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1 初めての地球

 目を開けてみると芝の生い茂る地層の上に立っていた。

 上方には果てしない青一面の空がひろがっており、不均等な間隔をあけてアクセントのように雲が漂っている。その雲の間から眩い光を太陽が発していた。


「とりあえず地球へのワープは無事成功したみたいだね」

 共に地球へ降り立った先輩に「そうですね」と返事をする。


 初めて降り立った地球をぐるりと眺めてみる。

 あたりにはニンゲンの建造物と思われるものが立ち並んでいるが、私たちがいる周りは人工物がほとんどない開けた土地が広がっていた。


 周囲にニンゲンの姿はないのでワープに気付かれた心配はしなくても良さそうだ。

 まあ、ばれないように場所とタイミングを見計らったので予定どおりなのだが。


 さて、活動を開始する前に現状の確認をしておかなければならない。

 まずは私たちの擬態についての確認だ。


 隣の先輩を眺めてみると、ワープ前に擬態していたとおり、調査区域日本での男性個体の平均を参考に生成された体躯・顔立ち・髪型・服装をした姿をしていたので問題なさそうだ。

 先輩に私の方も確認してもらったが異常なしとのことなので、いきなり異星人であることがばれて調査計画が頓挫といったことはなくなかった。


 次に現在地についてだ。

 開けた土地を見回すと、地面やそこかしこに自然が見られ、奇抜な形状の人工物が見られる。

 ワープは予定どおり成功したので、ここは公園と呼ばれる施設でまちがいないだろう。


 公園は憩いを求めて利用されるものとのことだが、確かにそのとおりかもしれない。

 周囲の建造物は所狭しとあり、どこか息苦しさを感じそうだが、この開けた土地は開放感があり、何だが心が清く広がっていくような感覚がする。

 とても心地よい気分だ。


 ふと先輩の方に目を向けると、公園内を歩き回っているようだった。


「これ何なんだろうね」

 いくつかある人工物を興味深そうに眺めながら先輩に尋ねられたが答えに窮する。

 私もここが公園という施設だということ以上は何もわからない。


 近くで眺めてみるが、何のために造られた物なのかは想像できない。

 階段と斜めに傾いた金属板を合体させたような物、2本の紐で吊るされた板切れ、無数の鉄棒が交差している牢屋のような物、細長い木の板を中点で支えている物。

 やはり何なのかはさっぱりわからない。

 癒しのために何かをする器具だろうか、いや眺めることが目的の芸術品かとあれこれ考えてみたが答えはでそうにない。


「やっぱりニンゲンは不思議で興味深いね。調査のしがいがある」

 ずっとぐるぐる練り歩いていた先輩が言った。

 確かに、ニンゲン調査にあたっての洗礼を浴びたような気もするが、同時に知的好奇心がそそられる。


 もう少し調査したいところだが、調査を円滑に進めるためにも我々の活動拠点への到着を急がなければならない。

 公園については今後の要調査案件として記憶しておくことにした。

 居心地は良い場所なのでまた来ることもあるだろう。


 活動拠点は先発調査隊が手配を済ませており、周辺の地図情報もインプット済みだ。その場所に合わせてワープもしているので、到着まではそう時間はかからないだろう。

 急いで目的地に向かうために「まだ残りたい」と言いたげな先輩を引き連れて公園を後にした。

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