vol.1 虚偽の戦場:東京戦線
科学と科学の目覚ましい発展により、軍事力ランキング世界一になった近未来日本。
化学反応式を利用して武器を生成する能力もつ人間兵器の少年少女たちが東京に閉じ込められ、山手線を境に国内戦争を行っていた。
戦争はテレビの中の出来事と無関心に暮らしていた女子高生、白川凪の街にアテンダーの白河朝季が転校してくる。朝季に危機を救われ慕う凪だが、周囲の人間は彼をバケモノとして拒絶した。
孤立したまま東京(戦場)に帰る朝季を見て、凪は傍観者をやめたいと自分も戦場に行くことを決意する。
戦場入りした凪が見たのは惨状ではなく、楽しそうに暮らす少年少女達の姿。定められた戦闘時間、満足な衣食住、仲間が死ぬことさえ気にしなければとても楽しい環境。
仲間の死に涙する感情を忘れ楽しく過ごしていた凪だが、大切な人の死により人間としての感情を取り戻し、戦場の街の違和感に気づき真実を暴こうとする。
東京内戦とは国内の秩序や平和を守るために企画されたもので、アテンダーは一般社会に不適合と判断された者達の処分場、異邦に対する脅威として利用するための道具だった。
戦場にいるアテンダー達は、真実に気づかず兵器として従順に戦うか、明日の自分が殺されないため他人を見捨てて生きるかの二択しかなかった。
朝季は真実には気づいていたが二年前に義兄を失った傷が癒えず、もう二度と大切な人は作らないと人間として生きることをやめる決断をして他人を見捨てて生きてきた。
しかし凪と出会い、「大切な人と一緒に旅行に行きたい、戦場を出たい」という希望を持っていたことを思い出し、戦場の街を終わらせようと動き出す。
辿り着いた黒幕、東京内戦の首謀者は凪の父親だった。朝季と凪の出会いは偶然ではなく、朝季の義兄である夕季の策略だったのだ。
仇を討とうとする朝季だが義兄の真意に気づき、凪の父親を生かす決断をする。そのおかげで朝季は夕季の最期の言葉を聞くことができ、自分が本当に愛されていたことを知って涙を流す。
終戦から一週間後、朝季と凪は肩を並べて復興する東京の街を眺めていた。過去に失ったものや大切な人を想い、それでも生きてく未来を描きながら。
誰かにとっての他人は、別の誰かにとって大切な人。
「テレビの中の戦場、それは本当に他人事?」
読み終わった後にこの言葉の意味を考えて欲しい。
偽りの戦場を舞台に『他人を愛すること』の意味を知るお話。
《主要キャラクター》
白河 朝季(18)
戦場で最強ランクとされる【無制限】の能力を持つ人間兵器。所属は外域軍、北区部隊隊長。
幼い頃の記憶がなく戦場の民家にいたところを白河夕季に拾われ、義兄弟の関係を結んだ。
白川 凪(15→16)
平和な田舎の町で暮らしていたが、朝季と出会い彼を追って戦場入りした。
EMP(外傷専門の戦場医療班)部隊所属。
会話下手で、人の顔を覚えるのが苦手。
雨月 三次(16)
凪の隣の高校に通う男子学生。
戦場で母親を失い、特例として田舎に帰れていた元外域軍南区部隊所属の人間兵器。
神谷 景子(17)
朝季の幼馴染み的存在の女性人間兵器。
北区部隊所属、空気銃を扱え毒にも耐性を持つ。口下手で毒舌、敬語で話すのが癖。たすくとは犬猿の仲。
綾音 たすく(18→19)
凪が戦場入りした際に教育係になった戦用人間兵器。
火弾・重火器系の生成が得意。所属は南区部隊だが北区の戦闘地域で戦っている。内戦が始まってすぐ、東京送り確定孤児院に入所させられた。
相澤 修二(18→19)
EMP一種(医者レベル)資格を持つ凪の先輩及び上司。
反逆者で構成された必死部隊、特攻隊唯一の生き残り。その時の出来事が所以でEMPを目指し、僅か四ヶ月で一種の資格を取得した。
たすくとは同郷、同じ施設で育った。
茉理 隼人(24)
人間兵器の開発及び修繕を行う学医の資格を持つ。
外域軍北区司令長及び戦用人間兵器学医長。
三十人程度なら同時に声を聞くことができる能力を持つ。
羽田倉 斗亜(15→16)
外域軍と敵対している内域軍所属の人間兵器。
朝季と同じ無制限のランクは二位。戦闘狂で、殺し方に容赦がない。
三上 冬那(25)
朝季の保護者的存在。
上層部と呼ばれる、東京の街で強い権力を持つ組織に属している。
朝季の義兄、白河夕季とは戦前からの知り合いだった。
白河 夕季(享年26)
戦場を彷徨っていた朝季を保護し、家族として育てた朝季の義兄。
二年前、朝季に何も告げず敵地に乗り込み、自害のような形で命を絶った。




