、なる程ねえ。軍隊では、こういった物を食べているのか?私は、てっきり缶詰ばかりかと…」
「まあ、大島さんのいう通り、自衛隊では、缶詰やヒートパックされた加工食品が野戦食として、支給されるんですが、他国の軍隊では、こういったコンバットレーションが野戦食のメインみたいですね」
「そうなのか。これをねえ」
ベージュ色をしたアルミパックをつまみ上げて、眺める大島の横で、今度は、雄太や礼菜から疑問が出てくる。
「しかし、何で、こんな所にコンバットレーションが置いてあるんだろうなあ」
「そうよねえ。わざわざ、外国の物を取り寄せなくても、缶詰だったら、幾らでもあるのにね」
「う〜ん。はっきりとした理由はわかりませんけど、それは多分…」
多少は、コンバットレーションについての知識がある和馬が2人の疑問に対して答える。
「缶詰自体のバリエーションが少ないからじゃないですかね」
「和馬君。それは、缶詰の種類が少なくて、食べるのに飽きてしまうからって事なのかしら?」
「そうですね。コンバットレーションには、30〜40種類位のバリエーションがあるそうですから。いや、もっとかな?とにかく、戦地で兵士が食事に飽きたりしない様に色々と考えられているみたいですよ」
「和馬君。コンバットレーションに種類が多い事はわかったけれど、それにしても、この段ボール箱の数は余りにも多すぎやしないか?多分、箱の中身は全部レーションだよね」
今の雄太の疑問を聞いた和馬は、思わずハッとする。
『そうだ。言われてみれば、確かに、この数はやけに多い。それに、そもそも、何で、こんなにコンバットレーションを揃えておく必要があるんだ?』
もしも、部屋中所狭しと積み上げられている段ボール箱の中身が、雄太のいう様に全てコンバットレーションだとしたら、その数は相当量な数であり、恐らく、5人全員が毎日、中身を食べたとしても、1年位は充分に持つであろう。
しかし、ここで疑問なのは、これ程、大量の食料を一体、何の目的で揃えておく必要があったのかという事である。
この疑問からは、和馬にとって嫌な結論が導き出されてくる。
『やはり、俺達をここに隔離して、逃がさないつもりなのか?それに、これ程、大量の食料を備蓄しているという事は、連中は長期に渡る隔離を想定しているんじゃないのか?もしかすると、食料は、この部屋だけでなく、隣の部屋にも積み上げられている可能性があるな』
和馬は、手に持っていたコンバットレーションの箱を段ボール箱の上へと置くと、4人に対し、すぐに隣の部屋内の確認を始める事を提案する。
「もう、この部屋の確認は終わらせて、すぐ次の部屋を確認しましょう」
「ああ、そうだね。わかった」
ここで、和馬の提案通り、全員が隣の部屋へと移動し、再び、和馬が入口ドアを開ける事となった。
「それじゃあ、開けますよ」
「了解」
和馬は、握ったドアノブを回し、ゆっくりとドアを開ける。
「ああ、やっぱりな」
開かれたドアの向こう側には、和馬が予想した通りの光景が広がっていた。
薄暗い部屋内には、先程の部屋と同じ様にベージュ色の段ボール箱が部屋のスペース一杯を使い、積み上げられた状態で部屋中を占拠している。
「こりゃあ、また、この部屋も凄い状態だねえ。よし、じゃあ、この箱も調べてみるとするか。和馬君、雄太君。さっきと同じ要領で、また箱を降ろしてみよう」
「よし、やってみましょう」
3人は、先程と同じ要領で、積み上げられた段ボール箱の中から、1つだけ段ボール箱を抜き出し、そのまま、部屋の外へと引っ張り出した。
「なんか、さっきの箱よりも、こっちの方が重いな」
「恐らく、入っている中身が、さっきの物とは、違うんでしょう。多分、食料だとは思うけど。まあ、開けてみましょう」
段ボール箱上部に封をしているガムテープを剥がした和馬は、すぐに箱を開けてみる。
「やっぱり、予想通りですね」
開かれた段ボール箱の中には、缶詰やペットボトル入りの飲料水がぎっしりと詰め込まれている。
「この部屋中にある箱の中身も全て食料なのか。そうなると、もう1つ隣にある部屋も、この部屋と同じ状態である可能性が高いな。よし、みんな、隣の部屋にも行ってみよう」
大島の提案により、5人は移動し、最後の部屋への確認を行うが、結果は、前の2部屋と同じ状態であった。
こうして、確認をした3部屋には、誰か人がいるどころか、大量に保存食を備蓄した食料庫だったという事が判明し、その後も、キッチンやシャワールーム迄、調べたものの、人はおろか、連れてこられた理由や現在地を示す手掛かりすら、全く見つからず、早くも期待を裏切られる結果となった。
探索最初の段階から、出鼻をくじかれる事となった5人は、予想外の結果に一旦は、落胆したものの、すぐに気持ちを切り替え、この時点で、ログハウス内の探索を終了し、次に屋外にある倉庫へと目を向ける事にした。
「まだ、諦めるのは、早いですよ。他にも、探索する場所はありますから」
「そ、そうよね。建物は、ここだけじゃないんだものね。人だって、きっといるわよ」
「ああ、そうだな。よし、屋外倉庫へと向かうとしよう」
探索目的最後の建物である、屋外倉庫へと期待を懸ける5人は、ログハウスの玄関を出ると、夏の日差しが強くなり始めた屋外へと足を踏み出した…。
最後まで読んで下さいましてありがとうございます。
今回の第5話、いかがだったでしょうか。
次回、第6話では、この施設の実態が明らかになると共に、和馬達5人にとっては、厳しい現実に直面する事になります。
では、次回をお楽しみに!