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ミレイユの気持ち

領地に帰ってきてから数ヶ月が経とうとしていた。

ミレイユは王都にいた頃より表情が豊かになって来た。


「もうすぐレナード殿下がおいでなのでしょう?準備は出来ているの?」

母に声をかけられる


「うん、今日はお庭でお茶をするの、レナード様がお好きな銘柄のお茶を用意して貰ったの」

笑顔のミレイユ


「あら、嬉しそうねぇ」

「そ、そんな事ないですよ、失礼にあたらないようにしなくてはと思っただけだもの!」

「ふぅーん、そうなの残念」

「な、なに?」

「別に…今日はお庭のどこでお茶会をするの?」

広大な侯爵家の庭は見所がたくさんある



「暑くなってきましたから、池の近くの東屋で…日除けもあるし、小さな滝もあって涼しいかと思って」

「いいわね、お茶会に持ってこいの場所じゃないの」

「でしょ?」

「…人がいない場所だからと言って、変なことをしないでね、旦那様に顔向けできないような事は…」

「しません!お母様なんてことを言うのよ」

顔が赤くなるミレイユ



「奥様、お嬢様、レナード殿下がおいでました」

壁の時計を見る母

「時間ぴったり、行くわよミレイユ」

無言で母の後をついていく


「レナード殿下、ようこそいらっしゃいました」

母がレナードに挨拶をし二人淑女の礼をする


「遠慮なくまた来てしまいました」

笑顔で答える爽やかなレナードが眩しく思える


「レナード様いらっしゃいませ」

「はい、プレゼント」

可愛らしくラッピングした包みを受け取る


「なんでしょう?」

「開けてみて」

シュッとリボンを解くとカラフルなキャンディーだった

「綺麗、キャンディーがキラキラしていますね」

微笑むミレイユを見て嬉しそうなレナード


「国で流行っている店なんだよ。毎日行列が絶えない、令嬢に大人気なんだ」

「嬉しい、ありがとうレナード様」

気を遣って高価なものはプレゼントしてこないレナードの気持ちが一番嬉しい


「それくらいで喜んでくれるのなら、店ごと買うか?」

冗談交じりの会話に頬が緩むミレイユ


「ふふっ、気に入ったらそうしてもらいますわね」

冗談で返す


「ミレイユったら立ち話するなら、早く殿下をご案内なさったら?失礼でしょう」

笑顔の母に言われ


「…レナード様お庭に準備が出来ていますので、どうぞ」

照れ臭そうに案内しようとするミレイユの隣を歩き出すレナードの顔をそっと見ると


「どうした?」

「ううん、なんでもない」

そう答えるミレイユ



レナードが隣を歩いている、ただそれだけなのにドキドキと心臓がうるさい

領地に来て数ヶ月、レナードと会う機会も増えてきた。

お茶会やピクニックやショッピング、レナードと過ごす時間は心地が良かった

レナードが優しい笑顔を見せてくれると心が暖かくなる

王都の喧騒を忘れのんびりと過ごすうちに、ミレイユの心の中はレナードが半分以上をしめているようだ…


東屋に着き、椅子に腰掛ける二人


「滝が流れている。涼しいね」


「暑くなって来ましたから、此処にしました、見ているだけでも涼しくなるような気がして、お気に入りの場所なの」

「滝の水音も癒されるね」

「はい」

いつも通りレナードとの会話が続く



「ミレイユ、あのさ、クロヴィスの婚約の話は知っている?」

「…えぇ、ルイ、弟からの手紙で知りました。お父様と婚約式に行くとのことでした」

「ミレイユはクロヴィスの事もう良い?」

「えぇ、もう殿下との事は過去の話にしたいですから…彼が幸せになってくれるのならそれで構いません」


「過去になっているのなら、未来の話をしないか?」

「えっ?」 

「俺との事、考えてくれた?」

こくんと頷く


「ミレイユ、俺といや、私とどうか婚約して下さい」

「わたくしで本当によろしいのですか?いくら隣国とは言え、こんな悪い噂の不出来なわたくしですよ?」


「ミレイユが良いんだ、昔から気持ちは変わらない…この数ヶ月間でより気持ちが大きくなった、もうミレイユなしでは生きられないとさえ思っているんだ、こんなしつこい男だけど、君が大好きだ」

「…嬉しいです」

「えっ?」


「家族以外に言われたことがなくて…レナード様といるとドキドキして…わたくしもレナード様のことが…」

頬を赤く染めながら、気持ちを告白した







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