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ミレイユとルイ

日差しが心地の良い日だった


ミレイユとルイは侯爵家自慢の庭でお茶会をしていた。

緑が日差しによってキラキラと眩しいほどに輝く。新しく建てられた東屋で季節の花を愛でながらのんびりと過ごす



「今日父上から話があるそうだよ、ミレイユ何か聞いてる?」

優雅にお茶を楽しむ二人

「ううん、聞いてないわ」

「良い話だったら良いね」

ふとミレイユは思った


「そう言えば、先日殿下に呼ばれて城に行ったわよね?ルイったら帰ってすぐに自室へと戻ってしまって、聞きそびれたんだけれど、何のお話をして来たのか聞かせてくれないの?」


儚げな顔をするミレイユ

ルイが侯爵家に引き取られてからは、ミレイユの明るさと優しさに救われていた。

少しわがままな面もあったが、弟が出来て嬉しいと、いつも一緒に遊んでくれた。

悪戯をして怒られた時もルイを庇ってくれた。

家族として、姉として、女性としても大好きな存在だ。ミレイユがいなかったら今の幸せはないだろうと思う。

ミレイユが幼馴染だった第二王子と婚約をすると言った時はミレイユを取られたようで、悲しくて泣いた。

そんな時もミレイユは家族の縁は切れないものと優しく抱きしめてくれた。

ミレイユがそれを望んだのならば、自分も受け入れるしかないと思い、堪えた。 



そんな大切な存在のミレイユがあざを付けた姿を見た時に、侯爵家以外の人間は信用できなくなった。


何度も父からミレイユに何かあったのか?と聞かれたが、ミレイユからは言わないで!とお願いされたので知らないふりをした。

しかし父は全てを知っていた。

今日クロヴィスと話をすると言って邸から出ていったのでおそらく話とはその事だ。


「ミレイユの事を本気で知ろうとしない、あの人のことなんて気にする事はない。領地に下がらせて欲しいと言っただけだ」

ブスッとした顔をするルイ

「そうなの?ありがとう、ルイは頼りになるわね」



カップを下ろすミレイユの姿は美しい。

光り輝くプラチナブロンドの髪は丁寧に手入れされているサラサラのストレート

ヘーゼルの瞳は太陽の下では金色にも見えるようだ。

シミひとつない白い肌にすっとした鼻、小さな口は赤みを帯びている。

以前は少しふっくらとした頬にピンクの健康的な色味を帯びていたが、最近では食欲がないのか食が細くなり真っ白な顔をしているが、家族の贔屓目だとしても、とても綺麗である


「ミレイユはクロヴィス殿下の事良いの?王子妃教育…我慢して頑張っていたのに」


ピクリとカップを持つ手に力が入るミレイユ


「もう頑張る理由がわからなくなって来ちゃった」

「どういう事?」

「殿下の婚約者としてお父様や離れているお母様の恥にならないように、将来ルイが侯爵家を継ぐ時にわたくしがルイの邪魔にならないようにと、頑張ってきたのだけど、少し疲れちゃったの」


「よく耐えたね、僕たちのことは気にしないで、自分のことを一番に考えて欲しい」

「頑張っても報われないし、体罰を受けていた事を殿下に知られたくなかったのよ…同情されるのも嫌だし…私にもプライドがあるのよ」

悲しそうな顔をするミレイユ


「分かっていたけど…僕が我慢できなかったんだよ。あんなバカな行動をするようなあの人とミレイユが一緒になるなんて許せなかったんだ。黙っていると言う約束を破ってしまってごめん」


「いいえ、ルイに辛い思いをさせてしまってわたくしの方こそごめんなさい」

ギュッとルイの手を両手で握る



「殿下との関係は白紙に戻っても後悔しない?」

「そうね、ただの幼馴染に戻った方がお互いの為ね。わたくしは何もしてなくても悪く言われるから…社交界からは嫌われているもの、だからねホッとしたの。婚約が解消されたらお城に行かなくて良くなるんだって」



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