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A:ぶらんぶらんします

よろしくお願いします


「おーい、優、風呂入ろうぜ!」


  神くんがやって来ました。肩に佐々宮くんを担いでます。男子高校生を軽々と担ぐなんてパワーアップしてませんか。

  後、男の人と一緒にお風呂に入るのは、ご遠慮させて頂きたく思います。


「あぁ、ついでに、伊吹に、回復魔法かけてやってくれるか。熱血指導してたら、やり過ぎちまった。はははははは」

「尊・・・・・、ついでじゃ・・・・・なくて・・・・・・」


  うん。本当に加減を知らないみたいだね。佐々宮くん死んじゃいそうだよ。こんな死にかけてる佐々宮くん初めて見たよ。しかし、本物のイケメンは死にかけててもイケメンなんだね。

  取り敢えず、回復してみよう。


『ヒール』パチン


「あぁ、優、ありがとう。凄く楽になったよ。しかし、尊。やり過ぎだよ。本気で死んだおじいちゃんが見えたよ」

「あぁん。それでも、闘気の使い方わかってきただろ。やっぱ、体で覚えるのが一番早いんだよ」

「僕は尊のような、熱血筋肉系じゃないから、出来たら理論的に教えて欲しかったよ・・・・・・」

「ふん。難しいことはわかんねぇよ。そんなんはお前に任す。それより風呂だ。運動の後は風呂で酒飲むに限るよな!」

「まぁ、いいか。お風呂にしよう。優のおかげで痛みは引いたけど、汗と泥で気持ち悪いよ。早くお風呂でさっぱりしよう」


 神くん、佐々宮くん。ぜひ、お風呂は自分のお部屋でお願いします。確かにここのお風呂は広いけど、お風呂で男祭りする趣味は無いのです。やっぱりお風呂は女の子と入りたいな。それが男の夢だよね。あぁ、洗いっことかしたいな。きゃふきゃふがいいな。



「プハー。やっぱ、広い風呂はいいな!生き返るぜ」

「流石は、王城のゲストルームのお風呂だよね。ちょっとした温泉並みの広さだよ」


  あぁ、男風呂とは悲しいね。特に、僕の悲しさはひとしおだよ。

  神くん、なんだい、そのカッコいい筋肉質の体は。佐々宮くんだってスリムマッチョだし。とっても男らしくて、誰に見られても自慢できる良い体してるよね。

  それに比べて僕は、ガリヒョロなのにお腹はポッコリなんだよ。脆弱なんだよ。どこに出しても恥ずかしい一般ザコキャラ体型なんだよ。

  君たちの体を見ているだけで、僕のHPは削られていくよ。

  あぁ、悲しみと劣等感が止まらないよ。


「優、今日は無様なところを見せちまったな。お前が教えてくれなけりゃ、更に無様を重ねるところをだったよ。ありがとな」

 

 神くん・・・・・・。

  ちょっと顔を赤らめて、恥ずかしそうに、目線をそらして言われても全然萌えないから・・・・・・。


「どうした、尊。なんかやっちゃたのかい。良かったら聞かせてよ」

「あぁん。まぁ、あれだ。ちょっと恥ずかしい話なんだよ。闘気の使い方の練習中なんだがな、この俺が防具で身を守って、剣持ってやってたんだよ。恥ずかしい限りだぜ」

「へぇ、尊が武器に防具ね。それはちょっとあり得ないね。どうしたの。異世界テンションでおかしくなっちゃたのかい」

「あぁ、多分その通りだ。訳わかんなくなってたんだろうな。まぁ、それを優に指摘されて気付いたんだ。俺らしくない事やってるってな。優が居てくれて良かった。感謝だな」


  うん。もう良いからお風呂を出ようよ。何か、話の流れが良くないからね。男の裸だけじゃなくて、男の友情的な話まで加わると矮小で卑屈な僕には荷が重すぎます。


「優。異世界テンションのついでに恥ずかしい事語っちまうけどよ、お前には本当に感謝してるんだぜ。俺はよ、いつでも、どこでも、喧嘩ばっかりしてるだろ。誰かと一緒に行動してても、喧嘩を売られるとすぐに始めちまう。喧嘩が始まれば、一緒にいてた奴らはいつの間にかいなくなる。敵だってブチのめせばいなくなる。最後はいつも一人だったよ。でもよ、優だけは違ったよ。優は一回も逃げなかっよな。いつも俺の後ろで、喧嘩が終わるのを待っててくれたよな。すげぇ嬉しかった。お前が居てくれるから、俺は一人じゃないと思える。ありがとな」


  えぇ!? 逃げて良かったの!?ビックリだよ。そういう事はもっと早く言って欲しかったよ。怖いの我慢して待ってた時間を返して欲しいな。本当に怖かったんだよ。

  しかし、神くん。僕を口説きにかかってるのかな。正直、普通の女の子がこんな事言われたら惚れちゃうよね。でもね。僕は男の子だからね!惚れないよ。本当だよ。

 

「じゃぁ、ついでに僕も恥ずかしい事、語っちゃう事にするよ。僕も優に感謝してるんだよ」

「なんだぁ、伊吹。お前もか。おう、この際だから語っちまえ」


  いやいや、もういいよ。なんか、そういうの苦手なんだよね。男の友情とか無理なんで。

  のぼせかけてるから、もう、お風呂出ようよ。ね。


「家って、三代続いた知事の家系だろ。僕はその後継だから。周りの人間は、大人も子供も、僕の家柄を通して僕に近寄ってくるんだよね。大体は媚びたり、ゴマすったり、利益を求めたりで、僕個人を見てくれる人はいなかったよ。僕も周りの目と期待を気にして品行方正に振舞ってたしね。だから本当に友達と言える人間が優と尊しかいないんだ。でも尊は僕に気を使って、人前では僕に近づかなくなっちゃただろ。かなり寂しかったんだよ」

「あぁん。気ぃなんか使ってねぇし。喧嘩するのに邪魔だっただけだし。あれだ。生徒会長と一緒に喧嘩とかできねぇだろ」


  神くんも照れてるね。やっぱりこういう話は恥づずかしいでしょ。赤くなって目線そらす神くんは初心だね。


「ははは。尊は他の人と違って、僕に何も求めないから。僕の事を考えてくれてるってわかってるから。いつか昔みたいに話せるまで待とうと思ってたんだ。で、そんな寂しい一人ぼっちの僕にも優がいてくれた。子供の頃と全く同じ様に接してくれる優の存在が、僕の心の拠り所だったんだ。優、本当にありがとう。優がいてくれたから、僕は僕でいられた」


  実は佐々宮くんも僕を口説いてるよね。二人で僕を取り合ってる?あぁ、僕はなんて罪作りな男なんだ。って、男なんだよ。男なんだよ。大事な事なのでもう一回言うけど、男なんだよ。無敵の不良と良家の生徒会長から告白されても嬉しくないんだよ。

  しかし、この雰囲気どうするの。なんか、返答しないといけないの。じゃぁ、ごめんなさい。僕にはこれから好きな人がいっぱいできるんで無理です。とかで良いのかな。本当にどうしよう。


「という事でさ、僕はこの世界を楽しもうと思ってるんだ。僕の家の事を誰も知らないこの世界で、優と尊と思いっきり遊びたい。周りの目を気にせず本気でしたい事をするつもりだよ」

「ふん。好きにすりゃ良いんじゃねぇの。お前は周りの事気にしすぎなんだよ」

「だから、明日の魔物討伐全力で楽しむつもりだよ。尊と優には負けないからね」

「あぁん、何、俺に勝つつもか。それは勝負するって事か。良い度胸じゃねか。格の違いを見せてやるよ」

「ははは。筋力だけが力じゃないって事を教えてあげるよ」

「「よし!勝負だ!」」


  なんか、青春だね。青い春だね。

  ごめんね。ちょっと、そういうノリも僕は苦手だから。二人で楽しんでね。僕は後ろの方で安全地帯を全力で確保する事にするよ。だから、巻き込まないでね。

  だから、立ち上がって、拳を合わせるとかしなくて良いから。肩組んで笑いあったりとかも、他所でやってね。僕の目の前でやると二人の息子さんたちが、僕の顔の前でぶらんぶらんするんだよ。これって拷問ですか?

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