ざさぁと揺らす春の風【春の詩企画】
おばあちゃん 針と糸を下さいな
針なら 細いの
糸は 絹糸 私がほしいの
ちょっと 貸して下さいな
糸巻きひとつ 針いっぽん
それ持ち お外へ駆け出した
ふまれぬうちに
ぺったり地面に
はりつかないうちに
集めるために
うんと急いで 走ってく
青空 すじ雲
春の風
黄色く垂れ咲く 一重の山吹
白く垂れ咲く 雪柳
もこもこ 白い小花が集まって
ふくふく 膨らみ 咲いている
おばあちゃん 針と糸を下さいな
針なら 細いの
糸は 絹糸 私がほしいの
ちょっと 貸して下さいな
糸巻きひとつ 針いっぽん
落とさぬ様に 握りしめ
かけゆく路地裏 町の道
ヒラヒラ はらはら
さくら吹雪が まっている
道端角の 桜の木の下で
一枚 二枚 三枚と
集める 白紅 薄絹さくら色
しゃがんで きれいなの 集めるの
細い針に糸通し
一枚 いちまい 通してく
さくらの花びら 春の花
糸に通して 首飾り
何枚通せば 出来るかな?
いちまい 二枚 三枚と
数えて作る 首飾り
おばあちゃん 針と糸を下さいな
針なら 細いの
糸は 絹糸 私がほしいの
ちょっと 貸して下さいな
糸巻きひとつ 針いっぽん
それで 綴るの 花びらを
はらひら 桜吹雪が 舞うなかで
少女が作る 首飾り
花びら重ねる 春の花
ざさぁと 揺らす 春の風
本作は「春の詩企画」参加作品です。
企画の概要については下記URLをご覧ください。
https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/1423845/blogkey/2230859/(志茂塚ゆり活動報告)