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29・ドロップ町

「えーっと・・・・・

 次に向かう町は・・・あとちょっとか。

 『ドロップちょう』・・・か・・・」


 次に2人が向かうドロップ町は、シカノ村より面積がちょっと大きいだけで、地図だけでは、あまり変わりはないように見える。

 だが、リンはドロップ町の『名前の由来』について知っていた。何故なら・・・


「ドロップ町の『ドロップ』は、『コエゼスタンの一員』から取ったんだ。」


「えっ?! そうなの?!」


「えぇ、消滅した原因が分からないコエゼスタンスのメンバーの中で、その後の動向がはっきりわかっている、数少ない1人。

 わかっている、数少ない1人。

 この町は、そのドロップさんが設立した町・・・だとか。」


「じゃあ、その人に聞けば、コエゼスタンスが無くなった理由も分かるんじゃ・・・」


「いや、メンバーだったドロップさんが生きていたのは、もう何百年も前で、もう既に亡くなっているんだ。 確か・・・『病死』だとか。」

 ているんだ。

 確か・・・『病死』だとか。」


「あぁ・・・・・まぁ・・・ね。


 どんなに強い力を持っていても、病には勝てないって事かな。」


 って事かな。」


「・・・これからはもう少し、自分の体の管理を徹底しよう・・・」


「そうね、私も。せっかくなら、もっと長生きしたいもの。」


 この世界の『病気の治療法』を、まだ翠は知らない。

 この世界にも『がん』や『心筋梗塞』等の病があるのか。

 それとも、自分の常識を遥かに超えるような奇病があるのか。

 だが、結局生き物である以上、『病』という『脅威』から逃れられない。


 シカノ村とは違い、門に続く道もしっかり整えられている光景を見ると、やはりシカノ村よりもこっちの方が栄えているのが分かる。

 石で舗装された道を進んでいくと、村の門が姿を現す。

 シカノ村の門は『木製』だが、ドロップ町の門は『石造』

 そして、町のあちこちからする『奇妙な匂い』

 シカノ村では、獣を捌き、焼いて茹でている『野生の匂い』がしたが、ドロップ村は、シカノ村に比べると技術力がある分、自然が少ない。

 建物もシカノ村とは大きく異なり、丈夫な石造が多い。

 これにはシカノ村しか知らないリンも、周りを見渡しすぎて目が回りそうになっている。

 シカノ村で一番多かったお店は、やはり山でとれた野草や獣を売る店だったが、ドロップ町で一番多いお店は、『薬屋』


「・・・あぁ・・・さっきか気になっていたけど、この匂いって、『薬』か・・・」


「この村を建設したドロップさんが、昔『薬作り専門の魔術師』だったそうなので、その技術がこの町で続いているんですね。」

 この町で続いているんですね。」


「へぇー・・・『薬の作り方』を詳細に書いてある本も売られてる。

 これは・・・買っておくべきだな・・・」


「ミドリ、今はまず宿探し。」


 ・・・と言いながらも、リンもあちこちで寄り道して、結局宿は夕方になって、ギリギリ確保できた。

 一部屋だけ空いている宿に到着した2人は、そのままベッドで横になりながら、買った物をあれこれ並べた。

 翠はヒーラーな為、薬の作り方さえ学べば、ある程度難しい薬でも作れる。

 薬はいくらあっても困らない上、余りに余ったら売ってしまえばいい。

 ・・・旧世界では、『自作の薬を売る』なんて、完全に犯罪なのだが、新世界では自作の薬が市場で普通に売られている。

 若干抵抗はあるが、これもこの世界の常識、慣れるしかなかった。 

 だから翠も、『薬の作り方の本』を何冊か書い、野宿中に読んでおこうと思ったのだ。


 野宿自体はそこまで苦ではないのだが、一番の敵は『睡魔』でもなければ『夜襲』でもなく、


 『暇』

 

 だった。

 旧世界では、少し時間が空けばスマホを取り出し、ゲームである程度時間は潰せるのだが、この世界ではそう言うわけにもいかない。

 だったら、その時間帯を有効活用して、もっと効率的なレベル上げや、この世界に関する知識を蓄えた方が、今後の為になる。

 それに、内容が全て理解できた本は、『焚き火の燃料』としても使える。


 リンが購入した本は、召喚師だからこそ、『モンスターに関する本』である。

 シカノ村には、そもそも本自体がそんなになかった事もあり、リンはここぞとばかりに買ってしまったのだ。


「・・・ねぇ、リン。疲れているみたいだけど、ちょっと質問してもいい?」


「何ー?」


「召喚師って、召喚できるモンスターに制限とかはあるの?

 例えば・・・『1人の召喚しにつき1体』とか、『1種類』・・・とか。」


「自分もそれが気になって、召喚師に関して記された本がないか探したんだ。でも、なかった。

 ・・・というか、召喚師って、結構マイナーなんだ。」


「そうなの?」


「まぁ、そこら辺は自分で頑張って覚えるしかないか・・・」


 リンのスライムも、久しぶりにベッドで寝るのが嬉しいのか、いつの間にかベッドの中を占拠していた。

 翠が改めて地図を確認すると、ドロップ町の周りにいるモンスターは、やはりシカノ村の周りにいるモンスターとは違う事が分かる。

 その分少し手強くなるが、道中でもうレベルが『20』を超えている2人の敵ではない。

 リンもいつの間にか、もう翠のレベルにまで達していたのだ。 


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