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魔王城にて①-魔王軍四天王と魔王の娘 前篇-

 異世界生活百四十九日目 場所ジュドヴァ=ノーヴェ魔族王国、魔王都市ジュドヴァ


 魔王都市ジュドヴァは中心の魔王城と魔王城の森を挟んで四方にある北西区、北東区、南西区、南東区で構成されている。

 魔王城の庭と魔王城の森は直結し、魔王城の森を抜ければ窮山幽谷の四天王領、古都幽玄の四天王領、淫香大森の四天王領、豪雪凍土の四天王領に行くことができる。


 つまり、魔王都市ジュドヴァの四区を通ることなく魔王城に入ることができるということだ。……魔王都市ジュドヴァの住民に事情を説明をしなくていいし、街中で一触即発になるから都合がいい。


「後ちょっとで魔王城ですよ!」


「いや、雪乃さん。見えているし、セーフェル=イェツィラーも確認してくれているから言わなくても大丈夫だよ? とりあえず、魔王領巡りは俺が始めたことだし、基本的に四天王や魔王との戦いは全て俺が引き受けるから、聖さん達は対ヴァパリア黎明結社開発部門(アノニマス)用に対策を立てておいてくれ。……超越者(デスペラード)に至れなければただの足手纏いだけど、俺は聖さん達が超越者(デスペラード)に至るために必要なことは全てしたつもりだ。運命の鎖は追い詰められた時に偶然破壊できることもあるだろうし、今のところはそれに賭けるしかないな。……まあ、最悪の場合は魔王城の者達を連れて屋敷に逃げてくれ。あそこは結界があるから守られる筈だ」


「草子君……もし、草子君が危険になったら逃げてくれるんだよね?」


「ははは、白崎さんは心配性だな。やっぱりバグっただけのモブキャラは信用できないよな……大丈夫、自分の限界の見極めくらいはできるさ。俺はヴァパリア黎明結社の首魁を倒す前に死ぬつもりはないんでね」


 ヴァパリア黎明結社の首魁の【永劫回帰】を獲得して条件を満たす前に死ぬつもりはない。

 元より、この世界に来てから戦うのは格上ばかり。三魔獣、ユェン、インフィニット、フルゴル・エクエス、イヴ、カンパネラ、ダニッシュ――だが、そんな意味不明な連中と戦いながらも奇跡的に勝利をもぎ取ってここまで来た。俺は運がいいんだよね。……いや、そんな連中とばかり当たる訳だから運が悪いのか?


 魔導式駆動四輪《Liacdlac(リアクドラック) Organum(オルガノン)》を降りて亜空間に仕舞い、そのまま城門に向けて真っ直ぐ進む。

 魔族の兵士達が一斉にこちらに武器を向けた。……まあ、魔王城に来る人間なんてろくな奴がいないよな。……例えば、勇者とか? 確かにいるね。


「…………ここがどこかを理解しているのか? ニンゲン。……どうやら聖剣を持った勇者も四人いるようだな。魔王を害する意思のあるものを通すと思ったか? 例え命を懸けても貴様らをこの先には通さん」


「初めまして、能因草子と申します。まあ、確かに魔族の現体制を破壊しようと考えているという意味では危険人物ですね。それに、魔王城の結界を解いて回った訳ですし、魔族側からすれば見逃す訳にはいかないでしょう。例え、十人の魔王軍幹部との合意の上で模擬戦を行い、その上で結界の解除権を掴んだとしてもね」


「……何?」


 まあ、信じてもらえないよな。魔王の忠実な臣下である魔王軍幹部が果たして魔族と敵対する人間を通すのか? うん、俺は通さないと思うよ? というか、脅して解かせたと考えるのが普通だよね? そんなことモブキャラにできる訳ないのに??


「草子さんの言っていることは事実ですよ? なんなら私が保証しますわ――魔王軍四天王氷麗=スノーワイト=雪乃の名を懸けても構いませんわよ?」


「あ、貴女様は! 雪乃様、何故貴女がニンゲンなんかに!!」


「私も魔王様に用事があって参ったのですわ。私はかねてより全てのショタを愛でる旅に出るつもりでしたが、今回草子様の旅にご同行させて頂けることになったのですわ。……ただ、愛でることはできても氷漬けにはできませんが」


 ……いや、氷漬けにするのはアウトだと思うんだけど。俺も理由なく他人の趣味を否定するようなことはしないよ?

 そもそも俺も本好きを拗らせた変態っていう世間様が言うところの普通から見ればかなりの異端だからね。


「氷漬けにするのは駄目だと思いますが……なるほど、雪乃様はショタを愛でるために魔王軍をお抜けになるということですね」


「はい、退職届を提出しに参りました。私はショタのためなら魔王にも叛逆する全てのショタの味方ですからね! ……邪魔をするのであれば、皆殺しにしますよ?」


 うん、明らかに正義の味方が発する台詞じゃねえな。というか、やっていることも殺人だし。

 いや、これは魔王が可哀想だな……まあ、最近は魔王軍四天王でありながらも勇者との戦いには呼ばれないと、爪弾きにされていたみたいだし、「別に私がいなくても問題ないでしょう?」という雪乃の言葉にも納得できる……というか、共感する。

 俺もぼっちだからね……まあ、こいつの同類って一括りにされるのは甚く心外だけど。


「とりあえず、この十一枚の書状を魔王様に渡してきてくだされ」


「あっ、ならついでにこの退職届も」


「退職届は直接自分で渡しなさい。本来なら、二週間前までに提出しないといけない訳だし、自分で手渡すくらいの誠意は見せなさい」


「ええ……私って要らない子じゃないですか。居なくても問題ないですよね? それに、退職届は二週間前に出さないといけないルールは聞いたことありませんわ」


「あっ、それは俺が元いた世界のルールだから。まあ、俺も職についたことはないんだけどね。バイトしなくても大学に通う程度の財力はあるから……まあ、さほど裕福って訳じゃないけど」


 というか、そうじゃなかったら必要な研究資料のために古本屋を渡り歩いたりできないし。

 えっ? 職業経験? 異世界に来てから矢鱈してますが??


「…………分かりました。この書状を届けてきます。お前達、こいつらを見張っておけ!!」


 ってことで、恒例の待ち惚けタイム。ちなみに今回の読書は『詩と詩論』だ。春山行夫編集によるモダニズムの文学運動として出発した雑誌で主知主義を貫く反面、思想性、音楽性を否定し、北川冬彦や三好達治らと袂も分かったということで、三好達治の『雪』を研究するためには読んでおく必要のある資料の一つだと言える……まあ、読んだことがあるけど一応再読しておかないとね。忘れているところがあるかもしれないし。


「能因草子御一行様ですね。魔王様から許可が出ましたのでこのまま中にお進みください」


 ん? 今回は早いな。……ただ、兵士の魔族は苦虫を噛み潰したような表情をしているし、俺が招かねざる客だってことは変わらないんだろうけど。

 魔族の兵士に案内され、俺達は魔王城の中へと進む。……しかし、広い。ミント正教会の神殿宮以上の広大な土地に十二階建てというこちらも神殿宮以上の高さを誇っている。

 贅の尽くし方もミント正教会の神殿宮に負けず劣らず、どことなく怪しげな雰囲気を感じさせる精緻な彫刻やガーゴイルのような姿の像が設置されている。


「この先が大広間になります」


 どうやら玉座の間は大広間を抜けた先にあるらしい。魔王らしき反応もそこからする。

 では、何故俺達が大広間に通されたのか。


「ふっ…………ここがお前達の墓場だ。魔王軍最強の砦――魔王軍四天王の前で朽ち果てるがいい、ニンゲン!!」


 うわ……隠さずに言っちゃったよ!! いや、嫌われていることは知っているけどさ。隠れて北叟笑むんじゃなくて、直接言っちゃうってどんだけ正直なんだよ! しかも本願他力だし……『歎異鈔』?


「……それじゃあ、参りますか」


 扉を押し上け、中に入る。

 中にいたのは二人の魔族――梟を擬人化したような梟魔族と漆黒の鎧を身に纏った妖艶な見た目の……しかし、表情は真面目一辺倒な騎士の魔族。


-----------------------------------------------

NAME:オウロウ

LEVEL:1000

HP:600000/600000

MP:500000/500000

STR:550000

DEX:600000

INT:999999

CON:600000

APP:30

POW:600000

LUCK:60000


JOB:大魔導師(アークウィザード)


TITLE:【魔王軍四天王】、【智王】、【梟の魔人】


SKILL

【翼理】LEVEL:2000

→翼使いの真髄を極めるよ! 【翼術】の上位互換だよ!

【飛行】LEVEL:2000

→飛行が上手くなるよ!

【羽撃】LEVEL:2000

→羽を飛ばすのが上手くなるよ!

【全属性魔法】LEVEL:2000

→全属性の魔法を使えるようになるよ!

【水晶魔法】LEVEL:2000

→水晶魔法を使えるようになるよ! ユニークスキルだよ!

【複数魔法同時発動】LEVEL:2000

→複数の魔法を同時に発動できるよ!

【複合魔法】LEVEL:2000

→複数の属性の魔法を融合できるよ!

【魔法耐性】LEVEL:2000

→魔法に対する耐性を得るよ!

【ジュドヴァ=ノーヴェ語】LEVEL:2000

→ジュドヴァ=ノーヴェ語を習得するよ!

【掣肘】LEVEL:2000

→掣肘が上手くなるよ! 【威圧】の上位互換だよ!

【覇潰】LEVEL:2000

→覇潰が上手くなるよ! 【覇気】の上位互換だよ!

【魔力操作】LEVEL:2000

→魔力操作が上手くなるよ!

【魔力付与】LEVEL:2000

→魔力付与が上手くなるよ!

【魔力治癒】LEVEL:2000

→魔力を使って治癒ができるようになるよ!

【魔力制御】LEVEL:2000

→魔力制御が上手くなるよ!

【魔力吸収】LEVEL:2000

→魔力を吸収できるようになるよ! 【魔力回復】の上位互換だよ!

【再生】LEVEL:2000

→失った部位を再生できるようになるよ! 【体力回復】の上位互換だよ!


ITEM

・サルエルパンツ

→サルエルパンツだよ!

-----------------------------------------------


-----------------------------------------------

NAME:リーリス=ヴリュエッタ

LEVEL:1000

HP:700000/700000

MP:400000/400000

STR:1000000

DEX:1000000

INT:500

CON:1000000

APP:3000

POW:1000000

LUCK:3000


JOB:淫魔之王(サキュバス・クイーン)槍騎士(ランサー・ナイト)


TITLE:【魔王軍四天王】、【淫王】、【処女の淫魔】、【四角四面】、【騎士の中の騎士】


SKILL

【槍理】LEVEL:2000

→槍使いの真髄を極めるよ! 【槍術】の上位互換だよ!

【螺旋閃光槍穿】LEVEL:2000

→螺旋突きと閃光突きを合わせた突きで敵を穿つよ! 【螺旋槍撃】と【閃光槍撃】の上位互換だよ!

【魔法槍】 LEVEL:2000

→魔法槍が上手くなるよ!

【ジュドヴァ=ノーヴェ語】LEVEL:2000

→ジュドヴァ=ノーヴェ語を習得するよ!

【掣肘】LEVEL:2000

→掣肘が上手くなるよ! 【威圧】の上位互換だよ!

【覇潰】LEVEL:2000

→覇潰が上手くなるよ! 【覇気】の上位互換だよ!

【魔力操作】LEVEL:2000

→魔力操作が上手くなるよ!

【魔力付与】LEVEL:2000

→魔力付与が上手くなるよ!

【魔力治癒】LEVEL:2000

→魔力を使って治癒ができるようになるよ!

【魔力制御】LEVEL:2000

→魔力制御が上手くなるよ!

【魔力吸収】LEVEL:2000

→魔力を吸収できるようになるよ! 【魔力回復】の上位互換だよ!

【再生】LEVEL:2000

→失った部位を再生できるようになるよ! 【体力回復】の上位互換だよ!

淫魔の瞳(サキュバス・アイ)】LEVEL:1

→淫魔の瞳で相手を魅了してどんな相手も一瞬で落とすよ! 落とした相手を誰でもいいなりにできるよ! 【魅了】の上位互換だよ! サキュバス固有スキルだよ!

淫魔の吸収(サキュバス・ドレイン)】LEVEL:2000

→直接触れたものや自分の武器で触れたものから魔力と体力を吸収するよ! 【接触吸魔】と【接触吸勢】の上位互換だよ! サキュバス固有スキルだよ!

淫魔の幻惑(シェイプ・チェンジ)】LEVEL:1

→姿を偽装することができるよ! サキュバス固有スキルだよ!

淫魔王の命喰(エナジー・ドレイン)】LEVEL:1

→性行為を行った相手の命を奪うよ! サキュバス・クイーン固有スキルだよ!


ITEM

・魔槍ピサール

→禍々しい魔力が込められた魔槍だよ! 魔力を喰らうことができるよ!

・漆黒の鎧

→皮製の漆黒の鎧だよ! 露出はゼロに限りなく近いよ!

-----------------------------------------------


 なるほど……魔王軍四天王の【智王】と【淫王】か。

 というか、【淫王】って…………その人多分処女だけど?


 女は処女であるべきだとかいう処女厨じゃ勿論ないけど、淫魔(サキュバス)としてそれはありなのかと思うんだよね? というか、どう考えても淫魔(サキュバス)に向いてないし。

 普通の真面目で堅物な委員長タイプの騎士さんだ……うわ、ルールとかに厳しそうだな。俺の苦手な類だ。


「能因草子御一行様ですね」


「俺をメインにする意味が分からないけど、白崎勇者パーティ、雑用兼モブキャラの能因草子です」


 後ろから「どう考えても草子君がメインだよね!」と声が聞こえるが、聞かなかったことにした。


「私は魔王軍四天王とジュドヴァ=ノーヴェ魔族王国の宰相、魔王軍の参謀長をしております、【智王】のオウロウと申します」


「…………ニンゲンに名乗る名などないが、魔王様がお認めになられた者達だから仕方ない。私は魔王の娘アストリアリンド様の近衛で魔王軍四天王の【淫王】リーリス=ヴリュエッタだ!」


「……これ、役職とか肩書きとか言わないといけない奴? 初めまして、国家同盟の相談役とエリシェラ学園の客員教授を何故か任されております、バグったモブキャラの自宅警備員(ひきにーと)の能因草子です。…………うん、言ってて悲しくなってきた」


 俺ってろくな肩書きないよな。まあ、所詮は本好きを拗らせた変態のモブキャラだからね。


「書状の内容は確認させて頂きました。草子様の目的は現魔王様の体制を破壊することにあると……」


「まあ、そうなりますね。俺は諸事情により魔王を殺さないといけなかった訳ですが、殺戮を繰り返す【強奪】使いの宰相や、神を召喚し兵器へと改造して世界征服を狙うミント正教会の筆頭枢機卿(カーディナル)のような倒す大義名分がある方だとは思えません。寧ろ、善政を敷いている希代稀に見る名君だと思っております。……痴呆を拗らせた老害神はどうせ魔族の親玉だからとカオスの一つとして加えたのでしょう。……ですが、現魔王様を倒したところで人間と魔族の関係が修復されることはありません。勇者が魔王を倒して全てが解決するのは創作の世界――それも初期だけです。戦いによって生じた被害――戦いによって破壊されたものはどうするのか? 取るに足らない些細なこととして処理するのか? そんなことは不可能です。それに、魔王という魔族の頭を潰したとなれば、そこから始まるのは君主の存在しない統制など関係ないとばかりの泥仕合……いや、泥戦争。第二第三の魔王が即位するでしょうし、もし魔王がカオスの一つであるというのであれば、際限なく戦い続けなくてはなりません。ジュドヴァ=ノーヴェ魔族王国そのものがカオスであるというのであれば魔族の殲滅……いや、勿論俺が願いを叶えるためなら人間だろうと魔族だろうと全ての命を踏み躙ってでも前に進む覚悟はありますよ? ただ、それはあくまで最終手段です。なので、俺が求めるのは魔族と人間の和解……別に国家同盟に入れと強制するつもりはありませんし、人間に隷属しろとは言いません。ただ、何かしらの目に見える形で人間と魔族の争いに終止符を打って頂きたいとは考えています。それとは別に魔王様とはこれまで魔王軍幹部と戦った時のように模擬戦をした上で勝利したという実績を掴みたいとは思っていますが。……ちなみに、国家同盟は俺が相談役、議長はエリシェラ学園のセリスティア学園長が務めておりますが、現状人間と亜人種のどちらかが優位という訳ではなく、完全な平等を目指しています。まあ、未だに亜人種を奴隷にして売り捌く組織なんかがあるみたいですけど、近々有力な冒険者と各国の軍を合わせて奴隷商組織の一斉摘発と撲滅を始めるようでして……まあ、こちら側は少なくとも魔族との関係も良好にできるよう尽力させて頂きたいとは思っています。まあ、直接各国の首脳陣に確認を取った訳でもありませんし、俺にそんな権限はありませんが、俺が魔族の国に行くという時点でこの展開を読んでいた可能性は高いでしょうから特に問題はないかと」


「…………なるほど。そのために魔王軍幹部との戦いを含めて死傷者を出さず、寧ろ我々魔族にとってはプラスになること――草子様にとっては一見すると何の利もないことを続けていたという訳ですね。全ては魔族と人間を和解させるために。――やはり聞いていた通りのお方のようです」


「いや、最後はこの世界の者達が選ぶべきとですし、種を蒔いてもそれが実をつけるかどうかは分かりませんよ。それに、俺はただ自分にできる力があるのに、それを行使しないことを、全力を尽くさないことに違和感を覚えますから……まあ、だからといって全てのものにそれを強制するつもりはありませんよ。それが俺――能因草子という人間の生き方という訳です」


 まあ、大袈裟に言っているけど大したことはない。

 ただできることをする――それだけの実に簡単なことだ。まあ、モブキャラにできることは限られているしね。


「…………分かりました。ですが、我らは魔王軍四天王――魔王様を守る最後の砦。ここから先に通すことはできません」


「確かに能因草子――貴方は他のニンゲンとは違うのかもしれません。その性格にも好感が持てます。……ですが、魔王軍四天王の一人としてここから先に通す訳には参りません」


 うん、そうなると思っていたよ。この部屋に入った瞬間から、この二人と戦う覚悟は決めていたし。


『ちょっと待った!!』


 そして、この二人だけで終わらないことにも気づいていたよ? 俺のセーフェル=イェツィラーは優秀なんでね。


「……お父様を倒しに行くのなら、私を倒してから行きなさい!!」


「「――アストリア様!?」」


 あっ……二人は気づいていなかったっぽいな。


-----------------------------------------------

NAME:アストリアリンド・ダル=ノーヴェ

LEVEL:600

HP:300000/300000

MP:400000/400000

STR:300000

DEX:300000

INT:999

CON:300000

APP:530

POW:300000

LUCK:300


JOB:魔王の娘、暗黒騎士(ダークナイト)黒騎士(ブラックナイト)大魔導師(アークウィザード)


TITLE:【魔王の娘】


SKILL

【片手剣理】LEVEL:150

→片手剣の真髄を極めるよ! 【片手剣】の上位互換だよ!

【魔剣理】LEVEL:150

→魔剣使いの真髄を極めるよ! 【魔剣術】の上位互換だよ!

【魔法剣理】LEVEL:150

→魔法剣の真髄を極めるよ! 【魔法剣】の上位互換だよ!

【闇刃】LEVEL:150

→闇刃が上手くなるよ!

【全属性魔法】LEVEL:150

→全属性の魔法を使えるようになるよ!

【状態異常耐性】LEVEL:150

→状態異常に対する耐性を得るよ!

【即死耐性】LEVEL:150

→即死に対する耐性を得るよ!

【ジュドヴァ=ノーヴェ語】LEVEL:1000

→ジュドヴァ=ノーヴェ語を習得するよ!

【神速縮地】LEVEL:150

→神速の領域に至った速度で相手と距離を詰めるよ! 【迅雷縮地】の上位互換だよ!

【重縮地】LEVEL:150

→【縮地】を連続で行えるよ!

【掣肘】LEVEL:150

→掣肘が上手くなるよ! 【威圧】の上位互換だよ!

【覇潰】LEVEL:150

→覇潰が上手くなるよ! 【覇気】の上位互換だよ!

【魔力操作】LEVEL:150

→魔力操作が上手くなるよ!

【魔力付与】LEVEL:150

→魔力付与が上手くなるよ!

【魔力治癒】LEVEL:150

→魔力を使って治癒ができるようになるよ!

【魔力制御】LEVEL:150

→魔力制御が上手くなるよ!

【魔力吸収】LEVEL:150

→魔力を吸収できるようになるよ! 【魔力回復】の上位互換だよ!

【再生】LEVEL:150

→失った部位を再生できるようになるよ! 【体力回復】の上位互換だよ!

【暗黒】LEVEL:150

→HPと引き換えに攻撃力を上げるよ!


ITEM

・魔剣アストリア

→アストリアリンドが生まれた日に打たれた魔剣だよ!

魔王娘の漆黒正装(ゴシック・ドレス)

→闇属性の魔法の威力が上昇する効果のある特別な糸で紡がれたプリンセスラインのドレスだよ! 動き辛いよ!

-----------------------------------------------


 魔王の娘――次期魔王のお姫様か。

 しかし、随分父親想いのお嬢さんだな。……ただ、お姫様。次期魔王――次世代を担う者が敵との真っ只中に出てくるのはどうかと思うぞ?


「アストリア様……次期魔王である貴女様がこの場に出てくるのは」


「私は魔王なんか継ぎたくないわ! 私は魔王城を出て外の世界を旅する。……確かにお父様とは同じ城にいながらも世間の親子みたいな関係になったことはない。でも、たった一人の肉親なのよ! そんなお父様を倒そうとしているニンゲンがいる……私がここで戦わなくて誰が戦うのよ!!」


 う〜ん、複雑な家庭環境みたいだな。部外者の俺にはよく分からないけど。

 魔王妃様は既に亡くなっているらしく、このお姫様にとっては父親の魔王が唯一の家族……だから決して失いたくない。一人になりたくない……そういうことなんだろう。


「アストリア様だっけ? 部外者の口から言っていいことじゃないと思うけど、継ぎたくないなら別に魔王を継がなくてもいいんじゃないかな? 世界を自由に旅をしたいなら、そうすればいい。この世は自由であるべきだと俺は思うよ。確かに難しいかもしれないけど、だからと言って家や立場に縛られて一生自分のやりたいことをできないってのは人生つまらないと俺の価値観では思うからね。いや、それを押し付けることはしないよ? 一人一人価値観がある訳だから」


「…………貴方、夜華ちゃんみたいなことを言うんだね」


「……その夜華ちゃんってのはアストリア様にとってどんな存在なんだ?」


「夜華ちゃんは初めて私の願いを肯定してくれた唯一無二の親友よ!」


 全く……なんでこのカオスな世界は腐っているんだろうね?

 フィードの件と言い、なんか作為的なものを感じるな……まあ、それがヴァパリア黎明結社っていう組織のやり方なのかもしれないけど。


「じゃあ、アストリア様を含めて三人……というか、雪乃さんを含めて四人vs俺でいいよ」


「えっ……なんで私が魔王なんかのために?」


「おいおい、お前も魔王軍四天王だろう? 四天王の最後のお勤めとして魔王を倒そうとする不埒な人間と戦うくらいの誠意を見せろよ」


 ほら、三人とも「うんうん」って首を縦に振っているよ。


「…………全く勝てる気がしないですが、こうなれば仕方ありません! 魔王軍四天王【氷王】の氷麗=スノーワイト=雪乃、全力を持ってお相手致します!!」


 さあ、始めよう。――勝負だ、魔王軍四天王!!

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