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我が一片の人生  作者: novicehork
幼年期
5/5

アキヤマの1日 後編

閑話

事件の操作が今日は一区切り付き、お偉いさんは去った。


「起きてください~。偉い人帰りましたよ〜?」

交番で寝てたオッサンを起こす。

起きてそうそう、タバコを吸い出す。

「‥あの家の家族ってどんなだ?」

いきなり聞かれた。

「すっげーいい人夫婦でしたね。誰にでも笑顔で」

「そうなのか?旦那さん、不倫してたとかない?」

「え?それはないと思います。」

訝しげにオッサンは俺を覗き込んできた。

「まあ、そう見えたんだろーな」

このオッサンはアヤコさんを疑ってるみたいだ。

「アヤコさん疑ってるんですか?」

「まあな。普通にこのタイミングでこの時間に荷物持っていなくなるって、あからさまだろ?携帯も切れてるし、お偉いさんも同じだと思うぞ」

至極真っ当なことだが、まさかと思ってしまう。


状況からみて他人なら、俺も同じ意見だ。


完全に肩入れしている自分が、そこにいた。


オッサンは続ける。

「でも、おれが奥さん疑うのは、そういったもんじゃなくてな。ああ、難しいな。お前はわかりそうだと思ったが、勘違いか?」


は?


何を言っているのか?今日初対面のオッサンで勝手に

評価されてる。


そして、勝手に残念がられてる。


「ああ、忘れてた。俺はアワダだ。よろしく。」

今更自己紹介された。

「で。お前は?」

「アキヤマです。」

そうかといった感じで外に出ていった。


「アキヤマはさ。衝動で人を殺す。そんなときさ。

どうなってると思う?」

何が聞きたいかわからない。

いや、わかるけど、真意が不明だ。

「たぶん、怒りで冷静じゃない。または、パニック状態かと」

「そうそう。その状態なら、どうやって殺そうか?」

「衝動的に、手近なものかと」

「そうそう。ンで、死体は窒息。外傷無し。」

なんだって?絞め殺したとかそういった痕跡は?


「さあ、どうやったんだろね?」


荷物持って出たということは、衝動的ではない可能性もあるのか?


「でさ、喉の中見たのよ俺は」

喉の中を見た?

死体の?

触ったの?動かしたの?

この人、警察じゃない?

「俺の予想通り、喉の中も異常なしさあ。」

「人間の中にさ。たまあに、不思議なことできちゃうのがいるんだよね。」

今、現時点で俺は話が理解できない。むしろ、警棒を握った。

目の前の男も警察ではないかもしれない。

「俺は、それ専門で扱うワケ。まあ、理解はされないよな~」

苦笑いしてこちらを見て言った。

そして、間違いなく本物の警察手帳を見せて、

「そこは、大丈夫だから。安心しろ?」


.................


女帝曰く、その子供の周辺で不審な事故、事件が起きているらしい。

いやいや、殺人とかじゃあないそうで、

幼児虐待や横領の発覚、更には猥褻行為

事件ではなくとも、出勤拒否になる保母さんや突如として辞職する清掃員などなど

掘れば掘るほど出来事が起きている。

最近は、児童施設の代表も精神を壊して、辞任したそうで。

「たまたま、とは言えても、あの子の母親の事もあって、怖いのよね。」

頬杖をついて、女帝は俺に言った。

「明日、暇?」

非番ですね。

「あら?返事がないわ?」

行きたくない。

「了承ということで」

パワハラだ。

「アワダー、アキヤマ借りるね~?」

返事は聴こえない。

「オッケーだってさww」

嘘つけ。

こうして、俺の明日はなくなった。


そもそも、あの子には会いたくない。


アワダさんが戻ってきた。


「どうした?」

そうですね。アワダさんはこういう人でしたね。


暫し説明。


「明日、あの子に会うのか。」

「ハイ」

アワダさんはため息をついた。

俺も続いた。

「お前、大丈夫?」

「なわけ無いですよ。」

アワダさんの問に食い気味に返した。

常勤の退勤時間はとうに過ぎていた。


アワダさんが送ってくれるというので甘えて車に乗る。


「さっきの話だが、相手は絶対お前の事覚えてるぞ。」

「わかってますよ。だから嫌なんですよ。たぶん、前より相手はやり口うまくなってるし、周りで起きてるあれやそれも可愛いもんですが、絶対噛んでますよ。」

「ああ、間違いなくな」

諦めのようなアワダさんの声だった。

「今のままじゃ、何もできない。俺等はとりあえず、管理を徹底するだけだ。」

俺は何も言わなかった。


俺は、家に帰った。

明日は本格的にだるい日になる。

だから、速攻で風呂に入り、ビールを飲んで、すぐ寝た。

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