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誤解と邪魔



「ああ。そうですね。」

「反応薄っ!?なんでそんな落ち着いていられるの!?」

「そんなに問題ありますか?」

「いろいろあるよっ!!」


先輩がそんなに慌てる原因がわからないが、そんなに僕との間接キスが嫌だったのかと少し不安になる。


「すいません先輩。嫌でしたか?」

「え?」

「僕との間接キス、そんなに嫌でしたか?」


僕が先輩の目を見ながら訊くと、顔を真っ赤にして目を逸らしてしまった。


「そ、そう言うわけじゃないけど……………だし………」


どんどん声が小さくなっていき、聞き取れなくなってしまった。

どうしたんだろうか.

先輩のイメージ的にはもっとはっきり言いそうなものだが。


「と、とにかく!嫌だったわけじゃあないぞ!」


顔を真っ赤にしながら、先輩はそう言う。目は合わせてくれないが。

その言葉に、僕は安堵の息を吐く。


「それは良かったです。てっきり嫌な気分にさせてしまったのかと……」


心の底からそう思うと同時に、一つ疑問がわいてくる。

何故ここまで嫌な気分にさせたくないと思ったのだろうかと。

しかし、いくら考えてもその答えは出ない。


「ああ、安心してくれ。本当に嫌な気分だったわけではないし、むしろ良かったから。」

「へ?」


その言葉に驚いた僕は思わず先輩のことを見つめてしまう。

そんな僕に先輩はこくんと首を傾げるが、暫くして自分の言ったことを理解したのか、顔を真っ赤にする。


「ち、ちがっ!いや、違くはないけど、わ、忘れてくれ!」

「は、はい。」


顔を真っ赤にしてあわあわとする先輩に僕はそう返すしかない。


そのあと、昼休みが終わるまで気まずい空気が流れた。






放課後を楽しみにして授業を受けたのなんていつぶりだろうかと考えながら、鞄を持って立ち上がる。

その瞬間、嫌な予感がしたので、僕は素早く右へ移動する。

すると、そこを誰かがすごい勢いで通過していく。

“誰か”は、その場でべしゃっと転び、その醜態を晒す。

それに興味など沸かないので、僕はその場を立ち去ろうとする……が、ズボンのすそを何者かに掴まれた。


「酷いですわ!私を避けるなんて!」

「離せ。僕は早く行きたい。」

「まあ!私の両親にご挨拶に……」

「うざい。」


僕は力任せにその手を離させ、歩き始めるが、すぐに手を掴まれる。


「離しませんわ。で、どこへ行くんですの?」

「どこでもいいだろう。」

「よくありませんわ!私には零様に悪い虫がつかないようにする義務がありますもの!」


そう言いながら、手を掴む力を強めてくる。


「そんなのない。この時間が勿体ないから早く離れろ。」

「そんなの嫌ですわ!私はずっと零様と一緒ですの!」


もうこれは何言ってもダメなやつだと諦めて、無理にでも振りほどいて行こうと前を向く。

しかし、教室の扉にいたその人物に、僕の思考回路は停止する。


そこにいたのは、古都先輩だった。


先輩は、口に右手を当てて、目を見開いていたが、やがて悲しそうな、苦しそうな目になると、胸を押さえて走り去ってしまう。


「先輩!」


僕は走って追いかけようとするが、凄い力で手を掴まれていて、進むことができない。


「あの女、誰ですの?」

「離れろ!」


僕は力任せに手を振りほどくと、全速力で走りだす。

しかし、角を曲がったところで、人とぶつかってしまう。


「わっ!」

「っ!す、すいません!」


僕は謝りながらその人を見る。

同じ男性でもかっこいいと思うほどの顔に、足の長いスタイル。

冷たい雰囲気を出しながらも、人を引き付けるその人は、入学式で見覚えがあった。


「か、会長!?」

「うん?そうだけど?それより、廊下は走らない方がいいんじゃないかな?」


優しく言っているわけではないのに、何故か安心してしまうその声に、僕は大人しくするしかなくなる。


「そ、そうですね。すいません。人を追っていたもので。」

「それってもしかして、古都葉奈さん?」


その言葉に僕は目を見開く。

何故それがわかったのだろうと。


「な、なぜ?」

「ん?君が走ってくる前に、凄い勢いで廊下を駆ける古都さんを見かけたからね。用事があって呼び止めようとしたんだけど、駄目だったんだ。」

「そうですか。では僕は古都先輩を追いかけなくてはいけないので……」


そう言って走り出そうとするが、手を掴まれる。


「ちょっと待ってくれるかな?」


その言葉は、決して強制力のあるものではない筈なのに、逆らうことはできなかった。


「何でですか?僕は早くいかないと……」

「まあまあ。少しくらい話を聞いても罰は当たらないと思うよ。僕は君にも用があるんだから。」

「なんですか?初対面の僕に用なんか……」

「美しい言葉を探そう部の新入部員の琴木零君。これは君たちに関係のある話だよ?」


含みのあるその言葉に、僕は固まるしかなかった。







そのうち共演があるかも?と言った次の話で共演させるという荒業!


次回!零VS夜空!?

……すいません、嘘です。戦いません。

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「絵が好きな君と絵を描かない僕」
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