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71・『コエゼスタンス』の謎は 深まるばかり

「ラーコ、グルオフ。


 『コエゼスタンス』の事で、何か知っている事はない?」


 『コエゼスタンス』という言葉を聞き、クレンも色々と思い出した。


「そうだ・・・!! 僕はコエゼスタンスに憧れていたんだ!!

 だからミドリとの旅路で、コエゼスタンスの事に関して、少しでも何か分かることがないの

 か、あちこちで情報を集めて・・・!!」


 そして、『コエゼスタンス』という言葉に反応したのは、クレンやリータだけではない。


「・・・あぁ・・・懐かしいな・・・その単語。

 母さんがよく語ってくれたよ。この国を守り、支えた団体、『コエゼスタンス』

 『異種族』であろうと、『覚醒者の有無』も関わらず、人々を懸命に救い、献身的に人々へ尽

 くす。

 まさに、僕にとっても『ヒーロー』のような存在だった。

 その話を、母さんは僕が眠る前に、いつも言い聞かせてくれていたよ。

 ・・・まぁ、どこまでが本当の話なのかは、僕にも分からないんだけどね。」


「でも、実在していたのは確かよ。だって私の母さんも言っていたもの。

 確か・・・コエゼスタンスが本格的に無くなってしまったのは、割とつい最近の話とか。」


「姉さんも知っていたなんて・・・」


「えぇ、でも何故無くなってしまったのかは、母さんにも父さんにも分からなかった。

 でも、母さんや父さんは、コエゼスタンスのメンバーと言葉を交わした事はあるのよ。

 それなのに、不思議じゃない?」


 「王都に来れば、コエゼスタンスの事について、何かわかるかもしれない。」

そんなクレンの淡い期待は、此処でも崩れてしまった。

 王都や王政に詳しい2人でも、その真相は分からなかった。 

自分を救ってくれた翠を守る事が、彼にとっては旅をする大きな目的である。

 しかし、旅路のなかで、その真相が明らかになるのを、クレンは心待ちにしていた。

どんな真実であろうと、受け入れる決心もしていた。

 それくらいクレンは、コエゼスタンスに『支えられていた』


 どんなに辛くても、苦しくても、コエゼスタンスは頑張ってこの国を守り続けた。

だから、挫けてはいけない。

 かつてこの国を守っていたコエゼスタンスなら、こんな重労働よりも、遥かに険しい道のりを

 歩いてきた。

だから、自分も頑張ろう。コエゼスタンスに負けないくらい。


 そんな気持ちを胸に秘め、クレンは今の今まで頑張ってきた。

もう無くなっている団体だとしても、存在していたのは事実だった。

 だから、クレンは挫けそうになった時には、コエゼスタンスを思い出し、その勇敢な力と心を

 追うようにして頑張ってきた。

もし、コエゼスタンスがなかったら、クレンがコエゼスタンスを知らなかったら、クレンはとっくの昔に壊れていた。

 だからクレンは、コエゼスタンスに固執する。

翠と出会ってからは、心の支え(コエゼスタンス)の存在が、今までよりも大きくなったように感じていた。


 しかしこの結果に、クレンは肩を落としてガックリと落ち込んでしまう。

だが、せっかく姉に再会できたばかりだというのに、そんなショックな顔をされては、姉であるラーコもしょんぼりしてしまう。

 そこですかさず、クレンの弟分のリータが、ラーコに聞いた。


「ラーコブさんは、コエゼスタンスのメンバー達が、何処に行ったのか分かりますか?


 ・・・実は僕の祖先も、コエゼスタンスに所属していた『魔術師の覚醒者』だったんです。」


「・・・それって確か・・・

 ド・・・ドロ・・・ドロ・・・・・うーん・・・」


「『ドロップ』です。」


「そうそうその名前だぁ!!」


「しかし、それ以外のメンバーが何処げへ消えたのかは、僕達も分かっていないんです。

 でも、コエゼスタンスのメンバーって、結構大勢いたと思うんです。

 前に僕が、家にあったコエゼスタンスに関する資料を読んでいたら


『共ニ守リシ、共ニ戦ウ、我ノ仲間ハ、都ヲ離レタ。

 不本意ナガラモ、我々ノ未来ヲ考エテノ苦シキ決断デアッタ。

 何故、我々ガ敵視サレタノカ、ソレハ我々デモ周知。

 ダガ、ソレデモ我ラヲ使ッテクレタカラコソ、我々ハコノ国二忠誠ヲ誓ッタ筈。

 国ノ為トアラバ、リクヲ渡リ歩キ、海ヲモ制シタ。


 長年支エ続ケテキタ仲間トノ別レニハ、モチロン渋ル者モイタ、物言ウ者モイタ。

 ダガ、早クコノ都カラサラナケレバ・・・去ラナケレバ・・・


 イツカ皆ト、再ビ再会デキル日ヲ信ジテ・・・・・』


 って、明らかにコエゼスタンス解散のきっかけが、ほんの少し見える文章もあったんです。」


「・・・よくそんな細かい話まで覚えてるんだね。」


「僕も僕なりに頑張って調べましたからね。


 多分その資料は、ドロップさんの『日記』でもあったんだと思います。」


 一応リータは、今自分が語った資料の一部を紙にまとめる。

リータは文言のみならず、文章の羅列もそのままそのまま記憶していた。

 凄い話である、学生で例えるなら、『教科書丸々暗記』と同じくらいの業績である。

4人がその文章を改めて確認すると、確かにリータの祖先が、コエゼスタンスの一員だった事が分かる。

 それと同時に、ドロップがコエゼスタンスをどれほど愛していたか、心の拠り所にしていたか

 が分かる。

やはりドロップも、コエゼスタンスが解散になる事を、心の底から惜しんでいた。悔しんでいた。

 だが、文章の後半部分は、まるで『焦っているような』文言が並んでいる。

何かから逃れているのか、だとすればコエゼスタンスを解散させた『何者』なのか・・・?

 リータが覚えていた日記の文章を、改めて5人で読み返してみても、コエゼスタンスのメンバ

 ー全員が、都から離れなければいけない動機や原因が分からない。

肝心な箇所が書かれていなかったのは、『意図的』か、もしくは『偶然』か。

 今までの話し合いを推測に加えると、コエゼスタンスのメンバーを王都から追い出したのは、

 偽の王家である可能性が高い。

正式な王家と関わりが深ければ、偽の王家が強引にでも追い出すのも納得できる。

 だが、そんな『嘘』や『欲』だけしか持ち合わせていない彼らが相手なら、戦闘に長けている

 コエゼスタンスにかかれば、どうにでもなった筈。

5人は、一緒になって首を曲げる。


「・・・ねぇ、グルオフ。

 コエゼスタンスのメンバーが王都から追い出されたのって、まだ君のお父さんが王家に在籍し

 ていた頃だよね。」


「うーん・・・・・詳しくは僕も分かりませんが、多分そうなのかも・・・??」


「なら、どうしてグルオフのお父さんは、コエゼスタンスのメンバーが王都から追い出されるの

 を、何も反論せずに受け入れたんだろう・・・」


「っ!!!」 「確かに・・・ミドリの言う通りね!!」


「グルオフのお父さんなら、絶対止めてたと思うんだよね。

 ・・・私の勝手な推察だけど・・・」

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