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散策という名のデート

「それではデートと致しましょう」

レナードに言われ

「デ、デートだなんてっ」

焦るミレイユ

「男女二人で出かける事をデートと言うんだろう?デートじゃないか」

「でも…」

「ミレイユと出かけることが出来るなんて嬉しいよ」

街へと着きのんびり歩き出す



ショーウィンドウのリボンに目を奪われるミレイユ

「気になるの?」

レナードが言う

「いいえ、ただ可愛いと思っただけです…」

「そう?」



ショーウィンドウのブックカバーに目を奪われるミレイユ

「気になる?店に入ろうか?」

レナードが言う

「いいえ、ただ可愛いと思っただけです…」

「そう?」


露店で販売している果実水をチラチラと見るミレイユを見て、こそっと侍従に耳打ちすると果実水を二人分買って戻ってきた

「えっ?」

驚くミレイユ

「あそこにベンチがある、少し休憩しようか?」


ベンチにレナードがハンカチを敷く

「自分のハンカチを敷きますから、こちらには殿下が…」

「良いから座って」

レナードが先に座ってしまったので、大人しくハンカチが敷かれたベンチに座る


「侯爵の領地は賑わってるね」

街行く人を眺めながらレナードが言う

「そうですね、久しぶりに来ましたけれど、とても賑やかで、明るい雰囲気ですね」

嬉しそうにミレイユが答える


「露店のものだけど、美味しそうだね」

「はい、ありがとうございます」

オレンジの果実水を受け取るミレイユ



「ん!美味しい」

レナードが驚いたような仕草をする


ミレイユも口を付けると喉に冷たい果実水が流れていくのが分かる

「うちの領地の特産を使っていますのね、新鮮でとても美味しいです」

ミレイユが答える


「ミレイユは仕草一つとっても上品だ…」

じっとレナードがミレイユを見つめる


「…その様な事はございません、レナード殿下もわたくしの噂はお聞きになったことがございますでしょう?落第令嬢と呼ばれているのを」


「本気でそう思っているの?」

「事実ですもの…」

「頑張っていたのに?昔のミレイユは明るくて、少しお転婆で…今は淑女の鑑と言われているけれど、妃教育は辛かった?」


「少し疲れてしまって…」

悲しそうに項垂れるミレイユ


「嫌なことがあったなら、忘れると良い」

「忘れる事が出来たならどれだけ楽でしょうか…」

「でも、ミレイユは逃げてきた、一歩前進だ」

「前進?」

「そうだよ、生活していると嫌なことも楽しいこともあるけれど、逃げるが勝ちって言うでしょ?特に貴族の目は厳しいからね」

「ふふっ、ふふ」

笑い出すミレイユ


「どうしたの?」

「そんなことを言われたの初めてです」

「そうか、それは我慢のしすぎだな」


「ふふっ本当に」

「噂ってさ、傷つくよね、言っている本人はあんなに楽しそうなのにね…」

「……………」

無言のミレイユだが、こくんと頷き、涙が出てきそうになる


「あのさ、ミレイユの心に寄り添いたいって言ったら迷惑かな?」

「えっ?」


「そうだ、これ」

ウィンドーに並んでいたリボンとブックカバーを渡すレナード

「これは…」

「さっき眺めていた時のミレイユの顔が可愛くて、ついね」


「…お支払いします、いただく理由が、」

「再会の記念にミレイユへ、貰ってくれる?」

笑顔のレナード

「…ありがとうございます、頂戴致します」


「敬語も敬称も堅苦しいのはやめよう、ここはフランク侯爵の領地で誰の目もない!私も、いや俺も普段通りにする」


「…俺って…驚きました」

「怒られるから内緒にしてくれ、俺の侍従や周りのものしか知らない」

「ふふっ、はい」

「ミレイユも普段通りで、俺のことは気軽にレナードと呼んでくれ」


「レナード様」

「まぁいいや、とりあえずそれで」

「はい」

「普段通りで」

「は、うん」

「良いね、その調子、そろそろ散策を再開しようか?」

「うん」


並んで歩き出すレナードとミレイユ

息抜きがてら街へときたが、思いの外楽しい散策となった。

のんびりと歩き回り、夕方には邸へと送られた

「また近いうちに会いに来る」

「お待ちしています」









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