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A:お約束に挑戦します

よかったら読んでみてください

楽しんで書いています

一緒に楽しんでもらえたら嬉しいです

 椿原さんがお怒りです。机をバンバン叩いて怒り狂っています。

  美少女の怒っている姿はそれはそれでなかなかにドキドキしますね。新しい世界に目覚めてしまいそうです。

  机を叩くのに合わせて揺れるお胸から目が離せません。ありがとうございます。

  まぁ、鏡餅王女が佐々宮くんのスマイルで顔を赤らめてモジモジしたり、クネクネしたるするのを見るのが辛くなってきたので、確かにそろそろ次に移りたいよね。

  椿原さんの怒りっぷりに王女様がちょっと引いてるのはわかるけど、何故に佐々宮くん、神くん、大森さんは普通なの?優雅な感じで澄まして紅茶とか飲んでるし。ドキドキ、ハラハラしてるのはもしかして僕だけ・・・・・・。


「そ、そうですわ。皆様、お食事もお済みなようですし、そろそろ魔法と闘気について詳しく説明させる者を呼びますですわ」


  えっ、ちょっと待って。ご飯まだ食べきってないよ。パンをちょっと齧っただけだよ。考え事してたからまだなんだよ。

  うわっ、筋肉ムキムキメイドさんが凄い目で睨みながら朝食を片付けてるよ。

 チッって舌打ちもされたよ。

  何か物凄く嫌われてるよね。理由がいまいちわからないからとても凹むよね。

  こんな圧力かけられたら、まだ食べてますとか言えないよね。とても悲しいよ。朝ご飯はしっかり食べる派なのに・・・・・・。



「儂はパウロ ロッソ、ダルマニア王国 第一魔導士団長をしておる」

「私はジュグネーヴ シグマ、ダルマニア王国 第一騎士団長です」


  一人はいかにも魔法使いといった感じの黒いローブに黒のつば広三角帽子、真っ白で長い髭を生やしたおじいちゃん。

  そしてもう一人は。でたよ。イケメンだよ。優しい笑顔の佐々宮くんとは違うタイプでキリッとした鋭い眼差しのイケメンさんです。全身鎧で腰に大剣を携えて、まだ三十歳にならなさそうに見える若さで第一騎士団の団長さんですか。何だそのハイスペック。

  しかも、男三人には目もくれず、大森さんと椿原さんに向かって挨拶するのが嫌な感じだね。


「早くぅ!早く魔法の使い方を教えてくださいぃぃぃぃ」

「ほほほほ。元気なお嬢さんじゃのう。ならば先ずは魔法からじゃな。早速始めようかの」


  第一魔導士団長のおじいさんがおじいさんぽい話し方で答えているね。

  不思議だ。おじさんはいつからおじいさんぽい話し方をするのだろう。六十歳くらいかな。本能的なものなのかな。不思議だね。


「『魔力を糧にイメージをもって魔法と成す』これが魔法じゃ。」

「想像するだけで魔法が使えるんですかぁ!」

「簡単に言えば、そうじゃ。人は大気中にある魔素を体に溜め込んでおる。それをしっかりとしたイメージを元に魔力を操作できれば魔法として発現できるのじゃ。まぁそのイメージをするというのが難しいんじゃがな」


  もしかしてキャラ作り⁈おじいさんがおじいさんぽい喋り方をするのってキャラ作りなの。

  そう言えばリアルでおじいさんぽい喋り方する人に出会った事ないよね。

  いい年したおじいさんがキャラ作りとかちょっと笑えるよね。


「しかしじゃ。どんな魔法でも使えると言う訳では無いのじゃ。属性に対する適正が必要じゃ。適正が無ければ、どんなに魔力を込めても、魔法は発現せんのじゃ」

「うおぉぉ!属性ぃ!ど、どんなに属性が有るんですかぁ!私はどの属性が使えるんですかぁ!火ですかぁ!風ですかぁ!あぁぁ!どの属性も捨てがたいですぅ!炎を操る熱血な感じも捨てがたいですぅ!氷を纏うクールビューティな感じも私に似合うと思うのですぅ!あぁぁ。魔法を駆使して戦い、傷ついていく私ぃ。身につけている服がボロボロになって恥ずかしい姿をみんなに見られながらも戦い続けるのぉ。大事な部分が少しづつ、少しづつ見えてくるのを優くんが横目で見ているわぁ。恥ずかしから見ないくださいぃ。でも、戦い続けるのぉ。あぁ、また、敵の魔法が私を襲うぅ。私の綺麗で大きな胸の周りの服が焼かれて柔らかい膨らみの大事な部分が見えそうになってるわぁ。優くん、そんなに見ないでぇ。今は戦いの最中なのよぉ。私の胸がどんなに魅力的でも、見られたら恥ずかしいよぉ。あぁ、お尻まで見られてるぅ。優くんがいやらしい目で私を・・・・・・・・・・・・(青少年育成条例により規制されました)」


  長いよ。

  そして 冤罪です。

  これほど酷い冤罪があるのでしょうか。王女様やメイドさん達の視線が痛いです。怒りと蔑みの視線が僕を突き刺しています。特に僕の後ろに立っている筋肉ムキムキメイドさん達の視線が、見え無いのに手に取るようにわかります。ちょっと殺気が混じっているようです。本当に怖いよ。

  いや、おかしいよね。だってこれは椿原さんの妄想だよね。こんな状況で何故にエロ系の妄想を爆裂出来るのっていう疑問は取り敢えず置いておくとしても、何で僕が出てくるの。しかも椿原さんのピンチにずっと視姦し続ける役柄で・・・・・・。

  椿原さん、これはテロです。冤罪テロです。僕は無実です。僕の人格が不当に貶められました。責任を取って今の妄想の続きか別バージョンを二人きりの時に聞かせてくだだい。

  いや〜。しかしながら恥ずかしさで悶える椿原さんは良かったです。こんな素晴らしいものを見れるなら冤罪もウェルカムかも。堪能させて頂きました。御馳走様でした。

  もちろん鋼の精神力で表情には一切出さないようにしました。

  視姦なにそれ、当たり前だよねを体現出来てたはずです。ニヤニヤ顔なんかしてしてたらもっと嫌われちゃうからね。堂々としてないと危険です。


「・・・・・・。お嬢さんはなかなかの素質を持っとるようじゃの。それではそろそろ適正と魔力量の想定といこうかの」


  椿原さんはちょっと燃え尽きていますね。やり切った感じが漂ってます。

  本当に不思議だ。元の世界の椿原さんは清楚、癒し系だったのに、こっちに来てからエロ妄想炸裂系になってますね。何だろうね。テンション上がって弾けちゃったのかな。

  まぁ、美味しいから良いんだけどね。


 ドン

「これが適正と魔力量を計る魔道具じゃ。前の勇者が作成した、この世に三つしか無い国宝級の代物じゃ。」


  おじいちゃんが出してきたのは大きな大きな水晶玉でした。おじいちゃんは占い師だったのですか?まぁいいか。

  しかし、前の勇者は多才だね。魔道具まで作れちゃうんだね。魔道具か。いいな。僕も作りたいな。どんな魔道具か作りたいかって。それはもちろん男の夢がいっぱい詰まった魔道具さ!

  それと気になったんだけど、今、ちょっとフリ入ってなかった?


「この魔道具の宝玉に触れるとその色で適性のある属性を輝きの量で魔力量を計る事が出来るのじゃ。さぁ、順に触ってみるがよい」


  そう言っておじいちゃんが魔道具を差し出すのに椿原さんが目線を逸らす。

  んっ、何かを恐れているね。

  佐々宮くん 、神くん、大森さんも視線を外してるね。どうして目を合わせ無いの。みんな何を恐れてるのかな。


「ほれ、あんなに楽しみにしとったのにどうしたんじゃ。遠慮はいらん。触ってみよ」

「私は後でいいかなぁ。落ち着いて試したいしぃ・・・・・・」

「ああぁん。俺はあんまし興味ないし後でいいや・・・・・・」

「私は最初ってキャラじゃ無いから。後でね・・・・・・」

「僕はみんなが終わってからでいいよ。急いでないからね・・・・・・」


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


「「「「優 (たん)(くん)からどうぞ!」」」」


  わかる。わかるよその気持ち。

  そうだね。この魔道具はこの世に三つしか無い国宝級の物なんだよね。さっきおじちゃんがわざわざ言ってたもんね。この流れは良くないよね。テンプレ?お約束?そう、危険な匂いがプンプンしてるよね。

  みんなわかってるよね。王女様もおじいちゃんもわかってるよね。大丈夫だよね。信じてるからね。


  それではやってみるしかないよね。

  ゆっくりと右手で水晶玉を触れてみます。

  おぉぉ。 真っ白な光が水晶玉の中心から広がってきます。さらに光は勢い良く溢れ出るように輝きを増していきます。さらに光り輝き目を開けていられ無いほどに発光してます。


 パリィィィィィィン


  割れました。


「「「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」


「魔道具がぁぁぁぁ!伝説の魔道具がぁぁぁぁ!」

「国宝がぁぁぁぁぁ!世界に三つしか無い国宝がぁぁぁぁぁ!」

「勇者様が残した聖遺物がぁぁぁぁ!」


  えっ、そんなに取り乱しちゃうの。お約束じゃないの。フリあったよね。

  王女様、第一魔導士団長のおじいちゃん、そしてイケメン第一騎士団長までパニックになってますね。キャラとか吹っ飛んでるよね。

  三人の錯乱ぶりを見ているとかなりヤバイことになってしまったみたいだね。さっきのはフリじゃなかったみたいだよ。どうしよう。

  佐々宮くん、神くん、大森さん、椿原さんを見てみると俯いたり、明後日方を見てたりと顔をこちらに向けてくれ無いね。それでいて全身が激しく震えてるよね。

  爆笑堪えてるよね。間違いなく爆笑堪えてるよね。予想通りの展開に全力で爆笑堪えてるよね。酷いよ。

  本当にどうしよう。仕方ないよね。お約束だもん。内心では弁償とか打ち首とか言われたらどうしようって真剣にビビってるけど表面的には、えっ、何、この程度で壊れちゃうの。不良品じゃないの。ぐらいの無表情鉄仮面装着しておこう。大丈夫かな。



「この魔道具は修理も出来ぬし、新しく作れる者もおらん。それが出来たのは前回の勇者だけじゃ。だからもう、世界にたった二つしかない魔道具じゃ。物凄く、物凄〜く大切で貴重な物じゃから、決して、決して!決して!!壊してはいかんぞ。わかっておるな。赤蝮殿!絶対に、絶対に!絶対に!!触ってはいかんぞ!!!」

「そうですわ。赤蝮様!絶対に、絶対に!触ってはダメですわ!」

「・・・・・・」


  えぇぇ。本気ですか。

 これは フリですか。

  押すなよ。絶対に押すなよ。ですか。そして天丼ですよね。

  どうしよう。王女様も、おじいちゃんも、滅茶苦茶殺気立って血走った目で睨んでるよね。さっきまで本気でパニックになって叫びまくりだったけど・・・・・・。あれってリアクション芸だったんでしょうか。

  う〜ん、判断がつかないな。もしこれでスルーしちゃうと空気読めないつまらないヤツ認定されちゃうのかな。困ったな。

  みんなを見てみると、神くんと大森さんはニヤニヤしてるし、佐々宮くんは期待のこもった笑顔だし、椿原さんは苦笑い。これはレッツゴーってことですよね。もしもの時はちゃんと助けてね。信じてるよ。嫌だなぁ・・・・・・。

 

「では、そちらのお嬢さんからやってみようかの」


  おじいちゃんはそう言って僕の隣にいる椿原さんの前に水晶玉を置いた。

  あ〜。僕の近くにわざわざ持って来るって事はフリなんですよね。そうですよね。おじいちゃん。

  おじいちゃんは僕をブロックするように僕に背を向けた体勢で僕と椿原さんの間に立っている。だから僕はおじいちゃんの背後からゆっくりゆっくり手を伸ばし・・・・・・。


  触りました。


 ピカァァ


  光りました。


 パリィィィィィィン


  割れました。


「「「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


  王女様が泡を吹いてたおれました。

  おじいちゃんがこめかみから血を吹き出して叫んでいます。

  イケメン騎士団長が叫びながらのたうちまわってます。

  メイドさん達が狂乱状態です。

  佐々宮くん、神くん、大森さん、椿原さんが爆笑してます。

  僕が困っています。

  阿鼻叫喚の地獄絵図です。

  どうしましょう。後のことを考えると恐怖で震えてしまいますが、ここはやっぱり表面上は大物ぶって強制的にすまし顔をしておきましょう。

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