男と女が一緒に食事に行くことが全てデートだと決まっている訳ではないのだが何故デートだと決めつけてしまうのだろうか?
異世界生活百四十三日目 場所ジュドヴァ=ノーヴェ魔族王国? 悪堕ち魔法少女の結界内
《●ktavia_V●n_Seckend●rff》との戦闘の舞台を彷彿とさせるコンサート会場のような結界の中ではヴァイオリンではなく荘厳なパイプオルガンが中心となり、音楽を奏でている。
「ようこそ、血飛沫が舞うコンサートへ。それでは、始めましょうか」
巨大なパイプオルガン――奏音の堕魔《organ》を弾く奏音の堕魔の使い魔が演奏を止め、指揮者の奏音の堕魔の使い魔が指揮棒を振った瞬間――全く別の曲調の曲がコンサートホールの結界に響き渡った。
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NAME:奏音の堕魔《organ》
LEVEL:1000
HP:90000000/90000000
ΣΑ:10000000/10000000
STR:0
DEX:0
INT:0
CON: 10000000
APP:0
POW:10000000
LUCK:10000000
SKILL
【奏音の堕魔の呪法】LEVEL:999999999
→奏音の堕魔の呪法だよ!
ITEM
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NAME:奏音の堕魔の使い魔
LEVEL:100
HP:100000/100000
ΣΑ:100000/100000
STR:100000
DEX:100000
INT:1000000
CON:100000
APP:100
POW:100000
LUCK:100000
SKILL
【楽器理】LEVEL:9999
→楽器使いの真髄を極めるよ!
【演奏技理】LEVEL:9999
→演奏技術を極めるよ!
【共鳴】LEVEL:9999
→同じスキルを持つ者同士がいる時と音楽系のスキルが発動している時にステータスが上昇するよ!
【共振破壊】LEVEL:9999
→対象物に対して段階的に振動数を上げていって共振した対象を破壊するよ!
ITEM
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「では軽いジャブといきましょう。硬質旋律」
魔法少女シンフォニアが中空からヴァイオリンが、実体のある旋律を紡ぎ出す。
「……なかなかやりますね」
ちっ、【殺気圏ノ王】で殺気を空中に刻み込んでいたことに気づいたか。
まあ、この程度バレたところで何の問題にもならないけど。
しかしこのBGM、耳障りだな。なんというか、力が抜けていくような。
「さて、そろそろ効いてきた頃でしょうか? 〈Ballata lenta〉による敏捷の低下と〈Notturno di indebolimento〉によるステータス低下が」
……【状態異常無効】で無効化されていますが。
「それでは、こちらも参りましょう。〈Grave〉、〈Allegro〉、〈Vivace〉、〈Prestissimo〉、〈grandioso〉――〈ffff〉」
重々しく、快速に・陽気に、活発に、非常に急速に、壮大に――buffを発動してから、ffffを込めた拳を振るってきたか……しかも命中と同時に大音響を響かせる仕様らしい……マジで。
【転移ノ王】を発動して回避――そのまま糸を張り巡らせ。
「Le Théâtre du Grand-Guignol/glacer flamme」
張り巡らせた極細の【粘鋼撚糸】に【法則之神】で凍冷焔華を纏わせ、攻撃に繰り出す。
奏音の堕魔の使い魔を六体ほど破壊し、奏音の堕魔《organ》を凍結させた。
「【魔法剣・闇纏】」
「Envelopper avec les ténèbres/Fente innombrable pleine lune」
エルダーワンドを変形させ、【魔法剣理】で闇を纏わせ、複数の円を描いた後に巨大な円を描き、その中心を突く。
無数の切っ先が動きの封じられた奏音の堕魔《organ》を破壊した。
「【貪食ト銷魂之神】ッ!!」
ふう、ご馳走様。……しかし、まだ食い切れないくらい大量の使い魔がいるな。
まあ、使い魔連中は飯の材料にするとして――。
「焼き尽くされよ! 〈煌閃束放〉」
【水操作】を使って凸レンズ状の水を生成し、そこに向かって【光操作】でシャーペンの芯ほどまでに収束した光を放つ。
使い魔の急所のみを的確に穿ち、確実に絶命させた。
「〝距離に隔てられし世界を繋ぎたまえ〟――〝移動門〟」
使い魔達を異空間に放り込み、魔法少女シンフォニアと正対する。
さあ、決戦やー!!
「――〈sfz〉」
先制攻撃――人体を内部から破壊する特殊な音を放ってきたか。
「【法則ト靈氣之神】」
しかし凶悪な効果を持つ音といっても所詮は空気を伝わる振動――その空気を支配できるスキルを発動すれば容易に対処ができる。
さて……折角だから新しい技を試してみるか。
「指鉄砲・神威」
神威を人差し指に集め、弾丸として射出する。
鬼●郎やおも●ゃの銃をモデルに作った技だが、はてさてどれほどのものか。
「――〈ffff〉」
ほほう、収束せずに爆音を響かせることで発生させた衝撃波で指鉄砲を消しとばしたか。
【法則ト靈氣之神】で打ち消してもいいんだけど、もうちょっと見せてもらおう。
「指鉄砲・魔弾」
今度の神威を魔力に変えて放ってみた。色は白かった神威の時と正反対のどす黒い感じだった……俺の魔力がドス黒いっていいたいのかな?
「――〈ffff〉」
ちっ、また弾かれたか。しかも少しずつこっちに近づいてきているし。
「指鉄砲・妖力」
結果は同じ……とりあえず、後呪力とプラーナと光で試してみるか……うん、無理そうだし三発連続でいくか。
「三口指鉄砲・呪・光・通力」
「――〈ffff〉」
……なるほど、強度の問題か。三つ撃っても別々のところに命中すると一ヶ所あたりの効果は一発撃った時と同じ。
ならば、次は魔力、プラーナ、呪力、妖力、神威を収束して――。
「指鉄砲・五光」
「松に鶴」・「桜に幕」・「芒に月」・「柳に小野道風」・「桐に鳳凰」の5つを揃えた訳ではない。
五つのエネルギーを融合したエネルギーがそれぞれ相剋と相生を引き起こし、強力は全く別種のエネルギー……まあ、仮称で窮力でも名付けるか。
銀と金が入り混じったような名称なき色の弾丸は〈ffff〉の爆音の衝撃波を容易に貫通――そのまま魔法少女シンフォニアの肩先を穿った。
「……ぐっ」
肩から血がダラダラ……まあ、最近のホムンクルスからは血も出るみたいだからね。
てか、ホムンクルスって定義もカオスではかなり違うし。
例えば、使徒天使とフルゴル・エクエスシリーズはちょっとずつバージョンが違うし、今回の魔法少女のホムンクルスは人間の要素がやや強めな気がするんだよね。自我もあるし。
もしかしたら、擬似的な魂を作り出して貼り付けているとか、魂を分裂させて貼り付けているとかしているのかも……分●箱? ではないな。
俺の線引き的には食人には分類されないけど、他人がどう考えているかは人それぞれだし、他人によっては俺を食人に認識しているのかもしれないな。まあ、他人の評価なんて心底どうでもいいけど。
「……さて、これで終わらせてもらうよ」
「まだです!! ――《絶唱》」
魔法少女シンフォニアの口元に血が流れた。
これが、絶唱――奥の手の代償なのだろう。
「――〈罪装・魔唱少女〉」
プリンセスジュエルから現れた漆黒の嵐が魔法少女シンフォニアを飲み込み、その衣装を黒へと染めゆく。
ところどころ布面積が減った代わりに、ところどころ金属質の装備が追加されたようだ。
「〈crescendo〉、〈decrescendo〉――〈ffffff〉」
自分のステータスを上げるbuff、相手のステータスを下げるdebuffを使った後、〈ffff〉よりも更に強力な爆音を腕と脚の装備に付与したか。
「――後ろがお留守ですよ!!」
ちっ、背後に回って回し蹴りを放ってきたか! この罪装とやら、普通の人造魔法少女とは比べものにならないスペックだ!!
「【魔力纏・龍拳士】、【纏気】、同時発動!!」
【金剛通】と【剛力通】を纏わせた魔力の腕で〈ffffff〉のエネルギーを纏った装備による回し蹴りを防ぐ――っ、痛て!!
「まだです!!」
「魔力纏、纏気、妖力装、神威纏、呪力鎧――【窮力纏】」
五光の応用で全身に窮力を纏わせ、竜の尻尾に変形させた窮力を回し蹴りを放とうとする魔法少女シンフォニアにぶつける。
一撃を受けた部分のギアは完全に崩壊し、そのまま魔法少女シンフォニアはコンサートホールの反対側の壁まで吹き飛ばされた。
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NAME:魔法少女シンフォニア(絶唱使用)
LEVEL:999
HP:999999/999999
MP:999999/999999
STR:999999
DEX:999999
INT:999
CON:999999
APP:999
POW:999999
LUCK:999
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絶唱モードよりも窮力の方が威力としては上だったようだ。
まあ、どっちの未知のエネルギーだし、魔法少女の個体ごとに魔唱少女の強さも変わってくるから一概には言えないだろうけど。
「【貪食ト銷魂之神】。……ご馳走様でした」
さて、結界も壊れそうだし、そろそろ魔王領アクゼリュスに戻るか。
と、その前に絶唱の解析を【叡慧ト究慧之神】に丸投げしないとね。
◆
異世界生活百四十三日目 場所ジュドヴァ=ノーヴェ魔族王国、魔王領アクゼリュス
さて、魔王領に戻ってきたんだが……これ、どういう状況?
なんか今にも泣き出しそうな白崎達と、白崎達を真っ向無視してどら焼きを食べ続けるジューリアと、心配そうに虚空を見つめるクリュールエ……何このカオス。
「……戻りきたり」
「――草子君!!」
こっちを見て、まるで幽霊を見たように驚く白崎達……何? 俺が何したっていうんだ!! ただ、魔法少女を喰ってきただけだよ!! なんとなくいかがわしい表現な気がするけど物理的に食べたから問題ない……ってそっちの方が性的にいただくより問題がある気がする。
『……まさか、こんなに早く戻ってくるとは思わなかったリプ』
「ん? いや、魔法少女なんてワンパンだよワンパン……冗談。流石に一撃で倒せる相手ではなかったな。とりあえず、追加されていた絶唱については解析させているから終わり次第ある程度制御できるイグナイ●モジュール的なものに変換するよ。まあ、あんまり有用な力ではないだろうから研究の優先順位は低いけどね」
『やれやれ……相変わらずとんでもないリプね。すぐに敵の能力を解析を始められるなんて……驚き過ぎて、草子に関してはどんなとんでもないことを言いだしても信じられそうリプ』
う〜ん、俺って本当にどんな扱いなんだろう? ヴェスタ宇宙を破壊するとか言っても「草子君ならそれくらいできるよね?」で一蹴されるのだろうか……いや、多分やろうと思えばやれるけどさ。そんなことしても意味ないじゃん。どんだけの無関係な命が死ぬと思っているのだよ?
まあ、ぶっちゃけ全知全能の力とか自力で手に入れていく楽しみがなくなるからつまらないけど、やろうと思えば【ヴェスタ宇宙破壊能力】を作り出せるからね……いや、俺の超越技は意味不明だ。俺の魂も同然なのに。
「……良かった。また会えなくなるかもしれないって思ったよ」
「いや、白崎さん。泣くことじゃないでしょ? こんなモブキャラ死んだところで誰も損しないし、CONNECTIONを使えば絆を結んだ相手のパスを感じられる筈だから、死んでるか生きてるか分かるよね?」
「…………あっ」
白崎達、完全に失念していたようだ。……おいおい、なんのためのCONNECTIONだと思っているんだ。
「全く俺って信用されてないよな。もう二度と篩にはかけないって言っただろう? 地球に帰るまでは置いて行かねえよ。嫌かもしれないけど、地球に帰るまでは一連托生で行動してもらう……まあ、本当に嫌なら無理に一緒に行動してもらわなくてもいいけどね。……死んであの世には絶対にいかないって約束するよ。目的を達成するまでは絶対に死なない」
俺だって地球に帰りたいからね。こんなところで死んでやるかよ。
「そうだよね……草子君ならこんなところで終わらないよね?」
「当然なり」
うん……ジューリア、とりあえずどら焼きを食べながらドヤ顔をするのはやめよっか。
「クリュールエ様、そろそろ出発しようと思います」
「……早いですね。もう少しゆっくりしていけばいいと思いますが」
「魔王領で弾丸ツアーを敢行中なので……とりあえず一段落したらまた遊びに来させていただきます」
「心待ちにしておきますね」
……うーん。仕事が終わるってことは魔王を討伐した後っていうことだけどいいのかな? いや、殺すつもりはないけどさ。
自分達の王が倒されるのって嫌だと思うけど、負けた魔王軍幹部が律儀に約束を守って悪足掻きをしようとしないのは、魔族が律儀な性格だからなのか、他の魔王軍幹部や魔王の強さを信じているのか、それとも……。
「――クリュールエ様、お取り込み中失礼致します!!」
……そのまま扉をあけて部屋を後にしようとしていたのだが、先に扉を開けられてしまった。
息を切らせて入ってきたのはミュネーム……何かあったんだな。
「《烈火の大罪》が、アクゼリュス領内に出現しました」
◆
「草子さん、《烈火の大罪》の討伐をお願いしてもよろしいでしょうか?」
「あっ、はい、了解です」
秒で依頼され、即快諾。白崎達は戦闘の準備を整えてやる気十分だ。
「……あの……いきなり草子様に依頼して大丈夫なのでしょうか? それに、快諾してしまう草子様も草子様です」
ミュネームは、戦う前から勝てないと判断して丸投げしたクリュールエと、脊椎反射で快諾した俺に何か思うところはあるのだろう。
「……報酬はどうするのですか! 相手は《大罪の七獣》ですよ!!」
「そうですね、報酬の件を完全に失念しておりました。勝利できなければ魔族に多大な被害を出してしまう以上、戦う以外の選択肢はありませんし、私達の戦力では勝ち目がほとんどない以上、依頼しないという選択肢はありませんが……今度は相当な額の依頼料をお支払いしなければなりませんね。ボランティアでやってもらうというのは無理ですから」
「そうですね。報酬は《烈火の大罪》ムスペルそのものということでいかがでしょうか? お金はありますし……それと、すっかり忘れておりましたが門の設置のために纏まった土地をもらいたいですね」
「……あっ、草子君。言い出さないと思ったらすっかり忘れていたのね」
聖がジト目を向けてくる。……いや、最近ボケが酷くてね。儂はもうダメじゃ、後は若い衆に任せるでのう。
「あの……門とは」
「【空間魔法】を付与することで魔王領バチカル、魔王領エーイーリー、魔王領シェリダー、魔王領アディシェスに移動が可能になる門です。現在門が設置されている門の使用料は銀貨五枚に設定しているようですよ。その収入を魔王領経営の足しにすればいいと思いますし、交通の便が良くなると思いますが、いかがでしょうか?」
クリュールエとミュネームが主従揃って仲良くぽかーんとしている。大丈夫か?
「あの……それほど素晴らしい……物流のシステムそのものを変えてしまう画期的な門に一体いくら支払えばいいのでしょうか?」
「お金は取りませんよ? 他の魔王軍幹部様からも代金は頂いておりませんので、クリュールエ様からもいただくわけには参りませんから」
まあ最初に作ると決めた時から、全ての魔王領に設置する覚悟はしていたからね。
大した労力でもないから別に問題ないんだけどさ。
「では、《烈火の大罪》ムスペルを討伐した報告の際に報酬をいただきに参りますので、よろしくお願い致します」
「……明らかに私の方が得をしている気がしますが、いいのでしょうか?」
本当にクリュールエって正直な人だなってつくづく思う……割と損をしやすい性格なんじゃないかな?
まあ、お人好しだけでは魔王軍幹部になれないと思うし、こんなモブキャラに心配されるという方が不名誉だよな。
◆
異世界生活百四十三日目 場所ジュドヴァ=ノーヴェ魔族王国、シュペィデエの森
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NAME:《烈火の大罪》ムスペル
LEVEL:10000
HP:1000000/1000000
MP:0/0
STR:1800000
DEX:300
INT:-1000000
CON:10000
APP:-100000
POW:10000
LUCK:100
TITLE:【烈火の大罪】
SKILL
【灼熱掌握】LEVEL:2000
→灼熱を掌握するよ! 【灼熱操作】の上位互換だよ!
【熱力進化】LEVEL:2000
→周囲から熱を吸収して、成長、再生、自己進化を行うよ!
【熱光之剣】LEVEL:2000
→熱から灼熱の剣を作り出すよ!
【陽粒子加速砲】LEVEL:2000
→口からプロトンビームを発射するよ!
【即死耐性】LEVEL:2000
→即死に対する耐性を得るよ!
【掣肘】LEVEL:2000
→掣肘が上手くなるよ! 【威圧】の上位互換だよ!
【覇潰】LEVEL:2000
→覇潰が上手くなるよ! 【覇気】の上位互換だよ!
【絶望の波動】LEVEL:2000
→絶望の波動を放つよ! 【恐慌】の上位互換だよ!
【気配察知】LEVEL:2000
→気配察知が上手くなるよ!
【魔力察知】LEVEL:2000
→魔力察知が上手くなるよ!
【熱源察知】LEVEL:2000
→熱源察知が上手くなるよ!
【振動察知】LEVEL:2000
→振動察知が上手くなるよ!
【危機感知】LEVEL:2000
→危機感知が上手くなるよ!
【魔力操作】LEVEL:2000
→魔力操作が上手くなるよ!
【魔力付与】LEVEL:2000
→魔力付与が上手くなるよ!
【魔力治癒】LEVEL:2000
→魔力を使って治癒ができるようになるよ!
【魔力制御】LEVEL:2000
→魔力制御が上手くなるよ!
【魔力吸収】LEVEL:2000
→魔力を吸収できるようになるよ! 【魔力回復】の上位互換だよ!
ITEM
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「……あれが《烈火の大罪》ムスペルですか」
歩くたびに森が燃えていくことに、森の民――エルフのリーファは何か思うところがあるのだろう。
「どうやって倒せばいいのでしょう?」
訂正。特に思うところは無かったようだ。
「……では、問題です。《烈火の大罪》ムスペルはどうやって倒せばいいのでしょう? 正解した一名には、エリシェラ学園の食堂の料理を奢らせていただきます」
「……草子君の料理の方が嬉しいんだけどな」
おいおい、“天使様”。あの食堂の料理はどれも絶品なんだぞ!
こんな素人に毛が生えたような奴の料理よりも絶対に美味しいって。しかも高級だし。
「……剣では斬れないわよね。魔法も通用するか微妙だし」
コンスタンスがいくつか案を出したが、どれも正解ではなかった……コンスタンスは持ってないからね。あのスキル。思いつかないのも致し方なしだな。
「あのスキル……どこかで。もしかして、クライの」
「おっ、白崎さん。いいところに気づいたね」
そうそう。【熱力進化】はジェスター=クライも持っていたからね。
「……もしかして、〝凍てつく女王の抱擁〟で削っていくのかしら?」
「及第点かな? 柴田さんので正解にしておくよ。代金分を後払いか、ついて行って俺が清算するのかどっちがいい?」
「……一緒に食べに行ってくれないかしら?」
白崎達が露骨に敵意を柴田に向け、元ビッチ達――岸田、八房、高津、常盤の四人が柴田とハイタッチしているが……知らない間に仲が悪くなったのかな?
「……それってデートよね?」
聖よ……これはお食事であってデートではないぞ?
それに、嫌なら先に答えれば良かったじゃないか。