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(47) 決意

読者の皆様、お待たせ致しました。

今回は第47話「決意」をお送り致します。

それでは、どうぞ!

「くそっ!感染者だ!」



周辺から聞こえて来る叫び声を耳にして、咄嗟に肩へと掛けていたコルトM4カービンを手にした雄太は、銃口を音のする方向へと向け、素早く構えの体勢をとる。



「あいつら、もう俺達に気づきやがったか!」



「さっきまでは、誰もいなかった筈なのに……。そうか!トラックのアイドリング音を聞きつけやがったんだ!」



「確かにトラックのディーゼルエンジン音は結構、辺りに響くからな。しかし、もうこうなってしまっては仕方無い……」



「奴らに感付かれてしまった事は、もう仕方無いとしても、問題なのは、この場をどうやって切り抜けるかですね」



「は〜、そうだな」



既に、この時点で20〜30人程の感染者達が、アイドリング中のトラックを目指して走って来ており、その内の何人かは、ヘリコプター上に立つ和馬達の存在に気付いてしまっている様であった。



「和馬君。すぐにここから降りてトラックへ向かおう」



「ちょっと待って下さい。雄太さん。今から、走って逃げるにしても、もう感染者達が接近しすぎています。これじゃ、すぐに追いつかれますよ」



和馬は、慌てて雄太の肩を掴み、ヘリコプター上から降り様とする彼を引き留める。

この時、もう既に感染者達は、和馬達のいるヘリコプターから、およそ30m程の距離にまで接近してきており、重い装備品を抱えた状態で、40m先に停めたトラックまで走って逃げ切る事は、どう考えても、まず無理な話であった。

仮に今、ここで、せっかく手に入れたばかりの装備品を全て放棄し、身軽になった状態で全力疾走したとしても、ここまで接近してきた感染者達を全て振り切り、無事にトラックまで逃げ戻るというのは、脚力に自信のある彼らであっても流石に難しいに違いない。



「だったら、どうするんだ?和馬君」



「もう、こうなったら、今ここで戦うしかないですよ」



「戦うしかないですよ……って。手に入れたばかりのこの銃を使ってか!俺達、まだ本物を撃った事もないのに……」



「状況を良く見て下さい雄太さん。ここまで、相手に接近されたら、今さら、走って逃げ切るなんてもう無理ですよ。ここは、お互い腹をくくって相手を倒していくより他に道はありません」



接近中の感染者達を睨んだ和馬は、コルトM4カービンのグリップを握り締め、ストックをしっかりと肩へ押し当てると、ACOGへと顔を近づけレンズを覗き込み始める。

片膝をつき、射撃体勢の構えをとる和馬の顔は、極度の緊張によって強張り、グリップとハンドガードを握る手にも更に力が入る。



「和馬君、いいんだな。これから、相手を殺る事になるぞ。覚悟は出来ているんだな?」





震え気味となっている雄太の声に対し、ACOGのレティクル(照準線)のクロスポイントと迫り来る感染者の姿とを重ね合わせた和馬は、無言のまま小さく頷く。




『覚悟は、もう既に出来ているさ。この状況下で俺達が生き残るには、奴らを殺るより他は無い……』




ACOGを覗き込んだまま、相手の動きに合わせ照準補正を続けている和馬の姿を見て、感染者を倒すという決意を感じ取った雄太も肩へと掛けていたコルトM4を素早く下ろし、立ったままの射撃姿勢で銃を構える。

この時、感染者集団の先頭部分は、もう既に現在地点から20mの距離にまで接近して来ており、迫り来る脅威対象を目前にした和馬達は構えたコルトM4の射撃セレクターをセーフティーから3点バーストへと素早く切り替える。

これでもう、いつでも射撃可能な体勢が整った訳だが、もちろん2人は本物の銃を撃った経験などある筈も無く、ここから先は全て練習無しのぶっつけ本番である。




『くそっ!雄太さんには感染者を倒すと言ったものの、これから人を撃つのだと考えると、やっぱり震えが止まらない。でも、この窮地を脱するには絶対に相手を殺らない訳にはいかない。そうだ。殺るしかないんだ。覚悟を決めろ!いくぞ!』




一度、目を閉じ、自分自身の決意を再確認した和馬は、再び目を開けると素早くトリガーへと指を掛ける。




『絶対に生き残る!ええい、いくぞ!』




直ぐ様、ACOGのレンズに映るレティクルクロスポイントと接近中の感染者の姿とを重ね合わせた和馬は、相手の動きと同調させ照準を補正しつつ、震える指でトリガーを引いた……。






最後まで読んで頂きましてありがとうございます。

次回は、いよいよ迫り来る感染者との戦闘が開始します。

お楽しみに!

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