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A:生贄を差し出します

読んでくださった皆さまありがとうございます

勢いで書いた二話目です

拙い文章で読みにくいところも多いと思いますがよろしくお願いします

  謁見の間を出た僕達は王女様の後に続いて広々とした廊下を通って隣の建物へと向かっている。しかしでっかい建物だな。お城ってこんなに巨大な物なのかな。僕が知っている日本のお城は土地自体はそれなりに広くても建物はそんなに広い物じゃなかったけど。姫路城とか大阪城とか。石造りのこのお城は本当に西洋風だから大きさの知識がないけどこんなものなのかな。こんなにでっかいと移動が大変だね。セグウェイ プリーズ。

  歩きながら振り返るといつの間にかメイドさんらしき人達が増えきている。最初見たときは二人だったのにその次は五人いた。今は十人以上はいるんじゃないかな。そのメイドさん達が無表情で僕達の後を付いてくる。振り返るたびに増える無表情メイド・・・・・・。 うん。結構怖いね。ホラーだね。

  廊下が広いと言っても王女様を先頭に二十人以上の行列って目立ちすぎですね。前から来る人達は両端に避けて黙礼してますが興味津々って感じだね。そりゃ気になりますよね〜。でもあんまり見ないでくださいね。恥ずかしいですから。

  更に階段で3階まで登ってやっと到着らしいです。大きい家って結構困るんだね。


「こちらが勇者様方にお使いいただくゲストルームですわ。お一人に一部屋づつご用意させていただいておりますのでご自由にお使いくださいですわ。メイドもお部屋の前に待機させますのでご用がございましたら何なりとお申し付けくださいですわ」

「王女様 何から何までご配慮いただきありがとうございます。おかげ様で身心共にゆっくりとできそうです。ニコッ」


  本当に王女様には感謝だね。あの地獄のような怒りに満ちた空間から救い出してくれたんだからね。王女様が勇者だよね。

  しかし佐々宮くんのイケメンスマイルは強烈だね。王女様が真っ赤な顔して俯き加減でモジモジしながら照れてるよ。ごめんね。王女様のそんなに姿は直視に耐えない。照れてる真っ赤なダルマ(♀)って誰得?

 

「お食事は後ほどご用意させますわ。それでは私は失礼させていただきますわ。どうぞ魔王討伐の為に英気をおやしない下さいませですわ」


  王女様は出て行ったけど王女様の中では魔王討伐は決定なんだね。了承してないんだけどな。まぁ勘違いしてるなら訂正する必要はないよね。ごめんなさい。

  そんな王女様との会話を無視して騒いでる三人!神くん、大森さん、椿原さんちょっと空気読め!確かにこの部屋は凄いね。泊まった事はないけど高級ホテルのスイートルームみたいだね。とても広い応接室には高級そうなフカフカソファー 、執務用の大型の机、さらにバーカウンターみたいなものがあり高そうなお酒らしきものが並んでいる。隣のベッドルームには何人寝れるのって感じの巨大ベッド。勿論バストイレ付き。そのお風呂も三人くらいは入れそうな大きさだ。なんですかこの部屋。これで一人用とか、王様お金持ちすぎるよね。でもね、ボーン 神くん勝手にお酒物色するのは良くないよ。ここは異世界でも ボーン 君は未成年なんだよって、開けてんじゃないよ。飲んでんじゃないよ。いいのか、ボーン 大丈夫なのか。後で請求されても知らないよ。ボーン

  さっきからボンボンボンボンうるさいよ大森さん。ベッドの上で跳ねちゃダメでしょう。トランポリンじゃないんだよ。一回転とか止めようね。えっ一回転と二回捻り!?更に背面宙返り!でも制服ですよね。スカートですよね。見えちゃうよ。いいの?見ちゃうよ。あっ見えた!?

  で、椿原さんは何してるのかな。お湯の入っていない湯船に浸かってのんびり寛いでるようにも見えるし、悶えてるようにも見えるけど?あれかな。エアー入浴もしくは入浴のイメトレ?そうだね、気持ち良さそうだね。頬もほんのり桜色だしねって、なんで、なんでお湯の入ってないお風呂で完全入浴状態になれるの。服もちゃんと着てるのに。


「男の人と一緒にお風呂に入るなんて恥ずかしいですぅ。やだぁ そんなに見ないでぇ。えっ洗いっこするんですかぁ。もうぅ。なんか手付きがいやらしいぞぉ。あっ そんなんとこ触っちゃだめだよぉ。 あぁ やだぁぁ〜(以後略)」


 妄想、妄想ですか。またしても妄想の世界にどっぷり嵌ってるんですか。はぁぁぁ〜。でも最後まで堪能させて頂きました。椿原さんの妄想はエッチだね。ごちそうさまです。

  しかし貧乏人が初めて高級ホテルに来て舞い上がるのテンプレみたいな事はやめてください。結構恥ずかしいです。君たちがそんな恥ずかしいタイプの人達だったなんて知らなかったよ。佐々宮くんを見習えよ。優雅にソファーに座って紅茶らしきものを飲みながら輝く笑顔でメイドさん達と談笑しているよ。えっ メイドさん達と談笑!?あれ、さっきまで無表情だったメイドさん達が頬を染めたハニカミ笑顔で・・・。しかも達!達なのか。何人連れ込んでるんだよ。早すぎるよ。自由すぎるよ。

  はぁぁぁ〜 もしかして空気読めてないのは僕ですか?

  あまりにも居場所が無いのでバルコニーに出てみることにした。みんな自由すぎるんだよな。この状況を楽しんでいるというか、ハイテンションというか。なんか動揺を表に出さないようにしている自分が小さい人間のような気がして少し落ち込んじゃったよ。

  ちょっと黄昏た気分になっていると、後ろの今出てきた窓が突然に閉まった。

  驚いて振り向いてみるとそこには満面の笑顔の大森さんが手を振っている。

  締め出しだね。鍵も閉めたね。笑いながら寝室の方に逃げて行ったね。開けてくれないんだね。イジメだね。イジメ良くない。

  まぁ笑顔が可愛かったからいいかな。

  仕方ないのでお庭でもゆっくり眺めてみることにするよ。

  これは庭というよりは庭園かな。かなり大きな西洋風な庭園だね。花壇もしっかり手入れされていて色とりどりの花が咲き誇っている。時間的に日が暮れてきているので夕日の色と相まってとても美しい景色を作っている。庭園の向こうにはかなり高い城壁がある為その先は見えない。しかしここだけを見ていると世界の危機とか魔王とか本当の事かと疑問に思えてしまうね。そんな穏やか心落ち着く美しい景色だよ。

  これからどうなるんだろう。不安だな。でもやっぱり表面だけは取り繕っていこう。みんなと違って何にも取り柄がないからね。せめて外見だけは動じない男を目指していこう。


「おっ 窓の鍵が閉まっていて、他に出入り口のないバルコニーに優がいる!?お前はマジシャンか!?」

  そう言いながら神くんがバルコニーにやってきた。助かったよ。普通に締め出されたんだよ。もうこのまま忘れ去られちゃうのかと心配してたんだ。神くん救世主だね。

「飯の準備ができたってよ。さっさと食おうぜ。腹減りすぎだ」

  この状況でも普通にお腹が減るんだね。君の神経の太さが羨ましい。僕はちょっと胃が痛い気がするよ。小心者だからね。はぁぁぁ〜。


 神くんごめんね。君の神経の太さが羨ましいなんて君を馬鹿にするようなこと思っちゃたことを反省するよ。うん。君のじゃないね。君達のだったよ。僕以外の君達全員の神経の太さが羨ましいよ。凄いね。どんどん食べるね。遠慮は無いのかな。

  神くんと大森さんはガツガツって感じだ。ちょっと取り合いしてるよ。奪い合いだね。食事中に争わないでね。神くんはお酒も結構飲んでるね。大森さん、 もうちょっと可愛く食べて欲しいな。でもこのギャップがいいって学校の男子達は言ってたな。ごめん。僕はそっち系ではないです。佐々宮くんは上品な感じで食べてるけどしっかり量は食べてるね。給仕してくれてるメイドさん達にもスマイルを忘れないあたりがそつがないね。椿原さん。そんなに口に詰め込んで、りすみたいになってるよ。可愛いけど。口の周りもソースがついてるのも可愛いね。でも僕の分まで取らないでね。あっやめて。そのお肉美味しかったのに。取らないで。あぁスープも取っちゃうの。あぁ。せめてフルーツは・・・・・・取っちゃうんだね。


「で、マジで俺たち異世界に来てるのか?」


  食事が終わって、メイドさん達が出て行った後でようやく神くんが切り出した。やっとだよ。みんな気にしてないのかと心配してたよ。

 

「うん。間違いないと思うよぉ。この状況はラノベやアニメと一緒だねぇ。想像が生んだ創作物だと思ってたけど、実はドキュメンタリーだったんだよぉ。感激だねぇ」

「僕の知ってる限りでは、僕たちの世界にこんな国もこんな城もあんな王様も存在しないよ。異世界じゃないかな」


  椿原さんテンション上がってますね。なんか希望に満ち溢れた感じですけど、きっとそんなにいいものじゃないと思うよ。僕たちが住んでた世界は本当に便利だったから、色々困ることが多いんじゃないかな。特に旅することになったら食事とかトイレとか宿泊とか。交通機関も車や電車はないだろうし、コンビニとかもないだろうな。生きていける気がしないよ。

  だいたい魔王倒すとか無理だし。ゴブリン(ゲームとかなら最弱のモンスターだよね。もしいるならだけど)でも無理な気がするよ。

  佐々宮くんも落ち着いてメイドさんが用意してくれていた紅茶?フルーツティー?を飲んでるけど大丈夫?もうちょっと危機感を持たなきゃ。まぁ、彼はきっと表に出さないだけで色々考えてるはずなんだけど。信じてるよ。

  しかしこのお茶美味しいね。


「ねぇ もしかして壮大なドッキリってことはないかな。面白くない?」

「あぁん。大森。それはねぇよ。こんな一般の高校生に、こんな壮大なドッキリ仕掛けて面白いか。金の無駄すぎるだろ」


  うん。やっぱりフルーツティーだね。でも何のフルーツだろう。甘酸っぱい。でも酸味は抑えめで飲みやすい。ちょっと飲んだことない味だね。癖になりそうだ。このお茶に使っているフルーツも食べてみたいな。あっ、もしかしてブレンドしてあるとか。向こうでもリンゴやイチゴをブレンドしたフルーツティーあったし。美味しいな。


「そうだね。ドッキリにしてはやり過ぎだよね。それにさっきメイドさん達に教えてもらったんだけどこの部屋の明かりは魔法らしいよ。あそこの壁の魔法陣がスイッチで、それを触ると体内の魔力と反応してあそこの魔石が光る仕組みになってるらしいよ。まぁそう言われても科学で再現できるから丸々信用は出来ないけどね」

「魔法ぅ!やっぱり魔法があるんですねぇ!うぁぁぁ!魔法だぁ。私も、私も魔法使いになれるんですかぁ!」

「椿原、ちょっと落ち着け。テンション上げ過ぎだ。まだ魔法って決まってねぇよ」

「八雲ちゃんはそっち系大好きだからね。仕方ないね。でも私は剣でズバァーの方が好きだな」


 うん。お茶は美味しかった。でもこのクッキーはもう一つだね。これだけ美味しいお茶を作れるフルーツがあるなら、このクッキーにも工夫が欲しいいな。素朴と言えば素朴なんだけど味があまりないんだよね。うーん、確かに世界中で日本ほどお菓子に情熱を注いでいる国はないから仕方ないのかな。そんなこと考えてるとポテチ食べたくなってきた。


「あと、お風呂場にある赤い魔法陣に触るとお湯が出て、青い魔法陣は水が出るんだって。それでいつでもお風呂に入れるよ」

「佐々宮くんは試してみたんですかぁ。えっ?試して無いんですかぁ。何してるんですかぁ!それでちゃんと反応すれば私達にも魔力があるってことになるんですよぉ。試さなきゃですぅ」

「椿原、慌てんな。それだけじゃ、まだ魔力か科学か判断できねぇだろ」

「きゃーぁ。明かりが消えましたぁ。!魔方陣触ったら魔石が点いたり消えたりしますぅ。!魔力ですぅ。私には魔力があるんですぅ!」

「八雲ちゃん。明かりつけたり消したりしないでね。目がチカチカするからね」

「私、魔法美少女になりますぅ!決めましたぁ!」

「おい、自分で美少女とか言ってんじゃねぇぞ。あんまりテンション上げすぎてると後で黒歴史で後悔すんぞ。」


  うん。ポテチはいいな。あれなら作るの簡単だよね。まぁカ○ビーののり塩が最高だけど、そこまでは望めないな。自作なら塩味だね。スライスして油で揚げて塩ふって。うん、できそうだ。あっ、よく異世界物ではあっちの世界の食べ物が珍しくて、センセーショナルを巻き起こしてるから、この世界にポテチが無かったら僕の作ったポテチで一大ムーブメントを起こせるんじゃ無いだろうか。ポテチ製造、販売で大金持ちも夢じゃ無い!?


「で、魔法微ロリはほっといて。お前らはデブブヨの依頼受けて魔王討伐とかする気あるのか」

「はーい。反対でーす。あのオジさん、デブくてキモし、嘘つきなので嫌いでーす。」

「あぁん。嘘つきってなんだ。肉は醜いくらい付いてたけどなぁ。どうしたらあんなに肉付くんだよ」

「大森さんが言う汚デブの嘘って言うのは『魔王を倒せば元の世界への扉が開かれる』だね。この世界に召喚したのはデブリン達なのに、なぜ魔王倒すと自動で帰れるのか疑問だね」

「でしょ。本当は帰る方法あるのに隠してるか、知らないか、出来ないか、だよね。まぁ、どれにしたって嘘ついたり、誤魔化したりしてる時点でアウトだよ。信用は出来ないから協力しないだね」


  うん。よく考えればこの世界に著作権とか特許のようなものはあるのかな。芋をスライスして揚げるだけなんてお手軽お菓子、誰でも真似出来ちゃうよね。そしたら元祖だとか本家だとかの看板を出しても無駄だよね。大金持ちはちょっと難しいかな。あっ、そもそも芋ってあるのかな。夕ご飯の中にはそれらしいものって無かったし。もしかして最初から無理ゲー?いやいやポテチじゃなく、簡単だけどレシピが想像出来にくい物にすれば。何かあるはずだ。何か思いつくんだ、僕。


「僕はちょっと保留かな。情報が不足しすぎてるからね。もう少しこの世界のことを知ってから判断したいな」

「あぁん。そりゃ遅すぎねえか。現状維持がいつまでも続くとは限らねぇぞ。即断即決だろ。伊吹、だいたいああいう腐った系の権力者はお前が一番嫌いな奴らだろ。俺は誰かの、特にデブゴンの指示に従う気はねぇぞ」

「そうだな尊。大嫌いだね。でも利用できるうちは利用させてもらうつもりだよ」

「そうですよぉ。私達お金もないですよぉ。デブラーからの依頼受けずに城から出たらご飯も食べられないですよぉ。まだ魔法の使い方教えてもらってないですしぃ。今はまだ無茶しない方がいいんじゃないでしょうかぁ」


 うん。プリンはどうだろう。なんかのラノベで異世界の人達に衝撃を与えてたし。いいんじゃないかな。でも作り方知らないんだよな。確か、卵で作るような気がしたけど。駄目だな。シュークリームはどうだろう。生クリームは牛乳と卵で作るんだっけ?生地はどう作る?ならばホットケーキは小麦粉と卵と牛乳だたっけ。あぁぁ、よく考えたら普通の高校生はお菓子とか作らないよ。コンビニで買えるしね。

  椿原さんとか知らないかな。確か料理は得意だったはず。相談してみようかな。


「「「「で、優の意見はどうなんだ?」」」」


  えっ、ここで僕に話振るの。

  ごめんね。みんなの話 突っ込みどころ多すぎて追いつかないからちょっと現実逃避しちゃったよ。

  大丈夫だよ。だからそんなに注目しないでね。照れるから。みんなの話はちゃんと聞き流してたよ。だからよくわかってないよ。うん。大丈夫だ。スルースキルは大事だよね。

  仕方ないから何か言おうと思うんだけど。さてここで問題です。ぼくは異世界召喚されてから一言でも何かを喋ったでしょうか?

  答えは喋ってないです。みんな気付いてたかな。うん。そうです。誰も気づいてないと思います。まぁ、普段から口数は少ないから(心な中では誰にも止められないくらい喋っているけどね。男一人なのに姦しいよ)気づかないよね。

  でも、ここまで注目されると何か言わなくちゃいけないよね。でもね。その前にね。どうしてもみんなに伝えたいことがあるんだ。

  だから制服の胸ポケットから生徒手帳を取り出した。異世界召喚で元の世界から持ってこれたのは身に着けていた物だけだったんだよね。財布も(有ってもきっとお金は使えないからいいけどね)スマホも(ネットやラインは無理でも写真は撮れたかも)カバンの中だったから身に着けてなかったんだよね。仕方ないね。

  で、その生徒手帳には小さな細い鉛筆が付いている。これで筆記用具が揃ったね。何でこんな鉛筆を付いてんだって、ちょっと馬鹿にしてたけど この鉛筆を使う日がやって来るとは。生徒手帳製作業者さんごめんなさい。そしてありがとう。

  その鉛筆を使って空いているページにみんなに伝えたいことを書いてみる。

  手書きの文章を人に見せるのってなんか照れるよね。ラインやメールは平気なのにね。

  さあ、これが今の僕の気持ちです。


『壁に耳あり 障子に目あり』


  あっ。みんな固まっちゃたね。フリーズだね。

  いやぁ、不思議だったんだ。こんな状況で相手が用意した部屋で、結構本音で話していていいのかなって。無用心だよね。

  王様の住んでいるお城にあるこんな豪華な部屋に泊まる人って普段 お城に居ない王族とか貴族とか他国の偉い人じゃないのかな。それならあんな企んでそうな王様が何にもしてないわけないよね。覗き穴があったり盗聴してたり。相手の悪巧みを知ったり、弱みを握るチャンスがあるかもしれないもんね

  魔法がある世界なんだから魔法でそういう事もできたりするのかな。

  まぁ、部屋の中でも見張られてるって思って間違いないよね。

  そんな所で王様の事ブヨデブとかひしゃげ肉ダルマとかデブリンジャーとか悪口言いちゃ駄目だよね。協力に前向きな意見も出てないみたいだし心象悪いよね。

  みんなわかってて謁見の間の続きでもしてるのかなって思ってたけど違うんだね。もう僕たち詰んだんじゃないかな。


「えぇ、あぁ、そうだ。魔王だ。魔王だよ。魔王っていうぐらいだから悪いヤツなんだよ。悪いヤツはブッ飛ばさないとな。そうだよな」


  あっ、神くんがおもねった。


「そっ、そうだよ。困っている人がいるなら助けないとね。そうだよね」


  大森さんが心のこもってない正論を吐いた。


「お、王様ってみんなの事をよく考えて立ち向かってる人?人なんだよねぇ。凄いよねぇ」


  椿原さんが媚を売っている。王様はあれでも人だよ。変なところに?マーク入れるとおかしな事になるよ。


「そうそうそうそう。そっ、それに、僕って勇者似合うと思うんだ。そう思うんだよ。勇者になりたいな」


  佐々宮くん。誤魔化し切れてないよ。利用するとか言ってたもんね。腹グロばれちゃったね。


  悪巧みはバレたら駄目だよね。何とか取り繕っとかないとね。

  謁見の間でみんな超強気で煽りまくってたけど状況は分かっているんだね。ちょっと安心したよ。生殺与奪の権利ははやっぱり王様達にあるものね。我慢するところは我慢して、隠すべき所は隠さないとね。佐々宮くんはそういうの得意なはずなんだけど慣れない状況で感が狂ってるなかなか。アウェイだもんね。頑張れ腹黒生徒会長!僕らを助けてね。


「そう言えば 王様達との謁見での優は凄かったな。俺は何度も死を覚悟したのに全く動じてなっかたもんな」


  ねえ。神くん。話を変えるにしても何で僕の話をするのかな。しかも間違ってるよね。本気でそんな風に見えてたの。話作ってるよね。

  何度も死を覚悟したじゃなくて、僕は君たちのせいで何千回、何万回死を覚悟したよ。いや、死んだんじゃないかな。いやいや死んだね。間違いないよ。


「そうですよぉ 。凄かったですよぉ。動じてないというより相手にしていないあの感じぃ。本当にこっちが冷や冷やでしたよぉ。」


  えぇ。椿原さん? あなたの妄想より冷や冷やなものは無いですよ。忘れましたか。あの長く壮大なエロ妄想物語を!あんなに心が凍った時間を、そして別の所が熱くなる時間を経験したことなんて今までなかったよ。本当に忘れちゃったの。


「そうそう!ずっと眼中に無いって感じだったのに騎士団長が剣を抜こうとした瞬間眼力で威嚇して止めてたもんね。かっこ良かった。惚れちゃうかと思ったよ」


  おい。大森さん。誰だよそいつ。誰と間違えてるの。そんなかっこいいヤツ存在しなかったよ。あんな滅茶苦茶強そうな騎士団長を眼力で威嚇って!何者ですか?それは白昼夢です。僕はただただビビって震えてましたよね。見てましたよね。認識が違いすぎるよね。それに惚れちゃうかと思っただけで惚れないよね。うん。わかっていたよ。でもね。はっきりと言われるとヘコむよね。僕に惚れられ要素は無いのは知ってるよ。知ってるけど、分かっているけど。現実は残酷だよ。


「うん。優の王様達に所々で向ける虫ケラを見るような蔑んだあの目。本当に王様達が優にいつ切れるのかドキドキだったよ。あの怒りの暴風雨の中でまるで穏やかな木漏れ日の中にいるようで、全く相手にしていない姿勢は見習いたいね」


  さ・さ・み・や〜 。君と僕は同じ場所にいながら違う経験をしたみたいだね。なんだよ。蔑んだ目って。どんな目だよ。そんな目しようと思ってもできないよ。無理難題だよ。あんな状況を穏やかな木漏れ日の中にいるようって思えるヤツは人間が崩壊しているよ。思い出すだけでもちびっちゃいそうになるのに。

  何を企んでいるんだい。悪い事考えてるからそんな事言うんだろう。


「「「「本当に優は尊敬できるリーダーだよ」」」


 お前ら、 僕を生贄にさしだしたな。

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