4戦目:ドキドキ 初めての共闘④
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【ルル】
レベル:4→5
所持G:300→400
ストック:5
【トウマ】
レベル:4→5
所持G:0→100
ストック:4→5
【ルル&トウマ】
HP:1,200
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「俺のターン! 絶対なる火の力よ! 全ての敵を焼き尽くせ! アフラブレイズ!」
詠唱と共に場の中央に現れたのは今にも噴火しそうに赤く煮えたぎる巨大な魔法陣だった。
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レベル:4
名前:【アフラブレイズ】
種類:エレメンタルスペル 詠唱
効果・詠唱3
・対象に700のダメージを与える。
【元素抽出器】
元素1→2
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「さらに連続で詠唱! ファイアブルーム!」
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レベル:1
名前:【ファイアブルーム】
種類:エレメンタルスペル 詠唱
効果・詠唱1
・対象に150のダメージを与える。
【元素抽出器】
元素2→3
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「わたしも負けてられんな。いでよ! 次元を喰らう小さき者よ!」
そうルルが言うと、突然、空間の裂け目から一匹の巨大な芋虫が飛び出した。
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レベル:1
名前:【次元虫】
種類:時空スペル 召喚
効果・召喚 0/100
・このスペルが場にある限り、あなたはあなた以外からダメージを与えられない。
・このスペルが破壊された時、あなたが使用者の【ワームホール】を一つ場に出す。
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「うへぇ、見た目通りのエグい能力だな……」
「フッ、褒め言葉と取っておこう。じゃが、時空スペルの真価はこんなものではない! 万物よ! 押し潰れよ!」
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レベル:4
名前:【超重力空間共鳴】
種類:時空スペル 継続
効果:ターンの初めに使用するスペル、スキル、アイテムは
そのレベルに+1したレベルが必要となる。
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「ターン終了じゃ」
得意気な笑みをジェイスたちに向けるルル。
奴らの表情は良く見えないが、歯噛みをしていることだろう。
「……我らのターン」
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【ジェイス】
レベル:4→5
ストック:5
所持G:100→200
【ゲイズ】
レベル:4→5
ストック:5
所持G:200→300
【ジェイス&ゲイズ】
HP:1,600
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「……アビリティ発動」
ジェイスが静かに手を掲げる。
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【プリースト】アビリティ:HP100回復
【ジェイス】
所持G:200→100
【ジェイス&ゲイズ】
HP:1,600→1,700
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「……まさか追い詰められているのは我々なのか。いや、奴らのHPは既に1,200。それに対して我らは1,700。回復スペルの豊富な我らにとってこの差は絶対的なもののはず。……だが、奴らのこの威圧感は一体何なのだ。これは決して杞憂などではない……」
「あ、兄者……。我が力、どう振るえば……?」
その不安げな声にジェイスはハッと我に返ったように応える。
「ゲイズよ。案ずるな。我らが遂行すべきことに一切の変わりはない。……そう、変わりはないのだ! 我が力により道を拓き、お前が立ちはだかる敵を叩き潰す! これまでもこれからも我らベリアル兄弟、不変なり!!」
そう叫ぶとジェイスの両腕が光を帯びる。
「これが神の御意思! 神域の威光!」
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レベル:4
(【超重力空間共鳴】効果:必要レベル4→5)
名前:【神域の威光】
種類:高潔スペル 即時
効果:・対象のレベル4以下のスキル、スペルを使用者のストックに戻す。
・それによりストックが5枚を超える場合、ストックを選んで捨てる。
・ストックが捨てられた時、あなたのHPを100回復する。
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「対象は超重力空間共鳴!」
その瞬間、俺たちの頭上にオーロラのような光のカーテンがそよめく。
すると先程まで重苦しくのしかかっていたような圧迫感がすっかり消え去ってしまった。
「余程、時空スペルが怖いと見えるのぅ」
ルルがストックを1枚捨てながらニヤリと口角を上げる。
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【神域の威光】効果:レベル4以下のスペルを使用者のストックに戻す。
【超重力空間共鳴】→【ルル】のストックへ戻す。
【ルル】
ストック:5→6(1枚捨てる)6→5
【神域の威光】効果:ストックが捨てられた時、HP100回復。
【ジェイス&ゲイズ】
HP:1,700→1,800
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「……笑っていられるのも今のうちだ。行け! ゲイズ!」
「御意!」
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レベル:1
名前:【殴打】
種類:鈍器スキル 即時
効果:対象に100ダメージ与える。
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「まずはその害虫を潰させてもらおう!」
ゲイズがメイスを勢い良く振り下ろす。
次元虫は当然ながらプチッと潰される。
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【悔恨のメイス】効果:
【殴打】スキルダメージ 100→200
耐久1→0 【悔恨のメイス】→破壊
【次元虫】
0/100→破壊
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だが、潰された次元虫から出てきたのはグロテスクな体液などではなく、真っ黒い穴だった。
それが急に何倍もの大きさに膨張する。
「次元虫! 能力発動!」
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【次元虫】効果:このスペルが破壊された時、
あなたが使用者の【ワームホール】を一つ場に出す。
レベル:1
名前:【ワームホール】
種類:時空スペル 継続
効果:レベル1のスキルが使用された時、それを打ち消し、
このスペルを破壊する。
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「この状況下でレベル1など使いはせん! 全力を持って叩き潰すのみ!!」
メイスが壊れてしまったゲイズの手にはいつの間にか決闘支給であろう木の棍棒が握られていた。
「受けてみよ! 我が秘伝の技! 破魂退魔聖鎚衝!!」
高らかな声と共に両手で振り上げられる棍棒。
すると、そこにはなんと光り輝くオーラのようなもので形作られた巨大なハンマーが重なって浮かび上がる。
「やれぇぇえッ! ゲイズッッ!!」
「ヌオオオォォオオオッッ!!」
俺は両手を広げてルルの前に立つ。
振り下ろされる聖光のハンマー。
「……うぐぅぅぅうおおおお!!」
脳天を貫くような衝撃。
魂が砕け散る音が脳裏に響くようだ。
「ぐはッッ!」
「トウマ!!」
倒れた俺を小さな体で抱き止めるルル。
「阿呆ッ! どうせわたしらはHPを共有しておるんじゃ! お前さんだけが苦しまなくたって良いじゃろう!!」
「……はは。確かにそうだな。でも、体が勝手に動いちまうんだ。だってそうだろ? 女の子が殴られてるのを横で突っ立って見てられるかよ」
「……トウマ」
俺を抱くルルの手がぎゅっと強く締まる。
「……ククク、今生の別れは済んだかね。ルーゼルク氏」
「なんじゃと!?」
「今のスキルを見るが良い」
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レベル:4
名前:【破魂退魔聖鎚衝】
種類:鈍器技 即時
効果:・対象に400ダメージ与える。
・アイテムを一つ対象とし、
あなたの次のターン終了時までそれの全ての効果を無効化する。
【破魂退魔聖鎚衝】スキルダメージ 400
【ルル&トウマ】
HP:1,200→800
【破魂退魔聖鎚衝】効果:
【トウマ】
【元素抽出器】
次のゲイズのターン終了時まで無効化
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「……お、俺のアイテムが!」
「ククク……。ハーッハッハッ! これで我らの勝利が確定した!」
「何を言っておる!」
「分からんか、ルーゼルク氏。HPが800ということは次に我らのターンが訪れた時、レベル6の我々二人が攻撃すれば、それが0になることは明白だ」
「……確かにそうじゃな」
「つまり、ルーゼルク氏は次のターンに我々を倒せなければ敗北する」
「それで?」
「我らのHPは1,800。それをどう崩していくのか。まずは詠唱1のスペルが発動され、ダメージ150。次にレベル6の二人の攻撃だが、相場で考えれば600、二人分で1,200だ。ここまでで累計1,350ダメージ。そこにウィザードのアビリティの200ダメージを加算しても1,550ダメージ! そして小僧のアイテムが封印された今、際どいところではあるが我々が生き残る可能性は十分にある!」
「……見事な推察じゃな」
「素直に負けを認めればその小僧もこれ以上苦しまずに済むだろう。さぁ、ルーゼルク氏。我らと共に来るのだ。そして我らヘヴンズドア教団のため、その時空の力で神への扉を開くのだ!」
その時、俺の中で何かが爆発する。
「……何をごちゃごちゃと勝手な能書きを垂れてんだ」
俺は言うことの聞かない体に鞭打ち、ゆっくりと立ち上がる。
「誰がルルを連れて行って良いと言った? ルルはなぁ、俺の大事な……。大事な……」
「だ、大事な……?」
急に気恥ずかしくなる俺。
「大事な師匠だ!! 師匠を守るのは弟子の使命だろうが!!」
とりあえずここはお茶を濁しておこう。
「……フッ、師匠か。まぁ良いじゃろう」
「ククク、せいぜい苦しむと良い」
「行くぞ! ルル!」
「うむ! わたしたちの最後のターン! レベルアップ!」
『マジック&ウェポン』
~決闘の掟~
「プリースト」:HP回復やダメージ軽減に長けたクラス。
相手の場に出たスキルやスペルを破壊する、
高潔スペルにより自らの勝利を確実なものとする。