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【朝倉涼音視点】「教えるのが下手だ」と言っていた草子君は物凄く懇切丁寧に教えてくれるんだけど謙遜だったのか教える相手がいないから自覚していなかったのかどっちなんだろう?

 異世界生活十一日目 場所フィージャ草原


 まず、剣術を教えて欲しいと言った私から順に個人レッスンをしてくれることになった。


「まずはじめに到達目標的なものを聞いていいかな? 剣術以外にも後でこれについて教えて欲しかったとか言われると面倒だから。……って、俺に教えられないことは聞かないでよ。俺はモブで朝倉さんは主役達の一人なんだから」


 意外にも懇切丁寧に教えてくれるみたいだ。……てっきり適当に済ませる感じだと思っていたんだけど。

 もしかして、草子君って教えるのが得意なのかな? ……今まで誰にも教えたことがないからそのことに気づかないだけで。


 とりあえず、ステータスを確認して教えてもらいたいことを整理してみる。多分こんな機会は二度と来ない。草子君は私達をエルフの里に置いて、一人旅に出るつもりなんだから。……このままだと二度と会えないということにもなりかねない。……華代は嫌がるだろうな。実は結構草子君のことを尊敬している節があるし。いい雰囲気出ているし。


 私? 私はただのモブだから小説のヒロインみたいな展開にはならないと思う。

 華代と一緒に居られるのも彼女がそうしたいと言ってくれたから。もし、私が副委員長に立候補しなかったら、華代と胡桃が声を掛けてくれなかったら、私も草子君みたいにぼっちになっていたかもしれない。勉強ばかりやっているガリ勉メガネとかいい子ちゃんぶっているうざい奴とか思われていたかもしれない。……まあ、その割にはあんまりテストの成績は振るわないんだけどな。


-----------------------------------------------

NAME:朝倉涼音 AGE:16歳

LEVEL:9 NEXT:850EXP

HP:210/210

MP:160/160

STR:300

DEX:260

INT:15

CON:190

APP:12

POW:190

LUCK:16


JOB:武士(サムライ)、魔法師、冒険者


SKILL

【片手剣】LEVEL:1

【居合い】LEVEL:1

【無拍子】LEVEL:1

【刺突】LEVEL:1

【四大魔法】LEVEL:1

【氷魔法】LEVEL:1

【雷魔法】LEVEL:1

【木魔法】LEVEL:1

【金魔法】LEVEL:1

【縮地】LEVEL:1

【マルドゥーク語】LEVEL:1

【クライヴァルト語】LEVEL:2

【マハーシュバラ語】LEVEL:1

【エルフ語】LEVEL:2

【武器破壊】LEVEL:1

【空間把握】LEVEL:1


ITEM

天羽々斬(アメノハバキリ)

・鎖帷子

・着替えセット×5

・学生服

・ボストンバッグ

・丸眼鏡

・金貨×4

・銅貨×15


NOTICE

・通知一件

→未使用のポイントが後200あります。

-----------------------------------------------


 剣術の他に教えてもらうとしたら魔法だけど、さっき草子君に大体見せてもらったから魔法を教えてもらう必要はないな。

 となると、後は組み合わせの話かな? 魔法と剣術を組み合わせてどういう戦術を編み出せばいいのか教えてもらおう!


「じゃあ、剣術の他に魔法と剣術を組み合わせてどういう戦術を編み出せばいいのか教えてもらえないかな?」


「……それって魔法と剣術を組み合わせた戦い方を組み立てて欲しいということか、単純に魔法と剣を組み合わせた魔法剣的なものを教えて欲しいということなのか、どっち? 前者の方は自分の戦い方を自分で最適な方法を見つけるしかないし、後者はJOB的に無理かもしれないけど」


 やっぱり戦術は自分で組み立てないといけないか。でも、おかげで魔法剣なるものが存在することが分かった。……なるほど、剣と魔法を直接組み合わせる概念ってあるんだ。


「じゃあ、剣術と魔法剣について教えて下さい」


「了解。じゃあ、まずは剣術の構えから。……といっても剣道的な構えだけどね」


 草子君は杖を剣の形状に変化させて、敵がいるとすれば目があるような高さに切っ先が向くように構えた。


「まずは、水の構え――この構えだと他の全ての構えにスムーズに移行することができる。つまり、攻撃するにせよ防御するにせよ、この構えを基点とすることで戦闘中に発生する様々な状況の変化に対して臨機応変に対処することが可能だ」


 続いて刀を頭上に振り上げ、右足を一歩前に出す。


「続いて、火の構え――この構えは非常に攻撃的だと言われている。斬り下ろす攻撃に限れば五つの構えの中で最速、それに最も刀剣のリーチを生かすことができる構えだ。反面、構えている間は面以外の部分を曝け出している状態だから防御には向いていない」


 一度水の構えに戻し、刀の剣先を水平より少し下げて構える。


「続いて、土の構え――相手が打ち出るところを下から切り上げて攻める後の先と呼ばれる攻め方が効果的な守りの構えだ。……ただ、近年はこの構えを取る人はほとんどいないらしい。真剣で戦う場合は足への攻撃もアリだから剣道に比べて有用性はあるけどね」


 一度水の構えに戻し、刀を立てて右手側に寄せ、左足を前に出して構える。


「続いて、木の構え――相手との単純な剣による攻防では実用性が多少犠牲になっていて、例外的に相手の左肩口から右脇腹へと斜めに振り下ろす袈裟懸けは仕掛けやすいくらいしかメリットがない。元々、長時間に渡って真剣を手に持ち続けなければならない状況のために自然発生したと考えられているから、実際に真剣を使わないといけない異世界では土の構えと並んで有用な構えなんじゃないかな」


 一度水の構えに戻し、右足を引き体を右斜めに向け刀を右脇に取り、剣先を後ろに下げる構えを取る。


「最後は、金の構え――相手から見て自身の急所が集まる正中線を正面から外してこちらの刀身の長さを正確に視認できないようにする効果が一番かな? 後は後ろから遠心力と共に斬りつける一刀の威力と狙いの読みづらさかな? 剣道の世界ではほとんど使われないけど、なんでもありな異世界ではこの構えも十分有用的だと思うよ。……じゃあ、そろそろ実戦に移りますか。ちょうど敵さん来たし」


 ぞろぞろとゴブリンの群れがやってきた。昨日までは怖かったのに、今日はそこまで恐ろしい敵だとはどうにも思えない。

 草子君がいるから絶対に負けることはないって信じられる。


「一度しか見せないからよく見ててね。――じゃあ、まずは【唐竹】から」


 上から下に斬る【唐竹】、相手の左肩から右脇腹を斬る【袈裟斬り】、相手の右肩から左脇腹を斬る【逆袈裟斬り】、袈裟斬りの逆に斬り上げる【左斬り上げ】、逆袈裟斬りの逆に斬り上げる【右斬り上げ】を一つずつ分かりやすいように、しかし一切ゴブリン達に隙を見せずに実践していく。

 そうしているうちに、ゴブリンは全滅した。


「という感じかな。……理解できた?」


「ありがとう。なんとか理解できた」


「といってもこれはあくまで基本。この構えと型をしないといけないって決まりは無いし、自分に合ったものを見つけるのが一番だ。――俺も実は今見せたみたいな王道のは使わないし」


「私達を助けてくれた時、何かを叫びながら目にも留まらぬ早業でゴブリン達を斬っていたよな? あれは、草子君のオリジナルなのか? というか、そもそも何って言っていた?」


「あっ、concasser(コンカッセ)のことか。あれはフランス語の料理用語で粗くきざむという意味だよ。右斬り上げ、左斬り下げ、横薙ぎ、左斬り上げ、斬り下げ、右斬り上げ、左斬り下げ、横薙ぎ、左斬り上げ……ってローテーションするみたいな感じかな? まあ、適当だけど」


 要するに、今教えてもらった技の応用だ。……そんなものを即興で組み立てられるってやっぱりモブじゃないだろ、絶対!


「じゃあ、実戦行ってみよう! ……またゴブさん達が来たようだし」


 しかし、こうもいいタイミングでゴブリン集まってくるよな。

 教えてもらった五行の構えと型を実践してゴブリンを一体ずつ倒していく。……昨日は全滅しかけた相手なのに、今回のゴブリンは全く相手にならない。それだけ私が強くなったってことか。やっぱり、草子君は教えるのが上手いみたいだ。……もし、地球に帰ることができたら、草子君に勉強を教えてもらいたいな。


 ひと段落ついたところでステータスを確認してみる。合言葉は「ステータス」だ。


-----------------------------------------------

NAME:朝倉涼音 AGE:16歳

LEVEL:13 NEXT:1200

HP:250/250

MP:190/190

STR:360

DEX:280

INT:15

CON:220

APP:12

POW:120

LUCK:18


JOB:武士(サムライ)、魔法師、冒険者


SKILL

【片手剣】LEVEL:5

【唐竹】LEVEL:3

【袈裟斬り】LEVEL:3

【逆袈裟斬り】LEVEL:3

【左斬り上げ】LEVEL:3

【右斬り上げ】LEVEL:3

【居合い】LEVEL:1

【無拍子】LEVEL:1

【刺突】LEVEL:1

【四大魔法】LEVEL:1

【氷魔法】LEVEL:1

【雷魔法】LEVEL:1

【木魔法】LEVEL:1

【金魔法】LEVEL:1

【縮地】LEVEL:1

【マルドゥーク語】LEVEL:1

【クライヴァルト語】LEVEL:2

【マハーシュバラ語】LEVEL:1

【エルフ語】LEVEL:2

【武器破壊】LEVEL:1

【空間把握】LEVEL:1


ITEM

天羽々斬(アメノハバキリ)

・鎖帷子

・着替えセット×5

・学生服

・ボストンバッグ

・丸眼鏡

・金貨×4

・銅貨×15


NOTICE

・通知一件

→未使用のポイントが後250あります。

-----------------------------------------------


 【唐竹】、【袈裟斬り】、【逆袈裟斬り】、【左斬り上げ】、【右斬り上げ】の五つのスキルを獲得し、【片手剣】のスキルレベルが五まで上がっていた。

 これなら少しは戦力になれるか?


「残りのスキルについて解説すると、【居合い】は鞘から剣を抜いて一太刀浴びせる、【無拍子】は身体の全体を一気に動かすイメージ、【刺突】は突き、【縮地】は古武術にある縮地とは違うから頭の中で瞬時に移動するイメージを思い浮かべれば発動すると思うけど……他にご質問は? 無ければ次の魔法剣に移るけど」


「抜かりなく懇切丁寧に説明してくれたから質問は特にないわ」


「じゃあ、次は魔法剣か。……といっても、魔法剣ってスキルがこの世界にあるかは分からないし、少なくとも老害タブレットには無かったけど。……だから、成功するか失敗するかは分からない。まあ、上手くいったら俺も使わせてもらうよ」


 もしかしたら、私はとんでもないことをお願いしてしまったのかもしれない。

 存在しないかもしれない技術(スキル)の作成……まあ、草子君ならなんだかんだで結局完成させちゃいそうだが。


「朝倉さん達がギルドで冒険者登録していた時に俺は行商人のところで色々売却をしたことは知っているよね? その時にいくつか魔法書を買って食べたんだけど……あれは美味しかった」


 うん、普通は読むところだからって突っ込みたくなるけど、これが草子君の通常運転だから仕方ない。

 地球では変態性が強いから近寄りがたい印象があったけど、こうやって行動を共にしていると普通に受け入れられるようになってくるんだよな。……もしかして、毒されてきてる?


「で、そこに何種類か付与魔法ってのがあったんだよね。〝火炎付与エンチャント・ファイア〟、〝水流付与エンチャント・ウォーター〟、〝冷気付与エンチャント・コールド〟、〝雷付与エンチャント・サンダー〟の四種類なんだけど……この四つの魔法を剣に付与すれば魔法剣の形になるんじゃないかな? ちなみに、全部初級魔法だから朝倉さんにも使えるよ……まあ、魔法を維持しながら剣を振るわないといけないから難しいと思うけど」


 草子君に教えてもらった魔法の中から〝火炎付与エンチャント・ファイア〟を詠唱してみる。


「〝真紅の炎よ、我が武器に宿れ〟――〝火炎付与エンチャント・ファイア〟」


 刀剣に炎を宿らせることに成功した。……けど、維持が難しい。炎を維持しながら剣を振るうのは難しそうだ。

 数十秒間持たせるのが限界でそれ以上は無理だった。……あんまり実用的じゃないな。実戦では使えなさそうだ。


 一応、魔法剣の形にはなったみたいだからステータスを確認してみよう。……そんな感じでもう一度ステータスを開いてみたんだけど。


-----------------------------------------------

NAME:朝倉涼音 AGE:16歳

LEVEL:13 NEXT:1300EXP

HP:250/250

MP:190/190

STR:360

DEX:280

INT:15

CON:220

APP:12

POW:120

LUCK:18


JOB:刀魔剣士(ブレイドマンサー)、魔法師、冒険者


SKILL

【片手剣】LEVEL:5

【魔法剣】LEVEL:1

【唐竹】LEVEL:3

【袈裟斬り】LEVEL:3

【逆袈裟斬り】LEVEL:3

【左斬り上げ】LEVEL:3

【右斬り上げ】LEVEL:3

【居合い】LEVEL:1

【無拍子】LEVEL:1

【刺突】LEVEL:1

【四大魔法】LEVEL:1

【氷魔法】LEVEL:1

【雷魔法】LEVEL:1

【木魔法】LEVEL:1

【金魔法】LEVEL:1

【縮地】LEVEL:1

【マルドゥーク語】LEVEL:1

【クライヴァルト語】LEVEL:2

【マハーシュバラ語】LEVEL:1

【エルフ語】LEVEL:2

【武器破壊】LEVEL:1

【空間把握】LEVEL:1


ITEM

天羽々斬(アメノハバキリ)

・鎖帷子

・着替えセット×5

・学生服

・ボストンバッグ

・丸眼鏡

・金貨×4

・銅貨×15


NOTICE

・通知一件

→未使用のポイントが後250あります。

-----------------------------------------------


 ……あれ? 【魔法剣】のスキル手に入っている。

 もしかして、さっきの付与魔法に意味があったのか?


 試しに【魔法剣】を発動するイメージを頭に浮かべてみる。すると、刀剣に雷が宿った。


「……できちゃった」


「みたいだな。……なるほど、付与魔法で擬似的に魔法剣の状態にすれば【魔法剣】のスキルを会得できるのか。今度俺も試してみるとしよう」


 剣術と【魔法剣】のスキルを会得し終えたところで私の個人レッスンは終了。……本当は草子君に教えてもらえる時間がもっと続けばって思っているけど、草子君を独占していると華代達が怒りそうだからな。

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