(46) 装備品入手3
読者の皆様、本年も宜しくお願いいたします。
さて、新年の一発目は、装備品入手についての続き話となります。
それでは、どうぞ!
『コルトM4か。へえ〜、やっぱり本物は、ずっしりとしていて、なかなか重量感があるねえ』
ここで、今、和馬が手にしているカービンライフルは、コルト社製M16アサルトライフルをベースにして、バレルとストックを切り詰めて再設計し、コンパクト化させたXM177をルーツに持つM4カービンライフルであり、M16ライフル系の大きな特徴でもあるキャリングハンドルは外され、代わりに追加されたマウントベース上にACOGがセッティングされている。
このACOGとは、トリジコン社が製造する低倍率の光学照準器であり、中でもこのタイプは、従来のドットサイトとは違いレティクルを発光させる際に電源を必要としないモデルである。
以前から、サバイバルゲームの経験があり、ドットサイトについて良く知っている和馬でも、ACOGを実際に間近で見るのは、この銃と同じく初めてであり、コルトM4カービンを構えた和馬は、銃口をコックピットルームへと向けたまま、珍しそうにACOGのレンズを覗き込んでいた。
『確か、このモデルは、薄暗い場所では内蔵しているトリチウムの放射線を使って、レティクルを発光させるんじゃなかったっけな。だから、日本では、入手が難しいんだよな』
「お〜い。和馬君。すまないけど、そのコルトM4を1丁渡してもらえないかな」
「あっ、はい。ちょっと待って下さい」
構えていたコルトM4のスリングベルトを掴み、肩へと掛けた和馬は、もう1丁のコルトM4カービンを拾い上げ、雄太へと手渡す。
「おっ!ありがとう。へ〜え。こりゃあ、凄い」
雄太が和馬から受け取ったコルトM4カービンは、和馬が肩へと掛けている銃とは幾分か、仕様が異なり、銃身下部には、40mmグレネード弾を発射可能なアドオン式グレネードランチャーであるM203グレネードランチャーが取り付けられている。
更に和馬、雄太両名の銃には、銃身側面両側にピカティニーレールが取り付けられ、左側には高輝度LED式フラッシュライトが、そして右側には赤色レーザーポインターがマウントされている。
「グレネード弾は、ここから装填するのか……」
和馬から、コルトM4カービンを受け取った雄太は、M203のグレネード弾装填用スライドを開け、珍しそうにグレネード弾装填口を覗き込む。
『さて、持ち主には悪いけど、装備品の一切合切を頂いておくとするか』
今、兵士が着用しているプレートキャリア、ホルスター、ウエストポーチを外した和馬は、まずはグレネード弾が収納されているウエストポーチを装着し、プレートキャリアの収納ポーチからは、5・56mmライフル弾装填マガジンを取り出し、自分が着用しているタクティカルベストのポーチ内へと収納してゆく。
「雄太さん。装備品を外し終わったんで、これを受け取って下さい」
「おう。解った」
構えていたコルトM4のスリングベルトを掴み肩へと掛けた雄太は、和馬から装備品を受け取る為、身を乗り出し、開口部から手を伸ばす。
「おっ!こいつは、プレートキャリアか。ありゃあ〜。2つの内、1つは血塗れだな。おっと、これは重い」
鋼鉄製の防弾プレートが挿入された重量感のあるプレートキャリア2着を受け取った雄太は、腕に力を込めながら一気に上へと引き上げ、ヘリコプターの胴体上へと、ゆっくりと下ろしてゆく。
「雄太さん。もう1つ荷物です」
「了解」
次にグレネード弾入りのウエストポーチ、ベレッタM9が収まったホルスターを順に受け取った雄太は、先程と同様にプレートキャリアの隣へと静かに並べてゆく。
「雄太さん。最後にこれをお願いします。ちょっと重いですよ」
和馬が、そう言いながら、両手を使って持ち上げたオリーブドラブ色の金属製ケースを見て、雄太は、不思議そうに首を傾げながら質問をする。
「おう。解った。……って、それは、一体何だい?」
「アモ缶ですよ。雄太さん」
「アモ缶?ああ、弾薬箱か。おおっ!こいつは、なかなか重いな」
通称、アモ缶と呼ばれている、軽金属で作られた弾薬箱の取っ手を握り締め、力一杯、上へと引き上げた雄太は、プレートキャリアの隣へと静かに下ろすと、小さな溜め息をつきつつも、早速、留め金を外し、金属蓋を開けてみる。
「おおっ!こりゃあ、凄い!」
オリーブドラブ色に塗装されたアモ缶の中には、5・56mmライフル弾がフル装填されたマガジンが、ぎっしりと詰め込まれており、ざっと数えただけでも20個は入っている様だ。
「ありがたいねえ。これで、当面は、武器弾薬には困らないな」
嬉しそうな声を出しつつ金属蓋を閉めた雄太は、今度は血液が付着していない方のプレートキャリアとウエストポーチを選び、その手に持つと、それぞれを着用してみる。
「うわっ!和馬君。こりゃあ、結構、重いなあ」
「そりゃあ、プレートキャリアは鉄板入り、収納ポーチとウエストポーチには、弾薬とグレネード弾入りですからね」
「いや、いや、いや、これは、後でプレートキャリアの鉄板を抜いておく必要がありそうだな」
「そうですね。ここで狙撃なんてされないでしょうから、さすがに防弾プレートは、いらんでしょう。さてと、それじゃあ俺は、そろそろ、ここから出るとするかな」
手に入れた装備品類を雄太へと渡し終えた和馬は、肩に掛けていたコルトM4を一旦、降ろして、ヘリコプターの胴体部分へと置き、今度は開口部の縁へと手を掛けると、勢いをつけながら、そのまま一気によじ登った。
「ふ〜う。さてと雄太さん。そろそろ行くとしま……」
上へとよじ登り、先程、ヘリコプター胴体部へと置いたコルトM4カービンを拾い上げ、掴んだスリングベルトを肩へと掛け様としていた和馬の耳に何やら騒騒しい音が聞こえてくる。
「ん?何の音だ?くそっ!奴らだ!」
「しまった!こいつは、まずい!」
慌てて顔を上げ、前方を確認する和馬達の目にこちらへと向かって疾走して来る、招かざる者達の姿が映った……。
最後まで、読んで頂きましてありがとうございます。
次回は強力なアイテムを手にした和馬達の前に感染者が接近します。
果たして、本物の銃を彼らは上手く使いこなし、迫って来る危機を脱する事が出来るのか?
では、次回をお楽しみに!