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ゴーストレンジャー  作者: 桜本 結芽
1/1

プロローグ 始まり

今のこの世界は幾つもある中の主要となる世界で、一部では【内界】と呼ばれていて、そこには三つの〔種族〕がいる。

1つ目は《人間》と言う実体がある種族で、この世界の殆どの割合が彼らだ。

2つ目は《人間族》と言われる人間の霊魂で、人間達は幽霊と称している種族だ。

そして3つ目は《幽霊族》と言う遥か古から存在する種族で彼らは人間達には見えず認知すらされていない種族だ。


さて、ここで幽霊族の特徴を説明しよう、幽霊族は階級を問わず心に〔石〕と呼ばれている力を持っていて、石の大きさや種類によって使える能力も異なる。

例えば光族は光の石を、炎族は炎の石を持ち、誕生と同時に宿り成長と共に大きくなっていくのだ。

そして、それぞれの石を使えば属性に応じて武器を生成して戦ったり、空中を飛ぶ事や手を使わずに物を動かす事も出来るのだが、それは危険を伴う為に鍛錬を積んだ者にしか許されていない。


未熟な者が力を解放すると暴走して石の力を消耗するためでそうなると最後には死が待つのみだからだ。


その為、幽霊族には階級があり中級幽霊族より下の階級は力の開放を許されておらず、もし力を使えば刑罰も与えられる重罪なのだが、それでも無断で力を使い悪行を働く者がいてそれを《ゴーストレンジャー隊》と言う組織が取り締まっていて、この組織は世界中にあり各隊を《ゴーストレンジャー》という精鋭部隊が取り締まっている。


さらに世界中の《ゴーストレンジャー》は日本にある総本部が仕切っており、日本総本部には世界中から強者が集まり千年に一度だけ試験が開催されている。

なぜ試験が千年に一度かと言うと彼ら幽霊族は百年に一度だけ年を取るためで、その試験に齢五歳で受かり隊やレンジャー達の中心人物となった光族の少女がいた。


これは、その少女に待ち受ける苦難を仲間と共に立ち向かう物語。


—150ねん前—

その日は大雨が降っていてゴーストレンジャー炎隊の小川 翔吾は窓の前で雨が上がるのを待っていた。

すると静かな部屋の中に内線の音がけたたましく鳴り響き、彼は渋々出ると相手は妻の一花だったので気だるげに挨拶をすると、

「翔吾、緊急出動よ! この近くの村で闇族の出現報告があったわ、早く来て!」

と口早に告げるとすぐに内線を切ってしまい翔吾はため息をついて、

「この雨の中をかよ……」

そう愚痴をこぼしながらも防雨コートを着ると一花の部隊と合流して向かうのだが、到着した村は報告とは違い荒らされた様子もなくただ静かに家が並んでいて、警戒しつつ一花が前に進むが異常はなくただこの村には人一人見つからず、さらに警戒をしていると民家の間からほんの微かな物音に気付いた一花はそこへ行くと人間族の子供が2人怯えて震えながら寄り添っていて、話しかけようと手を差し伸べたその時一花は気配を感じ振り向こうとしたその時、頭を強く殴られ昏倒してしまい倒れた一花を引きずって男はその場を出ると遅れて気付いた翔吾達は近づこうとするが、男は一花の首筋に刃物を押し当て震える声で、

「う、動くなぁ‼」

そう叫ぶと刃物を持つ手に力を込め一花の首を少し切ると、血が流れだしそれを見た翔吾達は立ち止まり様子を伺っていると、突然の突風が刃物をまとって彼らを襲い咄嗟に炎の壁を張った翔吾は助かるが、それでも守り切れなかった隊員達は吹き飛ばされていた。

それを見た翔吾は怒りの形相で振り返ると、そこには1人の男が立っていて風の主に気付いた翔吾は、

「てめぇ、遥! どういうつもりだ!? 突然隊から消えたお前がどうしてここにいるんだよ!?」

と怒鳴るように言うと佐賀 遥は嘲るように笑うと、

「なぜ? そんな事決まってるじゃないですか、俺は闇族に寝返ったんです、それしかないでしょう?」

終始笑みを崩さずに告げるたあと腕を下から上へと勢いよく振り上げると、先ほどの風がまた翔吾を襲いまた炎の壁を作るが間に合わず飛ばされてしまった。

すると倒れて動けなくなった翔吾の横を通り遥は一花に近づくと、刃物を持った人間族を始末すると左手から黒光りする球体を出すと気を失っている一花の額に当てると、それはみるみる吸い込まれて行き一花を包むと彼女の身体は黒く光る影に覆われてしまい、翔吾は一花を助けようと力を振り絞るように片手を上げ、

「いち……か……」

そう名前を呼と同時に翔吾も気を失ってしまった。


翔吾が次に目を覚ましたのは清潔な白いシーツが敷かれているベッドの上で、

「こ……ここは……?」

頭がうまく回らずぼーっとしていると横から、

「レンジャー隊の医務室よ」

と聞き覚えのある声が聞こえたので横を向くと、椅子の上には光岡 藍美が座っていて未だに混乱していた翔吾は、ふと一花の事を思い出し飛び起きようとしたのだが身体中に激痛が走りそのままゆっくりとベッドに横になり一息ついてから、

「一花は……どうなったんだ?」

そう尋ねると藍美は悲し気に俯きしばらくして口を結ぶと、

「一花は隣の部屋で寝ているわ」

と言って少しの間の後静かな口調で、

「出動したあなた達の生命管理装置に異常が出て私達は急いで現場に行ったの、その時には村人は全員殺されていて、あなたも重傷を負っていたの隊員も重傷者が多くて死亡者もいたの、今は処理班が出動しているわ」

そう言った後藍美は目を瞑りまた俯くと、

「一花は……何か黒い影のようなものに包まれていて、どんな治癒の力を使っても取り去る事が出来ないくて……先生は強力な呪術をかけられたんじゃないかって言っているの、でも……そういう能力は一花しか使えないから、もう……どうしようもないって……」

と悔しさが滲んだように言うと唇をかんでいると、翔吾も怒りと悔しさで目を瞑るがある事を思い出し、

「じいさんは? 実は俺、何年か前にあの人の能力を見た事があるんだ、きっとあの人なら出来るかもしれない!」

そう意気込んで言うと藍美の顔に希望の色が浮かぶと勢いよく立ち上がり、

「そうね! 長老様なら可能だわ‼ 今話をしに……」

と意気込んだままドアを開けて出ようとした時誰かとぶつかりかけ立ち止まって上を見ると、そこには長老が申し訳なさそうに立っていて中へ入ると、

「すまんが……わしにもあれほど強い呪術は解けないんじゃよ、一花にかけられたのはとても複雑なものでのぉ、誰にも解くことが出来なくなっておる」

そう言うと肩を落として落ち込む翔吾と藍美に微笑むと、

「じゃが、別の手段であれば助かる可能性は高くなる、それは人間へと転生させる方法だが彼女が覚醒するまでわしらの事を忘れてしまうがの」

少し悲しみが浮かぶ表情だが翔吾は少しのためらいもなく長老を見返すと、

「それでも一花を助けて欲しい、お願いします……」

真剣な面持ちで言うと長老は頷いて、

「わかった、じゃが翔吾の傷がある程度回復するまで待つしかないがの」

と微笑んで言うと翔吾は目に涙を溜めながら何度も何度も長老に礼を言っていた。


翔吾は一週間ほどで杖を突いて歩けるようになっていて、ゴーストレンジャーの3人と長老は一花が眠る病室へ行くと、黒く光る一花を見た翔吾は涙ぐんでいてそれに気付いた藍美は手を握ると、

「翔吾、一花は転生しても私達の一花よ、覚醒するまで見守りましょう?」

そう言うと俯いていた翔吾は顔を上げて覚悟を決めたかのように、

「そうだな、俺達はどんなことがあっても一花の味方だから待とう!」

と言って微笑むと長老に向き直り頷くと、

「頼む、始めてくれ」

覚悟を決めた翔吾の表情に安心した長老も頷き返すと一花に向き直ると〔呪文〕を唱え始め、しばらく唱えていると一花がうっすらと目を開け何かを呟くが聞こえず翔吾は目に涙を浮かべていて、そして呪文が終わりに近づくにつれ一花の身体を覆っていた黒い影は白い光に変わっていき、最後の呪文を唱えた途端白く光る一花はその場から飛んで行った。


—そしてその日から150年後、一花は人間として生まれ変わった―

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