117・異文化コミュニケーション
「紫色の目、綺麗。そこの女の人、家族?
目の色、一緒。」
スライムの小さい女の子は、若干体をプルプルと振るわせながらも、クレンの服の袖を掴む。
クレンがスライムちゃんの頭を撫でると、頭はポヨポヨと弾んでいた。
髪も全部スライムで構成されている為、髪を自由に動かして、照れ臭さをアピールしている。
クレンは、興味津々で女の子との会話を楽しむ。
「うん、そうだよ。あの女の人はね、お姉さんなんだ。
でも君の瞳も、雲ひとつない空みたいで綺麗だね。」
「・・・・・うん。ありがとう。
お兄さんは、どれくらい頑張って歩いて来たの?」
「うーん・・・・・どれくらいだろうね・・・
でも、この里に到着できて、本当に良かったよ。
少しでも間違えていたら、何にもない雪山で泣いちゃうところだったから。」
里の住民の大半は、『人間』を見た事が一度もなかった様子で、リータをジロジロと見ていた。
ただ、「人間だから」と言って、敵対心を剥き出しにするモンスターはいなかった。
そして、角の生えた大柄の鬼が、リータの額を指でツンツン突きながら話しかけてくる。
その鬼の体型は、リータの何倍もあり、並んでいる光景は、まさに親と子供である。
「おいおい、こんなヒョロヒョロの体で、よくここまで辿り着けたもんだな?
俺の息子達よりよわっちい体してんなぁ。」
「あはは、それは僕も同じ意見ですよ。
幾度かモンスターに遭遇して、何度も命の危機を感じましたから。」
そう言いながら、リータはこの旅路で愛用してきた剣を、その鬼に見せてあげる。
リータは旅をしながらでも、剣の管理を怠らない。
だから、長い旅路とは思えないくらい、剣がとても綺麗だった。
彼の剣を見た他のモンスターも、リータの元へゾロゾロと集まって来る。
リータの剣は、新品同様に輝いていた。何度も何度も使ったとは思えない程に。
自分の持ち物を徹底している性格というのは、誰にでも好かれる。
彼の剣さえ見れば、リータがどんな性格なのかすぐに分かる。
とてもまめで、しっかりしている性格である事が。
これもある意味、『行動』で分かる『性格』である。
猪突猛進な翠は、杖をあれこれ装飾して、とにかく攻撃一本槍に集中している。
クレンの場合、操るモンスター達も全員冷静沈着で、野良のモンスターとは明らかに動きが違う。
ラーコは一族に伝わる弓矢を大切にしようとするあまり、道中あまり弦を引かず、持って
いるナイフでモンスターを撃退していた。
武器や戦い方は、それぞれの性格と戦闘方法を現している。
仲間だけではなく、剣も気遣いながら戦いに挑んでいるリータの姿勢に、鬼達は感服していた。
戦闘が優位に進むか、ピンチに陥るかは、『武器』によって左右される。
自分に合っていない武器だったり、合っている武器でも整備を怠れば、形勢が逆転される。
武器を丁重に扱い、メンテナンスを怠らないのは、それを知っているから。
しかも、丁重に扱われているのは『刀身』だけではない。
握る『柄の目、綺麗。そこの女の人、家族?
目の色、一緒。」
スライムの小さい女の子は、若干体をプルプルと振るわせながらも、クレンの服の袖を掴む。
クレンがスライムちゃんの頭を撫でると、頭はポヨポヨと弾んでいた。
髪も全部スライムで構成されている為、髪を自由に動かして、照れ臭さをアピールしている。
クレンは、興味津々で女の子との会話を楽しむ。
「うん、そうだよ。あの女の人はね、お姉さんなんだ。
でも君の瞳も、雲ひとつない空みたいで綺麗だね。」
「・・・・・うん。ありがとう。
お兄さんは、どれくらい頑張って歩いて来たの?」
「うーん・・・・・どれくらいだろうね・・・
でも、この里に到着できて、本当に良かったよ。
少しでも間違えていたら、何にもない雪山で泣いちゃうところだったから。」
里の住民の大半は、『人間』を見た事が一度もなかった様子で、リータをジロジロと見ていた。
ただ、「人間だから」と言って、敵対心を剥き出しにするモンスターはいなかった。
そして、角の生えた大柄の鬼が、リータの額を指でツンツン突きながら話しかけてくる。
その鬼の体型は、リータの何倍もあり、並んでいる光景は、まさに親と子供である。
「おいおい、こんなヒョロヒョロの体で、よくここまで辿り着けたもんだな?
俺の息子達よりよわっちい体してんなぁ。」
「あはは、それは僕も同じ意見ですよ。
幾度かモンスターに遭遇して、何度も命の危機を感じましたから。」
そう言いながら、リータはこの旅路で愛用してきた剣を、その鬼に見せてあげる。
リータは旅をしながらでも、剣の管理を怠らない。
だから、長い旅路とは思えないくらい、剣がとても綺麗だった。
彼の剣を見た他のモンスターも、リータの元へゾロゾロと集まって来る。
リータの剣は、新品同様に輝いていた。何度も何度も使ったとは思えない程に。
自分の持ち物を徹底している性格というのは、誰にでも好かれる。
彼の剣さえ見れば、リータがどんな性格なのかすぐに分かる。
とてもまめで、しっかりしている性格である事が。
これもある意味、『行動』で分かる『性格』である。
猪突猛進な翠は、杖をあれこれ装飾して、とにかく攻撃一本槍に集中している。
クレンの場合、操るモンスター達も全員冷静沈着で、野良のモンスターとは明らかに動きが違う。
ラーコは一族に伝わる弓矢を大切にしようとするあまり、道中あまり弦を引かず、持って
いるナイフでモンスターを撃退していた。
武器や戦い方は、それぞれの性格と戦闘方法を現している。
仲間だけではなく、剣も気遣いながら戦いに挑んでいるリータの姿勢に、鬼達は感服していた。
戦闘が優位に進むか、ピンチに陥るかは、『武器』によって左右される。
自分に合っていない武器だったり、合っている武器でも整備を怠れば、形勢が逆転される。
武器を丁重に扱い、メンテナンスを怠らないのは、それを知っているから。
しかも、丁重に扱われているのは『刀身』だけではない。
握る『柄』、『鞘』に至るまで、抜け目が一切ない。文句のつけ所がない。
鬼の父は、リータの武器に対する姿勢に、感動してしまう。
「・・・・・すまん! 俺が勘違いしていた!
お前は十分立派な戦士だ! その剣を見ればすぐに分かる!
・・・いやね、俺の息子達、戦いの腕は特に問題ないんだが、武器の扱い方がどうも雑でな。
この剣を見る限り、年代物であるにも関わらず、しっかり管理されている。
・・・そして、お前の言葉が事実なら、この剣はお前の手で、何度も振るわれている。
にも関わらず、まだ剣先が曲がってもいない、刀身が変色してもいない。
相当上手く管理されている証拠だ。」
「・・・僕もまだ、ミドリさん達と比べると、未熟ではあります。
でも、自分なりにできる事は頑張ろうと思って・・・」
「お前のその腕を見込んで、俺の息子達に『武器の扱い方』を教えてもらいたい。」
「えぇ?! 僕がですかぁ?!!」
鬼の父は、「お前ならできるさ!!」と言いながら、リータの背中をビシバシと叩く。
鬼の父と比べると、明らかに脆弱に見えるリータだが、彼は嫌がってはいない様子。
まさか『剣の腕』ではなく、『剣の扱い方』について褒められるとは、思ってもいなかったのだ。
だが、リータが『物を大切に扱う性格』なのは、翠達もよく知っている。
モンスターであっても、『父』である事に変わりはない。
親が子を思う気持ちに、リータは感動していた。
彼は人一倍、『親子愛』とは疎遠の人生を歩んできたから。
だから、鬼の父の後ろで、ジーッとリータを見ている鬼の子達を見て、つい羨ましく思ってしまっ
たリータ。
そんな彼の感情を読み取ってしまったのか、鬼の子達は彼の元に駆け寄ると、明るく挨拶を交わしてくれた。