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【白崎華代視点】スキル【完全掌握】をもってしても掌握しきれない草子君は選ばれし者とかそういう言葉では測れない存在だと思う。

 異世界生活十一日目 場所フィージャ草原


「……さて、次は白崎さんか。まずはじめに到達目標的なものを聞きたいけどいいかな? 後でこれについて教えて欲しかったとか言われると面倒だから。まあ、それとは別に俺から一つだけ会得してもらいたいと思っていることがあるけど」


 草子君が私に会得させたいことが一体何なのか気になったけど、それは後々分かることだから、まずは到達目標を立てるためにステータスを確認する。


-----------------------------------------------

NAME:白崎華代 AGE:16歳

LEVEL:8 NEXT:820EXP

HP:160/160

MP:152/152

STR:120

DEX:90

INT:26

CON:69

APP:45

POW:69

LUCK:15


JOB:聖女(ラ・ピュセル)、魔法師、冒険者


TITLE:【戦場に舞い降りた天使】


SKILL

【四大魔法】LEVEL:1

【氷魔法】LEVEL:1

【雷魔法】LEVEL:1

【木魔法】LEVEL:1

【金魔法】LEVEL:1

【光魔法】LEVEL:1

【回復魔法】LEVEL:1

【祈祷】LEVEL:1

【マルドゥーク語】LEVEL:1

【クライヴァルト語】LEVEL:2

【マハーシュバラ語】LEVEL:1

【エルフ語】LEVEL:2

【自己治癒】LEVEL:1

【魔力操作】LEVEL:2

【魔力付与】LEVEL:1

【魔力治癒】LEVEL:1

【死霊視】LEVEL:1

【魔力制御】LEVEL:2

【完全掌握】LEVEL:1


ITEM

・聖杖アスクレピオス

・聖女のトゥニカ

・聖女のウィンプル

・聖女のロザリオ

・着替えセット×5

・学生服

・ボストンバッグ

・金貨×3

・銅貨×49


NOTICE

・通知一件

→未使用のポイントが後200あります。

-----------------------------------------------


 私が今できるようにならないといけないのは、魔法――【光魔法】と【回復魔法】が使えるようになること。

 【魔力操作】と【魔力制御】は多分教えてもらってどうこうなるものじゃないから自力でなんとかするしかない。【魔力付与】はまだ試していないけど、多分こっちも自分で感覚を掴むしかないと思う。

 【祈祷】については草子君もよく分からないみたいたし、教えてもらうのは【光魔法】と【回復魔法】かな?


「決まったか?」


「はい、【光魔法】と【回復魔法】について教えて下さい」


「分かった。【光魔法】と【回復魔法】について教えよう。だが、その前に一つ会得してもらいたいことをやってもらいたいと思う。……白崎さん、貴女には主人公になり得る資格がある。それは絶世の美貌だとか、リーダーシップとかそっちの資質じゃない。選んだスキルだ。……【完全掌握】、貴女はこのスキルの本質を理解していないみたいだね」


 必要なポイントが高い代わりに何か凄い力があるんじゃないかと思ってチートスキルと書かれた欄から【完全掌握】を選んだ。

 だけど、この世界に来てから一度もこのスキルを使ったことはない。

 そもそも、どんなスキルなのか分からないのにどうやって使えばいいのよ!


「俺が【看破】を使った結果、このスキルについて分かった。……概ね俺の予想した通りだった。【完全掌握】はその名の通りチートな戦術系スキルだ。使用すれば相手の状態から手に入るありとあらゆる情報を元に相手の動きを読み、文字通り戦場を掌握できる。……これだけでも凄いが、これはこのスキルの表の顔(・・・)に過ぎない。――このスキルの裏の顔は最悪スキルとされる【強奪】もびっくりのとんでもスキルだ。相手の一挙手一投足を観察し、その根底を解き明かすことで会得してしまう。相手の積み重ねた技術を、果てはスキルまで。……同じチートスキル欄に【模倣】ってのがあったが、【完全掌握】はそれの上位互換も兼ねているって感じだな。……ただし、【完全掌握】でスキル会得が成功するのは基本的に自分よりも下位の相手のみ。それに加えてその人物の根幹に関わるものであればあるほど会得が難しくなっていくらしい。……要するに【完全掌握】よりスキルレベルの高いスキルの会得成功確率はかなり下がるってことね。多分、【模倣】にはそのような制限は無いんだろう。ただ、所詮は【模倣】だから何らかの制限はつくだろうけど」


 私の選んだのはチートスキルの中でもとんでも無いものだったらしい。……これじゃあ、草子君をチートだって言えないじゃん。

 というか、これだけ凄いものを持っていたのに、今まで朝倉さんと北岡さんの足を引っ張っていたって……なんて謝ればいいんだろう?


「ということで、まずは俺に対して【完全掌握】を使ってみてくれ」


 と言われても、どうやって【完全掌握】を使えばいいんだろう。

 精神を集中させる。草子君の一挙手一投足に目を行き渡らせる。……心が凪のようになり、私の視界にコンピュータのウィンドウのようなイメージが浮かび上がる。……これが、【完全掌握】。


 試しに草子君に攻撃を仕掛けるイメージをする。……結果。


 思い浮かんだ九十九通りのパターン全て、私が死ぬという結末が見えた。

 全く勝ち目がない。攻撃が掠りすらしない。これが、圧倒的強者。化け物と呼ばれる存在の強さ。……なんでこんなに強いのに、自分はモブだって言い張るんだろう? 【完全掌握】は確かにチートだけど、この【完全掌握】をもってしても掌握しきれない草子君は一体なんなの!!


「どうだ? できたか?」


「……うん、九十九人の私が死んだ」


「まあ、流石にチートでもレベルが低かったら負けることもあるからな。だけど、これで分かっただろう? 白崎さんは主人公の器だって」


 分かったよ。私よりも草子君の方が主人公の器だってこと。……いや、違うわね。私は草子君の言うように選ばれし者の器だとすれば、草子君はそんな言葉では測れない存在――言葉で表すのが馬鹿馬鹿しくなるような、そんな化け物。

 初めからチートじゃない。その力は全て迷宮を自力で突破する中で掴み取った力。……その結果、草子君はチートを超える力を得た。反則(チート)なんて、そんな言葉すら馬鹿馬鹿しくなる(バグ)を。


「じゃあ、ちょっと待っててね。今から練習相手を連れてくるから」


 そうして待つこと数分。草子君が連れて来たのは朝倉さんだった。


「事情は草子君から聞いた。私はレベル十三だけど、ほとんどのスキルはレベル一……私なら【完全掌握】の練習相手にもなれる筈よ」


 朝倉さんと向かい合い、さっきと同じように精神を集中させる。朝倉さんの一挙手一投足に目を行き渡らせる。……心が凪のようになり、私の視界にコンピュータのウィンドウのようなイメージが浮かび上がる。

 朝倉さんの動きが何通りにも見えた。戦った場合の結果は基本的に惨敗……いくつか魔法が命中して深手を負わせることができたものもあった。けど、やっぱり攻撃手が多い朝倉さんの方が優勢。


「じゃあ、次のステップだ。白崎さん、朝倉さんの【縮地】を盗み取ってくれ」


 朝倉さんは私に対して【縮地】スキルを発動する。以前は使えなかったみたいだけど、草子君の個人レッスンで教えてもらったのかな?

 私は朝倉さんの【縮地】に対して【完全掌握】を発動……【縮地】のスキルの構造が、その動きが手に取るように分かった。


 朝倉さんが私から遠ざかったところで【縮地】のスキルが取れているか、ステータスを開いて確認してみる。


-----------------------------------------------

NAME:白崎華代 AGE:16歳

LEVEL:8 NEXT:820EXP

HP:160/160

MP:152/152

STR:120

DEX:90

INT:26

CON:69

APP:45

POW:69

LUCK:15


JOB:聖女(ラ・ピュセル)、魔法師、冒険者


TITLE:【戦場に舞い降りた天使】


SKILL

【四大魔法】LEVEL:1

【氷魔法】LEVEL:1

【雷魔法】LEVEL:1

【木魔法】LEVEL:1

【金魔法】LEVEL:1

【光魔法】LEVEL:1

【回復魔法】LEVEL:1

【祈祷】LEVEL:1

【マルドゥーク語】LEVEL:1

【クライヴァルト語】LEVEL:2

【マハーシュバラ語】LEVEL:1

【エルフ語】LEVEL:2

【自己治癒】LEVEL:1

【魔力操作】LEVEL:2

【魔力付与】LEVEL:1

【魔力治癒】LEVEL:1

【死霊視】LEVEL:1

【魔力制御】LEVEL:2

【縮地】LEVEL:1

【完全掌握】LEVEL:3


ITEM

・聖杖アスクレピオス

・聖女のトゥニカ

・聖女のウィンプル

・聖女のロザリオ

・着替えセット×5

・学生服

・ボストンバッグ

・金貨×3

・銅貨×49


NOTICE

・通知一件

→未使用のポイントが後200あります。

-----------------------------------------------


「草子君、朝倉さん。【縮地】のスキル取れたよ!」


「華代、やったね!」


「なんとか使いこなせるようになったみたいだな。……さて、次は【光魔法】と【回復魔法】か。まず、光系の魔法には三種類ある。【光魔法】、【聖魔法】、【神聖魔法】だ。この順に使える魔法が増えていくと思ってくれればいい。俺が使える〝極光之治癒(オーロラ・ヒール)〟にはこの中の【神聖魔法】のスキルが必要だ。つまり、なんらかの形で【光魔法】を上位互換化して【神聖魔法】までもっていかなければならないということだ。……その魔法の呪文はエルフの里で別れる時に教えるとして、今回教えるのは【光魔法】の魔法いくつかと【光魔法】の回復魔法――〝治癒(ヒール)〟だ」


 まず〝治癒(ヒール)〟の呪文を教えてもらい、試してみる。

 朝倉さんに向けて聖杖アスクレピオスを構え、呪文を唱えた。


「〝癒しを〟――〝治癒(ヒール)〟」


 朝倉さんの体を淡い光が包み込んだ。多分成功だね。

 その後も光の剣を生み出す〝光剣(ライトオブセイバー)〟、目眩しに使えそうな閃光を発生させる〝閃光(フラッシュ)〟、浮遊するマジックライトを生み出す〝光灯(ライト)〟、幽霊を追い払う〝霊退散(ターンアンデット)〟の四つを教えてもらったところで私の個人レッスンの時間は終了した。


 次に魔法を教えてもらえるのはエルフの里で別れる時なのか。……また草子君に教えてもらえるのは嬉しいけど、それが別れの時だと思うと喜ぶに喜べないな。

 なんとかして、草子君に置き去りにされないような方法を考えないと……エルフの里に到着するまでに。

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