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04:採用の決め手がわからないくらい私との共通点がない先輩

やっと主人公を名付けました(笑)。



「あ、ゆうちゃん今日カフェ前ですれ違うねっ」


「ほんとだ、宜しくお願いします」


 今日の清掃コースでニアミスしそうなのは、2つ年上の栞さん。

 私もあと2年すればああなれるとは微塵も思えない、見た目は超正統派の美人さん。


 どんな美人かといえば派手にモテるタイプでは無いけれど、ミスコンに推薦されて名前登録されても当日欠席するタイプ。

 実際それが2年続いているらしく、今年も学祭の実行委員に写真は撮られたらしい。

 

 去年のエントリーチラシを所長から見せてもらったら、実行委員がしつこいのも納得できた。

 実物も綺麗なんだけど、写真はより目鼻立ちが強調されてて人形のような美人さんなのだ。



 正直、グランプリとった人は「可愛い女子大生」というコピーが似合うような、

 …まぁ友達も多そうなミスコンらしいミスコン美人さんが選ばれていた。

 

 好みなんて人それぞれだろうけどさ、でもさ、実行委員さんもさ、グランプリ獲る人の為にも写真は辞めてあげなよ…とは思う。



 点呼と注意事項が終わるとラジオ体操で体を解してからそれぞれ持ち場へ向かう。

 栞さんはCMに出てきそうな艶髪を一纏めしてマスクを装着し帽子を被って出ていった。



 閉館15分前。


 館内には毎日同じ模型ケースにくっついて、メジャーを当てながら図面を仕上げていくお客様と、

 まだ帰りたくないと豪快に泣き叫ぶ小さなお客様がちらほら残っているくらい。


 カップルや観光客が居ない平日は平和なものだ。


 閉館メロディが5分前に流れたら所長も出てくる。

 500系の前で泣いているあの少年も、すぐ涙を止めて、息が止まる前におうちに帰るだろう。


 ますます黒子のような清掃員の印象が薄くなるのは人見知りする私にはありがたい。

 さらに言えば挙動不審な清掃員が何人いようとも目立たないのは、博物館の運営側も所長の存在をきっとありがたいと思っているはず。



 ちょっと傷ついていそうな所長の背中を展示物に隠れながら見て、今日も栞さんは元気に雑巾を握り締め、存分に悶えている。

 


 あっ!赤い雑巾は便器(内側用)なのに素手って!

 


 所長が学祭に行くって言えばミスコンも挙動不審な清掃員も減ると思うんだけどな…。

 栞さんは今年も誘うだろうから関係各所の皆様の為にも是非前向きに検討してほしい。


 2階にあるカフェに近づくにつれ、流行りの恋愛ドラマ主題歌を楽しそうに口ずさむ声も聞こえてきた。

 3人掛けソファも全部持ち上げ行う完璧な艶出し床磨きは、栞さんの右に出るものはいない(キュン)。

 


 …学祭に力自慢コンテストはないのだろうか。


「所長と一緒にペアで出ればいいのに」

 

 なーんてカフェ前の廊下を磨きつつ軽く言ってみたら、左肩に3日は残るであろう痣ができた。




 所長、明日金曜だけど休んでいいですか。

 言えんけど。



恋愛のタネよ…芽吹けー!

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