(45) 装備品入手2
読者の皆様、こんにちは。
今回は、装備品入手の続き話として、発射型グレネード弾やベレッタM9が登場します。
それでは、本年最後の投稿、第45話の始まりです。
「和馬君。どうやら、強力な武器が手に入った様だね」
「ええ。まずは、拳銃が手に入りましたよ。それじゃあ、雄太さん、こいつを受け取って下さい」
「おう!了解」
スライドドア開口部から機内へと手を伸ばした雄太は、和馬が手渡すベレッタM9を1丁と予備マガジン2本を受け取り、マガジンをカーゴパンツの大型ポケット内へと収納する。
「へえ〜。やっぱり、本物は違うな。エアガンとは、全く比べ物にならない程の重量感だ」
雄太は、今、初めて手にする本物の銃によるズシリとした重量感をその手に感じながら、昔、どこかで聞いた、銃の重み、ならびに引き金の重みは、命の重みだという言葉を思い出す。
『流石にこれは、慎重に扱わないとな』
一旦、銃を握り締めた右手を前へと突き出し、リアサイトを覗き込みつつ、構えの姿勢を取った雄太は、すぐに腕を下げるとセーフティーのロックを確認した後、ベレッタM9を大型ポケット内へとしまい込んだ。
「和馬君。なんだかさあ。こいつを手に持った瞬間、背中がゾクリとしたよ」
「ええ。俺もですよ。雄太さん。まあ、なんたって、こいつは本物ですからね」
「なあ、和馬君。こういった装備品は、他にもありそうかい?」
「ええ。目の前にいる、この2体の兵士も何か持っていそうなんで、これから調べてみますよ」
折り重なる2体の兵士の遺体を抱え上げ、仰向き状態で横並びに寝かせた和馬は、兵士が着用しているプレートキャリアやホルスター、ウエストポーチ内の確認を開始する。
『プレートキャリアの収納ポーチには、2種類のマガジンが入っているな』
プレートキャリアに取り付けられた箱状のポーチを開けた先には、先程、見た様な9mmパラべラム弾が装填されたマガジンの他に更に貫通能力の高い5・56mmライフル弾が装填されたマガジンが幾つも収納されている。
『5・56mmNATO弾か。こいつは凄い』
拳銃弾である9mmパラべラム弾と比べ、先端部が尖った形状をし、より大型である5・56mmNATO弾は、貫通能力ならびに近接戦闘に秀でた軍用ライフル弾であり、この弾丸ならば、感染者との接近戦においても、より強力な威力を発揮してくれるに違いない。
『さてと、お次はウエストポーチか……』
プレートキャリアの収納ポーチから手を離した和馬は、ベレッタM9が収納されているホルスターを確認した後、今度は、ウエストポーチへと手を伸ばす。
『どれどれ。中には、何が入っているのかな?』
和馬は、ウエストポーチのマジックテープを剥がし、ポーチ内へと手を入れると、中に収納されていたシリンダー形状の装備品を掴み出す。
『おおっ!これはグレネード系か?』
ここで、和馬が掴み出したシリンダー形状の装備品とは、強い閃光を発し、相手の視覚を一時的にマヒさせる事から、閃光手榴弾とも呼ばれているM84スタングレネードであった。
『これって、確か閃光だけじゃなく、大音響も発するんだよな。さてと、他には、何があるかな?』
M84スタングレネードを再び、ポーチ内へと戻した和馬は、隣のポーチを開け、更に別の装備品を掴み出す。
『あっ!何か細い棒状の物が出て来たぞ』
ここで、和馬が取り出したスティック状の装備品とは、ポリエチレン製の本体を折り曲げ、内部の薬剤同士を化学反応させる事により、青色に発光させるケミカルライトであり、どうやら、夜間作戦時における目標物へのマーキング目的として、兵士が常時装備していた様であった。
更にケミカルライトが収まっていた、その隣には、樹脂製収納ホルダーが入っており、ホルダーを取り出し蓋を開けた和馬は、収納されていた中身を見て思わず目を丸くする。
『おっと!こいつは、発射型40mmグレネード弾じゃないか。こりゃあ、どうも凄いねえ』
収納ホルダーから取り出し、今、和馬が手に取ったオリーブドラブ色のグレネード弾は、アドオン式グレネードランチャーを使用して、短距離発射するタイプのM381グレネード弾(榴弾)であり、その爆発威力は、有効殺傷範囲半径5mにも及ぶ。
『おっ!別のタイプのグレネード弾もあるぞ』
M381グレネード弾を収納ホルダーへと押し込み、ポーチ内へと戻した和馬は、別のポーチを開け、今度は青いタイプの40mmグレネード弾を掴み出す。
『今度は、スモークグレネードか……』
先程、取り出した榴弾タイプのグレネード弾とは違い、白煙のみを発生させる、このM680グレネード弾は、敵から身を隠し、狙撃の脅威から身を守る為の煙幕効果がある他、友軍に自らの位置を知らせる為のマーキングの役割も持つ。
『こういったグレネード弾を装備しているという事は、発射装置も一緒にある筈なんだが、一体、どこにあるんだ?』
兵士達がライフル弾やグレネード弾といった予備弾薬を所持している以上、当然、これらを発射する為の銃火器も一緒に装備している筈だと和馬は考えたものの、何故か兵士の手には、そういった類いの物は握られてはいなかった。
『墜落時の衝撃で銃から手を離し、そのまま、どこかに飛ばされてしまったんだろうか?』
自分の足元付近を見回しながら、首を傾げている和馬に対し、胴体開口部から覗き込み、機内全体を隈無く見回していた雄太は、片隅へと転がっていた2丁の銃を見つけ出し、やや興奮した様子を見せながら指を差す。
「あっ!ほら、あそこ!和馬君。あれ、銃じゃないか?」
「えっ?あっ!あった!確かに銃だ。雄太さん、ちょっと拾ってきます」
兵士の遺体から離れ、機内後部へと移動した和馬は、床の到る所に散らばった機内備品に混ざって転がっていた2丁のアサルトカービンライフルを拾い上げた。
最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
次回は、更なる装備品としてコルトM4カービンライフルが登場します。
それでは、次回をお楽しみに!