A:簀巻きにされます
読んでくださる皆様に感謝です
読んでもらえるのは嬉しいですね
ありがとうございます
メイドさんが出て行ったら寝室から椿原さんが出てきた。いたずらが成功したようなちょっと得意げで照れた笑顔だった。
やっぱり何かしたんだろうな。
「じゃあ。お風呂に行こう!ゆっくり温まって疲れを取ろう!お風呂は広いからみんなで一緒に入ろうね。」
「みんなで一緒にお風呂なんて照れちゃいますねぇ。恥ずかしいですぅ」
「・・・・・・」
騙されない。さすがにこんな連続で仕掛けられてら騙されるわけないじゃないか。
椿原さんは真っ赤な顔して恥ずかしがっているけど、普通に考えてこんな事があるわけないじゃないか。
たかだか異世界に来ただけで、それまで普通の友達だった(幼馴染だけど)美女子高生とその日のうちに一緒にお風呂に入るだと!しかも誘われて!そんな事は有り得ない。騙されるな!騙させるな俺!
きっと、みんなっていうのは大森さんと椿原さんの事で俺は人数に入っていないっていうオチなんだ。ここで間違ってみ期待と妄想で醜く歪んだ顔を見せてはいけない。能面に成るんだ。期待なんかしていない顔をするんだ。
「ゆうたんとお風呂なんて幼稚園以来かな。やっぱりちょっと恥ずかしいね。でもいいよね」
「私、男の人とお風呂なんて初めてですぅ。でっ、でも優くんならいいかなってぇ。恥ずかしいけどぉ・・・・・・。いいですよぉ」
「・・・・・・」
ちゃんと俺は人数に入ってる!本当か!
大森さんまで真っ赤になっている。ありうるのか?異世界に来ただけでハーレムフラグが立つなんて事がありうるのか!?
ドキドキで心臓が爆散しそうだ。こんな夢の様な話があるのか?一般人の僕が美少女達に誘われて一緒にお風呂なんてあり得るのか!?
そうだ。これは罠だ。百パーセント罠だ。それはわかっている。罠じゃない訳がないじゃないか。
しかし未だに脇固めされているので、大森さんの胸の膨らみが僕の腕に当たっていて、この柔らかなお胸様を見てみたいという欲望が僕の正常な判断を崩壊させていく。
椿原さんも真っ赤な顔で俯き気味に視線をそらしてモジモジしている。
そう言えばさっき椿原さんはお風呂で妄想発動していたよね。もしかしてこの事を想定していたのかな。椿原さんが僕とお風呂に入る事を妄想!洗いっこ!更にあんな事やこんな事まで!本当なんですか?
ロリ巨乳神とまで言われている彼女の胸を生で見られるチャンスがあるならば命懸けでそのチャンスを掴みに行かなくてはいけないのではないか?たとえその後にどんな試練が待ち受けていようとも、男なら進まなくてはいけない時が有るんじゃないのか。それが今なんじゃないのか。
「恥ずかしいからゆうたんが先に入っててね。すぐにいくからね」
「心の準備が出来たらすぐに行きますねぇ。こんなにドキドキするお風呂なんて初めてですぅ」
「・・・・・・」
そう言って大森さんは脇固めを解いてくれた。あぁ、かなり名残りおしい。 しかしこれからそれを超える、お風呂イベントが開催されるんだ。変な期待で脳みそが溶けてしまいそうだ。
大森さんと椿原さんは真っ赤な顔でハニカミ笑顔を浮かべながら小さく可愛らしく手を振りながら寝室に入って行った。
もういい。騙されたっていい。0.001パーセントの希望があれば!夢は叶うって信じてる。明日のことなんて考えない。魔王なんて知ったこっちゃない。あの二人とお風呂に入れるのなら異世界なんてどうでもいいんだ。
お風呂に行こう!!!
「まさかここまで堂々してるとは・・・・・・。かなりショックだよ」
「普通、タオルを腰に巻くぐらいはするはずなんですけどぉ・・・・・・。本当にショックですぅ」
「・・・・・・」
「私ってそんなに魅力無いのかな。胸が小さいから・・・・・・・」
「一緒にお風呂なんてドキドキしてたのにぃ・・・・・・・。こんなに冷静に湯船でリラックスされるなんてぇ。私が幼い感じだからですかぁ」
「・・・・・・」
「ゆうたん・・・・・・。お風呂なのに。お風呂で私の事を見ても、なんでそんなにいつもどおりなの。私、こんなに恥ずかしいの我慢してるのに!」
「優くん。酷いよぉ。せめて嘘でもドキドキして見せてくださいよぉ。じゃないとぉ・・・・・・」
「・・・・・・」
あぁ。虚しい。
何だろう、この虚しさは。
あの興奮は何だったのだろう。
つい今さっきまでの夢と希望で世の中が光り輝いていた時間は何だったのだろう。
美少女と、しかも二人と一緒にお風呂なんていう幸運にはしゃいでいたのは何だったんだろう。
僕の様な一般人にも神に祝福される時がやって来るって信じてたのに。
人生の絶頂期がやって来たって舞い上がってたのに。
あぁぁぁ。
何で二人は普通に制服を着てるんですか!!!
騙される事はわかってたんだ。
でも希望が、可能性が0.0001パーセントはあると信じてたんだ。けど最初から0パーセントだったんだね。こういう予定だったんだね。普通に制服で入ってきたもんね。
君達に僕の絶望がわかりますか?
こんなにどん底の気持ちが伝わりますか?
僕の頬を流れる血の涙が見えますか?
楽しみにしてたのに・・・・・・。浮かれて一人でドキドキしてたのに・・・・・・。
先にお風呂に入って待つなら湯船で待っているのがいいのかとか、その時にはタオルで隠すのはかっこ悪いのかなとか、さり気なくしかしじっくり見るためにはどの位置どりがいいかとか、色々考えてたのに・・・・・・。
あの浮かれた恥ずかしい時間を返してくれ!
「ダメだ。やっぱりゆうたんは全然騙されないね。まさか普通にお風呂でリラックスされちゃうなんてね」
「学校の男の子達にこんな事したらきっと凄く面白い事になったと思うんですけどねぇ。優くんは手強いですぅ」
「さすがは御崎一高の『ダイアモンド ハート』。全く動揺しないんだから」
「本当にぃ。御崎市の『不動王』の名は伊達じゃ無いですねぇ」
何を言ってるんですか。騙されたじゃ無いですか。完全無欠で騙されてるじゃ無いですか。これで騙されたんじゃ無ければどんな状態を期待してたんですか。
だいたい、その『ダイアモンド ハート』とか『不動王』とか。どこの中二病ですか。そんな恥ずかしい名前で呼ばれた記憶は無いですよ。言いがかりはよしてください。まるで僕がイタイ子みたいじゃないですか。学校レベルはともかく、御崎市レベルでイタイ子に仕立てないで下さい。これはかなりのイジメじゃないでしょうか。厳重抗議が必要です。
僕が今、身動き出来ないのは 動くと見えちゃうからでしょう。恥ずかしくて動けないんですよ。このいたたまれなさが伝わっていますか?
あぁ、純情な男子高校生を弄ぶなんて・・・・・・、酷すぎる。
「ゆうたんの事だから何で私達がここで集まってるかはもうわかってるんだよね。一応、八雲ちゃんから説明してもらうね」
「はい、説明しますぅ。まず私は優くんから指摘してもらった盗聴、覗きについてを検証してみましたぁ」
そんな事はどうでもいいんです。この傷ついた純情をどうすればいいんですか。
大森さん、何の事を言ってるのか全くわからないけど、今わかっているのは、大森さんが、いやだぁ〜 そんなに見ないで〜 恥ずかしいよ〜とか言って、恥ずかしそうにタオルで体を隠しているけど引き締まった綺麗な長い美脚が僕の目に前で全開になっている姿が見れる事が無いということなんだよ。楽しみにしてたのに。本当に楽しみだったのに・・・。
椿原さん。小さく敬礼して説明を始めた椿原さんも可愛いですが、僕が見たかったのはそんな可愛さじゃ無いんだよ。椿原さんが全然隠しきれない大きな胸を恥ずかしそうに小さい手で一生懸命隠す姿が見たかったんだ。そんなすがたを想像して脳みそが焼き切れそうになっていたのに・・・・・・。
男子高校生の夢を返してくれ・・・・・・。
「じゃ〜ん。これを使いましたぁ」
「それは食事の時に使ってたナイフじゃない。拝借しちゃったの」
「そうなんですぅ。これを使って『異世界召喚で精神病んじゃって錯乱して自殺しちゃった』の演技をしてみましたぁ」
「きっと迫真の演技だったんだよね。メイドさん すごく慌てて入って来たからね。あははは」
「寝室のドアをノックもしないで入ってきた時には驚きましたぁ」
この悲しさを乗り越えるために僕はこの異世界でハーレムを作る事をここに誓います!そうなんだよ。こんな簡単にハニートラップに引っかかるのは飢えてるからだよ。満たされていれば軽く受け流せるはずだよね。異世界ものの定番だし、せっかく来たんだから元の世界ではできない事をしないとね。
もちろん分不相応な事は望んではいけないので、美女とか美少女とか美幼女とかは求めません。そんな人達とは住む世界が違うのです。取り柄もない、特技もない、顔も普通の、普通の中の普通人の僕にお似合いの普通の女性を急募していきます。そう、異世界で普通人による普通人のための普通のハーレムを僕は作ってみせるのだ!
「それで八雲ちゃんの検証ではお風呂は大丈夫なんだよね?」
「はいぃ。まず最初にお風呂で演技してみたんですがその時はメイドさんはやって来ませんでしたぁ。その後 寝室でやった時はすぐにメイドさんが来ましたから寝室はアウトですねぇ」
「八雲ちゃん グッジョブ!これから内緒の伝達事項はお風呂でする事に決定。ゆうたんわかった?なんかあったら一緒にお風呂に入るんだよ」
「優くん、私とも一緒にお風呂入ろうねぇ。楽しみにしてますよぉ」
えっ、なに、話終わったの。じゃあ もう出ても良いよね。なんか裸でお風呂に入ってるっていう当たり前の状況なのにとても居場所がない感じなんだよね。なんか、またしても勘違いしてしまいそうな発言が聞こえましたが今の僕は大丈夫。新しい目標が決まったからね。
そんな事より早く出て布団に入って眠りたいよ。新しい目標に向かって明日から頑張っていこう。
「きゃぁぁぁぁぁ!ゆうたんたんたんたん! 何で普通に湯船から出てくるの!隠せ!見せるな!わぁぁぁぁぁ!こっち向くな!バカぁぁぁ!最低!」
「優くんんんんんんん!何堂々と見せてるんですかぁぁぁ!うぁぁぁ!見せないでぇぇぇ!嫌ぁぁぁぁぁ!来ないでぇぇぇ!もぉぉぉぉ!変態ぃぃぃぃ」
「「ぎゃぁぁぁぁぁ!!!」」
うん。わざとじゃないよ。ちょっとのぼせて思考力が低下していただけだよ。露出系の趣味は無いから安心してね。
しかし見られて恥ずかしいのは僕なのに、罵声を浴びせられているのも僕なのは何でだろう。なんか理不尽だよね。
その後 僕は布団でぐるぐる巻きにされてロープで縛られてベッドの横に放置されてしまいました。これが有名な簀巻きだね。イジメよく無いよ。
身動き出来ないので寝る事にします。
おやすみなさい。