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魔王城にて③-魔王vsたった一人で殲滅大隊(勇者に非ず)-

 異世界生活百四十九日目 場所ジュドヴァ=ノーヴェ魔族王国、魔王都市ジュドヴァ、魔王城


「よくぞここまで辿り着いた。能因草子とその仲間達よ」


 ……うん、まさかと思ったけど普通に俺のことも知っていたな。まあ、ヘズティス達の口を封じなかった俺が悪いんだけどさ。

 そりゃ、上官に報告するよね? 報連相は基本中の基本だ。


-----------------------------------------------

NAME:エルヴァダロット・ダル=ノーヴェ

LEVEL:10000

HP:2500000/2500000

MP:2500000/2500000

STR:3000000

DEX:1000000

INT:3000000

CON:1000000

APP:65

POW:1000000

LUCK:700000


JOB: 魔王、死の支配者(オーバーロード)不死者の魔導師(エルダー・リッチ)大魔導師(アークウィザード)真・黒騎士(ネオ・ブラックナイト)


TITLE:【魔王】


SKILL

【片手剣理】LEVEL:2000

→片手剣の真髄を極めるよ! 【片手剣】の上位互換だよ!

【魔剣理】LEVEL:2000

→魔剣使いの真髄を極めるよ! 【魔剣術】の上位互換だよ!

【魔法剣理】LEVEL:2000

→魔法剣の真髄を極めるよ! 【魔法剣】の上位互換だよ!

【斬痕】LEVEL:2000

→空中に斬撃の跡を残すことができるよ!

【全属性魔法】LEVEL:2000

→全属性の魔法を使えるようになるよ!

【即死魔法】LEVEL:2000

→即死魔法を使えるようになるよ!

【魔王闇術】LEVEL:2000

→魔王闇術を使えるようになるよ!

【物理耐性】LEVEL:2000

→物理に対する耐性を得るよ!

【魔法耐性】LEVEL:2000

→魔法に対する耐性を得るよ!

【状態異常耐性】LEVEL:2000

→状態異常に対する耐性を得るよ!

【即死耐性】LEVEL:2000

→即死に対する耐性を得るよ!

【ジュドヴァ=ノーヴェ語】LEVEL:2000

→ジュドヴァ=ノーヴェ語を習得するよ!

【オールウェイズ・ワン】LEVEL:2000

→どんな攻撃でも必ずHPが一残るよ!

【掣肘】LEVEL:2000

→掣肘が上手くなるよ! 【威圧】の上位互換だよ!

【覇潰】LEVEL:2000

→覇潰が上手くなるよ! 【覇気】の上位互換だよ!

【絶望の波動】LEVEL:2000

→絶望の波動を放つよ! 【恐慌】の上位互換だよ!

【反魂】LEVEL:2000

→魔法の性質を反転させることができるよ!

【即死】LEVEL:2000

→敵を即死させるよ!

【アンデッド創造】LEVEL:2000

→アンデッドが創造できるよ!

【透焔】LEVEL:2000

→あらゆる障害を透過し目標だけを焼き尽くす焔を操るよ!

【支配の言霊】LEVEL:2000

→支配者の名の下に命令することで自分より格下の相手を支配することができるよ!

【魔力操作】LEVEL:2000

→魔力操作が上手くなるよ!

【魔力付与】LEVEL:2000

→魔力付与が上手くなるよ!

【魔力治癒】LEVEL:2000

→魔力を使って治癒ができるようになるよ!

【魔力制御】LEVEL:2000

→魔力制御が上手くなるよ!

【魔力吸収】LEVEL:2000

→魔力を吸収できるようになるよ! 【魔力回復】の上位互換だよ!

【再生】LEVEL:2000

→失った部位を再生できるようになるよ! 【体力回復】の上位互換だよ!

【魔王の六翼】LEVEL:2000

→六枚の黒くて大きな羽を自由自在に操るよ!


ITEM

・魔剣ガルフ=ナ=ダル=ノーヴェ

→ノーヴェ家に伝わる魔剣だよ!

魔王の黒甲冑メイル・オブ・イビルキング

→ ノーヴェ家に伝わる漆黒の甲冑だよ! マント付きだよ!

-----------------------------------------------


 ……うわ…………強そう。


「お初にお目に掛かります。能因草子と申します。白崎勇者パーティの取り巻きの一人ではありますが、今回は俺の事情で来たので俺がメイン判断されるのは当然? ……えっと、俺の目的はいくつかありますが、その内の一つは事が済んでから開示させて頂きます。――情報には鮮度というものがありますからね。事が終わってからならば大したものじゃなくても、今知られるとこちら側が不利になることもありますので。まあ、それに関してはエルヴァダロット様に格別何かを差し出せという話ではありませんので、必ずご了承を頂けると思っております」


「……ほほう」


 まあ、具体的に言えばエパドゥン遺跡に関する情報ということだ。ヴァパリア黎明結社の開発部門(アノニマス)の討伐が終わっていない今、迷宮の存在を知られれば面倒なことになる。


「こちらからの要求は現状二つ。一つは、魔族と人間の和解――といっても、別に国家同盟に入れと強制するつもりはありませんし、人間に隷属しろとは言いません。人間との不可侵条約を結んで互いに不干渉を貫くのも一つです。ただ、何かしらの目に見える形で人間と魔族の争いに終止符を打って頂きたいとは考えています。……まあ、ヴァルルス様辺りはエリシェラ学園の教育体制に興味をお持ちだったようなので、『魔族と人間が抗争をやめてヴァルルス様が本気で教育機関設立を目指すのならエリシェラ学園の学園長で現国家同盟議長のセリスティア様に紹介する』とお約束はしましたが、まあ無理でしょうね。人間と魔族の関係の亀裂は根深いですから」


「…………そんな約束をヴァルルスとしたのか。確かに報告によればエリシェラ学園は元々は貴族子女のための教育機関だったようだが、最近そのレベルが急激に上がり、人間側でも最高位の学術機関として知られているそうだ。……そして、草子はその立役者であるということだったか。……我々も一貴族の学び舎を最高位の学術機関まで育て上げた汝に力を借りたいところだが」


「まあ、あれはエリシェラ学園の学園長に【無詠唱魔法】と霊薬(エリクシル)の作り方を教えてもらう対価として渋々引き受けたという経緯がありますからね。少なくとも、今の魔族に当時の俺が求めていたほどの対価を用意することはできないかと。俺は切実な理由があって強くなりたい人に俺の力でも十分手助けができるのならお手伝い致しますが、余力のある国家などが更に飛躍するためなら、取り引きの相手として認識させて頂きます。まあ、エリシェラ学園やジュドヴァ=ノーヴェ魔族王国などはその取り引きの相手に分類されると……まあ、エリシェラ学園から教育機関の今後を考えたいというのであれば、人間ととっとと関係を改善して協力体制を築くことですね。まあ、俺からしたらどっちでもいいですが」


「フハハハ、これはとんでもない策士だな。そのために先行投資を、種を蒔いてきたということか。……一体どこまで考えて何手先まで読んで手を打っているのか……底が知れぬ男よの。……まあ、魔族を納得させるのは我の務めだ。それはそれとして……もう一つの目的はなんなのだ?」


「それは魔王――貴方様を倒すことです。といっても、これはあくまで形式的なもの。俺は魔王を倒したという結果が欲しいのです。魔族と人間の和解と魔王の討伐の実績――この二つが、結果として俺の真の目的の達成のための一歩となります。宰相の討伐も、筆頭枢機卿(カーディナル)の討伐も、魔王の討伐も、結社潰しも、古代文明の調査も、超帝国との敵対も、全ては俺が故郷に帰還するため。……実に馬鹿らしい話でしょう? 魔王を倒して世界を平和にするなんていう、勇者の大義名分ではない。――全ては私利私欲……理不尽にこの世界に召喚された本好きを拗らせた変態が願った、ただ元の世界に帰還したいという些細な、ちっぽけな願いを叶えるため。でも、まあ最初に俺をこのカオスな世界に招待したのは老害神(ヴォーダン)ですし、文句を言うならあれに言ってください」


「そうか……元の世界に帰るためか。しかし、召喚した者が何者か分かっているのなら、何故その存在を倒して元の世界に帰還しようとしない? 何故、その神に踊らされ、神に従って着実に神の指示の通りに動いているのだ? それは思考停止と同じではないのか?」


老害神(ヴォーダン)には老害神(ヴォーダン)なりの思惑があるでしょうね。もしかしたら、あの老害としての振る舞いも演技だったとすら思うようになりましたし。……ですが、神に抗うことだけが全てではないのですよ? 例え遠回りだとしても、それが長い目から見て正解なら神の掌で踊らされることもまた一興。まあ、老害神(ヴォーダン)に限っては神であるかどうかすら謎ですからね。俺の友人のミント様、オレガノ様、ウコン様、トリカブト様とは毛色の違う……まあ、陰謀論を考え出したらキリがありませんからね。それに、一応この世界のこともちゃんと考えているんですよ? 爺を説得して魔王の殺害を魔族と人間の和解と魔王の討伐の実績に変えて頂きましたし、殺害というのが許されざることなのは間違いないですが、確実に討伐によって住民達の生活が改善されていると思いますし、良い方向に向かっていると確信しています。まあ、俺の目に見えてないだけで、今なお苦しんでいる者もいるかもしれませんが、俺は全知全能でもなんでもないので全ての者を救うなんてことはできません。と、まあそんな感じです。俺には大義名分なんてものはない、ただ俺が進むためには魔族と人間が争っていたら都合が悪いから争いをやめろと、ただそういう身勝手を言っているだけです。まあ、所詮はそれだけのことですよ」


「なるほど……傲慢なのか、それともただ捻くれているだけなのか。だが、結果的に汝と関わったことで人間や亜人種が良き方向に向かったというのは事実だろう。理由などに興味はない。我はただそれによって得られる結果だけを見て、魔族と人間が和解できるよう尽力するとしよう」


 よし、とりあえず第一段階は終了か。


「では、勝負を始めよう。――勿論、手加減はせぬぞ」


「手加減をされたら魔王との勝負になりませんからね。――エンリ!」


【――システム起動。《神代空間魔法・夢世結界》の発動、完了しました。耐性及び無効スキルの無効化、超越者(デスペラード)の優位性無効化、HPゲージの表示完了しました】


 中空に画面が生まれ、エンリの姿が映し出される。


「〝新星爆発ヴァーミリオン・ノヴァ〟」


 おっ、先制攻撃はいきなり【魔王闇術】か。ぶっ飛ばしてくるな。――だが。


「〝全ての魔法を粉砕せよ〟――〝マジカル・デモリッション〟」


 鈍色の魔法陣が〝新星爆発ヴァーミリオン・ノヴァ〟を粉砕する。

 と、同時に【主我主義的な創造主】でインスタント聖剣とインスタント魔剣を生成――翼を広げるように構える。


「…………聖剣と魔剣か。ハッタリではないようだな」


「さあ、それはどうでしょうね。〝白の霹靂クリューエル・ホワイト〟!!」


「――何!?」


 白き神の怒りで全てを焼きつくす究極の雷魔法――【魔王闇術】の一つを発動する。

 向こうからしてみれば予想外の攻撃だった訳だが、普通に避けられてしまった……命中精度が悪いな。


「まさか【魔王闇術】を使うとはな。……もしや、勇者固有技や魔王固有技も使うのか?」


「さあ、どうでしょうね?」


「……これは結構な苦戦を強いられそうだな。【透焔】!!」


 あらゆる障害を透過し目標だけを焼き尽くす焔……エ●ヒもそんなん使っていたな。


「――【法則ト靈氣之神】!!」


 だが、炎である以上【法則ト靈氣之神】に逆らうことはできない。あらゆる障害を透過し目標だけを焼き尽くす焔であっても、俺に命中する前に霧散する。


「ならばこれならどうだ!! 【魔王の六翼-Mastema-】」


 うへぇ……羽三枚をスクリュー状にして放ってきやがった! ってか、パムさん!? 【魔王の六翼】ってもしかしなくても『四枚●黒くて大きな羽で戦うよ』だよね!!

 

「【魔王の六翼-Gungnir-】、【魔王の六翼-κωκυτός-】」


 ……で、一枚の密度を減らした羽を展開させて表面を超低温にすることで、徐々に付近の温度を下げることを狙いつつ、もう一枚を槍に変えて飛ばして貫通を狙う。

 一つの羽は残して防御に回すという完璧な作戦だけどさ……。


「【怠惰之魔神】」


 数十の不可視の黒手が羽を掴み、【魔王の六翼-Mastema-】、【魔王の六翼-Gungnir-】、【魔王の六翼-κωκυτός-】を完全に無効化する。


「【嫉妬之魔神】」


 そして、【魔王の六翼】を封印。


「…………どういうことだ? 【魔王の六翼-Mastema-】、【魔王の六翼-Gungnir-】、【魔王の六翼-κωκυτός-】が突如動きを止め、更に消滅するとは」


「一つだけアドバイスすると、魔王にも勇者にもその先ってものがある。俺が知る限り、白崎さん、レーゲン君、照次郎君、孝徳君しか辿り着いていない高みだな。今発動したのは覚醒魔王のスキル――怠惰と嫉妬だ」


「『『『――何!?』』』」


 あっ、やっぱり初耳だった?


『お、お父様……私、そんな話聞いたことがないわ』


「わ、我もだ。能因草子、一体何者なのだ? 何故、我ら以上に魔王について知る……いや、一体どこまで何を知っているというのだ?」


 別に大した話じゃないんだけどね。ただ気になったことは探求せずにはいられないだけであって。

 まあ、それが偶然実を結んで、セリスティアとか辺りに驚かれるんだけど。……あれだね、素人のラッキーパンチって奴だよ。


「んじゃ、そろそろ聖剣と魔剣も使うよ? 絶望の闇を宿す聖を滅する魔剣よ! その破壊的な願いを黒き常闇へと変え給え! 全ての光を塗り潰し、魔の者共に平穏を与え給え――《終焉を齎す常闇(アーマゲドン)》! 嗚呼、神よ! その慈悲を青き光へと変え給え! その御心の光を宿し、遍く邪悪を粉砕せよ。その光で全て暗雲を薙ぎ払い、この世を再び清浄にして聖浄なる地へと戻し給え! その慈悲の一撃を持って遍く罪科と原罪を赦し給え――《神威宿りし熾天の光(メタトロン)》!!」


「な、何!? 魔王固有技と勇者固有技の最高位の技を同時に使うだと!!」


「いや、どうせ折れちゃうし、なら一番強い技を使ったほうがいいよね?」


 おっ……それでもなんとか耐えたみたいだ。まあ風前の灯火(HP1)なんだけど。


「――絶望の闇を宿す聖を滅する魔剣よ! その破壊的な願いを黒き常闇へと変え給え! 全ての光を塗り潰し、魔の者共に平穏を与え給え――《終焉を齎す常闇(アーマゲドン)》!」


 あっ……やっぱり撃ってきたか。まあ、次ダメージを受けたら負けなんだし、順当な判断だよね。


「【生死流転】」


「――何!? 消えただと!!」


 はい、消えました。空間から指定した対象の存在を任意で消滅させることや出現させることが可能な【生死流転】。

 勿論、発動するのは《終焉を齎す常闇(アーマゲドン)》が抜け切るまで――当然、攻撃が終われば反撃をするために【生死流転】を解くんだけど。


 【生死流転】を解いた後もエルヴァダロットに俺は見えていないんだろうな。

 なんたって、【不可視之神】を使っているのだから。


「【超過ト霸極之神】――【傲慢ト成長之魔神】!! concasser(コンカッセ)


 と、こうして創作などでは勇者と魔王の激しい死闘として描かれるそれは、案外あっさりと終わりを告げたのだった。

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