A:魔法を使ってみます
よかったら読んでみてください
感想などいただけると励みになりますのでよろしくお願いいたします
そんなこんなで練習場に到着です。
かなりの広い運動場って感じの場所です。
真ん中の方に大森さんと神くんがいますね。イケメン第一騎士団長とガタイのいい如何にも騎士って感じの人もいます。イケメン第一騎士団長が大森さんに何かを教えていて、神くんが騎士っぽい人と戦っているのが見えました。
イケメンはやっぱり大森さん狙いかな。食堂でも大森さんと椿原さんに笑顔振りまいてたし。女好きのイケメンなんて爆発すればいいのに。
しかし大森さん。あなたが持っている武器は何ですか?大森さんの身長より長くって、先っぽが槍のようなのに、両方に大きな刃が付いてますね。僕の目がおかしく無ければ戦斧?バトルアックス?まぁ、斧ですよね。
何故にそのチョイスなんですか?女子高生だよね。綺麗で、可愛くて、美人で、スレンダーな女子高生ですよね。本当に謎チョイスです。
すっごく重そうだから持ち上げるのも大変そうだし、持ててもフラフラですが、大丈夫かな。イケメン第一騎士団長が何か言ってるみたいだけど、バトルアックスを抱えてフラフラしながら、おりゃ〜とか叫んでますね。
美人は何をしても美人だとは言いますが、確かに巨大な斧を振り回していても美人でした。
まぁ、きっと大森さんは斧好きなんですね。そういう事にしておきましょう。
そして神くん。笑ってもいいかい。
神くんが簡易ながらも防具で身を固めて、剣を振るっています。ふふふふっ。ごめんね。神くん笑っちゃったよ。はははははっ。
神くんは喧嘩ばっかりしてたよね。僕はそれを後ろでよく見てたんだけど、今ほどカッコ悪い神くんを見たことなかったよ。はははははっ。
殴られようが、蹴られようが、ナイフを出されようが、気にせず反撃に出る神くんが防具をつけて体を守ってるよ。ぷぷぷぷぷっ。
『俺は全身凶器だから武器なんていらねぇんだよ!まぁ、弱ぇ奴らが武器に頼るのは仕方ねぇよな」とか言ってなかったけ。凄くカッコいいい事、言ってたよね。なのに今、防具で身を守って、ど素人な感じで剣を振るってますね。はははははっ。
異世界に来て良い物を見せていただきました。今晩にでもからかってあげましょう。もう少し近ずいて、しっかり見ておこう。
しかし、神くん。そうじゃない。そこはそうじゃないよ。あぁ、そこは剣で受けないで、躱しながらのカウンター!切り掛かっちゃダメでしょう。左ボディからの前蹴りでしょう。いやいや、その避け方はないでしょう。スウェーでギリギリで避けてからの右フック!アッパー、ドロップキック!あぁ〜、違〜う!そこで右ストレート‼︎
その時、神くんが騎士っぽい人にぶっ飛ばされて僕の足元まで飛んできた。そして目が合う。
今、僕は右ストレートのポーズです。
みんなも経験あるよね。一人で部屋にいる時にシャドーボクシングして世界チャンピオンになってみたり、武士になって悪者たちを斬りまくるエアーチャンバラをしてみたり。そしてそれを親に見られる悲劇が起こるんだよね。
そう、今の僕がその悲劇の主人公です。
右ストレートで固まる僕。それを見つめる神くん。世界を覆い尽くす沈黙。誰か助けて!
「だぁぁははははぁぁぁ!そうだよ。優!そうなんだよ!やっぱ優だ!お前は俺の事を良くわかってる!」
何か良くわからないけど神くんが爆笑してます。
神くん、もういいかな。このポーズ止めてもいいかな。滅茶苦茶恥ずかしいです。さっきは笑ったりしてごめんね。今晩にでもからかってあげましょうとか思ってごめんね。だから僕の事もからかわないでね。お互い水に流して記憶から抹消しようね。約束だよ。
「異世界に来て、総騎士団長とかべらぼうに強ぇ奴の殺気に当てられて知らずにビビってたんだろうな」
言いながら剣を投げ捨てた。
「武器とか防具とかありえねぇ。何だこりゃ。かっこわるいな。爆笑モンだぜ!はははは!やっぱ漢の武器は自分の拳だな!そして漢の防具は自分の肉体だ!そうだな!優!」
そう言って防具を毟りとっている。
「優!お前は最高だ!お前が後ろに居れば、俺は俺でいられる!さぁかかってこいやぁぁぁぁ!」
そう言って神くんは騎士っぽい人に向かって走り出していく。
いや、かかっていくのは神くんだよ。日本語がちょっとだけおかしいね。まぁ、神くんは何かを勘違いしたみたいだね。良くわかんないけど神くんが喜んでるっぽいしいいかな。
とりあえずポーズはキャンセルしておこう。黒歴史は封印だね。
走って行った神くんは思いっきり殴りかかっているね。鉄っぽい鎧を着た人に殴りかかるとか正気かな。殴ったら手の骨折れちゃうよ。剣で斬りかかられた所を躱しながらの後ろ回し蹴り。そしてドロップキック!ぶっ飛ばされてもまた、突っ込んで行く。うん。神くんらしくなってきたね。
「優くんは本当に神くん事を良くわかってるんですねぇ。 羨ましいなぁ」
後ろから声が聞こえました。
椿原さんだよね。いつからそこに居たんですか!最初からですね。知ってます。知ってましたよ。
見てたんですね。僕のシャドーボクシング。しかも最初から最後まで。あぁ、あなたは僕の黒歴史の目撃者なのですね。
「あんなよくわからない踊りを踊るだけで神くんの動きが全く違っちゃうんだねぇ。今の神くんは生き生きしてるよねぇ。流石、御崎市の『阿吽金剛力士コンビ』。分かり合えてるよねぇ」
踊りじゃない!踊りじゃないんだよ、椿原さん!あぁぁぁぁ!踊りじゃないんだよぉぉぉぉぉ!それなら、かっこつけてシャドーボクシングしてたって笑われる方が救われるよ・・・。そんな誤解された黒歴史には耐えられない。誰か今すぐ椿原さんを記憶喪失にしてください。お願いします。
それと『御崎市の阿吽金剛力士コンビ』って何ですか。誰と誰がそんなおっかないコンビなんですか。一体誰がそんな面白、可笑しい名前を付けたのか調査が必要ですね。
「あっ、ちなみにいっつも大きな声で叫んでる神くんが阿の金剛力士で、ほとんど口を開かない優くんが吽の金剛力士なんだってぇ。ちゃんと考えてるよねぇ」
いえ、そんな豆知識はノーサンキューです。
神くんはともかく何で僕が金剛力士なんですか。何にも悪いことなんかして無い小心者の一般人に変な二つ名を付けるのはやめて下さい。お願いします。
「それじゃぁ、私はもうちょっと向こうで大魔法の練習してきますねぇ。逆らう者はみな殺しなのですぅ」
そう言って椿原さんは軽くスキップして行っちゃたよ。後ろからじゃ、スキップに合わせて揺れる巨乳が見れないのが残念です。
そして、椿原さんを見送るために振り向いて気付きました。僕の後ろには筋肉ムキムキメイドさん達がいるのでした。とても冷たい目で僕を見ています。あぁ、そうなんですね。あなた達も僕の黒歴史の目撃者なのですね・・・・・・。もう、お家に帰って引きこもりたいです。
魔法で記憶を消したりできないのかな。
恥ずかしさで顔が真っ赤になるのをなけなしの精神力で押さえ込み平静を装いました。
椿原さんも行っちゃたし、特にする事も無いので、大森さんを見ていよう。
大森さんは大きな斧を何とか振り回そうとしてました。一体あの斧は何キロ位あるんだろう。鉄で出来てるとしたら、二十キロ位なのかな。スポーツ少女の大森さんだから何とか持ててるけど、貧弱少年の僕ではきっと持ち上がらないだろうな。
しかし、大森さん。君は短距離走のスポーツ少女なのだから、動きが鈍くなるような巨大な斧より、もっと軽い武器の方がいいんじゃ無いかな。それなのに大森さんはとても楽しそうに斧を振り回してるね。斧を振り回すたびに制服のスカートがヒラヒラして、細くて、長くて綺麗な美脚が目に眩しいです。あぁ、いいな。とてもすばらしい御御足ですね。ずっと見てたいよね。
ドッッッカァァァァァァンンンン
とても大きな爆発音です。
なんですか。敵襲ですか。逃げますか。逃げなきゃですよね。
ドッッッカァァァァァァンンンン
さらに追加です。
訓練場の奥の方で爆発が起こってます。
ドッッッカァァァァァァンンンン
あれってもしかして椿原さん?
そういえばさっき大魔法の練習をしてくるとか言ってたっけ。魔法の練習じゃなくて本当に大魔法の練習なんだ。
「ゆうたん。もしかして、あれって八雲ちゃん?いきなりすごい事になってない」
「なんだ、ありゃ。椿原か。随分ご機嫌だな。おい。ド派手でいいじゃねぇか」
いつの間にか隣に大森さんと神くんが来てました。二人とも、すっごく驚いてるね。
本当、椿原さんすごいね。まだ、魔法の使い方聞いたばっかりなのに、もうあんな爆発魔法使えるんんだ。さすが、魔法使いを目指してたオタクっ子。いっそ椿原さんが勇者でいいんじゃ無いかな。
見れば、第一騎士団長と騎士っぽい人、筋肉ムキムキメイドさん達が惚けた顔で突っ立っている。そりゃビックリするよね。異世界に来たばっかりの女の子がいきなりあんなでっかい爆裂魔法を連発してるんだもんね。僕もビックリしたよ。
あっ、鎧を着たでっかい人達がいっぱい出てきたよ。騎士団の人達かな。
あれ、なんか臨戦態勢だよ。敵と間違えてる?確かに椿原さんの事は説明してないし、練習場とはいえ、王城内であんなでっかい爆裂魔法を使ってる人がいたら敵確定だよね。
「おぉ!騎士団の奴ら、ヤル気だな!おい!やっぱ王国の騎士団はあれくらいの魔法じゃビビんねぇか。おぉ!椿原もヤル気みてぇじゃねか!」
「八雲ちゃん、頑張れ!騎士団ぶっ飛ばしちゃって!でいいんだよね?」
「駄目です!駄目です!駄目すぎます!」
第一騎士団長が慌ててます。いいね。イケメンでカッコつけてる人が慌ててるのは見ていて気持ちがいいですね。これはもちろんイケメンに対する暗い嫉妬です。やっぱり僕は性格良く無いですね。
椿原さん頑張れ!
おっ、騎士団が隊列を組んで突っ込みました。凄い迫力です。
椿原さん迎撃です。
ドッッッカァァァァァァンンンン
ドッッッカァァァァァァンンンン
ドッッッカァァァァァァンンンン
騎士団の人達が吹っ飛んでいます。
「「ぎゃぁぁっぁぁぁぁ!!」」
第一騎士団長と騎士っぽい人が叫んでいます。
ドッッッカァァァァァァンンンン
ドッッッカァァァァァァンンンン
ドッッッカァァァァァァンンンン
さらに騎士団の人達がぶっ飛んでいます。
椿原さん無双です。ちょっと強すぎないかな。
蹂躙状態ですね。やり過ぎだと思います。
「うぁぁぁ!やめろぉぉぉ!やめるんだぁぁぁぁぁ!」
第一騎士団長が猛スピードで突っ込んで行きました。
さすが第一騎士団長。椿原さんの無差別爆弾をすんなり躱して、椿原さんと騎士団の間に入り、何か喚きながら止めていますね。
こうして見ると第一騎士団長はかなり強そうですが、騎士団の皆さんの強さってどうなのかな。強いのかな。椿原さんが無茶すぎるのかな?
そして、この後始末はどうするんだろうね。怒られちゃうのかな。
ぜひ、感想などお聞かせください
お待ちしております