表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

203/550

かつてないほど追い詰められてどうやったら限界を超えられるかを考えていたら運命の鎖を引きちぎって簡単に人間の限界を超えられたんだが……。

 異世界生活七十八日目 場所首都レントゥーエレ、クライヴァルト城


「――能因草子、貴様を我が糧とする。女共は全員、我が側室に迎えてやろう!」


 アレクの目が桃色に輝く……あっ、はい、【魅了】ね。


(〝いと慈悲深き主よ! その慈悲でこの世の凡ゆる障害を消し去り給え〟――〝万聖之解除セイクリッド・イレース〟)


 脊椎反射で全員の【魅了】を解除する。――ぶっちゃけ、お前に構っている時間はねえんだよ、アレク。


「……いや、まさか、こんなところで会えるとは思っていなかったよ。流石は世界を裏から牛耳る組織ってことか。……もしかして、他の国にも潜入しているのかな? ヴァパリア黎明結社」


「流石でございマスね。フルゴル・エクエスを斥けただけのことはある。……改めて、我々は貴方を危険人物に指定すべきだったと思いマス。我々の最高会議は貴方をまだ甘く見ているようだ」


「甘く見るのは当然だろう? だって、ただのモブキャラだもの。寧ろ、警戒する方がおかしくね。するなら白崎さん達だろう?」


『それを決めるのは、草子殿ではなく、我々でございますよ』


 道化師風のメイクをした瘦せこけた男と作り物めいた執事……その二人こそ、ヴァパリア黎明結社の上層部――七賢者の下に位置する部門長と副部門長。


-----------------------------------------------

NAME:グラン=ギ・ニョール

LEVEL:20000(DESPERADO)

HP:6000000/6000000(+100000)

MP:5000000/5000000(+100000)

STR:3000000(+100000)

DEX:3500000(+100000)

INT:29000(+100000)

CON:3000000(+100000)

APP:69000(+100000)

POW:4000000(+100000)

LUCK:3000000(+100000)


JOB:傀儡師(マリオネッター)、黎明結社メンバー


TITLE:【“傀儡”のグラン・ギ・ニョル】、【人形師】、【黎明結社人事部門部門長】、【超越者(デスペラード)の領域に至りし者】


SKILL

【殺戮人形劇】LEVEL:MAX(限界突破)

→糸を自由自在に操って自分だけの人形を創り出すユニークスキルだよ! 対象になった存在のリミッターを強制解除させたり、自我を持たせたまま感情をコントロールすることもできるよ!

【物理無効】LEVEL:10000

→物理を無効にするよ! 【物理耐性】の上位互換だよ!

【衝撃無効】LEVEL:10000

→衝撃を無効にするよ! 【衝撃耐性】の上位互換だよ!

【魔法無効】LEVEL:10000

→魔法を無効にするよ! 【魔法耐性】の上位互換だよ!

【状態異常無効】LEVEL:10000

→全ての状態異常を無効にするよ! 【状態異常耐性】の上位互換だよ!

【即死無効】LEVEL:10000

→即死を無効にするよ! 【即死耐性】の上位互換だよ!

【因果無効】LEVEL:10000

→因果干渉を無効にするよ! 【因果耐性】の上位互換だよ!

【クライヴァルト語】LEVEL:200

→クライヴァルト語を習得するよ!

【ヴァパリア黎明結社共通語】LEVEL:1000

→ヴァパリア黎明結社共通語を習得するよ!


ITEM

・黎明結社のペンダント

→ヴァパリア黎明結社のシンボルである六芒星に十字架を合わせた意匠のペンダントだよ!

・傀儡の鎧

→球体人形の鎧だよ!

-----------------------------------------------


-----------------------------------------------

NAME:ジェスター=カンパネラ

LEVEL:20000(DESPERADO)

HP:6300000/6300000(+60000)

MP:5200000/5200000(+60000)

STR:2000000(+60000)

DEX:4000000(+60000)

INT:10000(+60000)

CON:2000000(+60000)

APP:5000(+60000)

POW:2000000(+60000)

LUCK:1000000(+60000)


JOB:道化師(ピエロ)白傭道化団(ホワイト・サーカス)団長、黎明結社メンバー


TITLE:【邪精霊の王】、【黎明結社人事部門副部門長】、【超越者(デスペラード)の領域に至りし者】


SKILL

【大奇術】LEVEL:MAX(限界突破)

→大奇術が使えるようになるよ! 【奇術】の上位互換だよ!

【精霊憑依】LEVEL:MAX(限界突破)

→精霊との親和性が高い者に憑依するよ!

【精霊怠惰】LEVEL:MAX(限界突破)

→精霊との親和性が低い者のステータスを大幅にダウンさせるよ!

【物理無効】LEVEL:10000

→物理を無効にするよ! 【物理耐性】の上位互換だよ!

【衝撃無効】LEVEL:10000

→衝撃を無効にするよ! 【衝撃耐性】の上位互換だよ!

【魔法無効】LEVEL:10000

→魔法を無効にするよ! 【魔法耐性】の上位互換だよ!

【状態異常無効】LEVEL:10000

→全ての状態異常を無効にするよ! 【状態異常耐性】の上位互換だよ!

【即死無効】LEVEL:10000

→即死を無効にするよ! 【即死耐性】の上位互換だよ!

【因果無効】LEVEL:10000

→因果干渉を無効にするよ! 【因果耐性】の上位互換だよ!

【クライヴァルト語】LEVEL:200

→クライヴァルト語を習得するよ!

【ヴァパリア黎明結社共通語】LEVEL:1000

→ヴァパリア黎明結社共通語を習得するよ!


ITEM

・黎明結社のペンダント

→ヴァパリア黎明結社のシンボルである六芒星に十字架を合わせた意匠のペンダントだよ!

・道化師衣装

→道化師の衣装だよ!

-----------------------------------------------


 はい、フラグ回収。……いや、したくなかったんだけど。

 Grand Guignol……フランス、パリに十九世紀末から二十世紀半ばまで存在した大衆芝居、見世物小屋のグラン・ギニョール劇場。又、そこから転じて同座や類似の劇場で演じられた「荒唐無稽な」、「血なまぐさい」、あるいは「こけおどしめいた」芝居のこと。


 と、いうよりはとあるライノベの糸使いの必殺技のイメージが強い。うん、【殺戮人形劇】ってスキルもそんな感じだし。


 副部門長の方は大●司教の勤勉な『怠惰』担当だよね? ただ、大幅? に強化されているっぽいけど。


 というか、超越者(デスペラード)って魔人(デ●ペラード)だよね?

 運命によって定められた才能の限界を打ち破ることで、運命を自らの力で作り出せるようになる……つまり限界を超えるってこと!?


「こら、お前達、我を置き去りにするな!!」


『五月蠅いですよ。〈Le Théâtre du Grand-Guignol〉』


 あっ、アレク死亡……いや、ソイツ雇い主でしょ?

 蜘蛛の巣のように張り巡らせた糸を一斉に動かして襲わせたって感じか。……それ、殺●戯曲(グラン・●・ニョル)じゃね。……だから、グラン=ギ・ニョールか。


「……今から敵の情報を伝える。みんなは、長身(ノッポ)と妖艶と大男を相手してくれ。長身(ノッポ)は能力は名付けた魔獣を進化させ、意思疎通を可能とする【命名者】と支配した魔獣を吸収し、その力を得る【融合魔獣】。妖艶は摩擦を操る【摩擦操作】……コイツは多分ほとんどの物理攻撃や魔法が通用しない。相性的にリーファさんが適任だな。大男は周囲から熱を吸収し、成長、再生、自己進化を行う【熱力進化】と対象を虚数空間へ閉じ込める【虚数牢獄】。結界に閉じ込められたメンバーはできるなら救出を、無理なら諦めた方がいい。コイツを倒せば多分解ける。一応だけど、女の子は望んだことが何でも勝手に叶う因果干渉系スキル、この痩せこけたピエロは精霊との親和性が高い者に憑依するスキルと、精霊との親和性が低い者のステータスを大幅にダウンさせるスキル、執事が操り人形を量産する糸系のスキルを使う」


 【空間魔法】を使用し、預かっていた武器を返却しながら、敵の能力を伝える。


「……厄介な組み合わせですね。分かりました。三人は僕達が引き受けます」


 あの三人はレーゲン達に任せれば問題ないだろう。多少苦戦はするだろうが、なんとか勝ち星を挙げることができる。


「随分舐められたものデスね! 貴方一人で我々三人を相手できるとでも? ただの人間でしかない、貴方一人で?」


「あはは、そもそもだよ。君には僕を倒せない。僕が願えばどんなことでも叶うんだ。――例えば、死んじゃえ」


 おっ、早速使ってきたか。だからお前の相手を引き受けたんだよ。


「――ッ! なんで死なないんだ!!」


「ああ、止まった心臓を自分で動かしただけだよ……なんてね。そんなことできねえよ。【究極挙動】ではない、自力でアレに匹敵する剣技を振るえるほどであれば、自分の心臓部を動かすペースメーカー細胞を動かせられるんだろうけど。じゃあ、お返しだよ」


(〝心臓を潰せ、死神の手〟――〝心臓圧砕(デス・プロビデンス)〟)


 死神の幻影が少女ピエロ――ラックの背後に現れる。


「僕は死なない。だって、僕がそれを望まないから!!」


 死神の幻影はそのままラックの心臓を潰して即死させた。


「これで、一対二、だろう?」


「ハハハ……よくも、よくも!! 私の仲間を、大切な仲間をッ!! いいでしょう!! 私の力を、見せてあげましょう!! ――神ノ見エザル手」


 ……見えない。けど、効果は分かる。

 魔●因子を持つものしか、その姿を視認することはできない不可視の手を自在に操る能力。

 スキルには無かった。ということは、スキル外の力ということか。


「冥土の土産に一つ教えてあげましょう。これこそが、限界を超えた先で得られる力――超越技。超越者(デスペラード)でなければ見ることすらできない因果の外にある御手。おや? この手は因果に干渉し直接的に死を与えることができる力なのデスが……なるほど、そういうことでしたか。【因果無効】と【即死無効】……それならば、ラックの【絶対寵愛】が効かなかったことも納得ができる」


 その力は因果を超えた世界にあったとしても、攻撃自体は因果に干渉するということだから【因果無効】で無効化できる。

 もしかしたら、【因果無効】は超越技を無効化するために作り出されたのか?


「デスが、この腕は精神体に直接ダメージを与えることもできる」


 即死は無理だから、精神体ごと握り潰そうってことか……ちっ、身体が動かない。

 ここまで追い詰められたのはいつ以来だろうか……ん? この台詞、どっかのリーグチャンピオンが言ってたっけ?


 ……軽口を叩けるということは、まだ大丈夫ということだな。

 さて、考えろ。このままだと俺は殺される。


 考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ……。


 どうやればこの現状を打破できるか、を。

 ここで限界を超えろ! ……目つきの悪い闇魔法使いの団長さんは、きっと、そういうだろうな。


 目を閉じる。自分の限界を想像する……ん? あれ、ない?

 どこまでも遠くまで見渡せる。……もしかして、ステータスがバグったから。


 そのまま一歩進もうとして、足に違和感を感じた。


 ああ、足枷だ。俺を現状に引き止める、人間の領域に留める足枷と鎖。

 へぇ、こんなものがあったんだ。


 一歩を踏み出す。無理矢理引っ張る訳でもなく、普通に一歩を踏み出すように。

 ――瞬間、俺の運命――鎖が弾け飛んだ。



「なるほど、これが見えざる手を見るって感覚か。ん? 触れられる? なら、簡単じゃん」


(〝爆裂魔法ハイパーエクスプロージョン〟)


 自らに向かって〝爆裂魔法ハイパーエクスプロージョン〟を放つ。爆裂爆裂言ってる年中爆裂魔法のことしか頭にない厨二病娘でも、流石に自分には撃ったりしないよな、と思いながら乱れた服を整えた。


「……ば、馬鹿な!! バカな! なのだよ!! 覚醒(アウェイク)には、誰にも譲れないエゴと、自らの死を本当の意味で見つめる……この二つが必要になる。そもそも、この領域は自らの才能の限界を知り、研鑽を重ねていることが前提。……そんな簡単には至れる存在ではないのデス!!」


 おーい、キャラ変わっているぞ。どっかの不死の王(ノーライフ・キング)が混ざってたぞ!!


「なるほどね、解説ありがとう。エゴは『必ず地球に還り、浅野ゼミのみんなと再会する』という目標。死は……元から死ぬ覚悟はしているから。研鑽? ステータスバグっているから後は技術的な研鑽の話だし、限界? 果てしなく続いていたよ? なるほど、道理でインフィニットが人間をやめられない訳だ。その概念を知らないから、超える必要が無かったから超えていないだけ、ただそれだけか」


 今まで、超える必要のある敵に会わなかったから、超えなかった。

 なるほど、ようやく分かったよ。俺は今まで自分の限界を超えることを求めるような敵に遭遇したことは無かったんだ。


「俺の超越技……今は分からんから、使えないな。まあ、使う必要もないけど。もう、勝ちまでの方程式は組み上がったし」


 俺の攻撃はカンパネラには通用しない。それは、カンパネラが超越者(デスペラード)だからだ。

 多分、超越者(デスペラード)に対し生身の人間では……いや、語弊があるな。


 人間でも、魔族でも、亜人種でも、神でも関係なく、限界を超えていない存在は、超越者(デスペラード)にダメージを与えることはできない。

 でも、それってもう崩壊したよね? 俺が超越者(デスペラード)になったから。


 【精霊憑依】は精霊との親和性が高い俺やリーファに効果がある。俺の方はどうにか抵抗(レジスト)できるかもしれないけど、リーファの方はそうはいかない。

 しゃあない。一発で殺すか。カンパネラだけではなく、その本体である邪精霊も一緒に。


『〈Le Théâtre du Grand-Guignol〉』


 ……ちっ、グラン=ギ・ニョールも攻撃を仕掛けて来やがった。

 まあ、対策は考えてあるけど。


 やり方はインフィニットのものを見て学んだ。殺気そのものを武器にする……薄く、鋭く。


 よし、できた。【殺気圏域】――これに、超越者(デスペラード)の力を付与して。


 殺気が糸を切り裂く……いや、まさか糸使いに殺気使いが効果抜群だとは思わないよな。というか、殺気使いって何!?


「〝全てのものに寿命はあり、全てのものに終わりはある。終わらせるものよ、死の神よ、そなたの力を貸してくれ。アジャラカモクレン、テケレッツのパー。死の因果より逃れしものよ。アジャラカモクレン、テケレッツのパー。今こそ汝の灯火を吹き消さん〟――〝死が確定する十三分-The god of death keeps ridicule of life for 13 minutes-〟」


 これで、終わらせる。残念だけど、俺に死に戻りはないんでね。そもそも、周回プレイなんてしたくないし。


(〝真なる死よ! 魂すらも殺す究極の救済よ! 我が手に宿りて全てを殺せ!!〟――〝真なる死-True death-〟)


 触れなければならない代わりに魂も含めて即死させる究極の【即死魔法】。

 まあ、対【精霊憑依】の魔法でそれ以外には使い道がないんだけど。


「――その手に触れたらヤバそうデスね! 〈世紀の大脱出(エスケープ・ゴート)〉」


 エスケープとスケープゴートを掛け合わせた造語? というか、どう見ても〈種も仕掛けも●い分身(スケー●・ゴート)〉だよね!?


 大脱出……つまり、【大奇術】の効果か。わざわざありがとう、スキルの効果を教えてくれて。

 まだ時間はたっぷりあるから、問題ない。


 【瞬間移動】で油断しきったカンパネラの背後に飛んだ俺は、そのままカンパネラにタッチ。

 それでカンパネラ、死亡。気づく間も無く本体の邪精霊はお亡くなりになりました……南無(なーむー)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 「○○無効」と言うスキルがあるけどそのスキルにレベルがあるのはなぜ?無効なのにレベルが低いと無効化出来ない攻撃があるって事?それだと耐性になると思うんだけど… スキルによってはレベルが…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ