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百合薗圓は異世界カオスのボスラッシュの夢を見るか。〜百合を愛する男の娘は本好きを拗らせた変態の旅を追走するようです〜

 こちらは随分と久しぶりの投稿になります。

 今回は事実上の続編『乙女ゲームの廃スペック悪役令嬢は百合を愛でて暮らしたいだけ』(

https://ncode.syosetu.com/n0094fv/)とのコラボになります! 是非、続編の方もお楽しみください! 本当に読者が少なくて困っているんです!!


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・第一章ボス戦該当


第38部分

『例え勝率が0.000000001%以下だったとしても、理不尽なステータスでチートスキルを不条理に振るってきたとしても、俺は最後まで泥臭く足掻いて残された0.000000001%以下の可能性に縋りつく。』


https://ncode.syosetu.com/n6943ew/38/


第39部分

『村人はやはりただの村人じゃなかったようだ。ヒノキの棒もただのヒノキの棒じゃなかったようだ、どころかヒノキの棒ですらなかったようだ。――村人こそが異世界で一番のチートだった!?』


https://ncode.syosetu.com/n6943ew/39/




・第二章ボス戦該当


第77部分

『中世ヨーロッパが舞台の異世界ものの世界観に中華ファンタジーの要素である仙人が登場してもいいのだろうか? まあ天羽々斬とか武士が出ているから今更か。』


https://ncode.syosetu.com/n6943ew/77/


第78部分

『もしユェン=シー・ティェン・ズンという名前を出されただけで何か閃くものがあったならそいつは天才だ。最強の頭脳決定戦とかに出るべきだと思う。日本一とかそんな狭い世界の話じゃなくて世界一で。』


https://ncode.syosetu.com/n6943ew/78/




・第三章、第四章ボス戦該当

第124部分

『『フルゴル・エクエスは、たった一組で異世界を滅ぼせると言われる最強のホムンクルス部隊! 低レベルの神の使徒や神程度なら余裕で屠ることができる』って自慢げに言ってるけど結局は他人の褌で相撲を取ってるだけ』


https://ncode.syosetu.com/n6943ew/124/




・第五章ボス戦該当

第170部分

『玉手箱によって大人になるとオトちゃんとアクアちゃんの性格は一変してしまうようだ。』


https://ncode.syosetu.com/n6943ew/170/


第171部分

『機動要塞エレシュキガルは最新鋭の兵器と見せかけて実は結構欠陥があったりするらしい。異世界モノの機動要塞は往々にして大きな欠陥を抱えているようだ。』


https://ncode.syosetu.com/n6943ew/171/

<一人称視点・ローザ=ラピスラズリ>


 気がつくと、ボクは真っ白な部屋にいた。


『ようこそ、悪役令嬢ローザ=ラピスラズリ、いや、百合薗圓。今からお前には強力な敵達と勝負をしてもらう。勝つことができなければ一生この世界に囚われることになるのだ! アハハハハハ!』


「…….もしかしなくても、逢魔時さんだよねぇ? どう考えても」


『なっ、なな! ちっちちちち、違うわい!』


「間違いなく逢魔時さんだよねぇ。で、今回のこれは何?」


『はぁ……実は最近というか、ずっと以前からカオスファンタジー第二弾はカオスファンタジー第一弾、通称変態草子の『文学少年召喚』よりも明らかに人気なくてね』


「……あんまりあの人のことネタにするといつか殺されますよ?」


『もう何回も殺されているから何を今更だね。で、今回はカオスファンタジー第一弾と第二弾でコラボをやって『文学少年召喚』に来たお客さんにこっちにもこういう面白いテクストがあるんですよ! って超露骨に宣伝しようと思って』


「……それ、自分で言っちゃいますか」


『だってブクマ欲しいじゃない、評価して欲しいじゃない、感想欲しいじゃない、レビューとか全然来ないし、書籍化の話も全然来ない……ナイナイ尽なんだよ! 私みたいな弱小小説書きは狡い手だって使わないといけないんだって!』


「……はぁ。少しは付き合わされるボク達の身になってもらいたいですけどねぇ。それで、ボクは生きて帰れるんですか?」


『勿論だよ。ここで君が死んだって本編に一切関係ないから安心してねぇ。まあ、ある一地点のローザ=ラピスラズリという存在から切り取られた存在だと思ってもらえればいいよ……って、まあご都合主義だしあんまりきっちり考えなくていいんじゃないかな?』


「……遂に思考を放棄したねぇ、さすが莫迦作者。で、ボクは一体何をすればいいの? 流石に超越者(デスペラード)と戦うのは無理だよ?」


『流石に知っているよ。今回は『文学少年召喚』の各章のボスの討伐を連続で行うボスラッシュ企画! 題して「百合薗圓ちゃんにも能因草子の旅の辛さを体験してもらおう!」です』


「――よし、シバこう!」


『いきなり殺しに掛かるな!!』


 どっからどう考えても、悪いのはこの逢魔時 夕とかいうクソ作者だよねぇ。


『ついでに作者のボクが各章のボスが誰だって認識しているかも分かるようになっているよ? まあ、話していても仕方ない、ささ、扉へレッツゴー!!』


 ちっ、声が全くしなくなりやがったねぇ……しかも、目の前に白い扉が……入れと、入って死にやがれ! と、ああ、いいよ! ボスラッシュだろうと、ボスラーッシュ! だろうと、ボォォスラァァァッシュ! だろうとやってやるよ!!



 一回戦目は迷宮の最下層の闘技場のような暗い世界を発光する鉱石の光が照らし出すような不気味な世界。


 現れたのは単眼の巨人(サイクロプス)と、三つ首の魔犬(ケルベロス)紫の気持ち悪い巨蛇(ヨルムンガンド)……もしかしなくても「ヴァルジャ=ラ迷宮の三魔獣」だねぇ。


「確か、サイクロプスは【物理耐性】、【魔法耐性】、【状態異常無効】、【即死耐性】、【因果耐性】持ちの状態異常無効化タイプ、ケルベロスは【物理無効】、【衝撃無効】、【魔法耐性】、【状態異常耐性】持ちの物理攻撃無効化タイプ、ヨルムンガンドは【物理耐性】、

【魔法無効】、【状態異常耐性】持ちの魔法無効化タイプだったねぇ……さて、どう攻めようか? とりあえず、アカウントチェンジ・リーリエ!」


 アカウントをリーリエに切り替え、『漆黒魔剣ブラッドリリー』と『白光聖剣ベラドンナリリー』を構える。


-----------------------------------------------

NAME:サイクロプス

LEVEL:99999

HP:9999999/9999999

MP:9999999/9999999

-----------------------------------------------


-----------------------------------------------

NAME:ケルベロス

LEVEL:99999

HP:9999999/9999999

MP:9999999/9999999

-----------------------------------------------


-----------------------------------------------

NAME:ヨルムンガンド

LEVEL:99999

HP:9999999/9999999

MP:9999999/9999999

-----------------------------------------------


 三体のステータスが表示されるのと同時に先制攻撃を仕掛けてきたのはヨルムンガンド。紫の輝きが迸るのと同時に、何もない宙から無数の隕石が生まれる――で、降ってくる……もしかしなくても〝流星雨(メテオロス・レイン)〟ですありがとうございます。


 慌てず落下地点から退避し――。


衆生地ニ伏ス神龍ノ劔(アメノハバキリ)! 天地ヲ開闢セ(アメノ)シ神代ノ神槍(ヌボコ)!」


 イベント職の神竜騎士が習得する奥義で竜属性の光を纏った剣で三十回連続で神速の飛斬撃を放つ物理系単体攻撃技と、槍士系四次元職の槍帝が習得する奥義で混沌属性の闇を槍に宿して辺り一体を薙ぎ払う最強の物理系範囲攻撃スキルを連続で放った。


-----------------------------------------------

NAME:ヨルムンガンド

LEVEL:99999

HP:3329999/9999999

MP:8999999/9999999

-----------------------------------------------


 【物理耐性】があって硬いけど、まあいけるかなってレベルだねぇ。耐性があっても、それを上回るダメージを叩き出せば勝てる!


「――ならこれならどう? 虚空ヨリ降リ注グ(アメノム)真ナル神意ノ劒(ラクモ)


 侍系四次元職の征夷侍大将軍の奥義を発動し、刃渡り百メートルを優に超える巨大な剣を顕現し、その剣が一斉に降り注がせる侍という職からは想像もつかない広範囲攻撃を発動――〝極光之治癒(オーロラ・ヒール)〟で体力を回復したヨルムンガンドに追撃を仕掛けつつ、猛スピードで迫ってきたケルベロスに向き直り――。


「アカウントチェンジ・ローザ! 滅びよ、ブラックホール!!」


 ローザにアカウントを切り替え、悪役令嬢ローザ=ラピスラズリがレベル99で習得する闇属性で範囲内の物体を無条件で消し去る黒い球体魔法でケルベロスを跡形もなく消滅させ――。


「――ダークマター!」


 悪役令嬢ローザ=ラピスラズリがレベル95で習得する暗黒物質を顕現して勢いよく地面から噴き上げる超高火力の闇魔法でサイクロプスに大ダメージを与えつつ、アカウントをリーリエに戻す。


 確かに強力な技を持っている……けど、それを十全に使いこなせていない。三体居ても無敵ではなかった能因草子を倒せなかったのは、自分達のポテンシャルを生かし切れていなかったからだって、今ならよく分かるよ。


「――クレイジーミーティアバニッシュ-ジャガーノート-!」


 複数の剣が自動で攻撃する背中装備『背繋飛剣ディス・チェーサー』を『管理者権限』画面から装備し、手動操作できる宝珠でツヴァイハンダーの《雪》、レイピア の 《風》、フランベルジェの《花》、タルワールの《朧》、ソードブレイカーの《空》、ファルシオンの《天》、ズルフィカールの《光》、クレイモアの《泡》、パンツァーシュテッヒャーの《霧》を完全制御――自身の現在のHPと現在のMPの半分を犠牲にする代わりに、相手の防御力やHP残量に関わらずクリティカルダメージを与える武器攻撃系四次元職の共通奥義『ジャガーノート・ソード』の「リキャストタイムが武器とスキルのセットになっている」というところを利用して十二本ある全ての剣で発動する十二連撃攻撃――通称『クレイジーミーティアバニッシュ-ジャガーノート-』という奥義を放つ。


 と同時に統合アイテムストレージから取り出した神水を飲みつつ、ヨルムンガンドが果てる姿を見送った。


-----------------------------------------------

NAME:サイクロプス

LEVEL:99999

HP:9999999/9999999

MP:9999999/9999999

-----------------------------------------------


 残るはサイクロプス、ただ一体! ここまで結構大変だったねぇ……戦闘開始からそんなに経ってないけど。


「――万象無ニ還ス靈劔(アメノオハバリ)!」


 剣士系四次元職の剣帝の奥義とも言える一撃を放つ最強の物理系範囲攻撃スキルを発動し、一条、二条、三条、四条と無数に伸びた線状の斬撃が勢いよく棍棒を振りかざそうと迫ってきたサイクロプスに命中し、一瞬で消滅させる。

 ……ああ、最後に消滅属性の攻撃を取っておいて良かったねぇ。無かったらもっと苦戦を強いられていたかも。


 【万物創造】で作り出した再使用規制時間(リキャストタイム)を無効化する時計を叩き割ると、ボクは新たに出現した扉を潜って次のステージに進んだ。



<一人称視点・リーリエ>


 二回戦の舞台は大樹海――そこに拱手し泰然と佇むのは1,020,000歳のエルフの仙人。


「はじめまして、(ワタクシ)はユェン=シー・ティェン・ズンと申します。樹海に篭り仙道の修行をしているしがない老人でございます」


 後にヴァパリア黎明結社の七賢者にも選ばれることとなる生に執着したエルフの末路。

 戦場は姉リーファの命を奪うようにと、族長を狙うロビンに依頼され、降りてきたエルフの里ではなくユェンの住処がある大樹海――つまり、彼のホームグラウンドということだねぇ。


「どうやら敵のようですね。(ワタクシ)も死にたくはありませんから、とっとと倒して寿命を奪わせて頂きましょう! アィヤ!!」


 すぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ――


 はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――

 すぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ――


 はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――


 魔力をプラーナに変換し、そのまま勢いよく迫り、槍で突き刺すように拳を打ち出す【五行拳】の一つ【崩拳】を放ってくるユェン。


寸勁(ツン・ジン)! 発勁(ファ・ジン)! 三連拳(トリプルブロウ)! 軽拳(ジャブ)! 寸勁(ツン・ジン)! 発勁(ファ・ジン)! 軽拳(ジャブ)! 打拳(フック)! 寸勁(ツン・ジン)! 発勁(ファ・ジン)! 三連拳(トリプルブロウ)! 軽打強撃拳(ワン・ツー・パンチ)! 寸勁(ツン・ジン)! 発勁(ファ・ジン)! 軽拳(ジャブ)! 打拳(フック)! 三連拳(トリプルブロウ)! ――」


 素早くバックステップで躱すと、そのまま武闘家系三次元職の格闘王の習得する体の各部位で発生させた運動量を至近距離から相手との接触部分に移動させて攻撃し低確率で対象をスタンさせる特技、同じく武闘家系三次元職の格闘王の習得する体の各部位で発生させた運動量を至近距離か少し距離が離れた地点から相手との接触部分に移動させて攻撃し低確率で対象をスタンさせ、ノックバックさせる特技、武闘家系一次元職の武闘家が覚える右ストレート、左ストレート、右フックの三つのパンチを連続して放つ特技、武闘家系一次元職の武闘家が覚える腰の回転を使わず腕の瞬発力をもって放つジャブを放つ特技、武闘家系一次元職の武闘家が覚える横から水平に拳を当てるフックを放つ特技、武闘家系一次元職の武闘家が覚える利き手じゃない腕で軽く打ち、続いて利き手で強打する特技をループで使い、コンボを溜めていく。こうやってコンボを溜めてフィニッシュ技を放つのがオーソドックスな戦法だからねぇ。


「――ィィィィィィィィィィヤァァァァァァァアッ」


 【神速縮地】を使ったのか一気に肉薄してきたユェンからバックステップで離れ――。


寸勁(ツン・ジン)! 発勁(ファ・ジン)! 三連拳(トリプルブロウ)! 軽拳(ジャブ)! 寸勁(ツン・ジン)! 発勁(ファ・ジン)! 軽拳(ジャブ)! 打拳(フック)! 寸勁(ツン・ジン)! 発勁(ファ・ジン)! 三連拳(トリプルブロウ)! 軽打強撃拳(ワン・ツー・パンチ)! 寸勁(ツン・ジン)! 発勁(ファ・ジン)! 軽拳(ジャブ)! 打拳(フック)! 三連拳(トリプルブロウ)! ――」


 そのままコンボを溜め続ける。


「逃げてばっかりでは勝てませんよ! アィヤァ!! ――ィィィィィィィィィィヤァァァァァァァアッ」


 【神速縮地】で肉薄し、錐のように拳を突きあげてひねり込む【五行拳】の一つ【鑚拳】を放ってくるユェン。

 再びバックステップで躱し、コンボ溜めを再開する。


「いい加減にするのです! アィヤ! 禁鞭――疾ッ!」


 歪空珠と呼ばれる水晶玉を取り出し、出現させた超宝貝(スーパーパオペイ)の禁鞭を振り回し、伸びながら不規則な軌道で鞭が襲い掛かってくる。


吸血姫ヴァンパイアプリンセス固有技能スペシフィック・アビリティ・吸血姫の翼」


 蝙蝠のような翼を背中から生やして飛行を可能にする吸血鬼と吸血姫、その上位個体のみが持つ固有技能で空を飛び禁鞭を躱す。

 広範囲を打ち据えるシンプルかつ強力な武器だけど、やっぱり見える攻撃にはフェイクも含まれているみたいだねぇ。それを見気で見切ればコンボ溜めは十分できる。


「待たせたねぇ! それじゃあ、これで終わらせるよ! 武装闘気、覇道の霸気!! 阿修羅刹降龍拳!」


 武装闘気と覇道の霸気を纏わせて、コンボを消費し武闘家系四次元職の武闘帝の習得するフィニッシュ技の奥義を放った。


 竜のエフェクトが出現すると同時に、のけ反るような宙返りを決め、空中に身を置く状況であることを忘れてしまったように物理法則を無視して縦の回転を加速させていき、そこから突きと蹴りを暴風雨のように放つ――禁鞭の軌道を貫き、到達した突きと蹴りがユェンに殺到し、HPバーを吹き飛ばした。

 よし、なんとか二戦目クリアー。【寿命吸収】スキルを使われないようにとにかく回避に専念して、コンボ溜めて一発で決められたのがやっぱり良かったねぇ。

 禁鞭以外の超宝貝(スーパーパオペイ)を使われなかったのも運が良かったかな?


 【万物創造】で作り出した再使用規制時間(リキャストタイム)を無効化する時計を叩き割ると、ボクは新たに出現した扉を潜って次のステージに進んだ。



 三戦目は首都ファルオンドの貴族街。しかし、通りには誰もいないという、アクションゲームのフィールドのようなご都合主義な場所だねぇ。


 扉が焼失し(消失じゃなくてねぇ……なんで燃えて消えるのかな?)、三つの魔法陣が出現した。

 中から出てきたのは青を基調とした衣装に、マスカレード風の仮面をつけた三体のホムンクルス。使徒天使から分岐したヴァパリア黎明結社の精鋭――フルゴル・エクエスだねぇ。


 たった一組で異世界を滅ぼせると言われる最強のホムンクルス部隊、低レベルの神の使徒や神程度なら余裕で屠ることができるとヴァパリア黎明結社開発部門(アノニマス)所属のロンドという執事が言っていた通り、【物理無効】、【衝撃無効】、【魔法無効】、【状態異常無効】、【即死無効】【因果無効】の無効尽くしで、【全属性魔法】、【無限の魔力】、【分解のオーラ】、【瞬間移動】、【擬似限界突破】といったどこぞの神の使徒が持っていそうな強力無比なチートスキルを数多く所有する。その上、これが量産兵器だっていうんだからタチが悪いよねぇ。

 まさかに、『文学少年召喚』という世界の危険さを象徴する存在だよ……まあ、この前に超帝国の大将軍様がいるせいでインパクトは薄れやすいんだけど。


 さて、能因草子は即死耐性貫通即死っていう反則技でねじ伏せたけど、ボクにはそんなものは使えないからねぇ。


「渡辺流奥義・颶風鬼砕! 桃郷一刀流奥義・浄土桃斬! 千羽鬼殺流奥義・北辰! 外活闘気全開!!」


 あまりにもボクとの相性が悪い敵だし一発で決めることにした。


 鋭い風の刃をイメージした霊力を武器に宿し、勢いよく抜刀して横薙ぎすると同時に爆発させて周囲全てを斬り捨てる渡辺流の奥義と浄化の性質が付与された霊力を纏わせた武器で斬撃を放つ桃郷流の奥義と善悪や真理をよく見通し、国土を守護し、災難を排除し、正邪を見極め、敵を退け、病を排除し、また人の寿命を延ばす福徳ある面と、それが邪であれば寿命を絶ち斬る面の二つの顔を持つ菩薩の名を関する通り、斬りたいものを斬り、斬りたくないものは斬らないという斬るものを選別する桃郷一刀流の奥義を両立させた上で、治癒闘気を流し込むという欲張り技に相応しい高難易度のコンボ技なんだけど、効果があったみたいでフルゴル・エクエス二体を討伐することはできたみたいだねぇ……一体には運良く逃げられたみたいだけど。


「おっ……とと、危ないねぇ!」


 【分解のオーラ】を纏わせた大剣で大振りの斬撃を繰り出してくるフルゴル・エクエスの攻撃を躱し、【錬成・山津波】で足元を固めた……よし、魔法じゃないから効果があるみたいだねぇ。


吸血姫ヴァンパイアプリンセス固有技能スペシフィック・アビリティ・吸血姫の翼」


 蝙蝠のような翼を背中から生やして飛行を可能にする吸血鬼と吸血姫、その上位個体のみが持つ固有技能で空を飛んで距離を取り――。


「【黄金錬成】!!」


 超高温・超高圧によって引き起こされる核融合によって元素変換を行い、金を作り出す大量の魔力を使用する錬成術を雑にぶっ飛ばして最後のフルゴル・エクエスを撃破……うん、できるんだねぇ、錬金術でフルゴル・エクエス討伐。……なんか、思っていたより討伐簡単にできて拍子抜けだった。


 【万物創造】で作り出した再使用規制時間(リキャストタイム)を無効化する時計を叩き割ると、ボクは新たに出現した扉を潜って次のステージに進んだ。



 四戦目の舞台は純白の大部屋が広がっていた。確か、バラシャクシュ遺跡のボスの間だよねぇ。


 目の前に小さな立方体が現れ、瞬く間に八本足の機動要塞を作り上げる。……やっぱり、四戦目の相手は機動要塞エレシュキガル・データか。


-----------------------------------------------

機動要塞エレシュキガル・データ

HP:9999999/9999999

-----------------------------------------------


 それと同時に、ボクの頭上にもHPバーが表示される。……えっ、ここまで準拠なの?


-----------------------------------------------

ATTENTION

 このAR空間でHPが0になった場合、部屋の外に転送されます。一度敗北後、一時間は再挑戦できません。

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 部屋の外……ってどこ? まさか、フルゴル・エクエス戦に逆戻り? まあ、勝てばいいんだけどねぇ、勝てば。


「【黄金編成】!! 過剰殺傷を付与する者オーバーキリング・エンチャート!」


 【黄金編成】で発生させた膨大なエネルギーを『漆黒魔剣ブラッドリリー』に吸収さて、ボクの身体を膨大なエネルギーが満たした。


 付与術師系四次元職の極大付加術師の奥義とも言える特技で自身のHPを上回る大規模な物理以外の攻撃を一度だけ無効化し、その威力分攻撃力を上昇させるというもの。

 実際に今の【黄金編成】ではリーリエの全HPを削ることはできないんだけど……不思議のダンジョンで獲得した削命薬と呼ばれるHPを削るクズ薬を消費してHPをギリギリまで減らし、その条件を満たした……まあ、明らかにズルだねぇ。


極技・終焉波動剣エターナル・ハイウェイヴ・ソード!!」


 そして、イベント職の剣聖が習得する最上級のバフ特技で物理攻撃力とクリティカルを特大上昇させ――。


 機動要塞エレシュキガル・データが広範囲に超重力の断層を作り出し、射線上にあるあらゆるものを押し潰す超重力を生み出す歪曲(イシュタル)を起動し、赤い光を膨大に収束させているのを確認し、「吸血姫の翼」を発動すると機動要塞エレシュキガル・データの頭上に移動――砲台から赤い光が発射された瞬間に素早く範囲から逃れて機動要塞エレシュキガル・データに砲撃を命中させた。


虚空ヨリ降リ注グ(アメノム)真ナル神意ノ劒(ラクモ)


 そして、超重力を生み出す歪曲(イシュタル)によって動きを封じられている機動要塞エレシュキガル・データに侍系四次元職の征夷侍大将軍の奥義を発動し、刃渡り百メートルを優に超える巨大な剣を顕現して降らせ、あっという間に機動要塞エレシュキガル・データのHPバーを吹き飛ばした。

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