【性換者】の前ではスタイルのコンプレックスなど些細な問題なのです☆
異世界生活百三十三日目 場所ジュドヴァ=ノーヴェ魔族王国、魔王領エーイーリー
ラストは氷柱女の鵠さんか。身内に対しては激甘でお姉ちゃんのように振る舞い、対外的にはブリザードを拭き荒らしてドSなオーラを放つ\\まじこえー//お姉さんだ。
「……随分と私の妹達を楽しませてくれたようだな。秧鶏ちゃんも、雲雀ちゃんも嬉しそうだった。……おのれ! 私はお姉ちゃんとして信頼されないのに、ニンゲンのお前が先に信頼されやがって!! コロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤっ……」
とんだ逆恨みじゃねえか! しかも、呪詛唱えながら噛んでるし……地味にドジっ子属性あったりする?
「……いや、逆恨みされても困るけどな。お姉ちゃん扱いされるような関係を構築できなかったのは鵠さんの責任だし、俺はただ武器や防具を作っただけで信頼されたとは思ってないよ? ほら、人間って魔族達からしたら紛れもなく外敵だし排除するのは当然だろう? まあ、俺って何故か同族である筈の人間にも敵意を向けられている気がするんだが……」
俺は能因草子。権力には抗えないモブキャラだけど、言うときにはしっかりと言う男。
……えっ、虚偽が混ざっているって? マサカネー。……別の言葉に聞こえるな。
「さて、鵠さんの武器だけど……」
「ニンゲンの施しは受けん!」
はあ、言うと思ったよ。不公平になるし、五箇伝全員の武器を作らないといけないんだけどな。……しゃあない。
「んじゃ、鵠さんと戦った敵として一言言わせてもらうよ。……鵠さん、貴女は弱い。それじゃあ、大切な妹達が敵の毒牙にかけられた時、助けられないよなぁ?」
「……なん、だと!! まさか、お前、鶫ちゃん達に手を出すつもりか!?」
「いや、なんで俺がそんなことをしないといけねえんだよ? 例え話だよ、例え話。……氷柱女って種族は確かに氷属性っていう生まれ持った属性がある分、強い。だが、氷が効かない相手や炎使い相手の時、果たして戦えるのか? 種族の力に頼っていてはいつか大きな壁にぶち当たる。鶫さんは剣の腕を磨いた、秧鶏さんは薙刀を使いこなしている、鳰さんは忍びの術を会得した、雲雀さんは魔法を極めた――そういうのが鵠さんにはあるのか? まあ、余計なお世話だとは思っているけど」
「……………確かに、私には生まれ持った氷を操る力と妖術しかない。確かにお前の言う通りだ」
……激しく落ち込んじまったな。女の子を泣かせた最低な男みたいな雰囲気だ。
「まあ、望むなら防具だけじゃなくて武器も作るよ。勿論、その使い方も説明させてもらう。……義妹達に頼るのは姉としてのプライドが許さないだろう?」
「…………くっ、仕方ない。不本意だが、お前の言っていることも一理ある。……草子、頼む」
「了解した。……んじゃ、早速防具から」
オラクルスレッドとオレイミスリルの糸で作った生地で作るのはプリンセスラインのドレス……普段は和装な女性がたまに洋装をしてみるとギャップがあっていいと思うんだよね。それに、なんか五箇伝って和風率が高いし。
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・氷柱女の白礼装
→氷の女王をイメージしたドレスだよ! 生地にはオラクルスレッドとオレイミスリルの糸で作った布を使っているよ! 高い炎耐性と熱変動耐性が付与されているよ!
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「これで完成だな。炎耐性と熱変動耐性が付与されているから氷柱女が苦手な炎が来てもある程度は耐えられると思うよ」
「何故、ドレスなのだ?」
「いや、なんか五箇伝って和風率が高いなって思って。……まあ、五箇伝と言って思い浮かべるのは日本刀の特徴ある作風を分類すると五つのグループだから全員和風でもなんの問題もないと思うけど……嫌なら着物に作り変えるけど?」
「いや、これでいい」
良かったようだ。ふう、一安心。
「で、問題の武器だけど片手剣を二本ってのはどうかな? 一刀流でも二刀流でもどっちでもできるように」
「二刀流……難しいのではないのか?」
「難しくはないかな。慣れれば意外と簡単だよ?」
この世界にはスキルアシストがあるからね。
「では、それで頼む」
五つの鋳塊を混ぜ合わせて、俺の想像した形に作り変えていく。
……ふう、こんな感じか?
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・聖魔混淆双剣-揺らぎの白翼剣-
→白い片翼をイメージした二本の片手剣だよ! 聖剣と魔剣の性質、聖と闇の相反する属性を刃に宿す効果、万物を両断する効果、傷つけた相手のHPを吸収する効果、邪を祓う効果、斬撃を飛ばす効果、斬った地点に抗えぬ揺らぎを発生させる効果があるよ!
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「イメージカラー? の白に合わせた翼のような片手剣だ。斬った地点に抗えぬ揺らぎを発生させる効果を付与したから戦術の幅が広がる筈だ。上手く使いこなせば五箇伝最強になれるのは間違いない。なんたって、未確認だった新種の《大罪の七獣》の力を宿しているんだからな」
「……新種の《大罪の七獣》だと?」
「ああ、《重震の大罪》ディープ・インパクトの持つ【抗えぬ揺らぎ】――それを剣に宿したのが、この聖魔混淆双剣-揺らぎの白翼剣-ってことになる。まあ、斬った部分という制約はあるけどな」
まあ、《重震の大罪》って劣化版の【重力魔法】みたいなものだし、本体を探すのが大変と言うだけでそこまで厄介な相手じゃないから別段同じ能力を得ても問題ないんじゃないかと思う今日この頃です。
「……剣の使い方については、ヴァルルスさんのを作り終わったら教えるという……いや、鳰さんと雲雀さんに【妖術】を教えてもらってからでもいいかな?」
「ああ、それで構わない。……ところで、そういえば鳰ちゃんってどこに行ったんだ? さっきこの部屋に入ってから出てきてないのだが」
「ああ、鳰さんならダークウォーフの森に飛ばしたよ。一対一でプライバシーを守りながらやっているのに、無視して突撃してきたから……今頃はまだダークウォ……」
「はぁはぁ、酷いっすよ! ダークウォーフの森に転送するなんて!!」
「も、戻ってきた!? いや、おかしくね! どんな速度で戻ってきたの!!」
「武器に対する愛の前ではこんなもの障害にもならないっすよ! ……しかし、鵠っちの武器を作っているところ、見れなかったっす。……おっ、ドレスっすか! 着物姿しか見たことがないんで、ドレス着たらどうなるか楽しみっす!!」
今思ったけど、この鳰って奴、やべえな。愛のためなら物理法則の一つや二つ改変してしまいそうだ。
「後はヴァルルス様のっすね! 見せてもらっていいっすか?」
「……ヴァルルスさんの許可をもらえたらな」
「了解っす!!」
◆
ラストは魔王軍幹部のヴァルルスだ。……正直強いしいらなくね! と思うんだけど、五箇伝のだけ作ってその上司のものを作らないという訳にはいかないからね。
「……もう既に最強装備なので、手を加える必要はないと思いますが、仮に手を加えるとしたら、不死者の外套ですかね」
「これは、ジェーブルマフ魔導大国の宮廷魔法師時代から愛用しているローブだ。……だが、大分傷んできてしまってな。新調しようかと考えていたところなのだ……頼めるか」
「モチのロンです。……自分で言っといてなんだけど、古いな。では、不死者の外套をお借りします……ここじゃあ無理なので移動しますか。〝距離に隔てられし世界を繋ぎたまえ〟――〝移動門〟」
「ま、またウチをどっかに転送する気っすか! 草子師匠はオニっす!!」
鳰は転移恐怖症になったようだ……まあ、二回も転送したからね。
「移動先は俺の屋敷になります。人間の領土――自由諸侯同盟ヴルヴォタットにありますが、土地所有権を完全に掌握していますので自由諸侯同盟ヴルヴォタットの大公ですら手を出すことはできません」
「……確か国家同盟の元議長だったか? それほどの者であれば国から一切の干渉を受けない領土を持っていてもおかしくはないか」
まあ、俺はただのモブキャラだし、この領土は議長になるよりも前に手に入れた領土なんだけどね。ちなみに、元盗賊のアジトで殺戮の現場というヤバい事故物件です。なお、夜な夜な現れる幽霊は全て浄化済みであります。
「少し前までは同郷出身のパーティメンバーが屋敷に住み着いていましたが、今はジューリアと二人なので結構広々としていますよ」
「……もしかして、仲間に先立たれたのか?」
「いえ、ただパーティを追放されただけです。まあ、俺と彼女達の目的は違いますから、俺の目的のために付き合わせる訳にも行きませんし、あの選択は間違っていなかったと思いますよ」
〝移動門〟を通り抜け、屋敷に移動する。
「広いっすね。……しかも、豪華っす。流石は草子師匠っす」
「煽てても何も出ないよ。とりあえず、目的の工房に向かいますか」
ヴァルルスと鳰を工房に案内する。ヴァルルスは屋敷や庭の方に興味津々だったみたいだ。
「ちなみに、この屋敷にはどんな施設があるんだ?」
「えっと……昔盗賊がアジトとしていた母屋、増築した別邸、発酵食品の製造をしている発酵蔵、紙工房、武器や防具を作る工房、迎賓館の役割も果たせる影花の館、茶室付きの純和風の日本家屋……それと畑かな?」
「ここ一つでとにかくなんでもできそうだな……しかし、今はこの広い屋敷に二人暮らしか。寂しくないのか?」
「二人暮らしってのも怪しいですね。ジューリアさんとは目的が一致しているから行動しているだけですから。まあ、元々一人から始まりましたし、寂しくはないですよ。さっ、着きましたよ」
「お〜! ここ凄いっす!! 鍛治道具が全く置いていないっす」
うん、驚いているのかdisっているのかよく分からないな。
「ここには全自動機織り機を置いてあります。……手縫いで生地を作るのは面倒なので。ここで生地を作成してからスキルでローブの形にします」
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・不死魔導王の法衣
→夜の闇が溶け込んだような漆黒のローブだよ! 生地には不死者の外套を解いた糸とオラクルスレッドとオレイミスリルの糸で作った布を使っているよ!
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「こんな感じですね。耐久力が大幅に向上していると思います」
「感謝する……素晴らしい出来だ!」
さて、お仕事終了か。
「そういえば、魔界中央図書館の閲覧権限を求めるくらいっすから草子師匠は本が好きなんすよね? でも、ここには図書館が無いっす」
……あっ、鳰。気づいちゃった?
「そりゃ無いよ。俺は本好きを拗らせた変態――書物を見れば、まずは頬擦りして感触を確かめ、匂いを嗅いで書物特有の香りを楽しみ、最後に味わう――そういう一種の変態。それに、こっちに来てからは食べた本を完全に暗記できるようになったからね。自由に本を作り出せるし、わざわざ大量の本を保存しなくても欲しいタイミングで召喚した方がいいと思っているんだよね」
やっぱり二人とも引いたか。
「……だ、大丈夫っすよ! 師匠が変態でもウチが弟子であることは変わらないっす!!」
「いや、鳰さんを弟子にした記憶はないんだけど? 俺の弟子はこの屋敷に囚われていた元奴隷達だけだよ。……まあ、あの子達も弟子かって聞かれると疑問符が浮かぶけど」
「……そういえば、この屋敷は盗賊がアジトにしていたものだと言っていたな。もしかして、この屋敷は――」
「あっ、はい。盗賊を皆殺しにして奴隷を解放した時に手に入れました。その時の奴隷の一部は冒険者の世界で期待の新星として活躍しています」
「……まあ、こんな意味不明な師匠に育てられたら勇者になってもおかしくないっすよね」
意味不明な師匠ってなんだよ。毎回毎回厄災扱いしやがって!!
「……さっき、食べた本を完全に暗記できるようになったよな? まさか、これまで食べた全ての本を暗記しているのか!?」
「ま、まあ……これまで巡ってきた自由諸侯同盟ヴルヴォタット、フェニックス議国、エルフの里、武装中立小国ドワゴフル帝国、獣人小国ビースト、獣人連合ザゾール、ミンティス教国の書物は持っているけど」
「――そ、その数多の本を是非我に譲って欲しい!」
「いや、いくらなんでも釣り合わなくね? 既に魔界中央図書館の閲覧権限は貰っちゃっているし」
……流石に釣り合わないよな。労力を考えても対価なしでそこまでやるのはやり過ぎな気がするし……。
「分かった! 我しか持っていない最高ランクの閲覧権限を授けよう! それでどうだ!!」
「……まあ、仕方ない。それで手を打つか。言っとくが、俺が元いた世界の物は渡せないからな」
「……それで構わない」
まあ、本を選ぶ権利はこっちにある訳だし、機密にした方がいい情報はこっちで制限すればいいだろう。
……問題は、俺がどれだけ写本しなければならないかってことだな。……憂鬱だ。
◆
異世界生活百三十三日目 場所ジュドヴァ=ノーヴェ魔族王国、ダークウォーフの森
魔王領エーイーリーに戻った俺は、鳰と雲雀と共にダークウォーフの森に向かった。
ちなみに、かなり後方から鵠がついてきているが、別に俺に可愛い妹達が取られるか心配でという理由ではない……ないと思うけどな。
「では、【妖術】の講義を始めるっすよ!」
「雲雀に任せてください」
狐狸コンビだ。……塩砂糖コンビと違ってあんまり仲良しって感じがしないんだよね。いや、仲はいいんだけどセットメニューみたいな雰囲気がしないっていうか。
「しかし、ウチが師匠になるなんて……草子師匠、ウチのことを鳰師匠って呼んでもいいっすよ!!」
「雲雀師匠、よろしくお願いします」
「って、ウチのことは華麗にスルーっすか!? ……泣いちゃいますよ! 泣いちゃってもいいんっすか?」
「「どうぞどうぞ」」
「……雲雀、草子師匠、一生恨んでやるっす!!」
というか、何気に雲雀も参加していた? なんで雲雀が鳰の心を折りに行くのか……あっ、雲雀の恥ずかしい秘密をペラペラと話したからか。……自業自得やん。
「――では、早速妖力弾を撃ちます」
「よっしゃ、来い!!」
雲雀の手に大量の妖力が集まり、弾丸……というか、ほとんど砲弾のような大きさになって放たれる……怖っ!!
「喰らい尽くせ! 【暴食之神】!!」
【暴食之神】で捕食し、早速解析開始……SPの獲得に成功した。
「どうっすか? 妖力は獲得できたっすか?」
「無事にSPを獲得できた。ありがとう、雲雀」
「ウチのことは居ないものとする方面っすね。……分かったっすよ。ウチはどうせいらない子っす」
鳰が地面に座り込み、「の」の字を書き始めた。……もしかして、指で書いたのの字から魔力の線が螺旋状に広がり地面が陥没する様に沈んでいくって竪穴掘って埋まるのだろうか? ……それよりも、綾部先輩を呼んだ方が早いと思うよ? 自分の墓穴を掘るならね。
「【妖術】というのは自分の裡にある妖力を変換する技術のことです。そのまま打ち出せば妖力弾に、妖力を変化させればまた様々な妖術を使うことができます」
「【妖術】って言っても幅が広いからな。……具体的にどんなことができるんだ?」
「【妖術】は妖力で形を作り出す技ですので、形あるものはなんでも作り出せます……火、水、土、雷、幻影……ただ、妖力は魔力と違い、現象を引き起こしている訳ではありませんので、妖力で作られた炎は炎であって炎でありませんし、威力も落ちます。……炎に近い性質を持つ妖力であると考えるのが一番近いです。そのため、基本的に実戦に用いるよりも相手を惑わせる技として使用するのが妥当と雲雀は考えます。……【狸火】、【幻術】、【変幻】などは種族特有の【妖術】がスキル化によって全く別のものになったものと考えばいいでしょう」
スキルに関連したことをした場合、そのスキルを獲得できる……確か朝倉に【魔法剣】の時もそうだったな。
「なるほどね……妖力を変化させて……へーんしん!!」
……自分の身体に妖力を纏わせて外見の姿を変化させてみた。【幻術】と【変幻】のスキルを獲得したようだ。
……ん? なんで、鳰と雲雀が固まっているのだろうか?
「……お姉さん、誰っすか!?」
「雲雀は謎のお姉さんの絶世の美貌に嫉妬しています。……雲雀はぺったんなのに、理不尽です」
ああ、変身する相手がまずかったって話? いや、カタリナさんに変身しただけなんだけどな。
とりあえず、このまま維持する必要もないし、妖力を四散させるとしよう。
「さっき変身したのはミント正教会の大聖女――カタリナ=ラファエルだ。実は、前にミント正教会に潜入するために大聖女様に変装したことがあってね」
「……もしかして女装っすか? 男の娘って奴っすか? ははは、師匠。女装してもあんなに美しくはなれないっすよ? だって師匠はお世辞にも美しいとはいえないっすから」
腹立つけど正論だな。いや、だってモブキャラだよ? モブキャラが美しい訳がないじゃん!
「【性換者】発動!!」
言う必要はないけどアピールのためにね。一切設定を付与せず女体化し、瞬時にカタリナの衣装に着替える。
「……腹立ったから女体化してみた」
「……負けたっす。女として負けたっす」
「理不尽です……雲雀は断固抗議します」
「ってもな……設定せず普通に女体化したら何故か美少女だったってだけだし」
「…………草子師匠。男として、その豊満なものについてどう思うっすか?」
「胸なんて脂肪の塊だろ? あっても重いだけじゃないか?」
「雲雀の怒りは限界に達しています。……それは、持たざる者に対する宣戦布告です!」
「そうっすよねー。酷いっすよね」
「きょにゅーは黙ってろ!!」
「……酷いっす。雲雀っちのキャラが崩壊しているっす」
かくして、鳰と雲雀の友情は崩れ去ったようだ……あれ? 元々そんなに強い友情は無かったりする?
「……雲雀さん、そんなに巨乳がいいのか? その姿にコンプレックスを感じているのか? ちなみに俺は肝心なのは中身だと思うけど」
「……それは強者の余裕?」
「いや、なんで男の俺が女とスタイルで争わないといけないの? ……まあ、どうしてもって言うのなら、雲雀さんがナイスバディな女性になった姿を再現してみるけど……」
やり方は簡単。雲雀に二度、【性換者】を使うだけだ。
【性換者】は性転換させる度に、設定を三つ設定できる。前に設定したのは消えてしまうが、問題ないだろう。
俺は【性換者】を使い、ロリな雲雀をショタな雲雀にし、再び【性換者】を使って雲雀をナイスバディな女性にした。ちなみに、服が無かったので、女体化を解いた後にカタリナの衣装を貸した。
「…………なんか微妙っす。雲雀っちの良さが全部失われたっす」
「……うるさい」
「酷いっす! 雲雀っちが絶賛反抗期っす!!」
「……草子さん、この五月蠅い奴に雲雀と同じ苦しみを味あわせてください」
「――合点承知」
その後、鳰に【性換者】を使って男体化させ、あまりにもイケメンだったので腹が立ってロリに変えた。
「…………酷いっす! あんまりっす。胸がまな板っす」
「【狐火】や【狸火】も同じノリでやればいいんだよね? ……よし、できた」
「草子さんは飲み込みが早くていい助かります。講義は以上です。お疲れ様でした」
「……戻してっす! 謝るっすから早くうちを元のナイスバディなお姉さんに戻して欲しいっす」
泣き喚く鳰を放置して雲雀は魔王領エーイーリーへ、俺は魔王領バチカルの方へと歩を進めていく。
「――理不尽っす!!」
鳰の悲痛? な叫びが森中に響いていたそうです。以上、現場からお伝えしました。