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貴方に知られたくない事

コンコンコンと扉をノックをする音

「誰だ?」

自分の邸でもないのにクロヴィスが答えると

ミレイユの侍女が

「ルイ様でございます」

と伝える


「何の用だ?今は忙しい」

クロヴィスが侍女に言いルイに伝えると、カチャリと扉を開けて入ってきた


「ミレイユ、大丈夫?」

「ルイ」

席を立とうとするミレイユ


「話は終わってない、座れ」

ソファを指差すクロヴィスを見て渋々ソファに座るミレイユ

「ルイも座って…」

ミレイユがルイを隣に座らせると、眉を顰めるクロヴィス


「僕あっちの席に座るよ」

一人がけのソファを指さし腰をあげるルイ

「いいの、隣にいて、お願い」

ルイの上着の袖を掴む

「…分かったよ」

チラッとクロヴィスを見ながら、ミレイユの隣に座り直す


「今は忙しいと言った、なぜ断りもなく入ってきた?」

クロヴィスがルイを見て、きつい口調になる


「ミレイユに三十分経っても戻って来なかったら入ってくるようにと言われました」

にこりと微笑むルイ


ちっと舌打ちをするクロヴィス



「…そう言うの嫌いなの、わたくしにはあれもダメこれもダメと言われて、淑女らしくと教育されているのに、舌打ちなんて……」

唇をギュッと噛む


「悪い、おまえに嫌な思いをさせたか…」

「おまえって言われるのもイヤ」

「…分かった」

「自由にしてくださる?」

「それは…出来ないが教師や母上に王子妃教育について話を付ける」



「それじゃダメなの…お城と邸しか行動出来ないもの…街へ行くのにも怒られて、殿下の婚約者だからと言って長期間王都をあける事も出来ないからお母様に会いに領地にも帰れない…いつもルイに迷惑をかけて」


隣にいるルイを見ながら言うと

「僕はいいよ、息抜きに付き合っているだけだし、街へ行くのは楽しいから」

「ルイ…いつもありがとう」


ミレイユがルイの腕をギュッと掴むとクロヴィスの頬がピクッと動く



「そんなに街へ行きたいのなら私を誘え、連れて行ってやる」

ふるふると頭を左右に振る


「そんな大それた事…怒られます」

「そんな事で?何かあったのか?」

「…別に」

ルイの腕に顔を埋めるミレイユは震えていた


「本当に知らないんですか?」

ルイの顔つきが変わる



「…何の事だ?」

前のめりの姿勢になるクロヴィス

「王子妃教育の事ですよ」


「ミレイユは良くやっていると、聞いた…淑女の鑑と言われているじゃないか」


「厳しい教育を受けていると聞いたことはありますか?」

「ダメ!ルイ止めて!」

ミレイユに止められるも、話を続ける


「あぁ、伯爵夫人の教育は厳しいと噂には聞いている、よく耐えているな」

「あざになるほど扇子でミレイユを叩く事は?」

「なっ!」

「お茶の時間に、わざとお湯をこぼされてミレイユに火傷を負わせた事は?」

「はっ?」

「罵詈雑言でミレイユの心を傷付けている事は?」

「…うそだろ」

絶句するクロヴィス



「言わないでって言ったのに…」

ミレイユが涙を流す


「もう限界なんだよ!クロヴィス殿下お願いします、ミレイユを…姉を自由にさせて下さい」

立ち上がり頭を下げるルイ




「原因の解明をする…少し時間が欲しい」

来た時とは違い口調が弱くなるクロヴィス


「ミレイユ、邸でゆっくりしているといい…自宅療養という事で王子妃教育は休んで良い、私から伝えておく」

ミレイユを見るがルイの腕に隠れたままだ…


「話が聞きたい、ルイ悪いが明日執務室に来てくれないか?」


「わかりました、伺います」

涙を浮かべ不安そうにルイを見るミレイユ

ルイは苦笑いしながら


「大丈夫だから」

安心させるように肩を撫でる

こくんと頷くミレイユ


「…なぜ私に言わなかった?」

クロヴィスの言葉に力はない


「…いつも令嬢に囲まれてますもの、最近はケイティ様と仲睦まじそうにされていましたし…殿下には、あなたにだけは…知られたくなかったの」


「それは、私が悪い…その、いつからだ…?伯爵夫人からの嫌がらせは」


「嫌がらせなんて言い方はどうかと思うけど三年?いや四年ですかね」

「そんなに…か」

「クロヴィス殿下はミレイユの事を見てなかったんですね…とても残念ですよ」


「ルイ明日の昼頃に来てくれ調べたい事があるから城に戻る、ミレイユまた来るからゆっくり休んでくれ」

そう言葉を残し邸から出て行った






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