表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

431/550

アリス-ザ・ワンダーランド・ガール〜絶対女王な七賢者〜 その1

 異世界生活百六十三日目 場所超帝国マハーシュバラ、超皇帝宮殿キャッスル・マヘーシュバラ


龍神装(デウス・オーソリティ)――絶対王政(レガリア)


 対〈装甲祥瑞エクイプメント・ファンタズマル〉の奥の手――絶対王政(レガリア)を発動したが……やっぱりインフィニットは一筋縄ではいかないな。

 絶対王政(レガリア)の発動前に〈装甲祥瑞エクイプメント・ファンタズマル・テューポーン〉を解除したインフィニットが雷切丸を鞘に戻し、一気に距離を詰めてくる。


「【戦陣・断崖】」


 ダメ元で〈レヴィアタン〉の装甲を切り離して飛ばしつつ〈レヴィアタン〉を虚数空間に保管し、代わりにエルダーワンドを取り出し刀剣に変形させる。


 やはり、絶対切断で呆気なく装甲はぶった斬られた。……本当に滅茶苦茶だよな、この超越技。

 クーロン引力を斥力に変換するとか、クーロン引力を中和して斥力のみを有効化するとか、こんにゃく以外は切れるといいながら他のものでも案外両断に失敗している斬鉄剣とかみたいな素の切れ味とかじゃなくて文字通りあらゆる耐性を貫通して全宇宙、全世界線、全パラレルワールドに存在するその対象を切り裂くっていう完全に討伐が面倒な多次元偏在存在を効率よくぶっ殺すっていう直球ストレートで効率重視で短気なインフィニットらしさが詰め込まれた反則級の必殺技……他の超越技に比べたら単純な方だけど、だからこそ恐ろしい。


「――抜刀刹那!」


 エルダーワンドを右腕で背中に構え、左手で刃を押さえ極限まで力を溜めてから剣を振るう。

 横一閃で雷切丸の刀身を吹き飛ばし、そのまま【究極挙動】で袈裟斬りを浴びせるが――。


「顕現し、我が掌中に収まれ、雷切丸」


 前世感応板(パスト・ウェポン)から二本目の雷切丸を顕現したインフィニットの横薙ぎがエルダーワンドを両断した。

 そのまま雷切丸を振りかざすインフィニット……ってか、今更だけどインフィニットって剣技の流派、何流なんだろう? ……もしや、我流?


「我を守る盾となれ! エルダーワンド、盾形態!!」


 エルダーワンドを盾へと変化させ、視界を塞ぎつつ場所を移動したことで、一撃必殺の斬撃を間一髪のところで躱す。

 しかし、インフィニット……やはり強い。絶対切断があるから鍔迫り合いはできないし、一度でもインフィニットの剣に触れれば切り裂かれる。

 剣を当てることもできない上に、向こうの攻撃は全て一斬必殺……これってどう対処しろって話だよね。やっぱり属性攻撃を遠距離から仕掛けるのが一番王道かな?


 まあ、天邪鬼な俺はそんな王道を真っ向無視するんだけどさ。


「神樹界降誕」


 神・樹●降誕みたいな名前だが、その実態は莫大な魔力を与えられたエルダーワンドの原材料――神樹(エルダーツリー)の急成長である。

 両断された刀身……ではなく、残った方の短くなったエルダーワンドに莫大な魔力を与え、一瞬にして樹海と形容せずにはいられない大森林を結界の中に生み出した。


「絶対切断、絶対切断……ちっ、貴様らしい姑息で面倒な技だ」


 流石のインフィニットも憎まれ口を叩くくらいしかできないようだ。絶対切断は問題なく機能して神樹(エルダーツリー)を切り裂いているが、それを上回る速度で神樹(エルダーツリー)が急成長を遂げている。

 というか、今の姑息って「一時の間に合わせにすること。また、そのさま。一時のがれ。その場しのぎ」の方か誤用の「ひきょうなさま、正々堂々と取り組まないさま」の方かどっちなんだろう? いや、確かに時間稼ぎとしては充分に機能しているし、枝折って新しいエルダーワンドも作ったから一時の間に合わせであることも間違いではないんだけど、明らかに神樹(エルダーツリー)の増殖を食い止められていないし、これ一つで沈められそうだから「一時の間に合わせにすること。また、そのさま。一時のがれ。その場しのぎ」は当てはまらないんだよね。

 となると、「ひきょうなさま、正々堂々と取り組まないさま」の誤用な方かな? 文化庁が発表した平成22年度「国語に関する世論調査」では、「姑息な手段」を、「一時しのぎ」の意味で使う人が15.0パーセント、「ひきょうな」の意味で使う人が70.9パーセントという結果が出ているから誤用の方が大多数なんだけどさ。しかもインフィニットは転移者(トラベラー)である前に未来人らしいからこの誤用の方が一般化している可能性も十分に考えられるし。


「――concasser(コンカッセ)


 最後まで抗うも結局神樹(エルダーツリー)に呑み込まれ、【色慾ト淫魔之魔神】の効果でHPを吸収されているインフィニットに容赦なく斬撃を浴びせる。

 こうして、自由諸侯同盟ヴルヴォタット時代から続く超帝国マハーシュバラとの戦いは目に見える形で幕を下ろしたのだった。



 異世界生活百六十三日目 場所超帝国マハーシュバラ、超皇帝宮殿キャッスル・マヘーシュバラ


 超皇帝シヴァ達に勝利した。後は諸々の戦後処理や国家同盟への臨時議会開催の依頼……と行きたいところだったが、どうやらそうも言っていられないらしい。


「随分楽しそうなことをしていたようね。あたしも混ぜてもらえないかしら?」


 ウェーブのかかった金髪、青いリボンのカチューチャ、青い瞳、青のワンピースに白のエプロンドレス、縞模様のニーソックスに黒い靴を履いた牙を持つ少女……その姿を見て背筋が凍るような恐怖を感じたのは、どうやら俺だけだったらしい。


-----------------------------------------------

NAME:アリス-ザ・ワンダーランド・ガール AGE:16歳

LEVEL:99999999(DESPERADO)

HP:99999999/99999999(+9999999999999)

MP99999999/99999999(+9999999999999)

STR:99999999(+9999999999999)

DEX:99999999(+9999999999999)

INT:99999999(+9999999999999)

CON:99999999(+9999999999999)

APP:99999999(+9999999999999)

POW:99999999(+9999999999999)

LUCK:99999999(+9999999999999)


JOB:黎明結社メンバー


TITLE:【人間にも魔族にも見捨てられた者】、【不思議の国のアリス】、【絶対女王】、【お茶会を楽しむ者】、【エプロンドレスが最も似合う少女】、【ヴァパリア黎明結社七賢者】、【超越者(デスペラード)の領域に至りし者】、【ハートと赤の女王】、【絶対女王】、【礼儀知らずを相手にしない者】


SKILL

【物理無効】LEVEL:MAX(限界突破)

→物理を無効にするよ! 【物理耐性】の上位互換だよ!

【衝撃無効】LEVEL:MAX(限界突破)

→衝撃を無効にするよ! 【衝撃耐性】の上位互換だよ!

【魔法無効】LEVEL:MAX(限界突破)

→魔法を無効にするよ! 【魔法耐性】の上位互換だよ!

【状態異常無効】LEVEL:MAX(限界突破)

→全ての状態異常を無効にするよ! 【状態異常耐性】の上位互換だよ!

【即死無効】LEVEL:MAX(限界突破)

→即死を無効化するよ! 【即死耐性】の上位互換だよ!

【因果無効】LEVEL:MAX(限界突破)

→因果干渉を無効化するよ! 【因果耐性】の上位互換だよ!

【クライヴァルト語】LEVEL:MAX(限界突破)

→クライヴァルト語を習得するよ!

【ミンティス国】LEVEL:MAX(限界突破)

→ミンティス語を習得するよ!

【マハーシュバラ語】LEVEL:MAX(限界突破)

→マハーシュバラ語を習得するよ!

【ジュドヴァ=ノーヴェ語】LEVEL:MAX(限界突破)

→ジュドヴァ=ノーヴェ語を習得するよ!

【エルフ語】LEVEL:MAX(限界突破)

→エルフ語を習得するよ!

【ドワーフ語】LEVEL:MAX(限界突破)

→ドワーフ語を習得するよ!

【獣人第一共通語】LEVEL:MAX(限界突破)

→獣人第一共通語を習得するよ!

【獣人第二共通語】LEVEL:MAX(限界突破)

→獣人第二共通語を習得するよ!

【海棲語】LEVEL:MAX(限界突破)

→海棲語を習得するよ!

【ヴァパリア黎明結社共通語】LEVEL:MAX(限界突破)

→ヴァパリア黎明結社共通語を習得するよ!

【掣肘覇潰】LEVEL:MAX(限界突破)

→圧倒的覇気で相手を威圧するよ! 【覇潰】と【掣肘】の上位互換だよ!

【気配察知】LEVEL:MAX(限界突破)

→気配察知が上手くなるよ!

【魔力察知】LEVEL:MAX(限界突破)

→魔力察知が上手くなるよ!

【熱源察知】LEVEL:MAX(限界突破)

→熱源察知が上手くなるよ!

【振動察知】LEVEL:MAX(限界突破)

→振動察知が上手くなるよ!

【危機感知】LEVEL:MAX(限界突破)

→危機感知が上手くなるよ!

【全マップ探査】LEVEL:MAX(限界突破)

→今居るマップ情報を完璧な状態で得るよ! 【空間把握】の上位互換だよ!

【神魔眼】LEVEL:MAX(限界突破)

→あらゆる視覚スキルの究極体だよ! 【視敵】、【俯瞰視】、【暗視】、【千里眼】、【照魔鏡の瞳】、【心眼】、【邪眼】、【魔眼】、【瞳術】、【透視】、【動体視力超化】、【看破】、【過去視】、【不確定未来視】の上位互換だよ!

【ワンダーランド】LEVEL:MAX(限界突破)

→ワンダーランドに招待するよ!


ITEM

不思議の国の(エプロン)ピナフォー(ドレス)

→ボディスと裾の広がったスカートとエプロンのセットだよ! ボディスとスカートは青色だよ!

此方と彼方を繋ぐ指輪(ゲート・リング)

→〝移動門(ゲート)〟の魔法が刻印されたアーティファクトだよ! 皇響夜(キョウヤ=スメラギ)と高槻斉人の共同作品だよ!

・黎明結社のペンダント

→ヴァパリア黎明結社のシンボルである六芒星に十字架を合わせた意匠のペンダントだよ!

-----------------------------------------------


「……おいおい、マジかよ。『不思議の国のアリス』って聞くと滅茶苦茶不吉な奴を思い出すんだけど……『戦闘描写がほとんど存在しない絶望的強者』で正真正銘の『チート』キャラ。会話が通じない、説得が通じない、頭に誇りしか詰まってない、の賢者の現身でありながら脳死プレイングするような奴だったからなんとか数名生存したけど、あれって勝利した訳じゃなくて処分された訳だから勝利方法が確立されていないんだよな。……そんなチートキャラの可能性がある奴がこのタイミングで出てくるの? いや、出てくるのならヴァパリア黎明結社との決戦辺りじゃないの?」


「あら、なかなか見所がありそうね、あなた。流石は【ヴァパリアに与える鉄槌】というところかしら? ……あなたには隠し通せそうにないから先に明かしてしまうと、あたしの超越技――絶対女王の錫杖〜礼儀知らずは相手にしない〜は自分の認めた者以外からのあらゆる干渉を無効化するというものだわ。これを攻略できたのはあたしの知る限りたった一人。例え多次元に偏在していて概念を殺すことで過去、現在、未来、異世界、すべてに置いてその機能を失わせたりできる即死チートでも、全て「存在」を思考によって創造し、見たものは存在の根底を破壊されると語られているアザトースであっても、多次元宇宙を創造した創造主やストーリーを内包する存在であったとしても、あたしが礼儀知らずであると思えば、その瞬間に一方的な蹂躙が可能になる。まあ、あたしにとってはほとんどの人が礼儀知らずだけどね。会話は通じるようにしているし、ステータスくらいは絶望を与えるために見せているけど、それ以外は許可を与えていないのだから、あたしを倒すことはできない」


 ああ、全作品で誰が強いとか言っているけど、クビハネさんには絶対に勝てないってのがこのアリスとかいう七賢者によって証明されちまった。……しかも、コイツ会話成立する時点で脳死プレイとか絶対にやらないだろ。

 そもそも配下のシャ●フリンはクビハネさんとセットで使ってこそ意味がある。……もし、トランプ達まで再現されるのなら、もう勝ち目はほとんどない。


 いや、コイツが最強って訳じゃないぞ。ただ、絶対に負けはあり得ないという点については最強だ。

 だが、そのアリスすらも恐らくヴァパリア黎明結社は倒すことができるのだろう……全く想像がつかないけど……その辺りがヴァパリア黎明結社の首魁ゼドゥーの攻略に繋がりそうだな。


 アリスは簡単に言えばヴァパリア黎明結社最強の盾ということなんだろう。もしかしたら、即死チートみたいな奴が最強の矛として君臨しているのかもしれない……あっ、絶対に詰みじゃん。まあ、対策はあるけどさ。


 とりあえず、このアリス自体はどうにか討伐できるか……ギリギリだな。かなりの確率で負ける。

 アリスの超越技に完全攻略の前例がない時点で明らかに俺の超越技との相性は最悪……となると、やっぱりアレに賭けるしかないか。


「部門長達に任せていた超帝国マハーシュバラの討伐が失敗したから無能共の尻拭いをするために来たのだけれど、気が変わったわ。超帝国マハーシュバラなんていつでも潰せる。でも、あたしの超越技を戦う前に見抜いたあなたは危険だわ。……超帝国マハーシュバラを倒す前にまずはあなたを倒してあげる。勿論、拒否権はないわよ?」


「いや、俺も正直そっちの方が都合がいいからな」


 ――俺がアリスの挑発に乗った瞬間、地面に穴が空いてその中に落ちたような錯覚に陥った。

 辿りついたのは赤と黒のチェックで彩られたどこまでも続く世界――ワンダーランド。


 アリスは……あっ、あんなところに。かなり距離がありそうだな。

 中心の黄金と赤、ハートで彩られた悪趣味な玉座に座って高いところからこっちを見下ろしている……お手並み拝見ってことか。


 ……しかし、このワンダーランド。耐性を無効化する効果があるのか……ただ、俺だけじゃなくてあちらさんにも大勢無効の効果があるみたいだし、卑怯だって言いにくいな。まあ、例えこちらだけ耐性無効だとしても言わないけどさ。


「さて、まずはあたしのところに辿り着いてみなさい。そうすれば戦ってあげるわ」


 アリスが指を鳴らすと同時にワンダーランドに激震が走る……さて、女王陛下(・・・・)の前にまずは取り巻きを倒しますか!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ