02話 サディスト
第1章ノマンワール
「は?」
つい素っ頓狂な声が出てしまう
まさか肯定されるとは思わなかったからだ。
「だから凛太郎さん、あなたを選びました。
あなたは少年漫画大嫌い系ひねくれ男子です。そして――サディスト、ですよね?」
「――は?」
今度は勝手に声が漏れた。
サディスト――?
サディストって確か、相手に苦痛を与える事によって快感を得る人の事、だよな
「いやいやいやいや。俺がサディスト?そんな訳ないだろ!人を傷付けて快感を得た事なんてないし、俺は平和主義だ!お前さてはポンコツ女神だな?」
「ま、そうなりますよね。忘れているでしょうが、あなたは自分自身でサディストの人格を自分の中に封じ込めたんです。幼い頃に。その人格があってはならないものだと気付いたから。すごいですよね、自分でその事に気が付いて見事に押さえ込んだんですから。賞賛に値します」
何……言ってんだコイツ……
いや待て。
こんな事が起きてること自体がおかしい
何すんなり受け入れてんだ俺。
異世界召喚?
そんなのあるわけが無い
これは夢だ……!
アニメの見すぎで頭がバグったんだな
早く目を――
「!?
ぐあああああああああああっっ!!」
全身に電流が流れたような痛みが発生する
痛い……!
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!
「夢だと思ってますね?残念、これは現実です。まぁ、今はサディストの話は信じなくてもいいです。異世界に召喚する際にあなたが自分の中に封じ込めた人格を私が呼び起こしておきますので」
そう言って俺に向けた手を下ろす。
この女……!
今の電撃はこのノルマとかいう女の手から出ていた。つまりこいつが俺に攻撃したんだ
「お前……仮にも女神なんだろ……
こんな荒々しい事を勇者にするなんて……
やっぱお前、普通の女神じゃねぇだろ」
ひねくれた性格、そして未だに信じていないが仮に俺が本当にサディストだったとして、普通ならそんな俺が勇者に選ばれるわけが無い
だって勇者は世界を救う立派な人間なんだから
「あ、バレちゃいました?意外と気付くのが早いですね。そうです、私は普通の女神じゃありません。この神界の裏切り女神なんですよっ」